【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
カレーをひと晩寝かせると美味しくなると聞いたのですが、常温で放置していると変な匂いがして腐ることがありますよね。
暑い夏ならまだしも、冬なら常温でも半日くらい放置しても大丈夫なのかな?と思いますが、何時間くらいなら大丈夫なのかなど、以下の項目について調べてみました。
- カレーの常温保存、夏の目安と冬の目安
- 腐っているか不安…見分け方は?
- 余ったカレーの正しい保存方法とは?
- お弁当にカレーは無理?
- 毎食カレーで飽きてきた…アレンジレシピで何とかならない?
できたてのカレーは熱すぎてすぐに冷蔵庫に入れられないので、ついうっかり忘れて常温で何時間も放置することもあります。
カレーを作る量がいつも多くなって余ってしまうのですが、何日も日持ちする保存方法がわかると何かと便利ですよね。
いつものカレーに飽きてしまった時にも便利なアレンジレシピも調べてみたので、ぜひあなたも参考にして美味しくカレーを食べきる方法を覚えてください!
管理栄養士・栄養士
目次
カレーは常温でいつまで大丈夫なの?夏と冬の注意点を解説!
カレーの常温保存が危険と言われているのは、カレーの材料に含まれている食中毒の原因菌が大きく関わっています。
カレーの具には必ず肉か魚介類が入りますよね。
実は肉や魚介類にはウェルシュ菌という細菌が存在していることが多く、これが食中毒の原因となります。
ウェルシュ菌は”芽胞”を作ってしまうと100℃で6時間の調理にも耐えるため、菌が増殖する環境を作らないことがとても大切です。
常温保存の場合ですと早ければ6~8時間で菌が増殖してしまうため、晩御飯に作ったカレーが翌朝には…というのは十分考えられます。
なお、ルーを入れる前と入れた後に関わらず、材料を煮込んで常温保存している時点でどちらもウェルシュ菌が繁殖しやすくなっている点に注意が必要です。
食べる前に温め直しても菌が死滅しないので、何時間まで大丈夫と考えるよりも一度繁殖してしまうと食中毒は避けられないと考えておきましょう。
余計な雑菌が入り込まないように清潔な手、清潔な調理器具で料理をすることはもちろんですが、それ以外にもこんなことに注意すると食中毒予防になります。
<食中毒の予防策>
- 夏場なら半日(5時間から7時間)程度、冬場なら1日(12時間)程度が常温保存できる目安
- 春や秋でも気温が20度以上あるなら夏場と同じ
- 43~47℃くらいになると菌が増殖するため、素早く粗熱を取って冷蔵庫にしまうのが良い
- 鍋ごと冷蔵保存はおすすめできない。容器に入れ替えてレンジで加熱がおすすめ
- 料理を温め直す時は75℃で1分以上が基本!
大量に作ったカレーが何日持つか気になるところですが、常温だと冬でも翌日までが目安なので、作った次の日には食べきるくらいの量を作るのがおすすめです。
真夏だと1日ももたないので日数は何日もつかと考えるよりも、季節を問わずに作ってすぐに食べきれなかったら冷蔵保存または冷凍保存することをおすすめします。
調理後にコンロの上に出しっぱなしにしておくと鍋の温度はゆっくりと下がっていきますので、菌が繁殖しやすい温度を保つ時間が長くなってしまいます。
氷や流水を大き目の鍋に溜め、そこに鍋底をつけて素早く温度を下げてから冷蔵庫にしまっておくのが最善ですよ。
「カレーは夜に作って一晩寝かせると美味しい」と言われる理由は、煮物と同じで一度冷めてから温め直すと味がしみて美味しくなるから。
作り置きのカレーは素早く冷まして冷蔵庫に入れておいても美味しくなりますので、コンロに出しっぱなしはやめましょうね。
圧力鍋などで作った場合は、容器を入れ替えてラップや蓋をしてから冷凍保存してください。
残りカレーを再加熱する時は、基本である75℃で1分以上を守っておけばほとんどの菌は死滅します。
ウェルシュ菌以外の菌が原因で起こる食中毒の予防になりますから、しっかり加熱しましょう。
ウェルシュ菌は酸素が嫌いなので、大きな鍋で作ったカレーやシチューなどは、鍋底の方は特に酸素が少なくて菌が好む環境です。
空気を混ぜ込むように、鍋の中を底の方からしっかりと混ぜながら加熱すると予防になりますが、鍋ごと冷蔵するよりもいったん容器に移し替えてレンジで加熱するのがおすすめです。
ちなみにカレーパンも、常温では要注意!保存の目安は消費期限を見て判断すれば良いですが、食べ逃したら冷蔵庫に入れておいた方が良いです。
カレーを常温保存するのは夏は半日程度が目安で、冬も丸一日くらいですが、冷蔵庫に入れ忘れて常温で24時間以上放置した場合は腐る可能性もあります。
次章では、カレーが腐るとどうなるのか、食べても大丈夫なレベルの見分け方について紹介します。
カレーが腐るとどうなる?食べられるかどうかの見分け方
カレーが腐ると見た目や臭いなどで判断できます。
以下のような状態になったカレーは要注意です。
<カレーが腐るとこうなる!主な特徴4つ>
- 酸っぱい感じの味がしたり、酸っぱい臭いがする
- 納豆のような、作りたてのカレーではしなかった臭いがする
- 表面に白い膜ができている(カビが発生している)
- シュワシュワと泡が立っている
こういった明らかに腐っていそうな特徴が出ていたら、大抵の人は腐っていると気付くと思いますので絶対に食べないこと!
