栄養満点で緑黄色野菜の代表とも言えるほうれん草には様々な調理法がありますが、生で食べたことはありますか?
「生のほうれん草には毒があって危険」と聞いたことがあるのですが、先日見かけた「サラダ用ほうれん草」は生で食べられるのか疑問に思いました。
そこで、ほうれん草は生で食べられるのか詳しく調べてみることにしました。
- ほうれん草は生で食べられる?生食のメリットや注意点
- 生食に適したほうれん草とは?新鮮な状態の見分け方
- 下処理方法や生で食べられるレシピ
- 日持ち期間の目安と長持ちする保存方法
サラダ用ほうれん草は生食できるのかもしれませんが、普通のほうれん草はどうなのでしょうか。
生で食べるにはそのままで良いのか、危険はないのかなど気になる事はたくさんあります。
そこで、「生食できる?」という根本的な問題だけでなく、生食向きのほうれん草の見分け方や食べ方、注意点なども解説します。
また、サラダやスムージーなど生食におすすめのレシピもご紹介しますので、ぜひご確認くださいね。
目次
ほうれん草は生でも食べられる?生食するメリット・デメリット
調べてみると、ほうれん草は生で食べても大丈夫なようですが、そのまま生で食べると苦いですし、えぐみがあって美味しいとは言えません。
この苦みやえぐみは、ほうれん草に含まれる「シュウ酸」という成分が原因です。
ほうれん草を生で食べるには、このシュウ酸をいかに少なくするかがポイントです。
通常は茹でてアク抜きするとシュウ酸はなくなりますが、実は水にさらしておくだけでも十分シュウ酸をぬくことができるのです!
※アク抜きのための下処理方法は、後程「ほうれん草を生で食べるときの美味しいレシピや下ごしらえのコツ!」で詳しくご紹介します。
シュウ酸が少なくなったほうれん草は、生で食べても大丈夫というわけですね。
シュウ酸は危険?
ほうれん草を生で食べると毒がある、という話はこのシュウ酸が原因だと思われます。
シュウ酸は苦みやえぐみの素になるだけでなく、食べ過ぎると体内のカルシウムと結合し、尿路結石を作ることがあるからです。
しかし、これはほうれん草を毎日1kg程度食べた場合の話です。
普通に考えて、そこまで食べることはそうそうないですよね?
シュウ酸は省いたほうが美味しくいただけますが、健康被害に関してはあまり神経質になる必要はありません。
サラダ用ほうれん草とは、このシュウ酸が少なくなるよう品種改良された種類なので、そのまま生で食べられるというわけです。
水耕栽培されており、茎も生で食べられるほど柔らかくて甘みを感じるほうれん草です。
それでも「本当に生食できる?」と不安な場合は、無農薬のものや生食向きと明記されているものを購入すると安心ですね。
農家の通販やオイシックスなどでも、生で食べられるほうれん草を販売しているのでチェックしてみてください。
生食用のほうれん草はこちらでも購入できます!
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特に生食に向いているほうれん草の種類や見分け方は、「生食に適したほうれん草の見分け方!サラダやスムージーに使える種類は?」でご紹介します!
ほうれん草は生食できると分かったところで、生食する場合の注意点なども確認しておきましょう!
生食するメリットやデメリットは?
