【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
スーパーから買ってきた食品を冷蔵庫にしまい忘れて、常温放置してしまうことってありますよね。
特に先日は乳製品であるヨーグルトを数時間常温で保存してしまい、食べても大丈夫なのか不安になりました。
夏の暑い日などは腐るのが早いので、持ち歩きの時間も気になる所です。
そこで今回は、ヨーグルトは何時間くらいなら常温保存でも大丈夫なのか調べてみました。
- ヨーグルトは常温保存しても大丈夫なのか?
- 何時間、何日くらいなら常温でも平気なのか?
- 腐ったヨーグルトの見分け方は?
- ヨーグルトはどれくらい日持ちするのか?
- ヨーグルトは冷凍できるのか?正しい保存方法とは?
- どんな栄養素が含まれているのか?
- 効果的に栄養素を吸収できる食べ方とは?
ヨーグルトは発酵食品なので多少は大丈夫と思う半面、乳製品だから危険なのではとも思います。
発酵食品であるヨーグルトも腐る場合はあるでしょうから、見分け方も調べてみましたよ。
万が一賞味期限が切れていても、食べられるかどうかを判断できるようになります。
栄養の効果や保存方法なども詳しく解説するので、ぜひご確認ください!
管理栄養士・栄養士
目次
ヨーグルトの常温保存はいつまで大丈夫?何時間後から危険なのか?
そもそもヨーグルトは常温で保存できるのか、市販商品の保存方法を確認してみました。
代表的な市販品である「R-1」や「ブルガリアヨーグルト」「カスピ海ヨーグルト」などを調べてみた所、いずれも要冷蔵品でした。
正確には「10℃以下で保存」となっているので、ヨーグルトは常温ではなく要冷蔵の商品というわけです。
このヨーグルトも要冷蔵!
普通のヨーグルトだけでなく、こちらのヨーグルトも要冷蔵品です。
- 飲むヨーグルト
- 水切りヨーグルト
ではヨーグルトはまったく常温保存できないのかと言うと、実はそうとも言い切れません。
ヨーグルトは乳酸品の中では腐りにくい食品
そもそもヨーグルトは、冷蔵技術がない時代に発明された食品なので、多少の常温では簡単に腐ることはないそう。
R-1やブルガリアヨーグルトを販売している明治のHP上では、ヨーグルトは温めて食べても良い、との記載がありました。
人肌程度では問題なく、25~40℃になると乳酸菌が活発に活動して酸っぱくなるようです。
そのため温めた後は、酸っぱくなる前に早く食べるようにという注意喚起もされています。
このことから考えると、冬場など気温が低い場合は、常温でも多少保存できる可能性がありますね。
逆に夏場など25℃以上になるような場合は、乳酸菌の発酵が進んで酸味が増すので、長時間の常温保存はお勧めできません。
また雑菌は酸に弱いのですが、乳酸菌は酸性の性質があるため、ヨーグルトの中では雑菌は増えにくいのも、腐りにくい理由の1つです。
赤ちゃんに与える場合は常温に戻しましょう!
赤ちゃんの離乳食にヨーグルトを使う場合もありますよね。
私はベビーダノンを使っていました。
赤ちゃんにヨーグルトを食べさせる場合は、そのままでも大丈夫ですが、お腹の負担を減らすためには人肌程度の常温に戻すと安心です。
カスピ海ヨーグルトと牛乳を使って「手作りヨーグルト」を作る場合も、乳酸菌を発酵させるため数時間常温で置く必要があります。
ちなみに発酵が終わったら冷蔵庫に入れないと腐るので、注意してくださいね!
このように色々と調べてみると、真夏ならともかく冬場の室内や車で多少放置しても、簡単に腐るということはなさそうです。
もちろん数ヶ月持つということはないでしょうが、ヨーグルトは牛乳などの乳製品と比べると多少の日持ちはするようですね。
購入した後の持ち歩きなども、あまり神経質になる必要はありません。
ただし市販品に表示されている賞味期限は、冷蔵で保存した場合の期限です。
長時間常温で保管すれば発酵が進んで危険だと思いますが、具体的に何時間くらい大丈夫なのでしょうか?
ヨーグルトはいつまで常温で大丈夫?
ヨーグルトを常温保存すると発酵が進んで酸っぱくなります。
酸っぱいヨーグルトが苦手な人は、必ず冷蔵庫に保存しておきましょうね!
