【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
先日、納豆を冷蔵庫にしまい忘れて、翌日まで常温で放置してしまいました。
発酵商品だし、「少しくらいなら常温で大丈夫!」と食べようとしたら、お腹の弱い夫が大反対。結局反論できずに、捨てる羽目に…。
そこで、納豆の常温保存は本当に危ないのか、腐るとどうなるのかを詳しく調べてみました。
- 常温保存した納豆は食べられるのか?
- 発酵と腐敗の違いとは?
- 納豆が腐るとどうなるのか、食べられるのはどんな場合か?
- 冷蔵・冷凍した場合の日持ちや正しい保存方法
- 納豆の栄養素とは?
- 栄養素を効率的に摂取する食べ方とは?
常温保存と一口に言っても、夏場と冬では違いますよね。冬なら1日くらい大丈夫そうな気はしますが、夏場は半日と持たないかもしれません。
そのような季節による違いや、何時間くらいまで常温保存したことがあるか、SNS上の意見も調べてみました。
また、納豆はそもそも発酵している食品なので、腐った場合との違いがわかりにくいですよね。そこで、発酵と腐敗はどう違うのか、腐るとどうなるのかもきちんと調べてみました。
これを読めば、「納豆は常温保存できるのか」また、「腐って食べられないのはどのような場合か」などを、きちんと判断できるようになりますよ。
せっかくの納豆を無駄にしないためにも、早速確認していきましょう。
管理栄養士・栄養士
目次
納豆の常温保存は大丈夫?出しっぱなしの納豆はいつまで食べられるの?
納豆の保存条件を確認すると、「10℃以下で保存」となっていることが多いです。
つまり、10℃以下であれば冷蔵庫に入れなくても大丈夫ですが、現実的にはなかなか難しいため、冷蔵庫での保存が無難というわけですね。
冬場なら、納豆を常温で数時間持ち歩く程度であれば問題ないですが、夏場に車で放置するのは危険ですから注意してくださいね。
納豆を10℃以上の常温に置いておくと発酵が進み、アンモニア臭がきつくなって、食感も落ちてまずいと感じることがあります。
また、常温で放置すると雑菌が増えて、発酵ではなく腐敗することがあるので、常温保存は危険です。
「発酵」と「腐敗」の違い
実は発酵も腐敗も、菌が増殖するという点では全く同じことです。
しかし、増殖する菌に大きな違いがあります。
- 発酵 → 人体に有用な菌が増殖
- 腐敗 → 人体に害を及ぼす菌が増殖
納豆には、身体に有用な納豆菌が含まれていますが、常温で出しっぱなしにすると雑菌に触れることがあります。
そうなると腐敗してしまうので、気を付けてくださいね。
このように、納豆は要冷蔵品なわけですが、「乾燥納豆」という常温保存できる納豆も存在します。
海外に住んでいる家族や友人に送ったりお土産にしたりする場合にも、常温できる納豆なら便利ですね!
納豆は、あまり常温で放置するべきではないと分かりましたが、実際は何時間くらいなら大丈夫なのでしょうか?
インターネットやSNS上の意見も参考に検証してみました。
常温放置でも食べられた時間の実例
実際に納豆を常温で放置して、食べても大丈夫だったという意見をSNS上で調べてみました。
この間半日くらい常温保存しちゃった納豆をぶち込みました。うまー(°Д° )
— ゆえよし (@piyue) July 2, 2014
賞味期限切れた上で1日常温で置いといた納豆食っちゃったけど、死にはしないよね!味普通だったし!!
— おいも (@oimotal) June 28, 2010
気付いたら納豆 3日くらい常温で放置していたけど、なんかだいじょぶだった
けど なんだか風味が落ちてたから 冷やさなかったせいで やさぐれちゃったのかもしれない。。— ゆきちゃん@のんびり中٩( ᐛ )و (@xox_oxo_) March 1, 2015
このように、納豆を出しっぱなしでも半日~3日くらいなら大丈夫だという人は結構いました。一方、1日や2日でダメだったという場合も。
常温で1日放置していた納豆を食べたせいか慢性的な吐き気に苦しめられている
— 社会不適合者 (@Little_Demon_N) October 23, 2019
常温保存した納豆がいつまで食べられるかは、部屋の温度などにも影響されるので、正確にはわかりません。
冬に一晩くらいなら大丈夫なこともありますし、夏場なら1時間から数時間でアウトということもあり得ます。
常温で放置した納豆を食べるかどうかは、腐っていないかを判断のうえ、自己責任で食べるようにしましょう。
続いて、食べられるか判断するために、納豆の腐っている目安をご紹介します。
納豆は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
納豆を常温に放置して発酵が進み、やがて腐ると食べられなくなってしまいます。ですが発酵の段階であれば、味は落ちても健康被害はありません。
問題なのは、雑菌が繁殖して腐敗してしまった場合の見分け方です。
納豆が腐るとどうなるのか、判断の目安を確認していきましょう。
納豆が腐った状態
- 糸を引かない
- 水っぽい
- ドロドロしている
- カビが生えている
- 強いアンモニア臭や焦げた臭いがする
- 味に違和感がある
発酵から腐敗に変わると雑菌が増殖し、納豆菌のネバネバがなくなって、糸を引かなくなったり水っぽくなったりします。このような状態には、特に気を付けましょう!