まずは生食の嬉しいメリットからご紹介します。
生食のメリット
メリットは何といっても、生食すると高い栄養素を余すところなく摂取できる、という点です。
ほうれん草に含まれている栄養成分
- βカロテン
- ビタミンC・E
- 葉酸
- 鉄
- ミネラル
- 食物繊維 など
期待される効果
- 動脈硬化や高血圧の予防
- 美肌
- 貧血の予防
- 胎児の神経管閉鎖障害の発症を防ぐ(葉酸) など
特に葉酸や鉄分は、妊娠中に特に摂取してほしい栄養素なので、妊婦さんにはぜひ食べてもらいたい食材ですね。
ビタミンCや葉酸などは茹でると流れ出てしまうため、加熱するよりも生で摂取した方が栄養価が高いと言えます。
ただし、βカロテンは脂溶性といって油に溶けやすいので、茹でたり生食よりは、炒め物がおすすめです。
糖質も少なくてダイエット中にもおすすめの野菜なので、目的や気分に応じて食べ方を分けてみてもいいかもしれませんね。
続いては、生食する際の注意点です。
生食のデメリット
先ほど触れたように、ほうれん草には食物繊維が豊富です。
適量であれば胃腸を掃除してくれる心強い味方ですが、食べ過ぎると消化不良になる場合があります。
その結果、下痢や腹痛など食中毒のような症状を起こす場合もあるようなので気を付けてくださいね。
食品衛生関連の営業してるのに、自分がほうれん草の食べ過ぎで下痢下痢してるだなんて、ダメだこりゃ~笑
— 梅ゆかり@無駄に多忙 (@barbabyqueen) September 1, 2016
特に胃腸が未発達な子供や赤ちゃんには、生食は向いていません。
離乳食や幼児食に使う場合は、生ではなく茹でたりなどで調理しましょう。
また、同じく胃腸が人間ほど発達していない、犬・猫・ハムスターなどの動物も生食は危険です。
動物に関しては、シュウ酸による尿路結石の危険性もより強く言われていますので、生食ではなく必ず加熱してくださいね。
また、ほうれん草は病害虫がつきやすい野菜なので、農薬を使用して栽培される場合が多いです。
以前、中国産ほうれん草から基準値以上の残留農薬が検出されたことがありましたが、国産ほうれん草からも基準値以上の残留農薬が検出されるケースもありました。
無農薬栽培のほうれん草か判断できない場合は農薬が使用されている可能性もあるので、生食する場合はしっかり水洗いをしましょう。
ボウルに水をためて5分くらい水を出しながら振り洗いします。
特に根元部分には汚れが残りやすいので念入りに行ってください。
栄養価が高いものでも、食べ過ぎると体に悪いということです。何事もほどほどにです!!
生食のメリットやデメリットがわかったところで、続いては生食に適したほうれん草の種類や見分け方を説明します。
生食に適したほうれん草の見分け方!サラダやスムージーに使える種類は?
生食する場合はサラダやスムージーにする場合が多いかと思いますが、どんなほうれん草がいいのか気になりますよね。
先ほどご紹介した「サラダ用ほうれん草」はもちろん適していますが、そもそもほうれん草にはどんな種類があるのかご存知でしょうか?
生食に適したほうれん草の見分け方も併せてご紹介しますね。
ほうれん草の種類について
身近な野菜であるほうれん草ですが、実は様々な種類があるのです!
生食に向いているかどうかも併せてご紹介していきますね。
東洋種
原産地と言われている西アジアから中国方面に広まった品種。
根本は赤く、葉肉は薄く尖っており、深い切れこみがあります。
アクが少ないので、生食向きのほうれん草です。
今日の収穫。日本ほうれん草。ほうれん草には西洋種と東洋種があって、東洋種と呼べるのは”日本ほうれん草”一種類と言われています。豊葉ほうれん草や次郎丸ほうれん草などは、西洋種と東洋種の交配した固定種だそうな。日本ほうれん草は根っこまで食べられるというか、根っこが美味しいのです! pic.twitter.com/egUTEcInaS
— つくし (@aichi19otoko) January 26, 2018
西洋種
主にヨーロッパ方面に広まった品種。
茎は太く、葉肉は厚く丸くなっていて、加熱しても崩れにくいです。
アクは強めなので、サラダやスムージーなどの生食にはあまり向いていません。
ほうれん草の収穫をしました😁
東洋種と西洋種🥬
肉厚です!