多少酸っぱくても大丈夫と言う場合は、何時間くらいなら大丈夫そうかSNS上の意見なども調べてみました。
買ってきたヨーグルトを常温で半日放置しちゃってたんだけど食べられるよね 食べよ
— ジョン (@MJUJUJUJU) August 30, 2018
常温で一晩放置してしまった未開封のヨーグルトが手元にあるんだけれど、ヤフー知恵袋先生によれば問題ないとのことだったので、僕いきますね。
— ぱなまん (@pana_pana_man) October 19, 2014
未開封のヨーグルト常温で丸一日放置したらおいしくなってたけど大丈夫かな
— 丸い (@Marui_o_i) May 30, 2011
1日常温保存したヨーグルト摂取してからお腹に爆弾かかえてる
— 三浦 糀 (@Amzk0303) February 8, 2019
@mineco_k @kaorin1211 普通の牛乳買って来てヨーグルトの元を入れて常温で2日くらい放置すると中身が全部ヨーグルトになる➡︎また牛乳買って来て出来たヨーグルトをスプーン二杯入れてまた常温放置でまた牛乳がヨーグルトになる➡︎繰り返しで永遠に精製される仕組みw
— HANDSIGN SHINGO (@shingohandsign) April 25, 2014
一晩や半日など数時間程度であれば問題ないという意見が多いようです。
また、ヨーグルトを手作りする場合などは1~2日常温で保管するので、それぐらいなら大丈夫という意見もありました。
しかし1日常温で保存したヨーグルトで、腹痛などの食中毒症状が起こる人も…。
お腹を壊す場合とそうでない場合の差は何か、常温保存だと危険だと思われる状況をまとめてみました。
ヨーグルトが腐りやすい状況
- 開封後のヨーグルト
- 真夏で常温放置
- 長期の賞味期限切れ
先ほどご説明した通り、ヨーグルトは酸性の乳酸菌のおかげで腐りにくいです。
開封前であれば多少の常温にも耐えられます。
しかし開封後は空気中やスプーンに付いた雑菌が張り込むため、さすがに腐ってしまうのです。
あまりの高温や大幅に賞味期限が切れた場合も、雑菌が増えて腐ってしまうことがあります。
夏場に車で2日放置したR1は、変な臭いがして「これはやばい…」と直感的に思いました。
例え未開封でも、高温になる車で常温放置するのは良くなかったようです。
このように、同じ常温でも温度などの環境によって日持ちは全く異なりますので注意してください!
常温放置したヨーグルトが食べられるかどうかは、腐るとどうなるか見分け方を知っておく必要がありますね。
ヨーグルトは腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
ヨーグルトは乳酸菌の影響でもともと酸っぱいですし、発酵が進むとさらに酸味が増します。
しかし、雑菌が増えて腐敗した場合は逆に酸味がなくなるのです。
そのほかヨーグルトが腐るとどうなるのか、見分け方をご紹介します。
ヨーグルトが腐っている目安
- ツーンとする臭い
- 苦みがある
- 酸味がない
- 色が黄色や茶色に変色する
- カビが生える
ヨーグルトが腐っているかどうかを判断するには、臭いや味、色を確認してください。
通常は酸っぱいと腐っていると判断するかと思いますが、ヨーグルトの場合は酸っぱくないと腐っている可能性があります。
酸味のもとである乳酸菌ではなく雑菌が繁殖すると、酸っぱさが少なくなったりなくなったりするのです!
酸っぱすぎると食べられない場合もあるでしょうが、酸っぱくない時の方が危険なんですね。
また、ヨーグルトの上澄みには、乳清(ホエー)という水分があるのですが、この量が多すぎても傷んでいるサインです。
中身の1/3以上がホエーに分離している場合は、さすがに腐っている可能性が高いので食べないようにしましょう。
発酵と腐敗の違い
実は発酵も腐敗も、「菌が増殖する」という点では全く同じ現象です。
ただし、発酵の場合は「体に良い菌」であるのに対し、腐敗は「体に悪い菌」が増殖します。
通常ヨーグルトは乳酸菌という身体に良い菌が繁殖していますが、雑菌が増殖すると腐敗になってしまうということですね。
「ヨーグルトはもともと腐っているから大丈夫!」というのは一見正しくもありますが、やはり発酵と腐敗は意味が違うので注意してください。
夏場など温度が高い状況では、ヨーグルトは腐るのが早いです。
腐ったヨーグルトをうっかり食べたり飲むと、お腹を壊すこともあるので気を付けてくださいね。
それでは次に、ヨーグルトはそもそもどれくらい日持ちするのか、なるべく傷みにくい保存方法と合わせてご紹介していきます。
ヨーグルトの日持ちや正しい保存方法!冷凍してもいいの?
