【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
お好み焼きに入れるために山芋を買い行ったら、本当は使い切れるような小さいサイズが欲しかったのに、あいにく大きいサイズしかありませんでした。
余った分はすりおろしてとろろにして食べようかなと考えているのですが、どのくらいの期間日持ちするのでしょうか?
考えてみると、山芋の賞味期限や保存方法など、あまりよく知りません…
せっかく買ってきた山芋を無駄にしたくないと思い、次のような項目について調べましたのでまとめてご紹介します!
- 生の山芋、山芋を使った料理の日持ち日数
- 山芋は腐るとどうなるのか
- 新鮮な山芋の選び方
- 山芋の正しい保存方法(常温?冷蔵?)
- 山芋は冷凍できる?
- 山芋の大量消費レシピをご紹介
芋類はじゃがいもなど、常温保存が可能なものもありますが、山芋はどうなのでしょうか?
なんとなく冷蔵庫に保存していますが、正しい保存方法なのかどうか自信がありません。
また、とろろにするくらいしかレシピを思いつかないので、おいしく食べる他のレシピも知りたいと思い調べました。
私と同じように山芋の扱いに少し困っておられた方にも、最後までおいしく、いろんな味で山芋を楽しんでいただけるようになると思いますので、最後までお付き合いくださいね♪
管理栄養士・栄養士
目次
山芋の日持ちはどのくらい?生やとろろなど徹底調査!
私は今回カットされた山芋を買ってきましたが、一本丸々の山芋も売られていますね。
カットされているかどうかで日持ちや保存方法に差はあるのでしょうか?
また、生の山芋の中でも、すった「とろろ」が余ってしまい、日持ちするのかどうかわからなくて捨ててしまったことがあります。
まずは生の山芋の日持ちについて解説しますので、ご参考になさってくださいね!
生の山芋の日持ち日数
一番よく売られているカットされたもの、一本丸々のもの、すってとろろにしたもの、それぞれで日持ちはどの程度違うのでしょうか?
まずは一覧表でご紹介します。
山芋の状態 | 日持ち日数 | 保存方法・注意点 |
一本丸々 | 1~3ヶ月 | 新聞紙に包んで冷暗所に保存 |
3ヶ月程度 | おがくずや土の中に入れて冷暗所に保存 | |
カットした山芋 | 1~2週間 | ラップでぴったり包んで冷蔵庫保存 |
すりおろした山芋 | 3日~1週間程度 | 密閉容器に入れて冷蔵庫かチルドで保存 |
1ヶ月程度 | 密閉袋に入れて冷凍 |
山芋は切り口から酸化が進み、味が損なわれたり腐敗が進んだりするので、カットされたものより一本丸々の方が長持ちするのですね。
中でもおがくずや土の中で保存するととても長く日持ちします。なぜでしょうか?
おがくずや土の中で長持ちする理由
- 余分な湿気をおがくずや土が吸い取ってくれる
- 湿気を保って乾燥しすぎることも防ぐ
- 山芋が空気に触れて変色することを防ぐ
- 断熱材の役割になって高温になりすぎるのを防ぐ
- 緩衝材の役割になって接触して傷むのを防ぐ
元々長いもは土の中でゆっくり水分を吸い上げて生きている植物です。
その為、あまり多くの水分を必要としておらず、逆に水分が多すぎると腐ってしまう場合があります。
また、スーパーには真空パックされた山芋も売られていますね。
真空パックされたものって、何となく長持ちするような印象があったのですが、調べてみるとそうとは言い切れないとわかったのでご紹介したいと思います!
真空パックされた山芋の日持ち
賞味期限:約2週間
真空パックの山芋には「鮮度保持剤」が入っています。
植物は呼吸するときに炭酸ガスを出しますが、それをまた山芋自身が吸い込んでしまうことでピリピリした刺激を感じる場合があります。
これを防ぐために鮮度保持剤が入っているわけですが、真空パックのままで保存すると、鮮度保持剤で吸収しきれなかった炭酸ガスを山芋が吸ってしまいます。
このピリピリは体に害があるわけではないのですが、味が落ちていることには違いないので、あまり長期間の保存はおすすめしません。
また、山芋はたくさん呼吸するので、密封された状態で長く保存すると鮮度が落ちていきます。
密封されているので乾燥しすぎることや酸化からは守られており、買う時点の保存状態は良いのですが、過信しすぎずに早めに使うようにしましょう。
切り口から酸化が進んだり、そうかと思って密閉しすぎると呼吸がうまくいかなくて鮮度が落ちてしまったりと、カットした生の山芋はあまり長く保存できませんね。
おいしく食べることを考えると、1週間程度で食べきるのが良さそうです。
すりおろした山芋は冷凍できることもご紹介しましたが、すりおろした山芋以外にも、千切りや短冊に切った山芋も冷凍することが可能です!
