【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
ヤバイ…。また冷蔵庫の中で消費期限切れを迎えてしまったお肉は食べても大丈夫?それとも捨てるべき?
今回は、消費期限切れになったお肉について以下の項目を調べてみました。
- 消費期限切れのお肉はいつまで食べられるのか
- お肉を冷凍保存する際のコツ
- 消費期限切れのお肉を捨てる判断基準と食べる際の注意点
スーパーで徳用サイズの特売肉をまとめ買いしたときや、消費期限ギリギリで半額になったお肉を買うと、うっかり消費期限切れになることはよくありますよね。
使い切れないお肉は早めに冷凍庫で保存しておけば日持ちすると思いますが、冷凍保存したお肉を調理するとなんとなく味が落ちている気がしませんか?
実は、お肉を美味しいまま冷凍保存するコツがあったのです!
この記事では、消費期限切れのお肉を捨てるべきか食べても大丈夫なのかの判断基準や、上手に冷凍保存をするコツなども詳しく紹介しています。
よくお肉を消費期限切れにすることが多いというあなたにも役立つ内容なので、ぜひ参考にしてこれからは上手にお肉を使い切る方法を覚えましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
消費期限切れのお肉は何日後まで食べられる?
消費期限切れになったお肉は何日後まで食べられるかを明確に断言することはできません。
お肉の種類や保存状態によっては消費期限内でも腐る場合がありますし、消費期限切れになっても食べられる可能性がゼロではないです。
ただ、結論としては消費期限の日付を過ぎたお肉は食べないほうが良いといえます。
そもそも、消費期限の日付はどのような基準で決められているのかを確認してみると、消費期限切れのお肉を食べないほうが良い理由がわかります。
消費期限と賞味期限の違いとは
消費期限とは「品質と健康」を保証する大事なものです。
簡単に言えば、賞味期限が「日持ちする食品に表示され、美味しく食べられる目安」なのに対して、消費期限は「日持ちしない食品に表示され、食べられる状態を保てる目安」といったところ。
消費期限が切れた食品は、基本的には食べない方がいい状態ということです。
お肉に記載されているのは消費期限なので、消費期限切れになったら食べないほうが良いのです。
どちらの期限も未開封で表示通りの適切な保存状態での期限ですので、保存状態が悪ければ期限内であっても食べない方がいいことだってありますよ。
ただし冷蔵庫に入れていなかったり、長時間冷蔵庫から出したまま放置していたお肉は消費期限内であっても早めに使い切りましょう。
冷蔵庫のチルドルームやパーシャル室、氷点下ストッカーなど、温度設定が低めの所に入れておくと鮮度を保ちやすいですよ。
お肉の消費期限は何日ぐらいで設定されているの?
近頃は「熟成肉」が流行っており、きちんと冷蔵保存をしていれば、日持ちして熟成されて美味しくなるので、「消費期限切れのお肉はむしろ熟成するから問題なく食べられる!」と考える人も多いようです。
しかし、熟成肉は適切な温度や湿度などの環境でなければ作れないため、家庭の冷蔵庫では再現できません!
家庭で熟成肉を作ろうとしても熟成どころか「腐敗」するので、きちんと消費期限表示を守ることが大切です。
スーパーなどで販売されているお肉の消費期限は日本食肉加工協会などが定めている「期限表示フレーム」に基づく場合が多いので、以下の表を参考にしてください。
肉の種類 | 牛肉 | 豚肉 | 鶏肉 |
ブロック肉 (かたまり) |
10℃ 3日 4℃ 6日 0℃ 7日 |
10℃ 3日 4℃ 6日 0℃ 7日 |
10℃ 1日 4℃ 4日 0℃ 6日 |
スライス肉 | 10℃ 3日 4℃ 5日 0℃ 6日 |
||
ひき肉 (ミンチ) |
10℃ 2日 4℃ 3日 0℃ 5日 |
10℃ 1日 4℃ 3日 0℃ 5日 |
10℃ 1日 4℃ 2日 0℃ 4日 |
空気に触れている部分が多いか少ないかで日持ちが変わるので、ステーキ用などのブロック肉(かたまり)なら一週間程度と長め、しゃぶしゃぶ用の薄切り肉、細切れ、切り落としなどのスライス肉なら短め、いろんなレシピに応用できるひき肉(ミンチ)は更に短くなります。
特に鶏肉は牛肉や豚肉と比べると期限が短いので注意が必要です。
消費期限以降は肉に付着した微生物の影響で腐る可能性があるので、基本的には消費期限以内で食べきるようにして、期限を過ぎてしまうことが予め分かっているならば、新鮮なうちに冷凍保存することをオススメします。
消費期限切れになりそうなお肉は冷凍保存で日持ちさせよう!
