【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
「おでんは、大鍋一杯に作るのが美味しい」と個人的に思っています。余ってもアレンジできるので、何日間かの料理の手間が省けるのも魅力です。
でも、たくさん作ると保存場所の確保が大変ですよね。常温では腐るのが心配ですし、冷蔵庫の場所を取られるのも困ります。
「冷凍できればもっと便利!」と思いつき、おでんの冷凍保存について詳しく調べてみました。
- おでんは冷凍できるの?上手な冷凍方法と保存期間を紹介
- 大根・卵・練り物など具材ごとに冷凍できるかを確認!具材ごとの日持ちもチェック
- 冷凍したおでんの解凍方法
- 冷凍したおでんのリメイクレシピ
おでんの具材は、コンビニで売っているような定番からご家庭ごとのオリジナルまで、バリエーション豊富ですよね。
中には冷凍には向かない具材もあるので、冷凍前に注意して取り除いた方がいい具材も、改めてチェックしましょう!
冷凍したおでんの解凍方法やリメイクレシピなど、たくさん作っても無駄なく・美味しく食べ切る方法をご紹介します。
管理栄養士・栄養士
目次
おでんは冷凍保存できるの?保存期間はどれくらいまで大丈夫?
まずは、口コミなどでおでんが冷凍できるかを調査しました。
- 「手づくりおでんは冷凍可能」
- 「具材によっては冷凍するとまずくなる」
- 「練り物は冷凍しても大丈夫だけど、大根などの野菜はおすすめしない」
- 「常温では腐りやすい。冷蔵庫よりも日持ちするから冷凍する方が安心」
注意が必要な具材もありますが、実際に冷凍保存している方がたくさんいらっしゃいました。
では、冷凍保存の方法と日持ちを確認してみましょう!
おでんは冷凍可能!正しい冷凍保存の方法
口コミにもあったように、おでんを常温に置くと、季節によってはその日のうちに酸っぱいような臭いを感じることがあります。
大鍋料理は全体の温度が下がりにくいですよね。温かい水分の中で食中毒菌が増殖しやすくなる危険性もあるので、なるべく早く冷まして、低温で保存するのがポイントです!
冷凍方法
-
- 小分けにするなどして、なるべく早く冷ます
- 冷凍できない具を取り除く
- 1回食べる分ずつ、ジップロックのような密閉できる保存袋に入れる(スープも一緒でOK)
- 平らにして、保存袋の空気を抜いて密閉する
- 汁もれが心配なら、更にタッパーに入れてもOK
- 冷凍庫に入れる
- 早く凍らせる方が安全なので、金属製のトレーがあれば活用する
解凍後に再冷凍すると味が急激に落ちるので、再冷凍が必要ないように、1回食べる分ずつ冷凍なさって下さいね。
*冷凍後の上手な解凍方法は、後ほど「冷凍おでんの上手な解凍方法とは?電子レンジや湯煎でのやり方も解説!」でご紹介します!
冷凍したおでんの日持ちはどれくらい?
冷凍したおでんの日持ち期間は、最長1ヶ月が目安です。
1ヶ月を過ぎても腐らないのが一般的ですが、冷凍やけや臭いうつりの影響で味が落ちます。
- つみれやお肉は冷凍焼けでパサパサの食感になる
- 臭いうつりでおでん全体に変な味が混ざる など
理由
- 家庭用冷凍庫の温度では、急速冷凍ができないために、冷凍前の状態を完全には維持できない
- 冷凍庫の開け閉めをするときの温度変化も、食品の劣化に影響する など
おでんに限らず、自分で冷凍した食品の冷凍期間は「最長1ヶ月が目安」と考えて、計画的に食べるのがおすすめです!
冷凍日をメモしておいて、忘れずに食べ切っていきましょう。
*おでんに飽きてしまったときは、リメイクレシピで食べ切るという手もあります。後ほど「冷凍おでんの美味しい食べ方は?人気のリメイクレシピを紹介!」でご紹介します!
次に、先ほどの口コミにあった「冷凍に向かない具材がある」という点を詳しく調査しました。
具材によって冷凍できるかどうかを確認しましょう!
おでんの冷凍できる具材と冷凍できない具材一覧!いつまで日持ちする?
