お湯を沸かそうと思って火にかけたやかんをうっかり忘れていて、空焚きしてしまいました。
慌てて火を消しましたが、中が焦げて変色し、焦げ臭いにおいもしますが、このやかんはまだ使えるのでしょうか?
空焚きしてしまったやかんについて調べましたので、以下の内容にまとめてご紹介します。
- 空焚きするとやかんはどうなるのかまだ使えるのか
- ステンレスやホーローなど素材で違いはあるのか
- 焦げや変色、臭いは消せるのか
- 空焚きが原因で火事になる?IHでも要注意!
- 空焚き防止策付きの商品も紹介
今回はステンレス製のやかんでしたが、以前実家の母がホーローの鍋を空焚きしたことがあったと思いだしました。
その鍋は処分したのですが、焦げを落とす対処法などはあったのでしょうか。
また、今回あのまま空焚きし続けていたら火事になっていたのではとゾッとしたのですが、その可能性はあるのでしょうか?
IHは安全と聞いたこともあるので、IHに変えるべきかとも悩んでいます。
焦げてしまった後の対処法を知るのも必要ですが、なにより空焚きしないことが一番ですよね。
この記事をお読みいただき、焦げてしまったものはなるべく元通りに、そして今後は空焚きをしないように対策しましょう!
目次
やかんを空焚きするとどうなるの?まだ使えるのか見分け方も解説!
私のように、やかんや鍋を空焚きした経験がある人も少なくないようです。
ヒイイ。事務作業に熱中してたら、コンロでお湯湧かしてた事忘れて1時間くらいつけっぱだった模様。空焚きしてた。やかん変色してた。やばー。
— nami ohta おたなみ (@namiotaequalize) November 21, 2011
コンロはもちろん、昔ながらの石油ストーブには加湿の目的も兼ねて上にやかんを置くことがあり、コンロと同じように空焚きの可能性があります。
柳宗理などが有名なステンレスや少し高級なイメージの銅鍋のような、熱に強い素材の場合、長時間空焚きすると真っ赤になるほど高温になることもあるようです。
そして、内部や外部が焦げたり変色してしまいます。
焦げたり変色したやかんや鍋は、状態によって使える場合とそうでない場合があります。
まずはよく使われているステンレス製のやかんについて、空焚き後の状態別に使えるかどうかを一覧表でご紹介します。
状態 | 原因 | 使えるかどうか |
内側が茶色い | 高温になり表面が焼けている | 化学変化などではないので使える |
外側が青色(虹色) | かなりの高温になったために変色している | |
内側や外側が黄色い | 高温になったため変色している | |
内側が白くブツブツ | 塩分やミネラル分が固着している | ・健康上問題ないので使える ・素材の腐食につながるので早く除去する |
ステンレス製やかんを空焚きした場合、表面の変色は化学反応ではなくただの熱性変色なので、使える場合がほとんどです。
白い粉をふいたようなブツブツやザラザラは、カルキのように思われることもありますが、水分中や食品中の塩分やミネラルです。
空焚きだけではなく煮物などを長時間加熱したり放置した場合にも、水分が蒸発して煮汁中の塩分が固着することで発生しやすくなります。
それ自身は問題ありませんが、放置しておくと金属が腐食して錆びの原因となったり、そのまま腐食が進むと穴が空いてしまう可能性もあるので、早めに取り除くようにしましょう。
取り除く方法については次の「空焚きしたやかんの焦げ・変色・臭いへの対処法を3つ紹介!」でご紹介しますので、そちらをご確認くださいね。
アルミ製やホーロー製やかんを空焚きするとどうなる?