もうすぐ消費期限切れになりそうなお肉があるけど、どうしても使い切れそうもない・・・という時には、冷凍庫に保存して日持ちさせましょう。
お肉を冷凍保存した場合に食べれる期間の目安や、上手に冷凍保存するコツについて詳しく紹介します。
お肉の冷凍保存は1ヶ月が目安
お肉を冷凍保存する期間の目安は大体1ヶ月程度です。
1ヶ月以降は凍傷ができるなど、冷凍であっても品質が変化していってしまいます。
私が学生の頃、3ヶ月ぐらい忘れて入れっぱなしにしておいた鶏肉が、水分がなくなってしまってジャーキーみたいになってしまったのを見たことがあります。
「冷凍しちゃえば永久保存可能」という間違った認識は今すぐ捨ててしまいましょう!
また消費期限が切れた状態で冷凍したからといって、食品の状態が回復するわけではありません。
当然ですが冷凍した時点までは鮮度が落ちていたはずですから、傷みかかっているかもしれませんよね。
それに冷凍保存しても、品質は少しずつ劣化していきます。
消費期限を過ぎてしまったら、その時点で「よく火を通して食べるか、諦めるか」の決断をしましょうね。
お肉の再冷凍には注意しよう
スーパーで売られている焼肉用のバラ肉や牛丼屋で使われているお肉など、アメリカやオーストラリアといった遠方から運ばれてきた肉が冷凍保存されている理由は当然、冷凍すれば長期保存ができるから。
冷蔵(生の状態)で販売されているお肉も、よく見るとアメリカ産などは「解凍肉」と書かれていて、これは「一度冷凍したものを解凍した状態で売っていますよー」という意味なんですよ。
ただし注意しなければならないのは、これら遠方から運ばれてきたお肉を購入した後、再び冷凍保存することです。
激安スーパーなどで見かけるブラジル産のお肉など、特に遠方から輸入しているお肉は船で何週間もかけて運ぶため、販売するまでに4週間以上かかってしまうこともあるそうです。
そういう状態のお肉を一度解凍してから販売している場合、その時点でかなり劣化が進んでいますし、長期の保存には向きません。
一度解凍してしまった食品を再び冷凍することは、お肉に限らずどの食品でも基本的にNGです。
「味や食感が落ちてしまう」「臭みが増してしまう」「状態が変化してしまうので、パッケージ通りの加熱時間で大丈夫という保証がない」といったことが理由です。
そういったことから、冷凍保存をするなら国産のお肉がオススメです。
なるべく時間が経たないうちに冷凍してしまった方が美味しいままを保てますし、店頭に並ぶまでの時間が短い新鮮な国産肉を買って、すぐに冷凍!というのがベストな方法ですよ。
お肉を上手に冷凍保存する5つのコツ
お肉を冷凍保存すると1ヶ月くらいは長持ちしますが、一度冷凍保存すると味が落ちるような気がしませんか?
「冷凍保存=劣化しない」わけではないので、トレーに入った状態でそのまま冷凍すると冷凍焼けでせっかくの美味しいお肉の風味を損なう原因にもなります。
正しい冷凍保存のやり方は、以下のポイントを抑えておきましょう!
