【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
鶏肉の真空パックの賞味期限は、冷蔵保存で加工日から5日程度と通常パックの場合より長くなります。
家庭でも専用機器を使って、食材の保存や調理に活用する方も増えてきました。
しかし生の鶏肉は傷みやすく食中毒の危険性もあるため、真空パックといえども保存の仕方には要注意です。
そこで鶏肉の真空パックをより安全に美味しく食べられるように、次の項目についてご紹介します。
鶏肉の真空パックのこと
- 賞味期限が長くなる理由と保存できる期間の目安
- 食べられない状態の見分け方
- 開封後や賞味期限切れの対処法
- 劣化を防ぎ日持ちを延ばす冷蔵・冷凍保存のコツ
対処法がわからず真空パックの鶏肉の購入を迷っている方や、冷蔵庫で何日か経って使えるか悩んでいる方もぜひ参考にしてください。
目次
鶏肉の真空パックの賞味期限はいつまで?冷蔵・冷凍の保存期間
鶏肉の真空パックの賞味期限は冷蔵品で加工日から5日程度ですが、冷凍品は1~4ヶ月程度など長期保存できる場合が多いです。
種類 | 冷蔵 | 冷凍 | |
---|---|---|---|
(参考) 通常パック 鶏肉 |
冷蔵品 | 加工日より 2~3日程度 |
約1ヶ月 |
鶏・精肉 | 冷蔵品 | 加工日より 5日程度 |
加工日より 1ヶ月程度 |
冷凍品 | 解凍後は なるべく早く |
加工日より 1~4ヶ月程度 |
|
サラダチキン | 冷蔵品 | 製造日より 1ヶ月前後 |
- |
冷凍品 | 解凍日含めて 5日くらい |
製造日より 2~4ヶ月程度 |
市販品には賞味期限か消費期限が設定されているので、基本的に記載の期限までが日持ちの目安です。
真空パックは気密性の高い包装材で空気を遮断でき、通常パックよりも傷みにくい状態になるため賞味期限が長くなります。
しかし開封すると真空状態ではなくなり、記載された賞味期限とは関係なく日持ちしません。
開封後は日持ちしないので早めに使う
真空パックの鶏肉も、開封後は通常包装の精肉と同じように空気に触れて消費期限が近くなるのでなるべく早く食べましょう。
食品を劣化させる原因になる微生物の多くは、生育するのに空気・水分・適した温度が必要なので、真空状態では活動できません。(※1)
真空パック包装では、プラスチック素材の袋に食品を入れ、特殊な機器を使って空気を抜いて密封されます。中の食品は微生物による劣化や酸化を防げ、品質や風味を保ちながら保存期間を延ばせるのです。
しかし開封すると一気に空気が入って酸化が進むと同時に、温度の条件がそろうと食品に付いた微生物が栄養分を分解しながら増殖します。
サラダチキンのような調理加工されたタイプも開封前は長期保存できますが、開封後の消費期限は1~2日の場合が多いです。
賞味期限は未開封で正しく保存されていた場合の美味しく食べられる期間なので、開封後は早めに食べる必要があります。(※2)
真空パックは安心感がありますが、賞味期限内でも状況によっては傷む可能性があるため、食べられない状態の見分け方を覚えましょう。
粘り気やカビ・変色・悪臭は危険!開封前でも要チェック
鶏肉の真空パックは開封前でも劣化して腐る場合があり、微生物の繁殖により粘り気やぬめり・カビ・変色・悪臭などの異変が生じます。
- 袋と鶏肉が密着せず空間ができる
- できた空間に濁った汁が溜まっている
- カビが生えている
- 変色している
- 開封時に酸っぱい臭いや不快臭がする
- 肉の表面に粘り気やぬめりがある
購入時の持ち帰り方や保存方法が正しくなかったり包装が破損したりすると、未開封で賞味期限内でも腐敗する場合があります。
また内部にわずかな空気が残る場合があるので、食品に微生物が生き残っていて保存中に繁殖する可能性もあるのです。
鶏肉の真空パックが未開封で賞味期限切れになった場合も、すぐに食べられなくはなりませんがおすすめはできません。傷みやすい状態なので、安全に食べられるかを五感で判断する必要があります。
劣化した鶏肉はカンピロバクターという細菌による食中毒を起こす危険性が高まるため、取り扱いに注意が必要です。
詳しくはこの記事をチェック!
