【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
市販ラードの賞味期限は製造日から半年程度の場合が多いですが、開封後は日持ち期間が短くなり、早めに使いきる必要があります。
手作りしたラードは傷みやすいので生鮮食品と同じように冷蔵庫で保存し、早めの消費がおすすめです。
料理の風味付けに便利なラードをいつでも安心して使えるように、次の項目についてご紹介します。
ラードのこと
- 賞味期限と保存期間の目安
- 開封後も常温保存が推奨な理由
- 劣化を防げる保存方法と美味しく使いきるコツ
- 冷凍保存の可能性や注意点
使いかけのラードを取り出したら賞味期限が気になり食べて良いか不安な人や、使いきれる自信がなく購入を迷っている人もぜひ参考にしてください。
目次
ラードの賞味期限と常温・冷蔵庫での保存期間の目安
ラードの賞味期限は、スーパーでも買えるチューブタイプの場合で、製造日から6ヶ月くらいの商品が多いです。
市販品 | 手作り | ||
---|---|---|---|
未開封 | 開封後 | ||
常温 | 6ヶ月程度 (表示の 賞味期限まで) |
1~2ヶ月程度 | 不可 |
冷蔵 | 2~3日程度 | ||
冷凍 | 可能 | 1ヶ月程度 |
賞味期限は商品ごとに異なるため、記載の期日と保存方法をチェックしてください。
家庭用市販ラードの定番・雪印の「純正ラード」も賞味期限は製造日から180日(約6ヶ月)で、絞り出して使うチューブタイプです。
ラードは通販でも購入でき、冷凍品で保存方法を守れば約1年日持ちする商品もありますが、冷蔵品は賞味期限が1ヶ月未満の場合もあります。
市販のラードは未開封なら賞味期限まで保存できますが、開封後は記載の期限に関係なく1~2ヶ月が消費期限の目安になるので注意しましょう。
家庭で豚のブロック肉や脂身を煮て手作りしたラードは、市販品と違って傷みやすいので注意が必要です。
手作りラードは傷みやすく日持ちしにくい
市販ラードは精製により脂質以外の不純物を除去されていますが、自家製ラードはタンパク質や水分なども含むため傷みやすく日持ちしにくいです。
種類 | 原材料 | 成分 |
---|---|---|
純正ラード | 豚脂のみ | 脂質のみ |
調整ラード | 豚脂 + パーム油・牛脂など |
|
自家製ラード | 豚肉の脂身部分 | 脂質 タンパク質 水分など |
市販ラードは豚脂100%の純正ラードと、ほかの食用油を混ぜた調整ラードの2種類に分類されますが、どちらも脂質のみでできています。
カビや細菌などの微生物が増殖するには水分・栄養・温度が必要なので、水分が含まれない市販ラードは通常腐る心配がありません。(※1)
ギャーーーー!!!ちょっと良い炒飯作ろうと思って角煮したときにとっておいたラードがカビてる!!! pic.twitter.com/jmc7H32Pk0
— カムリ (@Kamuri_syenberk) January 12, 2021
自家製ラードには油分以外に水分や微生物の栄養になるタンパク質などの不純物が残るため、こちらのようにカビや雑菌が繁殖することがあります。
スーパーの精肉コーナーでもらえることがある「牛脂」も、精製されていないものが多く腐りやすいので、要冷蔵のうえ扱い方にご注意ください。
詳しくはこの記事をチェック!
腐りにくい市販ラードも、未開封でも酸化により劣化が進むことがあり、開封後は特に空気に触れるため要注意です。
市販品は腐るよりも酸化による劣化に注意
ラードは空気に触れて光・高温の影響を受けると酸化し、色が黒ずんだり臭い匂いがしたりなど、食べない方が良い状態になる場合があります。
見た目 変色 |
・黒ずんだ色に変色する ・(手作りの場合に)カビが生えている |
---|---|
臭い 匂い におい |
・不快臭がする ・カビ臭い匂いがする |
味 食感 触感など |
・ベトベトした感じになる ・(作った料理が)変な味がして 美味しくない |
加熱時の 異変 |
・泡立って消えない ・鼻につくような臭い匂いがする |
ラードは飽和脂肪酸という成分の割合が多いため、空気に触れるだけでは酸化しにくい油脂です。(※3)
しかし調理台の近くや窓辺など、日光が当たったり高温になったりする場所に置いていると、酸化して品質が劣化する場合があるため要注意です。
詳しくはこの記事をチェック!