見た目にあまり変化がないけれど不安な場合は、少量を口に含んでみましょう。その際、異変を感じたら吐き出します。
私もカレーを腐らせてしまった経験は何度かありますが、カビが生えていたり、温め直す時に臭いをかいだら嫌な臭いがしたりと腐っていることが分かりやすいことが多かったです。
「見た目も臭いも大丈夫だったのに、食べたら症状が出た~」という経験は今のところはありません。
腐ったカレーを食べたらどうなるの?
梅雨時期など室温が20度以上になるとウェルシュ菌が繁殖しやすくなるので、一昨日作って放置したカレーは既に腐っている可能性が高くなります。
腐ったカレーを食べると、数時間で下痢や腹痛などの症状が出ます。
ウェルシュ菌の潜伏期間は6時間~18時間、平均的な目安は約10時間程度くらいです。
すぐに症状が出るわけではないので、初めのうちは何でお腹を壊しているのか原因に思い当たらないこともあるかもしれませんね。
ちなみに症状は一般的には軽く、1~2日で回復する例がほとんどです。
ただし激しい腹痛や発熱、嘔吐が続く場合は病院を受診した方が良いです。
特に抵抗力の弱い小さな子供は食中毒で入院となるケースも多いので、早めに病院で診てもらいましょう。
妊婦さんがカレーを食べて食中毒の症状が疑われる場合は、症状が軽くても産婦人科に相談しておくと安心ですね。
せっかく作ったカレーが腐る前に、正しい保存で日持ちさせる方法を紹介します!
必見!余ったカレーやシチューの正しい保存方法は?
調理後はなるべく早く冷ますのが食中毒予防の基本です。それ以外にも、更に細かいテクニックがあるのでご紹介しますね。
<カレーを保存するコツ5つ>
- 鍋ごと水に浸けて冷やす(※水に氷を入れると効果的)
- 冷ました後は、真空パックやタッパーなどに小分けにして冷蔵保存する
- 冷蔵保存なら2日~3日が保存の目安
- 冷凍保存なら約1ヶ月が保存の目安
- 冷凍する場合はジャガイモは抜いた方が良い
菌が増殖しやすい30℃~50℃になる時間を短くするため、鍋ごと冷して素早く冷ますのが肝心です。
保存が3日程度なら毎日取り出して火を通す必要はありませんが、食べる前には75℃1分以上の加熱をお忘れなく!
その際に早めに小分けで保存してある方が、食べる分ずつ取り出して加熱ができるので便利ですよ。
またレトルトカレーは無菌状態にしてあるから常温で長期保存が可能なものなので、開封後は冷蔵庫などで保存し、早めに食べ切るようにしましょう。
お弁当にカレーは大丈夫?どうしても食べたいならコレを見て!
お弁当としてカレーを持っていく時は、特に注意が必要です。
夏は鍋で放置したカレーが半日で腐るのであれば、タッパーやお弁当箱に入れてお昼までそのままの状態では腐ってしまう可能性が高いのも頷けますよね。
会社の冷蔵庫にしまっておける人なら、「よく冷ましたカレーをタッパーに入れ、保冷バッグにタッパーと保冷剤を入れて持ち運び、昼まで冷蔵庫に…」という手順で何とかならなくもないです。
また冷蔵庫は無理でも、コンビニなどから買ってきたカレーや冷凍しておいたカレーを電子レンジで温めるくらいならできるという方もいるでしょう。
けれど学校や保育園などでは保管場所が整っていないですし、日陰で風通しの良い場所だったとしても、夏場は危険です。
夏の暑い時期のお弁当にカレーはやめておきましょう。
また夏以外の季節に持って行く場合も、手作りのカレーは冷めた状態だと脂が固まったりして、温め直さないと美味しくなくなってしまいます。
冷めた状態でも美味しいレトルトカレーの方がお弁当向きですよ。
無印でもいろんな種類のレトルトカレーが販売されています。
最後に、余ったカレーを最後まで美味しく食べきれるアレンジレシピを紹介します。
カレーに飽きた!そんな時は簡単アレンジレシピを試してみて!
