【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
カレー粉の賞味期限は1年以上の場合が多いですが、保存期間が長くなったり保存状況が良くなかったりすると風味が劣化することがあります。
開封後に一度使ったら放置している場合もよくあり、カビが生えて腐ることもあるので、正しい保存方法や日持ちの目安も知っておきたいですね。
カレー粉の風味をなるべく落とさず必要なときに安心して使えるように、次の項目についてご紹介します。
カレー粉のこと
- 賞味期限はどれくらい?
- 劣化した状態の見分け方
- 開封後の日持ち期間の目安
- 劣化や風味低下を防ぐ保存方法
カレールウについても紹介するので、保存していたカレー粉やカレールウが大丈夫か心配な方や正しい保存の仕方が知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
カレー粉の賞味期限は何日くらい?開封後の日持ちも
カレー粉には賞味期限が製造日から1年以上のものが多いですが、開封後は風味の劣化が進みやすいので、半年くらいを目安に早めに使いましょう。
未開封 | 開封後 | |
---|---|---|
カレー粉 | 製造日から 1~3年 |
半年程度 |
カレールウ | 製造日から 1年半~2年 |
3ヶ月程度 |
賞味期限は商品ごとに異なり、一般的に記載の日付までが未開封での日持ち期間です。
例えばGABAN(ギャバン)のカレー粉セットは賞味期限が製造から1年で、20種類のスパイスを自分好みに組み合わせて使えるので人気がありますよ。
市販品は未開封ならカビや雑菌などの繁殖は心配ないですが、保存中に少しずつ風味が落ちていくので注意が必要です。
未開封でも酸化による風味の劣化に注意
カレー粉は空気中の酸素・熱・光により酸化して色や香り成分が劣化し風味が損なわれていくため、正しく保存して早めに使うのがおすすめです。
開封前は空気が入りにくい状態ですが、袋や透明びんはわずかに通気性があったり光の影響を受けたりするので、缶入りより酸化しやすいようです。
そのため賞味期限内でなるべく風味が劣化しないうちに使いたいですが、期限切れ後も食べて大丈夫な場合もありますよ。
賞味期限切れでも大丈夫な可能性もある
カレー粉は傷みにくい食品として、消費期限ではなく賞味期限が設定されるため、期限切れ後も未開封ならまだ安全に食べられる可能性が高いです。(※1)
賞味期限とは、未開封で正しく保存した場合に安全に食べられなくなる期限まである程度余裕を持たせた、美味しく食べられる期間です。各種テストから決めた消費期間に1以下の安全係数(0.8が多い)を掛けて設定します。
例えば賞味期限が2年のカレー粉は、安全係数を0.8・1ヶ月を30日とした場合、賞味期限切れ後もまだ半年くらい安全に食べられることになります。
またカレールウをカレー粉と呼ぶ場合もありますが、カレールウは小麦粉を油脂で炒め、カレー粉のほか各種調味料を加えたものです。
カレールウもカレー粉と同様、未開封なら賞味期限切れ後も食べられる可能性が高く、1年や2年過ぎても普通に使うという方もおられます。
しかしカレールウは未開封でも、高温で溶けてまた固まるといった状態の変化を繰り返すと、風味や品質が劣化する場合があるので注意しましょう。
詳しくはこの記事をチェック!
