【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
最近釣りを始めた夫がアジをたくさん釣ってきたのは嬉しいけど、青魚は日持ちしないってよく聞きますよね。
美味しく食べきるためには、どうしたらいいのでしょうか?
今回は、アジの日持ち、保存方法などを詳しく調べてみたいと思います!
- 生のアジの日持ちはどれくらい?
- アジを長持ちさせる上手な保存方法(塩フリージング)を調査
- 市販のアジに表示される消費期限が過ぎたら食べられないの?
- アジが腐るとどうなる?
新鮮なアジがたくさんあるので、生で刺身やなめろうに、南蛮漬けやフライなどレシピを考えるのが楽しみです。
生だと寄生虫にも注意が必要なので、下処理の方法や冷凍などの保存方法についても調べて詳しくご紹介していきます。
青魚が日持ちしないのは他の魚と何が違うのか、アジを食べるときに気をつけることなども徹底調査したので、ぜひ最後までチェックしてみて下さい!
管理栄養士・栄養士
目次
アジの日持ち期間や賞味期限はどれくらい?生や調理後など調査!
まずは生や調理後のアジがどれくらい日持ちするのかを調べました。
スーパーや通販で売っているアジは商品に表示される消費期限や賞味期限の目安、釣ってきたアジや手作りで調理したものは日持ち期間の目安として紹介します。
アジの状態 | 保存場所 | 賞味期限・消費期限(市販品) 日持ち(手作り) |
|
生 | 市販のアジ(1尾) 切り身 刺身 |
冷蔵庫 | 消費期限:当日中~1日 |
釣ったアジ(1尾) | 日持ち:2~3日 | ||
三枚おろし など | 冷凍 | 日持ち:2週間程度 | |
調理後 | 干物(一夜干し、生干し) | 冷蔵庫 | 日持ち:1~2日 |
昆布締め 醤油漬け 酢じめ(酢漬け) |
日持ち:2~3日 | ||
マリネ | 日持ち:5日 | ||
みりん干し | 日持ち:5~6日 | ||
南蛮漬け | 日持ち:1週間 | ||
なめろう | 日持ち:2週間 | ||
干物 | 冷凍 | 賞味期限:1ヶ月程度 |
冷凍での賞味期限が長くても解凍後は2~3日しか日持ちしないなど、実際は保存方法や商品ごとに日数が違うので、ご注意下さい。
アジは腐る以外に、ヒスタミンという物質が原因で食中毒になる危険性があるので、常温保存は絶対にNGです(「ヒスタミン中毒に要注意」で詳しくご紹介します)。
干物で常温(冷暗所)保存OKの商品がありましたが、特殊な製法や包装材を使っているためとお考え下さい。
生では日持ちしないアジも、調理法によってかなり長く保存できるとわかりました。
我が家の大量のアジも、さまざまな味付けをして保存してみたいと思いますが、正直面倒くさい気持ちもありますよね。
そんなときに役立つ保存方法が、次にご紹介する塩フリージングです。
アジを長持ちさせる保存方法とは?塩フリージングで旨みもアップ!
塩フリージングは、アジを一尾まるごと生のまま冷凍できて、解凍後に美味しいお刺身も味わえる保存方法です。
塩フリージングって何?
魚の体は、60%ほどが水分なので、普通に凍らせて解凍すると、身に保水されていた水分が溶け出すため、食感も味も劣化してしまうんですね。
塩フリージングをすると浸透圧で身から水分が出るので、余計な水分を抜いて身の旨みを凝縮した状態で冷凍できるんです!
解凍しても食感が劣化しにくく、旨みがUPした状態でお刺身を味わえます。
塩フリージングの方法
- アジを丸ごと一尾よく洗い、汚れと水分を拭き取る(ウロコ、内臓、尾なども取りません)
- 1%食塩水を作る(水1Lなら塩小さじ2)
- ジップつきの保存袋に、アジと食塩水を入れる(アジ全体が浸るくらい)
- 空気を抜いてしっかり密閉する
- 平らにして冷凍(2週間から1ヶ月をめどに食べる)
食べるときは、冷蔵庫に移して解凍 or 流水解凍をします。
内臓やウロコを取り、刺身から加熱調理まで、お好みの方法で食べられます!