開封後は一気に空気に触れるためより酸化しやすい状況になるので、早めに消費することが大切です。
賞味期限が記載された食品は、未開封で正しく保存されていれば期限切れ後もすぐに安全性に問題が生じるわけではなく、まだ食べられる場合もあります。ただし自己責任での判断が必要なので、見た目や臭いから劣化がないかよく観察しましょう。
ラードを酸化や腐敗から守って日持ちさせ、賞味期限切れを早めないための保存のコツをご紹介します。
ラードの賞味期限を縮めない正しい保存方法とおすすめの使い方
市販のラードは直射日光・高温多湿を避ければ常温保存できますが、酸化による劣化を防ぐためには、密封して冷蔵庫での保管がおすすめです。
手作りラードは生の肉類と同じように冷蔵保存が基本ですが、長期間日持ちさせたい場合は冷凍もできます。
常温 | ・手作りしたものは不可 ・直射日光・高温多湿を避けて 冷暗所に置く ・開封後はフタをしっかり閉め 開口部を覆うなどして密封する (虫の侵入も防止できるよう注意) ・遮光できるよう容器や 保管場所を工夫する |
---|---|
冷蔵 | 開封後はフタや開け口を しっかり閉めて密封する |
冷凍 | ・未開封なら容器ごとも可 ・一度に使う分量に小分けして 密封する ・清潔な保存容器・袋に入れ 空気を抜いて密閉 |
ラードの使い方に合わせ、劣化を防いで使いやすくする、おすすめの保存方法をご紹介します。
市販品も劣化予防には冷蔵庫保存がおすすめ
ラードをよく使う場合、市販品なら涼しい場所で常温保存が便利ですが、しばらく使わないときや夏季は劣化予防のため冷蔵庫に入れるのがおすすめです。
常温保存できる市販ラードは酸化防止剤が加えられている場合も多く、冷蔵庫に入れると固くなるので、開封後も常温での保管が推奨されます。
賞味期限までに使いきれそうにない場合は、期限切れや劣化で食べられなくなる前に冷凍しておく方法があります。
小分けして冷凍すると使いやすい!腐敗も防げる
ラードは小分けして密封した状態で冷凍すると酸化を防いで保存でき、炒め物のような料理にはそのまま使えて便利です。
-15℃以下を保って冷凍すると微生物が生育できず腐敗が抑えられるので、手作りラードは冷蔵するより日持ちが長くなります。(※5)
チューブタイプはラップに1回分ずつ絞り出して包み、ジップ付き保存袋に入れて密封しましょう。一度に使う量が多い場合は、保存容器に入れて表面をラップで覆っておく方法もあります。
しかし冷凍保存した場合はラードの旨味やコクが落ちやすく、家庭の冷蔵庫は低温が保ちにくいので、手作り品は特に早めの消費がおすすめです。
ラードには炒飯や炒め物のほかに意外な使い道もあるので、消費量を増やしたい場合はぜひ次の活用例も参考にしてください♪
- ラーメンにトッピング
- 炒飯や炒め物を作る際の調理油に使う
- 餃子のネタの材料として練り込む
(ジューシー感をプラス) - マーガリン替わりにパンに塗る
- クッキーやパンケーキなどの
スイーツ作りに使う(中華風味になる) - 揚げ油に使う
結論|賞味期限までに使いきれないラードは冷凍保存がおすすめ
- 市販品は賞味期限が製造から6ヶ月の場合が多い
- 開封後も常温保存できるが1~2ヶ月程度が日持ちの目安
- 手作りは要冷蔵で早めに使う
- 酸化や腐敗を防ぐには密封して冷蔵庫で保存する
- 小分けして密封・冷凍すると使いやすく保存できる
市販ラードの賞味期限は製造から半年程度に設定されている商品が多く、開封後も常温保存できる場合が多いです。
しかし保存状況によっては酸化して、体への悪影響が危惧される場合もあるので、劣化を防ぐ保存のコツを覚えましょう。
手作り品は腐る可能性もあるため日持ち期間が短いですが、冷凍すれば長期間の保存も可能です。
ラードの風味を損なわず安心して食べられるように、使いやすく正しく保存し、美味しく活用して早めに消費しましょう。