【執筆者:ヨセミテ編集部】
せっかく育てた植物や野菜が害虫に食べられてしまったら、がっかりしてしまいますよね。
野菜や花の害虫や病害に対抗するための農薬であるオルトランは広く使われる殺虫剤で、土に撒く・土に混ぜるなど作業も簡単なので、園芸愛好家からも長く支持されています。
ただ、殺虫剤ときくと使用した場合に安全性が気になる人もいるかもしれません。
この記事では「オルトランを使用した野菜は食べられるか?」という疑問に対して危険性や注意点を解説します。
オルトランのこと
- 種類や含まれる成分
- 使用量や使用法
- 収穫した野菜は食べられるのか
- 危険性や注意点
ガーデニングや家庭菜園の定番オルトランについてポイントを押さえておけば、薬剤選びも上手になり環境への配慮もより理解力が深まります。
薬剤を扱うには最低限の知識は必要なので、害虫や虫が苦手な人やこれから使用を考えている人は参考にしてみてください。
目次
オルトランを使用した野菜は食べられるのか|薬剤の成分は?
オルトランは、有機リン系の殺虫剤で主に草花や農作物の害虫駆除に使用されます。
植物の汁を吸う虫(アブラムシなど)や、葉を食害する虫(アオムシ・ケムシなど)の害虫に効果があるといわれ、使用量や用途をしっかり守れば、安全に使うことができます。
季節の野菜・葉もの・根菜類・芋や豆類など家庭菜園で人気な野菜、草花・多肉植物・庭木、また庭を一面おおう芝生など幅広い植物に使用可能で、収穫した野菜ももちろん食べることもできます。
使える野菜の例
草花・観葉植物・樹木類、その他野菜(トマト、ピーマン、なす・きゅうり・キャベツ・白菜・ブロッコリ)など。
商品は数種類あるので、用途や有効成分などを確認してみましょう。
商品名 | タイプ | 成分 | 用途 |
---|---|---|---|
家庭園芸用 GF オルトラン (白色粒剤) |
土に ばらまく |
・アセフェート | ・草花 ・観葉植物 ・花木 ・野菜 ・庭木 ・芝生 |
オルトラン DX (白色粒剤) |
・アセフェート ・クロチアニジン |
・草花 ・観葉植物 ・花木 ・野菜 |
|
GF オルトランC (エアゾール剤) |
そのまま 散布 |
・アセフェート ・MEP ・トリホリン |
・草花 ・観葉植物 ・花木 ・野菜 |
家庭園芸用 GF オルトラン (粉末水和剤) |
うすめて 散布 |
アセフェート | ・草花 ・観葉植物 ・花木 ・野菜 ・庭木 ・果樹 ・芝生 |
GF オルトラン (液剤原液) |
アセフェート | ・草花 ・花木 ・庭木 |
使用する際は用量・用法をよく確認する必要があります。
使用量や使用法|DXには2種類の成分
オルトランは種類ごとに使用量も使い方も変わってきます。
Amazonなどでのネットショップでも購入できますよ。
家庭園芸用GFオルトライン粒剤(類白色粒剤)の効果は2週間野ほどで、広範性があり野菜向けとされています。
袋の場合は袋を傾けて直接撒かずに、ひとつまみが約2gくらいとして可能であれば計量すると良いですね。
オルトランはアセフェート、オルトランDXはアセフェート+クロチアニジンと異なる有効成分が含まれてため、購入の際はよく確認してくださいね。
水和剤・液剤などの特性の違い
オルトランにはそのほか、水和剤や液剤などもあります。
水和剤は1Lの水に1袋を溶かすようになっているので、倍率計算もしなくて簡単に使うことができますね。
この場合は、スプレーで吹きかけた後に雨や水やりで流れたり、植物によって弾いてしまうことがあるので、展着剤というものを一緒に使うのも良いですね。
GFオルトラン液剤は原液で、1Lに対し原液スポイトで2mlで500倍の希釈になります。
原液はかなり刺激の強い匂いがするので、直接吸い込んだ入りしないようにマスクをつけましょう。
特に原液の濃度を間違ったり量を多くしていまうと、植物とっても環境にとっても害になります。まずは薄めに使ってみて、様子を見ながら、調整していきましょう。
実際にオルトランを使用し、収穫した野菜は食べることはできるのでしょうか。
野菜への安全性|残留期間
オルトランを野菜の害虫退治に使った場合、残留期間や何日ぐらいで食べることができるのかは、作物の種類によって日数は異なります。
効果に対する持続期間は、オルトランで1~2週間程度、オルトランDXで1ヵ月程度です。
オルトラン (顆粒) |
オルトランDX (顆粒) |
|||
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使用量 | 使用時期 | 使用量 | 使用時期 | |