買ってきた肉を家庭で真空パックにする方も増えていますが、市販品より保存期間が短くなるので注意が必要です。
家庭で真空パックした場合も早めに消費
家庭で真空パックにした場合も密封性が高まり傷みにくい状態で保存できますが、日持ちの長さは過信せず、なるべく早めに消費しましょう。
しかし家庭で真空パックにすると、滅菌しないうえに多少空気が残って完全には真空にならない場合もあるようです。
そのため日持ちの目安は市販品より短く、通常の1.5~2倍くらいになると考えられています。
真空パックの鶏肉を安全に美味しく食べられるように、劣化を防ぐ保存のコツも知っておきましょう。
鶏肉の真空パックを日持ちさせる保存方法 | 冷蔵・冷凍のコツ
鶏肉の真空パックは冷蔵庫のチルド室で冷蔵するか冷凍保存にすると、消費期限までの日持ちを延ばせます。
常温 | 不可 (ただし調理加工タイプは商品により可能) |
---|---|
冷蔵 | 冷蔵庫のチルド室・パーシャル室などで保存 |
冷凍 | ・冷凍庫の奥側で保存 ・包装材の破損に注意 ・できるだけ急速に凍らせる |
未加熱の鶏肉は真空パックしても生鮮食品に変わりなく、常温保存はできないので持ち帰る際の保冷にも要注意です。
できるだけ長く美味しく日持ちさせるため、冷蔵・冷凍保存のポイントを覚えましょう。
冷蔵保存にはチルド室がおすすめ
鶏肉の真空パックを冷蔵する場合は、冷蔵庫内でもより低温を保てるチルド室・パーシャル室での保存がおすすめです。
冷蔵庫は扉の開閉や詰め込み過ぎにより温度が高くなりやすいので、保存場所にも注意しましょう。
また鶏肉は真空パックにする場合も調味料と一緒に入れて下味を付けながら保存すると、より傷みにくくできますよ。
冷蔵保存しても期限内に使えそうにないときは、冷凍して賞味期限を延ばしましょう。
真空パックのまま冷凍すると賞味期限が延ばせる
真空パックの鶏肉は冷蔵品でも、新鮮なうちに未開封でそのまま冷凍すると、劣化を抑えながら1ヶ月程度日持ちできます。
密封状態のため冷凍中の乾燥が防げ、冷凍焼けという酸化による品質劣化も抑えられるのです。
商品によっては冷凍した場合の保存期間が設定されているので、記載事項を確認してください。
再冷凍は風味が低下しやすく劣化の原因になるので、解凍後はなるべく早く食べましょう。
結論 | 鶏肉の真空パックは冷凍保存で賞味期限が延ばせる
- 空気を抜いて密封されているから酸化・劣化しにくい
- 通常パックに比べて賞味期限が長い場合が多い
- 開封後はなるべく早めに食べきる
- 冷蔵保存にはチルド室がおすすめ
- 冷凍保存なら劣化を防ぎながら長期保存が可能
鶏肉の真空パックは空気に触れずに保存できるため劣化が防げ、通常包装より賞味期限が長くなります。
とはいえ精肉の賞味期限は冷蔵で加工日から5日程度なので、もっと長く日持ちさせたい場合は冷凍保存がおすすめですよ。
また開封前でも傷む場合があるため、劣化や腐敗を見分け方も覚えておきましょう。
真空パックの利点を活かして長く美味しく安心して食べられるように、冷蔵・冷凍のコツもぜひ活用してください。