【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
我が家では、庭先でほうれん草の家庭菜園を計画中です。
ただ、腐るのが早いイメージがあるので、どれくらいの規模で作るかを迷っています。
家庭菜園をしている友人に聞くと、「割と簡単に作れるし、次々に収穫できていい!」とのことです。
一気に収穫して、毎日せっせと食べることになりそうですよね。
とはいえ、天候の影響で値段が上下しやすい野菜を収穫できるのは助かります。
ほうれん草を腐らせないための知識を、調べておこうと思います!
- ほうれん草は腐るとどうなるの?食べられないほうれん草の見分け方
- 生や調理後でどれくらい日持ちする?
- ほうれん草が長持ちする正しい保存方法とレシピ
- ほうれん草のアク抜きって何?絶対に必要?アク抜き方法をご紹介
傷んできたときのサインがわかれば、冷凍などの対策ができますよね。
ほうれん草といえば、調理した次の日に独特のエグ味が出るのも悩みです。
私のアク抜きが甘いのだと思います。
アクの正体や、しっかりアク抜きする方法も調べてご紹介します。
せっかく作るんだから、無駄なく食べきるためにしっかり調査していきます!
管理栄養士・栄養士
目次
ほうれん草は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
まずは、ほうれん草が腐るとどうなるのかをご紹介します。
突然ではなく、少しずつ劣化していきますよね。
食べられるのはどんな状態までなのでしょうか?
ほうれん草 傷み始めの目安
葉から水分が抜けてシナシナしてきたら、劣化が始まっています。
劣化が進むと、茎や葉に水がしみたような濃い色の部分が出ます。
この時点では、まだ食べられます。
濃い色の部分は、取り除いて下さいね。
”いよいよ食べられない”状態の見分け方は、下記のとおりです。
見た目、触った感じ
- 溶ける
- 触るとネバネバしている
- 茶色い汁が出ている
- 葉の色が黄色に変色
臭い
- モワっとする腐敗臭
食感
- 粘りがある
ほうれん草は、暑さと乾燥に弱い野菜です。
下記のように保存すると、腐りやすくなります。
- 温度が15℃以上の常温に放置
- 夏の車内など、高温の場所に置く
- 買ってきてそのまま冷蔵庫に入れる
*【保存方法】、【生、調理後の日持ち】については、後ほど詳しくご紹介します。
苦いほうれん草 食べても大丈夫?
ほうれん草には、苦い味のもとになる成分の『シュウ酸』がたくさん含まれています。
成長する(古くなる)につれ、シュウ酸の結晶が大きくなるので、苦味も強くなります。
シュウ酸を食べすぎると、体の中に結石ができてしまいます。
苦いほうれん草は、適量を食べる分には自己判断でOKですが、個人的には「気になるなら食べなくてもいいのでは?」と思います。
ほうれん草に白い粉!食べても大丈夫?
日本植物生理学会のホームページに、白い粉の正体についてのQ&Aを見つけました。
結論としては、ハッキリしたことはわかっていません。
シュウ酸カルシウムの可能性が高いそうです。
【シュウ酸カルシウムだった場合、食べてもいいか】についても、詳しい情報はありませんでした。
口コミでは、「洗い流して食べている」という声が多かったです。
実際に食べている方が多いので、こちらも適量の範囲で、食べるかどうかを自己判断することになります。
次に、腐らずに食べられる日持ち期間をご紹介します。
ほうれん草の日持ち期間はどれくらい?生や調理後など調査!
生のほうれん草は、何日間くらい食べられるのでしょうか?
調理する前と後で、日持ちは違うのかな?