トマト | 3~6g/m² (1株当たり 1~2g) |
定植時 | 1g/株 | 定植時 |
きゅうり なす |
2g/株 | |||
ピーマン | 1株に2g | 育苗時 | ー | |
キャベツ 白菜 |
3~6g/m² (1株当たり 1~2g) |
定植時 | ||
なばな 小松菜 |
6g/m² | は種時 | ||
オクラ | 6g/m² (1株当たり 1~2g) |
収獲の 14日前まで |
||
ブロッコリー | 定植時 | |||
大根 | 3~4g/m² | は種時 | ||
かぶ | 4g/m² | 収穫の 21日前まで |
||
ばれいしょ | 3~6g/m² (1株当たり 1~2g) |
植付時 | ||
えだまめ | 3~6g/m² | 収穫 21日前まで |
つまみ菜・間引き菜などを収穫したい場合は使用できないので注意しましょう。
また、2mを超えるような成木では、薬剤を吸い上げるまでに時間がかかり効果が劣るため、大量の薬剤が必要になります。
そうなると環境への害が生じるので、樹木類に使用する場合は、樹の高さは2mを目安とし、それ以上の成木では用しないよう注意喚起がなされています。
オルトランを撒き過ぎたら?危険性や人体への影響
オルトランの毒性を心配する人もいるかもしれませんが、薬剤のアセフェートは使用量を守れば危険ではなく、人体への影響について実証が行われています。(※1)
許容一日摂取量(ADI) 0.0024 mg/kg 体重/日
食品安全委員会は、平成 22 年 7 月 22 日付けで、アセフェートの ADI を 0.0024 mg/kg
体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知した。
なお、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量 0.24
mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定された。
ただし、使用上の注意書きはよく確認し、散布するときはマスク・手袋・長袖・長ズボンなどを着用するなど注意が必要です。
一般的には、散布後一定の期間が経過すれば収穫が可能ですが、その間に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
使用量の注意点|使えない野菜は
一部の野菜はオルトランは不向きで、使用が避けられることがあります。
オルトランDX(オルトランdx)は、小松菜などの葉物やハーブ類などを中心に使えない野菜があります。
その場合は、ヤシ油由来の有効成分であるアーリーセーフのようなものが良いかもしれません、
ラベルや指示を確認し、適材適所で有用な薬剤を選択することが大切です。
ペットや子どもへ配慮すべき点
オルトランはペットや子どもは対し、配慮する必要があります。
またオルトランなどの薬剤を散布する時間帯は夏場の日中は避け、朝か夕方などの気温が低い時間帯 良いとされています。
すぐの水やりや雨は効果が薄れるので、天気予報をみて半日以上雨が降らない日に計画的に散布してみましょう。
吸い込むと体調不良を起こすこともあるので、マスクも着用しましょう。
オルトランを使用する際には適切な使用方法を守ることが不可欠ですが、家庭用の農薬用薬剤であれば、ほとんどのケースで害は出ないといわれています。
害虫や殺虫剤については下記の記事にも掲載されていますので、参考にしてみてくださいね。
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結論|オルトランは用量・用法を守って安全に食べる
- 草花や農作物に対する害虫駆除のための有機リン系殺虫剤
- 薬剤の成分は主にアセフェート・DXにはクロチアニジンも
- 粒剤・水和剤・液剤など種類があるので使用法をよく確認
- 持続期間はオルトランで約2週間・DXは約1ヵ月程度
- 散布時はマスクや長袖長ズボンなど着用・子どもやペットに配慮
オルトランを使用し栽培・収穫した野菜は、適切な手順と注意が払われた場合には安全に食べることができます。
ただし、残留期間や使用不可な野菜・人体への危険性・ペットへの影響や他の作物への影響など多岐にわたる要因を考慮する必要があります。
農薬の使用に関しては、ラベルや指示に従いつつ、農産物を摂取する際にはしっかりと洗浄し、安全性を確認することが大切です。
人間も具合が悪い時には服薬することがあるのと同じように、草木や野菜にも必要なときはあります。
正しい容量・用法を守って、ガーデニングや家庭菜園を楽しんでくださいね。