なるべく早く冷凍する方がいいので、アルミトレイなどがあれば活用して下さいね。
塩フリージングは、肉や野菜でも使える保存方法です。
釣ったアジの処理方法
普段は、スーパーで内臓取り、三枚おろしなどをしてもらってから買うので、恥ずかしながら処理方法が全く分かりませんでした…。
ここで、釣ってきたアジの処理方法も確認しておきたいと思います。
釣ってすぐ
アジを釣ったらすぐに、潮氷漬け(氷の入った海水に漬けること)をします。
- クーラーボックスに氷と海水を入れる
- 釣ったアジを入れる
ヒスタミン(食中毒の原因となる物質)を抑えます。
調理前
調理前の下処理方法は、3つに分かれます。
アジを手に入れたら、すぐに処理しましょう。
- すぐに生や調理して食べる・・・下処理後、冷蔵庫に入れる
- 後で生で食べる・・・塩フリージングで冷凍
- 後で調理して食べる・・・下処理後、冷凍
先ほどもお話ししたとおり、常温保存は絶対にNGです。
塩フリージング以外は、ウロコや内臓を処理してから保存しましょう。
ウロコと内臓をとって三枚おろしにする、わかりやすい動画がありましたのでご紹介します。
冷凍する場合は、下記の方法で保存なさって下さい。
冷凍方法
切り身や干物などをすぐに食べない場合は、冷凍が便利です。
- お好みの形に処理したアジの、水分をしっかり拭き取る
- ラップで包む
- ジップつきの保存袋に、重ならないように入れる
- 空気を抜いて密閉する
- アルミトレイなどを使ってなるべく早く冷凍する
南蛮漬けなどに調理後のアジを保存するときは、清潔な容器に入れて清潔な箸で取り分けるのが、保存のポイントです。
保存容器のフタにつく水滴を拭き取りながら、冷蔵庫で保存なさって下さいね。
釣ってきたアジの処理方法がわかり、たくさん手に入った場合も上手に保存できそうです。
次に、スーパーで買ってきたアジに書かれている消費期限について調べてみます。
スーパーのアジはいつ釣ったかまでわかりませんが、消費期限を守っていれば安全なのか?期限が過ぎたらすぐに腐るのかが知りたいです。
アジが消費期限切れになった!いつまでなら食べられるの?
消費期限は、下記のような食品に書かれています。
消費期限:製造又は加工日を含めておおむね5日以内の期間で、品質が急速に劣化しやすい食品に表示
消費期限=傷みやすいので、一般的には食べない方が安全ですが、消費期限を1秒過ぎた瞬間に腐るというわけではないですよね。
消費期限が過ぎて1~2日食べられる食品だって実際にあると思いますが、アジの場合はどうなのでしょうか?
ヒスタミン中毒に要注意
アジのような青魚が”日持ちしない”と言われる原因は、ヒスタミンという物質です。
ヒスタミンって何?
青魚はヒスチジンという物質を持っています。
海で泳いでいるときに、ヒスチジンをヒスタミンに生成するモルガン菌などが、体内に入っている可能性があります。
温度が上がるとヒスタミンが生成されやすくなり、人間が一定量を食べると食中毒のような症状が出ます。
また、熱を加えてもヒスタミンはなくならないので、「ちょっと古くなったけど、よく火を通せば大丈夫」と考えるのは危険です。
ヒスタミン中毒の症状
ヒスタミン中毒になると、じんましん、かゆみ、下痢などの症状が出ます。
過去に死亡につながった例はありませんが、呼吸困難などの重症となる可能性もあります。
ヒスタミンの予防法
アジのヒスタミン中毒を防ぐためには、とにかく冷やすことです!
0℃より低い温度では、ヒスタミンは生成されにくいです(低温でも増殖するヒスタミン生成菌があるので注意が必要)。
常温はもちろん、冷蔵庫に長時間入れておくのも危険と覚えて頂けると幸いです。
ヒスタミンが生成されても、臭いや見た目は変化しないためパッと見ただけでは見分けられません。
アジを食べたときに舌に刺激(ピリピリ)を感じたら、すぐに吐き出して下さいね。
子どもが嫌がって食べない場合も、好き嫌いと決めつけずに対応するようおすすめします。
スーパーなどにアジが並んでいるときは、なるべく低い温度で陳列されていますが、0℃より低温じゃありませんよね。
時間が経つ程にヒスタミン中毒の危険性が高まるので、消費期限切れや賞味期限切れのアジは食べないようおすすめします。
アジは消費期限に関わらず、低温で保存して自分で安全を確保するのが大切だとわかりました。
最後に、アジが腐るとどうなるのかも確認しておきましょう!