表でご紹介します。
状態 | 日持ち | |
生 | 常温 | 温度によって半日くらい |
冷蔵庫 | 2~3日 | |
カットして冷蔵庫 | ||
冷凍 | 2週間~1ヶ月 | |
調理後 | (茹でた、煮た) おひたし、えのきと一緒に煮浸し、スープ |
2~3日 |
(和え物) もやしと和えたナムル、胡麻和え |
3日 | |
(炒め物) しめじやベーコンと一緒にソテー、卵とじ、ツナと一緒にオイスター炒め |
3~4日 | |
~番外編~サラダほうれん草 | ||
(ドレッシングなし) ほうれん草とコーンのサラダ |
4日 | |
(ドレッシングあり) マヨネーズ、オイルなどで和えたサラダ |
1日 |
目安の日数をご紹介しました。
実際は、保存方法などによって日持ちが変わります。
例)お弁当に入れたおひたし・・・持ち運び時間や温度によって、数時間で腐る場合もあります
食べられるかどうかは、先ほどご紹介した見分け方を参考にして判断しましょう!
また市販品の場合は、商品に書いてある期限をチェックして下さいね。
- 賞味期限・・・未開封で保存方法を守った場合の、美味しく食べられる期限
- 消費期限・・・未開封で保存方法を守った場合の、安全に食べられる期限
開封後や間違った保存をした場合は、【期限に関係なく腐る可能性がある】と覚えて頂けると幸いです。
では、ほうれん草はどこにどうやって保存するのが正しいのでしょうか?
次にご紹介します。
ほうれん草の正しい保存方法とは?長持ちさせるコツも紹介!
先ほどもご紹介したとおり、ほうれん草は暑さと乾燥に弱い野菜です。
買ってきたまま放置するとダメージが大きいので、丁寧に保存しましょう!
冷蔵庫 保存方法
冷蔵庫で保存するのが基本です。
立てて保存する方が長持ちするので、野菜室が適しています。
- キッチンペーパーか新聞紙を湿らせる
- ほうれん草を包む
- ビニール袋に入れる
- 野菜室に立てて入れる(根を下にする)
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キッチンペーパーなどを湿らせるときは、水が滴り落ちてこない程度になさって下さいね。
常温で保存しない理由
野菜は、収穫後も生きて呼吸をしています。
科学技術振興機構が公表している論文には、下記のような実験結果が書かれています。
- 25℃で保存し続けると、6時間後には異常なくらい呼吸をする
- 温度変化がある場所でも、25℃前後で半日置くと呼吸が急増する
- 5℃、15℃では呼吸量が安定している
【呼吸が多い=成熟するのが早い=腐るのが早まる】ということです。
実験結果からも、15℃以下の低温で保存するのがベストとわかりますね。
冷凍 保存方法
ほうれん草は、生や茹でた後で冷凍可能です!
どちらも保存方法は同じです。
- 食べやすい大きさにカットする
- ジップつきの保存袋に入れる
- 空気を抜いて密閉し、冷凍庫に入れる
*茹でた場合は、水分をしっかり絞ってから1回食べる分ずつに分けてラップに包んでおくと便利です。
ただし生のまま保存すると、葉が凍ってボロボロになる場合があります。
形の崩れが気になる場合は、ペーストなどにする方が向いています。
冷凍前に茹でるのが面倒な場合は、レンジでも加熱できますよ!
レンジでの加熱方法
ほうれん草には、水に溶ける栄養成分が含まれています。
「栄養成分を逃がさないために、茹でるよりもレンジ派」という方が増えています!
- ほうれん草の茎を切る
- 水洗いする(特に茎の近くに土がたまっています)
- まるごとラップに包む
- 電子レンジで2分~2分半加熱(500~600W、仕上がりをチェックしながら)
- 水にさらす
- 水気を絞る
ほうれん草の日持ちレシピ
先ほどの表でご紹介したほうれん草料理は、3日ほどしか日持ちしません。
どうせ作るなら、1週間近く日持ちするレシピが知りたいですよね!
ほうれん草のポン酢和え(日持ち:5日)
酢の力で、日持ちを長くします。
茹でたほうれん草を、ポン酢とごま油で和えるだけの簡単料理です。
ポン酢の味がキツければ、水で薄めてもOKです。
梅和え(日持ち:5日)
梅の塩気で、日持ちを長くします。
梅を細かく刻み、茹でたほうれん草と和えます。
白だしとみりんで、味を整えれば出来上がりです。
最後に、私が”上手にできない”と感じているアク抜きの方法を調査しました。
少し間違っていたことが、わかりました!
