冷蔵庫を開けると、奥のほうに何かが…。よく見ると、一番上の棚の奥に梅干しがちょこんといるではありませんか!
こんなふうに、つい奥に追いやってしまって、「忘れてた!」ってなることはありませんか?実は、わたしはよくやっています…。
とくに賞味期限の長い食品は、また今度と思ったまま、つい忘れてしまうんですよね。いかんいかん。
日付を見ると、賞味期限からなんと6ヵ月も過ぎていました!
どうする?わたし…。「もったいない」が口癖の私に捨てるという判断は、できません。
でも食べられるの?保存食の梅干しだもの、大丈夫。でもでも…。
いっそ、ぐずぐず悩んでいないで調べてしまえってことで、
・梅干しはスーパーで市販されているものと自家製のもので賞味期限は違うの?
・昔の人の知恵がいっぱい!自家製梅干しに賞味期限がない理由
・簡単手作り!賞味期限のない自家製梅干しの作り方
・賞味期限切れの梅干しを食べてみた!その結果は?
などなど、梅干しの賞味期限について、くわしく調査してお話します!
賞味期限切れや、何年前のものかわからない梅干しは、もったいないけど食べても大丈夫なのか不安なものですよね。ここで、ハッキリさせましょう!
目次
梅干しの賞味期限が切れてた!食べても大丈夫なの?
賞味期限が半年も過ぎてしまった我家の梅干し。はたして食べても大丈夫なんでしょうか?
調べてみると、梅干しに表示されているのは、賞味期限なんですね。ですから、期限が過ぎていたからと言って食べられないわけではありません。
もちろんこれは、適切な保存をしている未開封の場合です。
そういえば、食品に書かれている期限には、賞味期限と消費期限があります。そもそも、なぜ二種類あるのでしょうか。
それは一言でいえば、「日持ちするか、しないか」によって分けられているからです。では、それぞれの定義をみてみましょう。
・消費期限(年月日で表示)
この期限を過ぎたら食べない方が安全という年月日
→製造・加工されてから、およそ5日以内に食べなければならない痛みやすい食品に表示される
・賞味期限(年月日もしくは年月で表示)
この期限までは美味しく食べることができる年月日(あるいは年月)
→消費期限に比べ、痛みにくい食品に表示される。この期限を過ぎても、色・臭い・味などに異常がなければ、食べることができる
開封したか未開封かでも賞味期限は変わる
■未開封で冷蔵庫に入っていれば、賞味期限後3カ月は大丈夫!
開封せずに冷蔵庫に入れてあった梅干しなら、賞味期限後でも3カ月は食べても大丈夫です。
「3カ月も!?」と驚いてしまいますよね。でも、梅干しはもともと保存食なので、梅干しにカビなどが発生していないかをよく確認すれば、まず大丈夫です。
■開封して冷蔵保存していたものは、賞味期限後1~2週間程度なら大丈夫
開封したものは、いくら冷蔵保存をしても、乾燥したり雑菌が繁殖してしまう可能性があります。なので、食べても問題がないのは、長くても2週間程度です。それを過ぎた場合は、残念ながら処分したほうが無難だと思います。
そして、さらに気をつけなけらばならないことがあります!
■賞味期限が切れたら食べないほうがよい梅干しもある
最近は、健康志向から減塩タイプや、食べやすいことからはちみつ漬けの梅干しが多く販売されていますよね。
我が家も夫の血圧を考えて、梅干しから醤油まで減塩タイプですが、それらの梅干しは、塩分が10%以下になっています。
塩分が10%以下のものは保存食とはいえず、「要冷蔵」と書かれているはずです。こうした減塩タイプの梅干しは、表示されている賞味期限内には食べきるようにしてくださいね。
梅干しはスーパーで市販されているものと自家製のもので賞味期限は違うの?
昔は、梅干しといえば自家製でしたが、今では、スーパーにも多くの種類の梅干しが並んでいます。
では、自家製のものと市販されているものでは、賞味期限に違いはあるのでしょうか?
自家製の梅干しには、賞味期限がない!
自家製の梅干しは、梅の実・塩・紫蘇だけで作られています。ほかに余計なものは入っていませんし、塩分濃度は20%以上とかなり高いんです。
私も、母が作ってくれた梅干しは、「酸っぱい」というより「しょっぱい」と感じたことを覚えています。
自家製の梅干しにはそれだけの塩気があるので、とても優秀な保存食となり、賞味期限というものは存在しないのです。
実際、室町時代に漬けられた梅干しが現存するそうです。
もちろん、食べても問題ないのでしょうけど、どんな味なんでしょう。やっぱり梅干しの味…?ちょっと興味がわきますよね。
そういえば、母の梅干しは、しょっぱくてあまり食べられなかったんです。せっかく作ってくれたからと、始めはがんばって食べていたものの、そのうち…。それから5年くらいたったころに、食品棚を整理してると母の梅干しが!
恐る恐る開けてみると、少し白く乾いているように見えますが、虫がわくこともなく、においも変じゃないんです!
まずは毒見(!)で、夫に食べてもらいましたが、何の問題もありませんでした。室町時代とまではいかないものの、自家製梅干しの保存効果は、想像以上にすごかった!!
さてさて、超保存食としての自家製梅干しに対して、市販のものはどうなんでしょうか?