甘いかな?😋 pic.twitter.com/gH9AeFDRHK— ひさこ (@hisako_aoibara) January 22, 2019
交配種
東洋種と西洋種をかけ合わせた品種で、一般的にスーパーで売られているものの多くはこの交配種です。
アクは比較的少ないので、生食にも問題ありません。
前述した「サラダほうれん草」はこの交配種の1種になります。
さらにサラダほうれん草の中でも、「赤軸ほうれん草」という種類があります。
この赤軸ほうれん草は、葉は緑色ですが葉柄から葉脈まで赤いのが特徴です。
アクが少ないのでとても生食に向いています。
ちぢみほうれん草
こちらは品種名ではなく冬季限定の栽培方法で作られるほうれん草で、別名「寒締めほうれん草」と言います。
葉がしわくちゃで厚みがあり、甘みや旨みがあって味が濃いのが特徴です。
アクも強いので、残念ながら生食には向いていないですね。
このように、生食する場合は「東洋種」か「交配種」で、新鮮なほうれん草を選ぶと良いでしょう。
とはいえ、種類などはあまり判断できない場合も多いかと思います。
具体的な見分け方はこちらを参考してみてくださいね。
生食向きの新鮮なほうれん草の見分け方
- 葉にハリがあって厚みがある
- 葉が下から密集している
- 緑色が鮮やか
- 根本が赤くて太い物
葉の緑や根本の赤色が鮮やかなものを選びましょう。
葉がしおれてしまっているものや黒ずんでいるものは、鮮度が落ちているので加熱した方が良いかと思います。
種類が分かったので、次はいよいよ、生で食べるための下ごしらえ方法やレシピを詳しくご紹介していきます。
ほうれん草を生で食べるときの美味しいレシピや下ごしらえのコツ!
ほうれん草を生で食べる時の食べ方と言えば、サラダやスムージーですよね。
人気のレシピや美味しい食べ方をご紹介していきます。
まずは、肝心な下ごしらえの方法から確認していきましょう。
ほうれん草を生のままアク抜きする方法
- ほうれん草を洗う
- 5cm程度の食べやすい大きさにカットする
- ボールに水をためてほうれん草をさらす
- できれば流水で、難しければ途中で2~3回程水を替えて10~20分ほどさらす
茹でないとアク抜きできないと思っていたのですが、水にさらすことでも十分シュウ酸が抜けるようです。
この下処理をしておかないと、シュウ酸のため苦みやえぐみが残ってしまいます!
しかしこのひと手間が大切だと分かっていても、朝など忙しい時は正直面倒だな…という場合もありますよね。
そんな時は、サラダ用ほうれん草なら初めからシュウ酸の含有量が少ないので、下ごしらえの手間を省くことができます。
スムージーやサラダにすぐに使えるので、ぜひ利用してみてくださいね。
続いて具体的なレシピを紹介していきます。
ほうれん草の生食おすすめレシピ
サラダやスムージーは特に決まった材料でなくても、お好みの材料を合わせて作ることができます。
ここでは、人気のレシピをご紹介しますね。
サラダ
基本好きなものを合わせて構わないと思いますが、栄養素の観点からおすすめの組み合わせご紹介します。
アクを抜いて少なくなったとはいえ、シュウ酸が含まれているということは、多少なりとも体内のカルシウムと結合してしまいます。
そこで、カルシウムが豊富な食材と合わせて摂取するのがおすすめです!
おすすめの組み合わせ
粉チーズや小魚などカルシウム豊富な食材
青臭さや苦みが気になる場合は、シーザーサラダ風にするのがおすすめですよ。
ほうれん草のシーザーサラダ風
- 鍋に卵(2個)とかぶるくらいの水を入れて中火にかける
- 沸騰してから約5分茹でて、冷水にとって殻をむく
- ベーコン(2枚)を5mm幅に切り、オリーブオイルでカリカリになるまで炒める
- 下処理をしたほうれん草をよく水切りし、ベーコン、茹で卵をのせる
- 粉チーズ(小さじ2)、塩コショウ(少々)をかけて完成
スムージー
スムージーもお好みの材料をミキサーに入れて、簡単に作ることができます。
果物をたくさん入れると飲みやすくなりますよ。
ほうれん草のスムージー
<材料>
- ミルク(200cc)
- オレンジ(1/2個)
- バナナ(1本)
- ほうれん草(3房)
- きなこ(大さじ2)
- 氷(2個)
材料をミキサーに入れて、低速で2分回すだけ!