ほうれん草のアク抜きのやり方は?茹で方や茹で時間なども解説!
私は野菜の歯ごたえが好きなので、ほうれん草を15秒ほどしか茹でていませんでした。
正しいアク抜き方法を調べると、茹でる時間が短すぎたとわかりました。
ご一緒に、一から確認してみましょう!
アク抜きの正しい方法
下記の下ごしらえをしてから加熱します。
- ほうれん草を良く洗って、根の方に十字の切込みを入れる
- 冷水を用意しておく(氷水でもOK)
茹で方
- 水を沸騰させて塩を入れる(1リットルのお湯なら小さじ1)
- ほうれん草を束ねて持ち、お湯に茎の方だけ入れて30秒待つ
- 葉まで全部入れて15秒待つ
- 全体をひっくり返して15秒待つ
- 用意しておいた冷水にほうれん草を入れて、流水で全体を冷ます
- 水からほうれん草を出して、ぎゅっと絞る
*先ほどご紹介したレンジ加熱でも、アク抜きができます。
アク抜きせずに食べるとどうなる?
アク抜きをしていないほうれん草を食べると、下記のようになります。
- 苦くて食べにくい
- 口の中にアクがこびりついたような違和感
先ほどお話しした結石の原因にもなるので、必ず加熱して食べましょう!
アクの味のもとになっているシュウ酸は、水に溶けます。
茹で時間も意識して下さいね。
「ほうれん草1キロ食べたら結石になる」は本当?
ほうれん草を調べると、【1キロ食べると結石になる】という情報がたくさん出てきます。
【シュウ酸を食べることによる結石のリスク】についての医学論文もあり、
【たくさん食べる人】と【あまり食べない人】を比較して、たくさん食べる人の方が結石を発症する率が高いという実験結果が公表されています。
ただし、”1キロで確実に結石になる”とは証明されていません。
下記の点に注意して食べて頂けると幸いです。
- 茹で時間を守ってアク抜きをしっかりする
- 毎日大量に食べない
- 茹でた汁と一緒に食べない(ほうれんそうシチューなど)
以前、ほうれん草を自家栽培している友人宅で、ほうれん草しゃぶしゃぶをご馳走になりました。
食べているときは美味しいですが、食べ進めると口の中がアクで変になります。
どんな場合でも、茹でたほうれん草を使うようおすすめします。
シュウ酸は気になりますが、体に良い栄養成分もたくさん含まれています。
あくまでも適量を食べると考えて頂けると幸いです。
まとめ
ほうれん草が腐ったときの見分け方からアク抜きの方法まで、詳しくご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- ほうれん草が傷み始めたサインは、葉や茎の見た目でわかる
- 食べてはいけないほうれん草は、見た目の劣化が進んで変な臭いや味がする
- 生のほうれん草を冷蔵庫で保存すると、日持ちは2~3日
- ほうれん草の常温保存はNG
- ほうれん草は暑さと乾燥を避けて保存
- ほうれん草は冷凍可能
- ほうれん草のアク抜きは、茹で時間が大切。水にさらして絞るのも忘れずに!
冒頭でもお話ししたとおり、私はこれからほうれん草を自家栽培しようとしています。
今回知ったシュウ酸の情報も参考に、家族が食べる適量を考えて、計画的に作ってみます!
ほうれん草の代表的な栄養成分といえば鉄分で、他にもビタミン類や葉酸などが含まれています。
普段の健康維持に役立ちそうですよね。
【ほうれん草を茹でると栄養が水に溶けるのでは?】という点についても調べてみました。
すると、先ほどご紹介した1分ほど茹でるだけでは、ビタミン類の流出も少ないとわかりました。
例)ビタミンCでは、1分の加熱で30%弱の流出です
シュウ酸を気にしてむやみに避けるよりも、適量を食卓に取り入れて楽しんでいきたいと思います。