市販のヨーグルトの賞味期限は、1週間~1ヶ月程度など商品によってまちまちです。
そしてこれらの賞味期限は、冷蔵(10℃以下)保存した場合の期限なので、常温の場合の日持ちはもっと短くなります。
すぐに腐る可能性が低いとはいえ、ヨーグルトは手作りの場合も含め、冷蔵庫で保存するのが基本です。
長持ちさせたいなら、冷凍することもできます。
冷蔵や冷凍した場合の、それぞれの日持ちや保存方法などを詳しく説明していきますね。
冷蔵庫で保存した場合
まずは、冷蔵庫で保存した場合のヨーグルトの日持ちをまとめました。
商品や状態 | 日持ち期間 |
市販のヨーグルト | 1週間~1ヶ月など商品によってまちまち |
手作りのヨーグルト | 2~3日程度 |
開封後のヨーグルト | 2~3日程度 |
市販のヨーグルトは商品によって賞味期限が違うので、記載されている日付をよく確認してくださいね。
賞味期限は「美味しさが保障」されている期限なので、多少の期限切れなら問題ありませんが、大幅に過ぎている場合は危険です。
賞味期限が過ぎている場合は、先ほどご紹介したヨーグルトが腐っている目安を確認の上、自己責任で食べるようにしましょう。
手作りや開封後のヨーグルトの場合は、雑菌が入り込む可能性高くなるため、あまり日持ちはしません。
手作りヨーグルトの場合は、発酵が終わったら必ず冷蔵庫で保存してください。
ヨーグルトの冷蔵庫での保存方法
市販商品の場合はそのまま冷蔵庫に入れてかまいません。
手作りの場合は、タッパーや専用の容器など、きっちり蓋ができるものに入れてくださいね。
冷蔵庫に入れる場所は、ドアポケットの近くだと振動が大きく、水分が分離しやすいため避けた方が良いです。
開封後の保存方法も同じですが、容器からヨーグルトを取り出す際にはいつも新しいスプーンを使うなど、なるべく雑菌がつかないようにしましょう。
開封後は常温では保存できませんので、必ず冷蔵庫に入れてくださいね。
ちなみに常温での保存方法も容器のままで構いませんが、コンロの近くなど温かくなる場所を避け、なるべく涼しい場所に置いておきましょう。
温度が高くなるほど発酵が進んでしまいます。
続いて、冷凍した場合の日持ちなどを確認していきましょう。
冷凍庫で保存した場合
ヨーグルトは冷凍することができますが、食感は大きく変わってしまいます。
冷凍して解凍すると、水分が分離してヨーグルトの滑らかさは損なわれてしまいます。
もとのヨーグルトの味を求めるなら冷凍はお勧めできませんが、シャーベット状にして味わうことはできます。
冷凍した場合の日持ちは1ヶ月程あるので、食べきれない場合は冷凍してしまうのも1つの方法ですね。
ヨーグルトの冷凍での保存方法
市販のパックのままや冷凍可能な容器にいれて、冷凍庫で保存しましょう。
無糖の場合は特に水分(ホエー)が分離しやすいので、はちみつやジャムなどの糖分を加えると良いです。
大きなパックの場合は、小分けにして棒などを刺しておくと、アイスのようにすぐに食べることができますよ!
ヨーグルトは毎日食べるという人もいるでしょうから、なるべく長持ちさせて上手に食べたいですね。
ところで、なんとなくヨーグルトは体に良いというイメージがあるかと思いますが、具体的な栄養の効果はご存知でしょうか?