ミルクの代わりに100%の果汁ジュースなどを使うと、野菜ジュースになるのでお子さんにもおすすめです。
お好みの材料で試してみてくださいね。
アク抜きした生のほうれん草を冷凍しておくと、すぐに使えて便利です。
また、冷凍した生のほうれん草を解凍すると水分が出るので、茹でなくてもおひたしが簡単に作れます!
鰹節などを合わせると立派なおかずの出来上がりですね。
加熱調理の場合もアク抜きしてから!
生で食べるのもいいですが、ソテーにカレー、スープや味噌汁と調理方法も豊富なほうれん草。冬には鍋などに入れても美味しいですよね。
このような加熱調理の場合、みなさん下処理していますか?実は私は、生のまま鍋やフライパンに入れています。
ですが、そのままだとスープの中などにシュウ酸がそのまま溶け込んでしまう!ということに気が付きました。
実際、調べてみると加熱調理の時も下処理した方が良いとのこと…。
加熱するなら熱湯にさっと浸けるのだけでも大丈夫なので、ひと手間かけて美味しくほうれん草をいただきたいですね。
それでは最後に、ほうれん草の日持ちやなるべく長持ちさせる保存方法について解説します。
生のほうれん草の日持ちはいつまで?長持ちさせる保存方法も紹介!
生鮮食品であるほうれん草には、賞味期限や消費期限は記されていないことが多いですね。
ではいつまで日持ちするのか、目安は以下の通りです。
常温 | 1日程度 |
冷蔵庫 | 1週間程度 |
冷凍 | 1ヶ月程度 |
常温保存は1日程度としていますが、これは寒い時期に冷暗所で保存できた場合の日持ちです。
基本的には常温保存は向いていないので、冷蔵庫で保存するようにしましょう。
また、冷蔵庫での保存期間は上手に保存できた場合の長めの日持ちです。
保存方法次第ではもっと早く傷んでしまう場合もあるので、なるべく長持ちする正しい保存方法をご紹介します。
長持ちするほうれん草の保存方法について
ほうれん草は冷蔵庫はもちろん、生のまま冷凍もできます。
正しい保存方法はこの通りです。
冷蔵庫での保存方法
- 濡れた新聞紙などで包む
- ビニール袋やジップロックなどに入れる(密閉はしない)
- 立てた状態で野菜室に保存する
ちなみに常温の冷暗所で保存する場合も同じですので、やむを得ず常温で保存する際は参考にしてみてください。
続いて冷凍の方法です。
冷凍の保存方法
- 根本を切り落とす
- 食べやすい大きさにカットしておく
- 水洗いした後、水気をよく切る
- フリーザーバックに入れて冷凍する
茹でてから冷凍することもできますが、生のまま冷凍しても問題ありません。
ただし、冷凍すると水分が多くなりべちゃっとした食感になるので、加熱調理やスムージーにするのがおすすめです。
調理するときは解凍せずにそのまま使えますよ。
1週間以内に食べきれないようであれば、アク抜きをしてから冷凍しておくといいかもしれませんね。
まとめ
ほうれん草は生食できるのかということを詳しく解説してきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- ほうれん草は水でアク抜きすると生食できる
- 生で食べると栄養素を損なわず摂取できる
- 消化器官が未熟な赤ちゃんや子供、動物に生食は向いていない
- 食べ過ぎると消化不良を起こすことがある
- 東洋種や交配種のほうれん草が生食に向いている
- 葉が濃い緑色で根本が赤い新鮮なほうれん草は生食に向いている
- 生で食べるにはサラダやスムージーが人気
- 濡らした新聞紙で包み、冷蔵庫の野菜室で保存すると約1週間日持ちする
- 生で冷凍でき、1ヶ月程度日持ちする
ほうれん草はサラダ用と記載されているものしか生食できないと思っていたので、とても意外な内容でした。
これからは普通のほうれん草もぜひ生で食べてみたいと思います。
また、味噌汁などの際にもアク抜きした方が良いと知り、早速試してみたところ「いつもより食べやすい」と子供に大好評でした!
ほうれん草は生でも加熱でも食べられる上に栄養も満点なので、みなさんもぜひ上手に食卓に取り入れてみてくださいね。