千切りや短冊にしておくと、解凍すればすぐにサラダとして食べられますね♪
冷凍すると1ヶ月は保存ができますので、一本丸々の山芋を使い始めた時や、大きめカットの山芋を使いきれなかった時には冷凍すると良いでしょう。
調理をした山芋の日持ち日数
生の山芋については、様々な状態での日持ちまでわかりましたが、山芋は生だけでなく、酢の物や磯辺揚げなどのおかずの状態で余ることもあります。
調理後の山芋はどのくらい日持ちするのでしょうか?料理によって違いがあるのでしょうか?
こちらもまず一覧表でご紹介しますのでご参考になさってください♪
料理名 | 日持ち日数 | 保存方法・備考 |
ソテー | 1週間程度 | 保存容器も清潔なものを使用し、冷蔵庫で保存 |
酢の物 | 4日程度 | 液を加熱するピクルスなら1週間~10日程度 |
浅漬け | 4~5日程度 | 冷蔵庫で保存。山芋から水が出るので注意 |
醤油漬け | 2~3日程度 | 冷蔵庫で保存 |
ポン酢漬け | 3~4日程度 | 冷蔵庫で保存 |
わさび漬け | 4~5日程度 | 冷蔵庫で保存し、食べる直前に切る |
酢漬けなどと比較して、焼くと少し日持ちが長くなりますね。
火を通すと長くなるのであれば、煮物もかなり日持ちするかと思って調べていたのですが、煮物は一緒に煮る具材によってかなり変動するようです。
ただ、その中でも山芋や里芋のようなでんぷん質の食材は傷みやすい食材なので、あまり日持ちは見込めません。
それでも毎日加熱すると少し日持ちが長くなりますので、余ってしまった場合は毎日鍋で火にかけて、3~4日で食べきるようにしましょう。
生や調理後の山芋の日持ちの目安はわかりましたが、山芋が食べられなくなるのはどのような状態になった時でしょうか?
続いては山芋が腐るとどうなるのかについて解説しますので、見分けの参考になさってください。
山芋は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方がコレ!
山芋に限らず、食べることができるかどうかを判断するとき、私たちは賞味期限や消費期限を参考にすることが多いですよね。
賞味期限は「おいしく」食べられる期限、消費期限は「安全に」食べられる期限をそれぞれ表していますが、加工品への表示を義務付けられているものなので、野菜である生の山芋には記載されていません。
その為、賞味期限切れという概念そのものがなく、食べられるかどうかは自分で判断するしかありません。
山芋が腐るとどうなるのかがわかれば、見分け方の参考にできますよね!
傷んだ山芋の特徴は次の通りです。
傷んでいる山芋の特徴
- 切っても中が黒色や黄色に変色している
- シワシワになったり、切り口がドロドロに溶けている
- カビが生えている
- 腐った臭いがする
- 酸っぱい味や苦みを感じる
山芋が腐っているかどうかは、色などの見た目や、味・臭いなどで判断することができますね。
ここで注意なのは、切り口のみ色が変わっていても切ると中がきれいな白色をしている場合、白色の部分は食べることができるという事です。
特に、切り口が赤い(ピンク)色になるのは、山芋に含まれるポリフェノールが酸化していることが原因なので、ある意味仕方ありません。
りんごやレンコン、ナスなどを切ると色が変わってしまうのと同じです。
常温では、すりおろしている最中から色が変わってしまうこともありますものね。
ただし、最初は綺麗だったけれど、冷蔵庫で保存しているうちに切り口が赤い(ピンク)色に変色している場合は、徐々に酸化が進んで腐りかけの状態の可能性もありますので、臭いなどもしっかり確認しましょう。
山芋が腐っているかどうか見分けられるようになっていただけたと思います!
でも、腐らないのが一番ですよね♪
次は山芋の正しい保存のコツをご紹介しますので、しっかり読んでいただき、腐らせずに長持ちさせましょう!
山芋の正しい保存方法!常温と冷蔵の保存のコツをご紹介!