納豆はもともと独特の臭いがありますが、発酵が進んだり腐ると強烈な臭いや味に変化します。
まだネバネバしていたら食べられるかもしれませんが、あまりおすすめできる状態ではありません。
@ishikawamasayuk 昔納豆は常温保管だと思って冷蔵庫に入れないでおいたら、アンモニア臭くなっていきましたよ。食べたけど平気でした。
— D (@vibrio26) June 4, 2013
しかし当然、腐った納豆を食べるとお腹を壊すなどの食中毒症状が起こる可能性あります。
常温で放置してしまった納豆を食べたせいか腹を壊した
— popu@お仕事募集中 (@nemui_761) November 25, 2019
そのため、少しでも「やばいかも?」と思うようであれば、食べないほうがよいでしょう。
常温でも高温になればなるほど腐るのは早くなるので、夏場などは特に注意することをおすすめします。
逆に腐っているわけではなく、食べても問題ない場合もご紹介します。
食べても問題ない納豆の特徴
発酵が進んではいるものの、まだ腐敗しているわけではない食べられる状態についても解説します。
白い粒々がある
納豆に白い粒々が見られた場合は「チロシン」と呼ばれるアミノ酸の結晶なので、食べても問題ありません。
チロシンは発酵が進むと出てくるため、賞味期限が近かったり過ぎたりした場合に見られることがあります。
食べるとシャリシャリした食感があり、美味しくはないですが健康被害はありません。
白いものが被っている
納豆に、白いもやのようなものが被っているような状態もありますよね。これは「被り」と呼ばれる納豆菌の菌層なので、こちらも食べて大丈夫です。
全体的やまばらに被っているもの、茶色っぽく見える場合もありますが、すべて問題ありません。
一部がピンク色や黒色になっている
納豆の一部がピンク色になっているのは、大豆の胚芽部分です。色素成分がピンク色に見えることがあるため起こる現象ですが、食べても問題ありません。
同じく黒色になっている場合も、豆がさやにつながっていた部分なので、気にしなくても大丈夫です。
このように、納豆の発酵が進み過ぎたり腐ったりする前に、食べきってしまいたいですね。
そこで次は、納豆の日持ちや保存方法について解説します。
納豆の日持ちする期間は?正しい保存方法も教えます!
納豆には賞味期限が記載されていますが、それは「冷蔵した場合」です。
そのため、10℃に近い常温に置いた場合は、期限より日持ちしない場合があるので注意してくださいね。
納豆の基本的な保存方法は冷蔵ですが、冷凍することもできます。それぞれの日持ち期間や保存方法について詳しく説明していきますね。
冷蔵庫での日持ちや保存方法
食べかけの納豆の日持ちと、賞味期限の目安は以下の通りです。
納豆を冷蔵保存した場合の日持ちと賞味期限
<食べかけの場合>
- 日持ち:翌日まで
- 保存方法:ラップをかけておく
<パック未開封の場合>
- 賞味期限:7~10日程度
- 保存方法:パックのままでOK
ちなみに、食べかけの場合は常温保存はできませんので、必ず冷蔵庫に入れてください。
また、賞味期限が切れたからといって、すぐに食べられなくなるわけではないですが、美味しさは損なわれてしまいます。そのため、食べきれない場合は冷凍しておくのがおすすめです。
冷凍での日持ちと保存方法
賞味期限内に食べきれない納豆は、冷凍しておくと長持ちします。
日持ち期間と保存方法は以下の通りです。
納豆を冷凍保存した場合の日持ちと賞味期限
- 日持ち:3~6ヶ月
- 保存方法:パックのまま、もしくは中身をラップで包んで密閉袋に入れる
パックのまま冷凍することもできますが、密閉袋に入れておくと冷凍焼けや乾燥、臭い移りを防げるためおすすめです。
解凍するときは、いきなり常温で解凍すると温度差が激しく品質が落ちるので、冷蔵庫で6~8時間ほどかけてゆっくり解凍しましょう。
また、電子レンジだとかなり臭くなりますし、納豆菌が死滅してしまうためおすすめできません。
きちんと保存した納豆は、できるだけ美味しく食べたいですよね。最後に、納豆の栄養素や食べるコツをご紹介します。
納豆を食べる前には常温に戻す!正しい食べ方のコツとは
納豆はとても栄養価が高く、健康や美容、ダイエットにも効果が期待できる食品です。
そんな納豆に含まれている栄養素を、いくつか簡単にご紹介します。
栄養素 | 期待できる効果・効能 |
たんぱく質 | 筋肉アップ、基礎代謝アップ |
イソフラボン | アンチエイジング、骨粗しょう症の予防 |
大豆ペプチド | 基礎代謝アップ、脂肪の燃焼促進 |
大豆サポニン | 糖質や脂質の余分な吸収を抑える |
ナットウキナーゼ | 血流を良くして、脳梗塞や心筋梗塞を予防 |
上記のほかにも食物繊維やビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでおり、栄養価満点です!