賞味期限切れの食品は安全性に問題が生じている場合もあるので、使えるかは開封して見た目や香りなどから自己責任で判断する必要があります。
S&Bの「赤缶」と呼ばれるカレー粉は賞味期限が製造日から3年と長く、メーカーによると開封後も表示の期日まで美味しく食べられるそうですよ。
缶は気密性が高く遮光もできるので酸化を防げ、賞味期限が長めに設定されます。
きょうの料理は残り物で作った
スパイスチキンカレー🍛
きのう鶏白湯を取った鶏肉を使って
5年前に賞味期限切れになったS & Bカレー粉を仕上げに❗️うん。食える😆 pic.twitter.com/K1iElRZYLk— あまりもの男の余りモノ料理(あまだん) (@BBQ02041469) January 9, 2022
カレー粉はこちらのように賞味期限切れ後5年経っても劣化がない場合もありますが、風味は落ちているかもしれません。
さらに開封後のものは空気に触れて一気に酸化が進み、湿気を吸ってカビの原因になることもあるので注意が必要です。
開封後の湿気は大敵!カビや腐る原因に
カレー粉は乾燥しているため湿気を吸いやすく、固まるだけでなく劣化が進んで食べられなくなる場合もあるので、開封後は特に要注意です。
見た目 変色 |
・固まっている ・カビが生えて変色している ・虫が付いている ・容器内に汁気がある ・溶けている |
---|---|
臭い 匂い におい |
・香りがしなくなっている ・異臭がする |
味 食感 触感など |
・通常と異なる味がする ・料理がいつもと違い 変わった風味になる |
スーパーで市販される包装容器入りのカレー粉は衛生管理下で無菌充填されるので、開封前は微生物が入り込む心配はありません。
しかし開封後は空気中に浮遊しているカビや雑菌が付くこともあるので、湿気を吸ったうえに温度条件が合うと繁殖する場合があります。(※3)
微生物の生育には水分・栄養・温度が必要ですが、カビはわずかな水分含量でも繁殖できるので注意が必要です。
またカレー粉は小麦粉と同様に、乾燥食品を好むコナダニやシバンムシなどの害虫が入り込み、中で繁殖して食べられなくなることもあります。
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カレー粉を安全に風味良く使いきれるように、正しい保存方法を覚えましょう。
カレー粉の賞味期限を延ばす保存方法と注意点
カレー粉を劣化させず賞味期限を延ばすには冷暗所で保存し、開封後は密閉容器に入れて密封・遮光し、酸化や湿気を防ぎましょう。
カレー粉 | カレールウ | |
---|---|---|
常温 | ・直射日光・高温多湿 を避け冷暗所で保存 ・開封後はフタを しっかり閉めて密封 ・缶やびんなどの 保存容器に移し替えて 密封 |
・直射日光・高温多湿 を避け冷暗所で保存 ・フィルムをはがした ものは不可 |
冷蔵 | あまり おすすめできない |
フィルムをはがした ものは密閉容器・袋に 入れ空気を抜いて密封 |
冷凍 | ・開封後はフタを閉め しっかり密封 ・冷凍用の保存用袋に 入れて密封 |
プラスチックトレーに入った固形カレールウはフィルム状のフタを開けると開封したことになり、傷みやすいので常温保存できなくなります。
カレー粉の方は開封後も常温保存が基本ですが、風味を保ち賞味期限を短くしない工夫が大切です。
保存のポイントは密封と遮光!冷凍もできる
カレー粉を日持ちさせるには、香りの低下や劣化を防ぐため密閉容器に入れて遮光したうえで涼しい場所で保存することが大切です。
コンロ周りは特に高温多湿になりやすいため、保管場所には向きません。
また袋入りのカレー粉を常温で保存する場合は、虫が食い破れないよう空きびんや缶のほか、密閉できる保存容器に入れておくのがおすすめです。
スパイスであるカレー粉を冷蔵庫で保存すると出し入れの際に結露を生じる場合があり、湿気やすいためおすすめできません。
長期間風味を落とさず日持ちさせるには冷凍保存がおすすめですが、出し入れや再冷凍は劣化に繋がるため、少量ずつに小分けしておきましょう。
カレー粉の香りを逃さないように、保存方法や扱い方を工夫して、最後まで美味しく使いきりたいですね。
結論|カレー粉は密封・遮光して賞味期限まで香りを保とう
- 賞味期限は製造日から1~3年の長めの商品が多い
- 腐るより酸化や湿気により風味が劣化しやすい
- 劣化予防には保存容器で密封・遮光し冷暗所で保存
- 冷凍なら長期保存も可能
- 開封後は半年を目安に早めに消費
カレー粉は保存が効くため賞味期限は長く設定されているものが多いですが、保存中は風味の劣化に注意が必要です。
保存状況や扱い方によってはカビや虫が発生する場合もあるので、せっかくの美味しいカレー粉を安心して使えるよう、工夫して保存しましょう。
開封後保存していたものを久しぶりに使うときや賞味期限切れになった場合は、劣化の見分け方をぜひ参考にしてみてください。