軽くて熱伝導率が良いアルミ製品や、ガラスコーティングで見た目も美しいホーロー製品など、やかんにはいろいろな素材がありますよね。
アルミ製品はやかん以外にも雪平鍋などのアルミ鍋、アルミパンも良く使われていると思います。
ホーロー製品も、鍋や保存容器など様々なラインナップがありますね。野田琺瑯が有名ではないでしょうか。
アルミ製やホーロー製のやかんは空焚きしてしまった場合、どうなるのかご説明します。
アルミニウムの場合
アルミ製のやかんや鍋の場合、白いブツブツが発生しやすい特徴があります。
これは、ステンレス製品を白くした原因の、塩分やミネラルがただ付着してるのとは少し違います。
アルミ鍋の場合、表面保護のためのアルマイト加工がなされていなかったり、加工が取れてしまっていると、水分中の塩分やミネラルがアルミと反応し、水酸化アルミを生成します。
白いブツブツの正体はこの水酸化アルミで、黒くなる場合もあります。
水酸化アルミは胃薬などにも使われる成分なので体内に入っても全く問題ありませんが、そのままにしておくとアルミの腐食が進んで最終的にやかんに穴が空いてしまいますので、しっかり落としましょう。
ホーローの場合
ホーローは鉄にガラスコーティングを施したもので、基本的に熱や酸、塩分にも強い特性を持っています。
しかし、ガラスコーティング部分が破損すると鉄がむき出しになるので、とても錆びやすくなってしまうのです。
錆びたからと言っても鉄さびなので、食べても人体にそれほど悪影響はありません。
でも、水が黒くなったり見た目も良くないので、錆びないようにしたいですよね。
コーティングが破損してしまうと修理に出すしか方法がなくなってしまうので、破損させないように大切に扱いましょう。
落としたりぶつけたりしないことはもちろんですが、空焚きしてしまった場合に急激に冷やさないことも大切です。
空焚きして高温になったホーローを水に浸けるなどしてしまうと破損しやすいので、自然に冷めるまで待つようにしてくださいね。
空焚きしてしまったやかんを再び使うとき
素材にもよるかと思いますが、空焚きした後のやかんを次に使う時、酸化した内面が剥がれ落ちる場合があります。
使う前に一度8分目まで水を入れて沸かしてみてください。
沸騰してからさらに5分程加熱して湯を捨て、内部をしっかりゆすぐと異物を取り除けます。
空焚きして変色してしまったやかんも、基本的には使えることが多いとわかりました。
それでは、変色や焦げを取り除くためにはどうしたらよいのでしょうか?
続いては焦げ、変色、臭いを取る方法について解説しますよ!
変色したやかんがピカピカに戻るかもしれませんね♪
空焚きしたやかんの焦げ・変色・臭いへの対処法を3つ紹介!
空焚きしたやかんや鍋についてしまった焦げ・臭いおよび変色を取り除くには、どうすれば良いのでしょうか?
自宅で試すことができる対処法を3つご紹介します!是非参考になさってくださいね♪
市販のクレンザーを使って磨く (焦げ・白いザラザラ水垢・油汚れ)
一番わかりやすいのは、市販のクレンザーを使ってひたすら磨く方法ではないでしょうか。
クレンザーにもいろいろありますが、例えばドイツの老舗キッチン用品メーカーであるフィスラー社からもステンレスクレンザーが販売されています。
ステンレス製品を作っている会社が出しているクレンザーなら期待できる!…と思ってしまうのは私だけでしょうか?
こちらのクレンザーは焦げ付き汚れ、白い水垢、油汚れなども落とせますので、シンク掃除にも役立ちそうですね!
手が荒れるかもしれませんので手袋をはめ、しっかりこすり落とした後に良く洗い流してください。
ただ、クレンザーは研磨剤が入っており傷がつく可能性があります。その点は注意してくださいね。
傷が気にならない方は、研磨剤入りのスポンジでガシガシこすり洗いしても良く落ちますよ。
手軽に試すことができますね。
酢を入れた水を加熱する (焦げ・水垢・虹色変色)
変色や水垢には、酢を入れた水を沸かすことで落とすことができます。
酢はクエン酸なので、掃除目的でクエン酸を持っている…なんて方はそれでももちろん大丈夫です!
やかんや鍋の7分目程まで水を入れ、酢を大さじ2~3杯(クエン酸なら水2リットルに対して大さじ1)程度溶かします。
加熱して温めますが、沸騰させる必要はありません。
その後中性洗剤をつけたスポンジでしっかり洗ってくださいね。
酢やクエン酸は口に入っても大丈夫ですしたくさん流しても問題ないので、処理に気も遣わず安心でもありますね。
重曹を使う (焦げ・におい)
こちらもクエン酸と同じく、定番の掃除グッズとなりつつある重曹。
重曹を使うと焦げやにおいがよく取れます。
ただしアルミ製品に使用すると、重曹のアルカリがアルミと反応して変色してしまいますので、使わないように注意してくださいね。
やかんや鍋内部の焦げであれば、やかんに水と重曹1~2杯を入れてから沸騰させ、冷めてから重曹水や重曹を振りかけて擦り洗いをします。
外側の焦げを落としたい場合は鍋に重曹水を作り、やかんを入れて沸かします。
一晩浸け置きするとより効果的ですよ!