そんな豊富な栄養素を、余すことなく摂取する食べ方をご紹介していきます。
納豆の栄養素をたっぷり摂取する食べ方
納豆をより美味しく食べて栄養素を効果的に摂るためには、いくつかポイントがあります。順番にご説明していきますね。
賞味期限間際がベスト
納豆は、発酵を続けている食品です。そのため、賞味期限ギリギリまで発酵させておくと、納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」や骨の健康に欠かせない「ビタミンK2」などの栄養効果がアップしますよ。
食べる前に常温に戻す
納豆を食べる前に常温に戻すこともおすすめで、20分ほど常温で置くことで発酵が進みます。そうすると納豆菌が増殖して、ナットウキナーゼなどの効果がアップして粘りもよくなります。
発酵が進み過ぎない程度に、食べる前に少しだけ常温に戻すと、効果的に栄養素を摂取できますよ。
加熱調理しない
納豆に含まれるナットウキナーゼと呼ばれる酵素は、熱に弱く70℃以上で死滅してしまいます。そのため、加熱料理はもちろん、熱々のご飯にのせるのもおすすめできません。
50℃を超えると、ナットウキナーゼの活性が弱まり、せっかくのよい効果も半減してしまうんです。そこで、ご飯を少し冷ましてから納豆をのせて食べれば、栄養効果を上手に活用できますよ。
夜に食べる
納豆は、成長ホルモンが分泌される夜に食べることで、栄養素が効果的に作用します。特にナットウキナーゼは、食べてから4~8時間に効果を発揮すると言われているんです。
また、ナットウキナーゼには血栓を溶かす作用があります。血栓症は就寝中に起こりやすいので、ナットウキナーゼの効果を期待するなら、夜に食べることがおすすめです。
ただし、朝に食べると冷え性を予防してくれるので、朝に食べるのも悪いことではありません。
そのほか、しっかり混ぜると旨みが出るようなので、ぜひ試してみてくださいね。
まとめ
納豆は常温保存できるのか紹介しましたが、最後にポイントをまとめていきます。
- 納豆は10℃以下なら常温保存できるが、冷蔵庫が無難
- 常温で数日置いても食べられる場合もあるが、明確な答えはない
- 発酵が進むとアンモニア臭がキツくなる
- 雑菌が増殖すると発酵ではなく腐敗する
- 納豆が腐った状態は糸を引かない、強烈な臭いがするなど
- 賞味期限は冷蔵庫で7~10日程度で、食べかけは翌日までに食べる
- 冷凍保存の場合は3~6ヶ月程度日持ちする
- 保存はパックのままでもいいが、ラップや密閉袋を利用するとなお良い
- 納豆にはナットウキナーゼなどの豊富な栄養素が含まれる
- 食べる前に20分ほど常温に戻したり、夜食べたりすると良い
納豆を常温で長く保存するのは危険ですが、食べる前には常温に戻したほうがいいんですね!また、賞味期限近くのほうが良いということも知りませんでした。
さらに、発酵と腐敗は別物なので、「納豆は腐らない」というわけではなかったようですね。
腐った納豆を食べないように、今後は粘りや臭いをしっかりチェックしたいと思います。
皆さんも、納豆をきちんと保存してなるべく効果的に栄養を摂取できるように食べてくださいね。