我が家でも、うっかり作りすぎてカレーが大量に残ることがあります。
そんな時は私が朝ご飯やお昼ご飯でせっせと食べて消費し、最後に残った少量はカレーうどんにするというのがお決まりのパターンです。
<我が家流!簡単で美味しいカレーうどんの作り方>
- カレーに水を適量加え、温める
- 切ったネギを加える
- 濃縮タイプのめんつゆを加える(※2人分でお玉に1杯分くらい入れます)
- 麺は別茹でし、丼に先にいれておいてカレーをかける
冷凍うどんがあれば、ぱぱっと手軽にできちゃいます。好みで花かつおをかけても美味しいですよ。
ネギやダシの風味がカレーの雰囲気を変えるので、飽きてきた頃にも丁度いいんですよ。
めんつゆをたっぷり入れて、ダシや醤油の和風な味を強くするのが味を大きく変えるコツです。
余ったカレーのアレンジレシピ例
- コロッケ⇒加熱してつぶしたジャガイモにカレーを混ぜ、冷めてから丸めて衣をつけて揚げる
- パスタ⇒カレーに少量の水とケチャップを加え、茹でた麺に絡めたら粉チーズをたっぷり
- 食パン⇒お好みの具とカレー、チーズをのせて焼くトーストアレンジ
余ったカレーをアレンジする時は、「ご飯を使わない」というだけでカレーライスから離れたイメージになるので気分が変わりますよ。
調理が簡単なアレンジでは、チーズをたっぷりかけたドリアが挑戦しやすいと思います。
ご飯もカレーも既に火が通っているので、温め直したカレーをかけてチーズが溶けるまで焼けばOK!お好みで卵のせて半熟にしても♡
★☆ #金曜日はゴールデンカレーの日 ☆★1週間お疲れ様です。地域によっては肌寒い日が続きますね。そんな時はいつもの金曜カレーに、とろ~りチーズを効かせたアレンジはいかがですか? #チーズ × #カレー の濃厚な組み合わせに、心も体も温まること間違いなし☆ レシピは⇒ https://t.co/4VLj3b6roK pic.twitter.com/jKDNliEHQf
— エスビー食品株式会社 (@sbfoods_jp) September 14, 2018
まとめ
カレーの常温保存について調べた結果は以下の通りです。
<カレーを常温保存する場合>
- 夏場なら半日、冬場なら1日程度が目安
- 常温保存は菌が繁殖しやすいのでどの季節もおすすめできない
- カレーで食中毒の原因になりやすいのはウェルシュ菌
- 43~47℃くらいになると菌が増殖するため素早く粗熱を取って冷蔵庫にしまう
- 鍋ごと保存は菌が残りやすいので容器に入れ替えるのがおすすめ
- 再加熱は75℃で1分以上が基本!
- ウェルシュ菌は芽胞を作ると100℃の熱にも耐えるため菌を増殖させないことが重要
- 夏のお弁当にカレーは危険!
- お弁当で持ち運びするならレトルトの方が確実
<カレーが腐るとこうなる>
- 酸っぱい感じの味や臭いがする
- 納豆のような臭いがする
- 表面に白い膜ができている(カビが発生している)
- シュワシュワと泡が立っている
<余ったカレーの保存法>
- 鍋ごと水に浸けて冷やす(※水に氷を入れると効果的)
- 冷めたら容器に小分けにして冷蔵保存する
- 冷蔵保存なら2日~3日、冷凍保存なら約1ヶ月が保存の目安
- 冷凍する場合はジャガイモは抜いた方が良い
- カレーうどんやコロッケなどの料理にアレンジできる
日本人は1人あたり年間で約75回もカレーを食べているという調査結果があります。ちなみにカレーの消費量が一番多い都道府県は鳥取県!
よく作るからこそ、うっかり雑に放置してしまう危険性も高いと思っておいた方が良さそうです。
またカレーやシチューはしっかり煮込んで作るため、「きちんと火が通っているから食中毒の心配がない」と安心してしまいがちですが、ウェルシュ菌という加熱にも耐える菌が入ってしまう危険がありますので、火を通すこと以外の食中毒予防も忘れずに!
疲れて帰った日なんかは、冷凍庫にストックのカレーがあると本当に助かります。
野菜もお肉も入っているから一品だけでも栄養バランスが良いですし、子供も大好きでよく食べますから。
私は解凍しやすいという理由でキーマカレーを冷凍ストックしておくことが多く、普通のルーをかけるカレーは冷蔵保存で食べ切ります。
カレーの具や好みに合わせて保存方法を変えてみてもいいですね。
なお、カレールーは常温保存できますが、開封後は密封容器などに入れて、保存期間は3ヶ月を目安に冷蔵庫で保存してください。
たっぷり作った方が美味しいですし、ついつい作りすぎてしまうカレー。
私もやったことがありますが、鍋に半分以上を残している状態で腐らせてしまったらショックですし、食材ももったいないです。
きちんと小分けしてから冷蔵なり冷凍なりで保存をして、最後まで美味しく食べ切るようにしましょう。