15年使ったやかんが蘇った。
1.冷たい水3Lに重曹大さじ3
2.コトコト煮沸10分
3.一晩寝かす沸騰した水に重曹入れちゃダメ←これ重要 pic.twitter.com/plzuCMjUG1
— 瀬口盛正 (@moriseguchi) October 1, 2017
すごいピカピカですね!最後はしっかり水洗いしてくださいね。
ホーロー製品の焦げ落とし
ホーロー製品は表面のコーティングがはがれてはいけませんので、たわし・研磨剤・研磨剤付きのスポンジなどは使えません。
焦げを落としたい時には重曹を使った方法が適していますが、表面のツヤが損なわれる可能性はありますので、注意してください。
空焚きしたやかんの焦げや臭い、変色を落とす方法はわかりました。
これで多少空焚きしても大丈夫…なんてわけにはいきません!空焚きが原因で、恐ろしいことになる可能性もあるんですよ。
次は、空焚きによってどのような怖いことが起こるのかと、空焚きを防止する方法や商品について解説します。
とっても重要なことなので、皆さんお読みくださいね。
やかんの空焚きで火事になることも!未然に防止する方法や商品とは?
やかんを空焚きすると、焦げる以上に怖いことがあります。
中に水分があるうちは調理器具の温度も水の沸点である100℃以上にはなりませんが、水がなくなってしまうと話が変わります。
調理器具自体の温度が上がり続けてしまうので、金属部分が真っ赤になって発火する可能性があるのです。
取っ手部分などに燃えやすい素材が使われている場合は、可能性がより高いでしょう。
実際に2016年12月新潟県糸魚川市で、中華料理店でのコンロの消し忘れでステンレス鍋が空焚きになり、火災が発生しています。
木造住宅の密集した地域であったことや、当時の気象条件の関係もあり、この火災は147棟に延焼する大規模火災となってしまいました。
「たかがやかんの空焚き」なんて、油断しては絶対にいけませんね。
また、「空焚き」や「火事」と言う言葉からは、「一酸化炭素」が連想される方もいらっしゃるかもしれません。
やかんの空焚きで一酸化炭素は発生する?
一酸化炭素は本来ものが燃えると二酸化炭素が発生するはずが、空気中の酸素が足りない場合に不完全燃焼となることで発生します。
一酸化炭素中毒は頭痛や吐き気、濃度が高くなると最悪の場合死に至ることもある恐ろしいものです。
ただ、ガスコンロでやかんを空焚きした程度では空気中の酸素が大幅に減るとは考えにくいでしょう。
それよりも、密閉した室内で石油ストーブを使っている時などに危険性が上がります。
石油ストーブの上のやかんが空焚きになったとすると、それだけの時間ストーブを焚き続けている証拠でもありますので、やかんの処理だけでなく、換気することも忘れないようにしてくださいね。
空焚きしてしまった場合、火事にならなくてもやかんに穴があいてしまう可能性もあります。
昔自宅で飲んでるとき泥酔したあとラーメン食べようとしてやかんに穴が空くまで空焚きしたことあるから怖いわ
— ぱんつやま (@p2p2yama) July 25, 2014
穴があく時には爆発音のような大きな音が鳴る場合もあるようで、本当に恐ろしいですね。
やかんや鍋を火にかけたら、基本的にはその場を離れないようにしましょう。
お湯を沸かしっぱなしで寝てしまったり、お風呂に入るなんて絶対にいけません!
IHコンロでも空焚きによる火災の事例があるので注意が必要!