- お肉についている水分を拭き取っておく(臭みを抑えるため)
- ラップをピッタリと貼りつける(空気に触れると酸化するため)
- ラップした状態で冷凍保存用の密閉袋・タッパーに入れる
- 大きな塊肉は切ってから冷凍する(急速冷凍が望ましい)
- ひき肉は冷凍保存用の密閉袋に薄く平らにして入れ菜箸で筋をつけておく(折って使えるので便利)
あらかじめ解凍しやすい状態で保存しておけば、使う時に便利ですよね。
具体的に言うと、薄切り肉はなるべく広げた状態でラップに並べて薄く平らな塊にすると、解凍ムラが減ります。
ボールのような塊にしてしまうと、真ん中が解凍されずに調理する時に困ってしまいますからね。
鳥もも肉などを冷凍する時に調理酒や塩コショウで味付けしておけば、あとは解凍して焼くだけの状態なので時短にもなるし、美味しさもUPしますよ。
ちなみにスーパーの冷凍食品コーナーやネット通販では、バラ凍結という種類の冷凍肉も販売されています。
薄切り肉の一枚一枚、挽き肉の一粒一粒がバラバラの状態で凍っている優れもので、私はこれを愛用していますよ。
バラバラの状態なので解凍せずに調理に使うこともできますし、少量ずつ袋から取り出せるところも便利!
値段は少々上がってしまうのですが、手間をお金で買う!と思えば安いと思いますので参考にしてくださいね。
また、おかずに便利なコストコで扱っているプルコギ用の肉も、ラップに小分けして冷凍しておくと便利ですよ。
冷凍保存したお肉を上手に解凍するコツ
凍したお肉の場合、解凍の仕方で美味しさが変わるので、美味しく解凍するコツも知っておきましょう。
一番美味しく解凍できるのは、冷蔵庫に移して1日かけてゆっくり解凍する方法です。
良い解凍方法から順に、
流水解凍→電子レンジの解凍モード→常温解凍
です。間違っても電子レンジで「あたため」なんてしないでくださいね。
お肉を美味しいまま解凍するコツは『肉汁に含まれる旨み成分をなるべく逃さないこと』です。
冷蔵庫内でゆっくり解凍すれば、肉汁はほとんど出ません。流水解凍でもあまり出ないです。
けれど、電子レンジで解凍する場合や常温で解凍する時は少し肉汁が出てきます。「あたため」をした場合は、たっぷりと。
この肉汁が出てしまうかどうかが、美味しさを保てるかどうかの分かれ道なんですよ。
ただ外国産のお肉はスーパーに並ぶ前に一度解凍しているので、その時点で味はすでに落ちています。
なのであまり神経質にならずに、楽な方法で解凍しちゃっても大差ないかもしれませんね。
冷凍した肉を10分で解凍する裏技
次章では、消費期限切れのお肉が腐るとどうなるのか、捨てるかどうかの判断基準について紹介します。
消費期限の切れたお肉は腐るとどうなる?捨てるかどうかの判断基準は?
冷蔵庫に入れたままうっかり忘れて消費期限切れになったお肉があるけど、1日や2日くらいなら捨てるのがもったいないからどうしよう・・・と迷った場合は、
で判断してください。
お肉が腐ると緑色~青っぽい、黄色がかった灰色~茶色に変色したり、表面にぬめりがあり糸を引くような場合があります。
また臭いも明らかに酸っぱいなど、嗅いでみた時に本能的に「危険そう」と感じる臭いならば避けた方がいいでしょう。
ちなみにお肉から出てくる薄い赤色の汁はドリップといって、お肉のタンパク質や脂質が水分と一緒に流れ出ているものです。
血みたいな見た目なんですが、スーパーで売られているお肉はしっかり血抜きがしてあるので血は出てこないそうです。
ドリップがたくさん出ているようなら、傷んではいないとしても栄養も旨みも減ってしまっているということ。もったいないですね~。
消費期限切れのお肉でも、見た目や臭いも通常通りで気にならないようなら、しっかり加熱して火を通したら問題ない場合が多いですが、あくまでも自己責任ですよ!