山芋に限らず、長持ちさせるためには、最初に新鮮なものを見極める必要があります。
買ってきた時点で腐りかけの状態では、いくら正しく保存しても意味がないからです。
それではまず、新鮮な山芋の選び方からご紹介しましょう♪
新鮮な山芋の選び方
新鮮な山芋は見た目で見極めるしかありません。売られている山芋を味見するわけにはいきませんものね。
新鮮な山芋の特徴は次の通りです。
新鮮な山芋の特徴
- 表面に斑点や傷がない
- 皮の色が肌色に近くツヤがある
- ひげ根やひげ根の跡が多い
- まっすぐで太さが均一
- カットされたものは切り口がきれいな白色のもの
一本丸々の山芋ならおがくずに入ったもの、カットされたものなら真空パックも最初の保存状態として良いと、「生の山芋の日持ち日数」の章でご説明しましたので、それも参考になさってください。
カットされている山芋は切り口に注目して色が茶色っぽく変色していると加工されてから日数が経っているかどうかがわかりますね。
新鮮な山芋を買ってきたら、正しく保存して長持ちさせましょう!
常温で保存するコツ
一本丸々の山芋は常温保存できますが、苦手な環境がありますので、次のような特徴を知っておきましょう。
山芋が苦手な環境
- 乾燥・水気・光に弱い
- 最適温度は0℃~5℃程度で高温に弱い
- まったく空気がないと呼吸ができない
乾燥も水分も苦手というわがままな山芋をうまく保存するためには、おがくずや土の中が一番なのですが、おがくずがない場合もありますよね。
そんな時はキッチンペーパーでくるんだ上から新聞紙で包みましょう。
この時、少し緩めに包むとほどよく空気を含むので山芋が呼吸できます。
涼しい季節ならこの状態で風通しの良い冷暗所で保存することが可能です。
真夏のような暑い時期や、冬でも暖房が利いた部屋しか置き場所がない場合には、冷蔵庫の野菜室に入れて保存します。
また、野菜全般に言えることなのですが、収穫前の畑に生えている時と同じ状態で保存すると長持ちしますので、土に埋まっていた時と同じように、立てて保存すると良いですよ。
一本丸々なら常温保存が可能ですが、使いかけのものは冷蔵庫で保存する必要があります。
冷蔵庫ではどのように保存すればよいのでしょうか。
冷蔵庫で保存するコツ
一本丸々の山芋を冷蔵庫に入れる場合であれば、常温保存と同じようにキッチンペーパーと新聞紙で包みましょう。
使いかけのものや、カットしたものを買ってきた場合には、一本丸々の山芋とは違い切り口をしっかり密閉する必要があります。
切り口からは酸化や腐敗が進んでしまうからです。
- キッチンペーパーで切り口を覆う
- キッチンペーパーの上からラップできっちり包む
- 密閉袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れる
このように保存します。
千切りにしたりすりおろしたものも、密閉袋に入れて冷蔵保存が可能ですが、空気に触れる表面積が非常に大きくなっているので酸化も早く、2~3日以内に急いで使い切ることをおすすめします。
長持ちさせたい場合は、やはり冷凍ですね!
最後に山芋を冷凍する詳しい方法と、山芋を大量消費できるレシピもご紹介しますので、お読みいただくとたくさんの山芋も飽きずに楽しんでいただけると思いますよ♪
余った山芋は冷凍できる!大量消費できるお役立ちレシピも紹介!
山芋は冷凍することが可能だとお伝えしてきましたが、どのような方法で冷凍すればよいのでしょうか。
山芋の形状ごとに保存方法をご紹介します。
山芋の形状 | 冷凍方法 |
皮つきまるごと | ラップでしっかり包み、密閉袋に入れる |
皮をむいた一回分ずつの塊 | 酢水につけて酸化を防止してから、ラップでしっかり包み密閉袋に入れる |
千切りや短冊 | カットして酢水につけ、ラップでしっかり包んでから密閉袋に入れる |
すりおろしたもの | すりおろしたものを密閉袋に入れ、なるべく平らにならして冷凍する |
使いかけの山芋などは、一回分ずつや千切りにカットしてから保存すると便利ですね。
冷凍したものを使う時には、レンジでチン…などは行わず自然解凍するか、塊の場合は凍ったままで調理をしましょう。
山芋の皮にはポリフェノールやβカロテンなどの栄養素が豊富に含まれているので、とろろにする場合は皮つきのまま冷凍して凍ったまますりおろすのがおすすめなので、よく洗ってから冷凍してくださいね。
すりおろす時にも、その方がぬめりが少なくて調理しやすいですよ。
ただし、冷凍保存した山芋は生の状態よりも風味が落ちる場合があるので、アレンジできるレシピを紹介します。
余った山芋を無駄なく使い切るアレンジレシピ
保存方法はわかったので、無駄にすることも少なくなったとは思いますが、いつもとろろばかりで飽きてしまっては消費ができませんよね。
最後に山芋を大量消費できるレシピをご紹介しますので、参考にしていただき、最後までおいしく使い切ってくださいね!