私はさまざまな食材を冷凍したことがありますが、たまに「冷凍しなきゃよかった」と後悔する食材があります。
今回は口コミなどを参考にしながら、私の経験も寄せ集めて、おでんの種で冷凍できないものをまとめました!
手作りおでん 冷凍できる具・できない具を紹介
具材別に冷凍できるかどうかをご紹介していきます。
冷凍での日持ちは最長1ヶ月ですが、冷蔵庫で保存できる期間も確認してみましょう!
おでんの具材 | 冷凍できる? | 冷蔵庫での日持ち期間 |
じゃがいも | × | 1日 |
たまご | 3~4日 | |
たけのこ | ||
こんにゃく | 1週間 | |
餅巾着 | 〇 | 当日~1日 |
牛すじ | 3~4日 | |
昆布 | ||
里芋 | ||
つみれ | ||
ロールキャベツ | ||
はんぺん | 1週間 | |
大根 | △ | 3~4日 |
冷蔵庫での日持ち期間は、冷凍に比べるとやはり短いですね。表でご紹介した日数は目安で、季節や保存方法によってはもっと短くなる可能性もあります。
食べ切れない分は、先ほどご紹介した方法でなるべく早く冷凍するようおすすめします。
常温で保存できないの?
冬で温度が低い場所であれば、常温で保存できる場合もあります。
ただし、常温保存をするときに心配なのは食中毒ですよね。食中毒を予防するという点では、冷蔵庫・冷凍で保存するのが安心です。
食中毒の原因になる菌は、一般的に冷蔵庫の温度帯で活動が弱まり、冷凍庫の温度帯で活動が一旦停止します。
例えば冬で、”夜中は寒くて昼になると温度が上がるような場所”では安全性が低くなるので、温度が常に一定な「冷蔵庫の中」を保存場所に選びましょう!
おでんの定番具材・大根について
味がしみた大根は、おでんの主役です!でも下処理が必要な上に、味がしみるまで時間がかかりますよね。
*下ゆでした後に煮込み、一度冷まさないと味がしみない。
先ほどの表で冷凍できるかどうかを「△」とご紹介しました。
実は大根を冷凍すると、食感の好みが分かれます。生で冷凍する場合と煮た後に冷凍する場合でも食感が変わる点をご紹介します。
生で冷凍
生の新鮮な大根を短時間冷凍して煮物にすると味がしみやすくなるので、ネット上で「大根の下ごしらえは冷凍がおすすめ」と話題になっています。
ただし、下記の点にご注意下さい。
- すが入った大根・古い大根を冷凍して煮ると、料理全体が苦くなってしまいます
- 冷凍期間が長すぎると食感が悪くなる可能性があります
料理する半日~1日前に、皮をむいてお好みの大きさにカットした状態で冷凍するのがおすすめです。
煮た後に冷凍
大根は、煮込むほどに小さくなりますよね。これは、大根に含まれる本来の水分が流れ出て、調味料がしみ込んだからです。
この状態の大根を冷凍すると、解凍したときに調味料の水分も流れ出て、不思議な食感になります。
先ほどの表でおでんの大根が「△」だったのは、このかたい食感の好き・嫌いが分かれるからです。
実際に私も、冷凍したおでんの大根を解凍したときに、繊維が凝縮したような食感が気持ち悪くて「失敗した」と感じました。
牛すじの下処理も紹介
「手作りおでんに牛すじを入れてみたいけど、下処理がわからない」とお悩みの方は多いと思います。
意外と簡単なので、ご紹介します。
- 鍋に牛すじとたっぷりの水を入れる
- フタをせずに強火で沸騰させる
- アクが出てきたらザルにあげて、流水でアクを洗い流す
- (1)~(3)を、あと2回繰り返す(ここまでで、牛すじ独特の嫌な臭いが取れます)
- 柔らかくなるまで水で煮る(アクが出たら取り除いて下さい)
- お好みで串に刺す
あとは他の具材と一緒に煮込むだけです。ご紹介した下処理をしてから、冷凍もできます!
柔らかくなった状態の冷凍牛すじをストックしておけば、おでん以外の料理にも活用可能ですよ♪
市販のおでん 賞味期限はどれくらい?冷凍できるの?