消費期限が切れた食品は、基本的には「大丈夫かどうか保証できません」という状態ですからね。
またお肉による食中毒は症状が酷い場合が多く、最悪の場合は命の危険をおびやかすこともあるため、相応のリスクがあると分かった上で判断してくださいね。
ちょっと怖い脅し文句に聞こえるかもしれませんが、慎重に判断するくらいで丁度いいと思いますよ。
さて、最後は食べる時の注意点です。
消費期限切れのお肉を食べるときの注意点
消費期限切れになったお肉でも異変がなさそうなので、自己責任で食べてしまおう!と判断した場合に何よりも大切なのは、
お肉に付着している食中毒菌の多くは加熱に弱く、65~95℃で死滅すると言われています。
茹でる場合は100℃前後、揚げる場合は160~250℃くらいで加熱するため、理論的にはしっかり火を通したら食中毒菌は死滅すると考えられます。
ただし、100℃で1時間加熱しても生きているといわれるウエルシュ菌が存在している可能性もあり、加熱したら100%安全とは言い切れない面もあります。
既に腐っている肉を加熱調理しても食中毒を引き起こす可能性は十分にあるので、くれぐれも消費期限切れになったお肉を食べると判断した場合には十分注意してください。
消費期限切れのお肉に関する疑問と回答まとめ
消費期限切れのお肉について調査した結果は以下の通りです。
消費期限切れのお肉は食べてもいいの?
消費期限の日付を過ぎるといつ腐ってもおかしくない状態で、色や臭いなどの異変があるなら傷んでいる可能性があるので食べない方が良いです。牛肉の臭いの見分け方はこちらを参考にしてください。
消費期限切れのお肉でもしっかり焼けば大丈夫?
お肉に付着している細菌は加熱調理に弱いものが多いですが、「ウエルシュ菌」のように熱に強い菌が存在している可能性もあるのでおすすめできません。
お肉の鮮度を保つ上手な保存方法は?
冷蔵庫の機種によって異なりますが、温度設定が低めになっているチルドルームやパーシャル室で保存しましょう。ない場合は、冷凍保存がおすすめです。
お肉を冷凍保存したらどれくらい日持ちするの?
冷凍保存の目安は2週間から1ヶ月です。これ以上長く保存すると冷凍焼けで風味が落ちるので注意しましょう。冷凍したお肉についてはこちらも参考にしてください。
お肉を冷凍保存するコツは?
空気に触れないようにしっかりラップで包み、フリーザーバッグなどに入れて冷凍しましょう。
お肉に限らず、食品の消費期限はできるだけ守っておきましょう。
お金を出して買ってきたんですから、美味しい状態で食べたいですしね。
「今日は絶対に料理をしよう!」「今日はこの食材を絶対に使う!」など、消費期限をきっかけとして自炊の習慣を身につけたり、献立を決めたりしてはいかがでしょうか。
また消費期限内であっても保存の状態によって日持ちは変わりますし、普段から食品の状態を見分けられるように注意しておきましょう。
「いつもと色が違う…?」という違和感が、自分の身を守ってくれるはずですよ。
そして何より大切なのは、ダメだと思ったら捨てる潔さです。
最後になりますが‥ 食中毒というのは恐ろしいです。
私は卵にあたったことがありますが、高熱が何日と続き、水もあまり飲めずに点滴に通いました。
軽度で済んだので入院こそしていませんが、高熱でフラフラなのに下痢や嘔吐を繰り返す日々って想像以上にツライものですよ。
日頃から食材を適切な状態で保存しておくこと。使い切るように意識しておくこと。状態の変化には敏感になり、ダメなら諦めて捨てること。
それが分かって入れば、もう大きいパックの特売肉を買うことも怖くありませんよね!