アジは腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
アジの保存方法を間違うと、先ほどご紹介したヒスタミンの危険性が高まる上に劣化が早まります。
見た目などで食べてはいけないアジを判断する方法をご紹介します。
こんなアジは食べないで!
スーパーや魚屋さんでも、腐る寸前のアジが売っている場合があります。
気づかずに買ってきてしまった場合の、見分け方を知っておきましょう。
見た目、触った感じ
- 黒目の周りが血の色、茶色
- (干物)表面が白っぽく変色
- ぬるぬるする
- 身に締まりがなくてブヨブヨしている
- カビ
- ウロコが簡単にはがれる
- エラから血の塊のような液体が出る
臭い
- ツンとする異臭
- 生臭い
味
- 酸っぱい
- ゴミの味
通常は、見た目や臭いが目安になります。
運よくヒスタミンが生成されていなくても、腐ったアジを食べると、食中毒の菌を大量に体に入れることになります。
変だと思ったら、もったいなくても捨てましょう。
下記のような場合は、買ってきてすぐに腐る可能性もありますので、十分にご注意下さい。
- 買ってきて常温に放置
- 夏の暑い車内に放置
- 冷蔵庫で長期間保存 など
寄生中にも要注意
釣ってきたアジだけではなく、スーパーなどで売っているアジにも寄生虫がいる可能性があります。
目で見える大きさの寄生虫なので、調理する前に身をよく見て、チェックして下さいね!
アジにつく寄生虫・アニサキス
海で泳いでいる段階でアニサキスの幼虫が内臓に寄生し、アジが死ぬと筋肉に移動します。
アニサキスは、下記の方法で死滅します。
- しっかり加熱(60℃で1分以上)
- しっかり冷凍(-20℃で48時間以上)
家庭の冷凍庫は-18℃くらいなので、アニサキスが心配な場合は加熱するのが安心です。
*死滅したアニサキスを食べても、特に問題はありません。
怖いのは、刺身などを食べて、生きているアニサキスを食べてしまった場合です。
人間の胃の粘膜に入り込んで動くので、体に激痛がはしります。
アジの他にもサバ、サケ、イカなどを食べて内臓に激痛を感じたら、すぐに病院を受診なさって下さい。
アニサキスの他にも、アジノエという寄生虫がアジの口やエラの中にいる場合があります。
白いダンゴムシのような見た目で、こちらは食べても害がありません。
ただ、見た目がかなり気持ち悪いので、取り除きましょう。
この投稿をInstagramで見る
新鮮なアジの見分け方
買ってきてすぐに腐るようなアジを選ばないように、新鮮なアジの見分け方もご紹介します。
- 黒目と黒目の周りが透き通っている
- (触れる場合は)エラをめくってキレイな赤色
- 腹の中心あたりにある尻(小さな穴)に締まりがある
- 頭が小さくて身がしっかりしている
- 身にハリがある
- 傷がついていない
旬の時季(3月~お盆頃まで)に、良い状態のアジを選んで楽しんでみて下さい!
まとめ
アジの日持ちについて、詳しくご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- アジは生では日持ちしない
- アジを加工や調理すると日持ちしやすい
- 塩フリージングで冷凍後でも美味しい刺身が食べられる
- ヒスタミン中毒の危険性を考えて消費期限切れのアジは食べないのがおすすめ
- アジが腐ると見た目と臭いの変化が激しい
- 生のアジを手に入れたら寄生虫にも要注意
今回は、アジを下処理するときの注意点が詳しくわかりました。
第一に温度管理が大切なので、安全に美味しく食べきるために、今回知った情報を参考にして取り扱っていきたいと思います。
アジは、栄養が豊富で旨みが詰まった魚です。
- タウリン・・・コレステロール低下など
- ナイアシン・・・動脈硬化予防など
- DHA・・・脳を活性化など
暑い季節が旬の魚なので、体をスッキリと冷却してくれる食材と合わせて、夏バテ中に栄養を摂れるようなレシピを組み立ててみるのも楽しそうです。
どんな食材でも、無駄にしないためのポイントがあります。
アジについても、保存方法などをしっかりおさらいしながら取り扱いましょう!
刺身について、詳しい情報をご紹介しています!
↓↓↓
お刺身の賞味期限を大解剖!お魚の種類別に日持ち期間の目安を解説!