温めて食べるだけの市販品が、コンビニやスーパーに売っていますよね。通販でお取り寄せできるおすすめ商品もまじえて、賞味期限をご紹介します。
商品名など | 賞味期限 | 引用元 |
ローソン ローソンセレクトかつおだしが染みたおでん |
常温:不明 | 紹介記事 |
Family foods 宗家釜山四角おでん(韓国おでん) |
冷凍:不明 | 通販HP |
わんまいる 老舗女将の一人前おでん(冷凍食品) |
冷凍:30日以上 | 通販HP |
紀文 静岡風おでん |
常温:120日 | 通販HP |
セブンイレブン 8種の具材おでん |
常温:5ヶ月 | 紹介記事 |
一正 プチ白身揚げ(業務用おでん種) |
冷凍:18ヶ月 | 通販HP |
上記のような市販品で、保存方法が「常温」となっているおでんを、「冷凍してもいい」という明確な情報はありません。
口コミやブログ記事には「冷凍できる」という声もありましたが、「冷凍すると味が落ちるのでおすすめしない」という感想でした。
市販品を冷凍するなら賞味期限内の早いうちがおすすめですが、「味が落ちる可能性もある」と分かったうえでお試し下さいね。
コンビニのレジ横で売っているおでんについて
コンビニのレジ横で売られているおでんは、すぐに食べることを想定して販売されています。
口コミなどでは「3日くらいは日持ちする」という声がありますが、レジ横で陳列されていた時間・衛生状態・買ってからの保存方法などですぐに腐ってしまう可能性もあります。
基本的には食べきれる分だけ買ってすぐに食べるようおすすめします。
おでんの冷凍について、注意点や冷凍方法がわかりました。次に気になるのは、解凍方法ですよね。
冷凍前の美味しさを復活させる方法をご紹介します!
冷凍おでんの上手な解凍方法とは?電子レンジや湯煎でのやり方も解説!
我が家には小さい子供がいるので、熱々よりはぬるいくらいの温度で食卓に出す方が喜ばれます。
ご家庭の状況によって選べるように、解凍方法を3パターンご紹介します。
- 冷蔵庫にうつして自然解凍&鍋で温め
- 電子レンジで汁を溶かす&鍋で温め
- 電子レンジで解凍から温めまで
冷蔵庫にうつして自然解凍&鍋で温め
時間がかかりますが、失敗せずにおでん全体を美味しく食べられる解凍方法です。
- 冷凍したおでんを食べる前日に冷蔵庫にうつす(全体が溶けます)
- 鍋に入れて中火で好みの温度まで温める
- 牛すじのように脂が溶けにくい肉の具材があるときは、さらに弱火で3分ほど温める
具材によって火の通り加減が違うので、強火で温めると、全体が温まる前にスープが蒸発してしまう場合があります。焦らずゆっくり温めて下さいね。
常温で自然解凍してもいいの?
常温でも自然解凍できるのですが、つい忘れて放置すると食中毒の危険性が高まります!
外側から溶けていくのですが、中心まで溶けるのには時間がかかるため、溶けた部分の温度だけが上がって菌が増殖するのも不安点ですよね。
冷蔵庫での自然解凍をおすすめします。
電子レンジである程度溶かす&鍋で温め
時間がないときには、ある程度電子レンジで温めるのがおすすめです。
ただしおでんの量によっては加熱時間が長くなって、保存袋が溶けてしまう危険性があります!
保存袋は溶かさないのがベストですが、汁が出てもいいように深い耐熱容器に入れて、1~3分くらいずつ様子を見ながら加熱してみて下さい。
ある程度溶けたら鍋に入れて、中火で温めましょう。
電子レンジで解凍から温めまで
電子レンジで解凍から温めまでする方法もあります。下記の点にご注意下さい。
- 加熱しすぎて保存袋が溶ける
- 加熱ムラ
- 温めすぎて焦げる
電子レンジの性能にもよりますが、一般的に全体を均等に温めるのは難しいですよね。1~3分くらいずつ、様子を見ながら加熱しましょう!
温めている途中で下記のような調整が必要です。
- よく温まっている箇所と冷たい箇所の位置を入れ替える
- 完全に温まった部分は取り除く
ネット上の「湯煎で解凍もOK」という声に注意!