IHコンロは火を使わないので安心なイメージがありますが、本当はどうなのでしょうか。
実際に、IHコンロには過熱防止機能や空焚き防止機能など、安全を考慮した機能がたくさん付いており、火事が起こりにくい設計となっています。
ただ、その油断や過信が思わぬ火事につながる可能性もあります。
一つ動画をご紹介しますのでご覧ください。
IHコンロで加熱しているのに、火が上がっていますね。
このニュース動画で説明されていることも含め、IHコンロでの火事原因は以下のようなことが考えられます。
- IH専用の鍋(底が平ら)を使用していない
- 揚げ物の際に油の量が少なすぎる
- 火が見えないので加熱していたことを忘れる
IH専用の鍋は底が平らになっており、接着することで温度変化などを感知しています。
専用の調理器具でない場合、底にそりがあってセンサーが作動しない場合があるのです。
また、IHコンロは加熱スピードが速いので、少量の油を加熱すると加熱が早すぎて、センサーが作動する前に火が上がってしまう可能性もあります。
もう一つ、火が出ていないので加熱していることを忘れてその場を離れてしまう場合もあるようですよ。
ガスコンロももちろんですが、IHコンロの場合も油断せず、火の元を離れる時には電源を切るようにしましょう。
どんなに気をつけていても、ついうっかり空焚きしてしまいそうで不安・・・という場合は、空焚き防止商品を上手に活用するのもおすすめです。
空焚きを防ぐことはできないの?空焚き防止の商品をご紹介!
「火を使っている時はその場を離れてはいけない」と、頭ではわかっていても…つい火をかけたままで他の用事もしたくなるのが、人のサガと言うものです。
なにか空焚きを知らせてくれるものがあれば良いのにと思いませんか?
調べてみると、空焚き防止機能が付いた商品がいくつもありました。
少しご紹介しますので、参考にしてください!
笛吹きケトル
お湯が沸騰すると「ピー!」と鳴る、昔ながらのケトルです。
沸騰したことがわかるので、近くにいるのにすっかり忘れていた…と言う空焚きは防げます!
とてもオーソドックスですが、わかりやすいのでうっかりしやすい方にはおすすめですよ♪
電気ケトル
お湯を沸かすだけであれば、電気ケトルもおすすめです。
沸騰すれば自動で電源が切れますので、空焚きすることはありません。
自動消火機能付きのガスコンロ
実は、最近のガスコンロには、タイマー設定ができる自動消火機能や、お湯が沸いたら火が止まる沸騰機能など、安全機能が付いたものがほとんどです。
煮物調理の自動火力調整をしてくれる機能も!!
気付いていないだけで、ご自宅のガスコンロにも同じような機能が付いているかもしれません。
是非一度ご確認くださいね。
ちなみに今回ご紹介しているガスコンロは「プロパンガス専用」です。
ガスコンロを購入の際は、都市ガス用かプロパンガス用かをしっかり確認して、お住まいに合うものを購入してくださいね。
IH電気コンロ
ガスコンロにも機能が付いていることがわかりましたが、自動消火やタイマー設定など、安全機能が充実しているイメージがあるのはIH電気コンロではないでしょうか。
IHコンロには、急に温度が上昇した場合や、一定の温度以上になった場合に自動停止する空焚き防止機能が搭載されていますが、「IHコンロでも空焚きによる火災の事例がある」で紹介したように過信は禁物!なので十分注意して活用しましょう。
まとめ
空焚きしてしまったやかんが使えるかどうかや、変色や焦げを取り除く方法に加え、そもそも空焚きしない為の対処法について解説してきました。
空焚きするとどうなるのか
- 焦げや変色が起こる場合がある
- ステンレス製が白くなるのは塩分やミネラルの固着
- アルミ製が白くなるのは水酸化アルミの付着
- どちらも使えるが腐食して穴があくかもしれないので早く除去する
- ホーロー製はガラスコーティング部分が取れると非常にさびやすい
空焚きしたやかんの処理方法
- 焦げ落としには市販のクレンザーや重曹水が効果的
- 変色や白いザラザラには酢などのクエン酸が効果的
- アルミ製品に重曹、ホーロー製品に研磨剤やたわしはご法度
空焚きのリスクと防止策
- 高温になり穴があいたり、発火して火事になる場合もある
- 沸騰を知らせる笛吹きケトルや空焚き防止機能付きの電気ケトルを活用
- ガスコンロにも安全機能が付いている
- IHコンロでも火事になる可能性がある
- 正しく使用しなければ安全機能が正しく作動しない場合がある
空焚きで焦がしてしまったやかんや鍋にも、救済方法があることがわかったのでとても嬉しいです♪
我が家のやかんは外側も焦げているので、重曹水に浸け置く方法を試してみたいと考えています。
今回は穴があいたり発火するような事態にはなりませんでしたが、火事の危険性もわかりましたし、今後は笛吹きケトルへの買い替えも検討するつもりです。
お湯を沸かすつもりが火事になっては大変です!
皆さんも、コンロやIHの機能は活用しつつも過信せず、火の取り扱いにはくれぐれも注意しましょうね。