最後に、ヨーグルトの栄養について解説していきますね。
ヨーグルトは栄養の宝庫!食べる前に常温に戻すと効果がアップ
ヨーグルトは体に良いと思っていますが、正直私は「お腹に良い」「便秘改善」くらいの意識でした。
しかし調べてみると、ヨーグルトは様々な栄養が含まれていることがわかりました。
ヨーグルトに含まれる栄養素
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 無機質
- ビタミン
- エネルギー
ヨーグルトにたんぱく質が含まれているとは、個人的にとても意外でした。
しかもヨーグルトに含まれているたんぱく質は、既に一部がアミノ酸に分解されており、とても消化が良いそうです。
お肉などをたくさん食べられない子供やお年寄りにもお勧めな食品ですね。
そしてヨーグルトが便秘に効果的というのは、ヨーグルトに含まれている炭水化物である「乳糖」が大きな要因の1つです。
この乳糖は、腸内環境を整えたりマグネシウムなどの吸収を助ける働きがあり、牛乳にも含まれています。
しかし日本人には、乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が少ない「乳糖不耐症」の人も多く、牛乳を飲むとお腹を壊してしまう人も。
その点ヨーグルトなら、乳糖の一部が乳酸に変化しているため、乳糖不耐症の人でも下痢を起こしにくいと言われています。
そのほかヨーグルトは様々な栄養素を含んでいますが、カロリーは少ないという嬉しい食品です。
また、乳酸菌にも体に良い効果が多く認められています。
乳酸菌の効能
- 免疫力向上
- 花粉症の抑制
- 便秘改善
- ピロリ菌の抑制
ちなみにヨーグルトはホエーと呼ばれる水分が溜まることがありますが、このホエーには栄養が詰まっているので、捨てずに一緒に食べましょう!
このように、ヨーグルトはとても栄養満点な食品です。
その栄養素を効果的に得るためには、正しい食べ方も知っておきたいですよね。
ヨーグルトの正しい食べ方について
健康のためにヨーグルトを定期的に食べているという人もいるでしょうが、せっかくならより効果が出る食べ方をしたいですね。
ヨーグルトの正しい食べ方をまとめてみました。
食べる前に常温に戻す
乳酸菌は25℃~40℃で活発になるため、冷えているより温める方が乳酸菌パワーは強くなります。
ですので、栄養を効果的に摂取するなら、ヨーグルトは常温や温めて食べるのがお勧めです。
60℃以上に温めてしまうと乳酸菌が死滅するので、温めすぎには気を付けましょう。
また、温めた後に長時間常温で放置すると、発酵が進んで酸っぱくなってしまうので、なるべく早めに食べてくださいね。
毎日食べる
ヨーグルトの効果はすぐに現れるものではありませんので、毎日食べ続けることが大切です。
どのヨーグルトでも構いませんが、体質に合う、合わないはあるようです。
2週間ほど同じヨーグルトを食べてみて、体調に変化がないようであれば、別のヨーグルトを試してみるのがいいかもしれません。
食後に食べる
朝食にヨーグルトだけを食べるという人もいるかもしれませんが、空腹時に食べるのはお勧めできません。
なぜなら空腹時は胃酸が強いため、せっかくの乳酸菌が死滅してしまうからです。
そのためヨーグルトは何かを食べた後に食べるのが良いですよ!
まとめ
ヨーグルトは常温で食べられるのか、どれくらい日持ちするのかなどをご紹介してきました。
最後にポイントをまとめます。
- ヨーグルトは25℃以下なら常温でも保存できる可能性がある
- 具体的にどれくらい常温でも保存できるかは、温度などの環境に左右される
- 25℃以上になると乳酸菌の発酵が進み、酸っぱくなる
- ヨーグルトが腐ると腐敗菌が増え、異臭がしたり変色したりする
- 市販のヨーグルトの賞味期限は商品によってまちまち
- 手作りや開封後のヨーグルトは、2~3日程度日持ちする
- ヨーグルトは冷凍できるが、食感が大きく変わる
- 冷凍した場合の日持ちは1ヶ月程度
- ヨーグルトにはたんぱく質やカルシウムなど様々な栄養素が含まれている
- 栄養素を効果的に摂取するには、常温に戻して食後に食べると良い
ヨーグルトは多少なら常温で置いておいても大丈夫ですし、常温の方が栄養効果が高いということがわかりましたね。
私は全く知らなかったのでとても驚きました。
もちろん夏場や長時間は危険なので、腐っていないかも必ず確認する必要はありますが、今度試してみたいと思います。
夏場にはアイス感覚でヨーグルトを冷凍しておくのもいいかもしれませんね。
皆さんも栄養満点のヨーグルトを、効果的に美味しく食べてみて下さい。