食感が美味しい梅昆布つゆあえ
日本人が大好きな梅昆布味のこのレシピは、お酒のアテにもぴったりです!
暑い夏にはさっぱりいただくこともできますし、おすすめですよ。
材料
- 山芋:500~700g(5ミリ~1センチ角にカットする)
- きゅうり:1~2本(山芋と同じ大きさにカットする)
- 梅肉:小さじ1~2
- 昆布つゆ(3倍濃縮):小さじ2~3
- お好みで海苔やトマトなども
作り方は材料をカットして和えるだけで時短レシピでもあります♪
是非お試しあれ~!
お好み焼き
山芋と言えばお好み焼きですが、市販の粉を使わずに、山芋たっぷりで作るのもふわふわになっておいしいですよ♪
材料
- 山芋:1本
- 小麦粉:大さじ3
- 片栗粉:大さじ1
- 卵:1個
- キャベツやネギ:適量
- 顆粒だし:小さじ1/2
- サラダ油:適量
すりおろした山芋とすべての材料を混ぜ合わせて焼くだけなのですが、お子さんと一緒に作ろうと思えば、山芋をジップロックの中に入れて叩いてつぶし、その中に他の材料を入れてモミモミ…
なんてことも可能です♪
お休みの日のお昼ご飯などにいかがですか?
山芋フライドポテト
とってもおいしいフライドポテト。山芋でも作れます!
山芋はしっかり火を通すとホクホクになりますので、ぬめりが苦手な方でもおいしく食べていただけると思いますよ♪
材料
- 山芋:お好きなだけ
- 上新粉や片栗粉:適量
- 揚げ油:適量
- 塩:適量
お好みの大きさにカットした山芋は、一度しっかり水洗いしましょう。
しっかり水気をふき取ってから、上新粉か片栗粉にまぶして油で揚げます。
上新粉の方が油を吸いにくいので、カラッとヘルシーに仕上がりますよ!
山芋とキムチの磯辺揚げ
大量消費…というよりは、ちょっと飽きてきた時の為に、一工夫レシピです。
材料
- 山芋:100~200g
- キムチ:お好みの量
- 顆粒だし:小さじ1/2
- 焼き海苔:山芋に合わせて
- 揚げ油:適量
すりおろした山芋にざく切りにしたキムチと顆粒だしを混ぜ合わせ、海苔で巻いて揚げます。
キムチのピリ辛で、一味違った山芋料理を味わえますよ♪
今日すぐに作れそうなレシピも、ちょっと違った味を楽しみたいときのレシピもありますので、おかずに困った時の参考にもなさってくださいね!
まとめ
山芋の日持ちや保存方法について、生か調理後なのか、一本丸々なのかカットしたものなのか…といった状態別に解説してきました。
山芋の日持ち
- 一本丸々の山芋は常温保存が可能
- おがくずや土の中で、風通しの良い冷暗所なら3ヶ月程度日持ちする
- カットしたものは冷蔵庫で1~2週間程度
- 冷凍すると1ヶ月ほど日持ちする
- 酢漬けなどは3~4日程度
- 焼いたものは1週間程度日持ちする
山芋が腐っているかどうかの見分け方
- 全体的に変色しているものは食べないほうが良い
- 切り口がドロドロしているものは腐っている
- 切り口が変色していても、切るときれいな白色なら食べられる
山芋の保存方法
- 一本まるまる:おがくずがなければ新聞紙で包む
- カットしたもの:切り口をしっかりラップで包む
- 冷凍保存:しっかりラップし密閉袋に入れる
普段スーパーで購入するのはカットした山芋がほとんどで、それでも少し余らせて困っていました。
でも、一本丸々ならとても長持ちすることや、冷凍保存も可能だとわかりましたので、今度から一本の山芋も買うことができそうです♪
今回の記事では大量消費レシピもご紹介しましたので、正しく保存しながらいろいろなアレンジで最後までおいしく山芋を堪能していただけると嬉しいです。