「湯煎」は本来、沸騰状態を保っているお湯に耐熱ボウルなどの容器を浮かべて、間接的に食品を温める方法です。
「ジップロックのような保存袋を沸騰したお湯に入れてOK」という意味ではないので、ご注意下さい!
*レトルトカレーのような食品を袋ごと熱湯に入れて温めができるのは、特殊な包装材だからです。
冷凍おでんが入った家庭用の保存袋を熱湯に入れると、下記のような問題が起こります。
- 熱湯の温度で保存袋が溶けてしまう
- 鍋肌に保存袋が触れて溶けてしまう
冷凍したおでんの解凍方法は簡単でしたね。個人的には冷蔵庫にうつして自然解凍してから鍋でゆっくり温めるのがおすすめです。
食べるときの状況に合わせて、上手に解凍してみて下さい!
最後に、おでんに飽きてしまったときに活用できる、リメイクレシピをご紹介します。
冷凍おでんの美味しい食べ方は?人気のリメイクレシピを紹介!
冷凍したおでんを何度か食べると、「あの味には飽きた」と思ってしまうことがありますよね。
おでんの味付けは、意外とアレンジのバリエーションが豊富です。SNSやレシピサイトで人気の食べ方をご紹介するので、早速お試し下さい!
炊き込みご飯
冷凍おでんを解凍すると、少し味が濃くなりますよね。「スープは残す」という方もいらっしゃると思います。
食べる前に具材とスープを分けておけば、残り汁を炊き込みご飯の味付けのベースにできます!
おでんの具をカットして、炊き込みご飯の具にしてもOKですよ♪
グラタン
解凍したおでんの具を耐熱皿に入れて、ホワイトソースとチーズをかけて焼くだけです。
特に、はんぺんが合います!
1皿だけ作るときはホワイトソースが便利です。スーパーでも売っているので、ぜひチェックしてみて下さい。
天ぷら
「煮込んで柔らかくなった食感に飽きる」という方は、天ぷらでサクサク食感にリメイクするのがおすすめです。
解凍したおでんの汁気を切って、衣をつけて揚げましょう!
スープが残ってしまうので、先ほどご紹介した”炊き込みご飯”にしてもいいですね。
炒り豆腐・おから炒め
解凍したおでんの具を細かく切って、豆腐やおからと炒めるだけです。
おでんのスープを味付けのベースにできます。
土鍋茶わん蒸し
「茶碗蒸しを鍋一杯に食べたい!」という願望はないでしょうか?おでんをリメイクすれば、よく溶いた卵を加えるだけで土鍋茶わん蒸しが食べられます。
おでんのスープが濃い場合は水で味を調整して、【卵:おでんのスープ=1:3】の割合で卵液を作って下さい。
卵の滑らかさにこだわらないなら、卵を濾(こ)さずに加熱してOKです。
おでんは和風のオーソドックスな味付けなので、和・洋・中にリメイクしやすいです。ぜひオリジナルレシピも生み出してみて下さい!
まとめ
おでんの冷凍について、詳しい情報をまとめてきました。
ポイントをご一緒に確認していきましょう!
- おでんを冷凍するときは、冷凍できない具材を取り除く必要がある
- 手作りおでんを冷凍したら、保存期間は最長1ヶ月
- 具材によって、冷蔵庫での日持ちが違う。常温では保存しないのがおすすめ
- 市販のおでんで「常温」と表示されている商品も冷凍できるが、味が落ちる可能性がある
- 冷凍したおでんの解凍は3パターン。冷蔵庫で解凍後に鍋で温めるのがおすすめ
- 冷凍したおでんは、リメイクしても楽しめる
おでんが完成したらなるべく早く冷まし、低温で保存するのが安全でしたね。
具材を選別する必要がありますが、食べきれないと分かっている分は、早めに冷凍してしまいましょう!
温めるだけで食べられる冷凍おでんは、食卓に一品足りない時に便利です。お弁当にも活用できるように、使う量を考えながら小分けにしてみたいと思います。
一方、食べる量が少しなら賞味期限が長い市販品も便利でした。コンビニでも買えるので、これからは活用する場面もありそうです。
おでんの冷凍保存期間は最長1ヶ月で、リメイクのバリエーションも豊富なので、飽きずに無駄なく食べ切っていきましょう!