市販の梅干しは保存食とは言えないので、賞味期限は3~6カ月
市販の梅干しは、塩漬けにして干した梅を、水につけて塩分を抜いてから、ハチミツや酢、カツオ節などで味付けされた調味液に漬けこんで作ります。そのため、塩分濃度は10%程度になり、保存食にはなりません。
また、市販する食品ですから、必ず賞味期限を表示しなければなりません。なので、一般的には、3~6カ月の期限表示がされています。
市販の梅干しは保存食とはいえませんが、比較的、保存のきく食品といえますね。
昔の人の知恵がいっぱい!自家製梅干しに賞味期限がない理由
自家製梅干しのすごさはおわかりいただけたかと思いますが、なぜ、それほど保存できるのでしょう?
それは…昔の人がとっても賢かったから!(そこ、笑っている場合じゃないですよ~!)
これは、冗談のようで冗談じゃないんです。なぜって、何にも検査方法がないのに、こうすれば長期保存ができるって思いついた人がいたんですから。
暮らしの知恵と言ってしまえばそれまでですが、やはり昔の人はすごいと思います!
では、具体的に説明します。
1.塩分濃度20%以上と高いため、塩による殺菌効果がある
おにぎりを握るときにも塩をまぶしますよね。これはなぜかというと、塩に殺菌効果があるからなのです。
なぜ塩に殺菌効果があるのか?については、う~ん、説明が難しいです。化学は苦手なので…。でも、本当に簡単に言うと、
「塩が入ることで、細菌やカビなどの水分が細胞の外に出てしまい、微生物が死んでしまうから」です。
人間も脱水症状になると、大変なことになりますよね。こんな感じですかね…。あ~これが限界です!私、文系なので_(._.)_
では、次いきまーす。
2.クエン酸・リンゴ酸・コハク酸などの有機酸による防菌効果がある
有機酸…、また化学ですね。でも、これ以上説明して脳がうんざりしてもいけないので、今回は止めておいて…。それぞれの効果を見てみましょう。
クエン酸
梅干しにはもちろん、レモンやオレンジなどの柑橘系の果物に多く含まれていて、疲労回復や美肌効果などの効能があります。
リンゴ酸
そのままリンゴや梨、赤ブドウなどに含まれていて、クエン酸と同じく疲労回復を促したり、自然治癒力を高める作用もあります。
コハク酸
アサリなどのうまみ成分として知られています。調味料・酸味料・㏗調整剤として、食品添加物に使用されていますが、摂りすぎなければ問題はなく、新陳代謝や血行促進などに効果があります。
どれも、悪性の細菌に対して強い防菌効果があります。
3.紫蘇に含まれるベリアアルデヒドという成分による防腐効果がある
実は、梅と一緒に漬けこむ、あの赤紫蘇にも意味があるんです!
紫蘇はあのさわやかな香りと、豊富な栄養成分から“日本のハーブ”と言われ、食欲促進・アレルギー対策・成人病予防などの効能があります。
また、刺身のツマに添えられることからもわかるように、ペリルアルデヒドによる強い殺菌作用・防腐効果があります。
以上の3つの働きによって、何年にも及ぶ梅干しの長期保存が可能になっているのですが、保存状態によっても保存期間が左右されます。
そこで、長期保存をするための条件を確認しておきましょう。
直射日光を避けた冷暗所で保存する
梅干しを長期保存するためには、直射日光を避けて冷暗所に保存することが大切です。梅干しだけではなく、どんな食品についても保存方法には、気を付けたいですね。
簡単手作り!賞味期限のない自家製梅干しの作り方
梅干しは賞味期限がない、とても優秀な保存食ということをお伝えしてきました。
ここまで読んでいただいた人の中には、「賞味期限のない梅干しを作りたくなった!」という人もいるかもしれませんね。
「でも難しそうだし…」と思っているあなた、大丈夫です!いまから、梅干しを手作りする方法を、一つ一つ丁寧に解説します!
何事もチャレンジですよ。さっそく、作ってみましょう!
■自家製梅干しの材料
・梅 1~2kg
・塩(できれば粗塩) 梅の重さの20%
・赤紫蘇 100~400g(梅の重さの10%~20%)
・塩(粗塩) 赤紫蘇の重さの20%
・焼酎(カビ防止・殺菌用なので35度のもの)
*梅は、漬けるのに最適な6月後半ごろにはスーパーなどに赤紫蘇、漬けるための瓶などと一緒に並ぶこともあるので、探してみてください。
■自家製梅干しの作り方
1.梅がまだ青い場合は、お皿に重ならないように並べて、風通しのよいところで黄色くなるまで置きます。
2.竹串などで、梅のヘタを取ります。
3.ボールに水を張って梅を優しく洗います。このとき、あまり長く梅を水にさらさないように注意しましょう。梅が傷みやすくなります。梅の汚れが取れたら、梅をザルに上げて水をよく切ります。
4.ボールに梅を入れて、焼酎を振りかけます。これは、カビ発生の予防と殺菌のためです。次に別のボールに梅を移して、今度は塩をひとつかみとって梅にまぶします。
5.殺菌のため、焼酎を振りかけておいた保存容器の底に、梅を隙間なく並べて、塩を振り入れます。その上に梅を並べて塩を振り入れます。このようにして、一段ずつ交互に梅と塩を入れていきます。塩は上になるほど多く乗せるようにすると、梅酢(梅から出る水分)が上がりやすいです。最後に多めの塩を乗せます。
6.梅の2倍ほどの重さの重しをして、フタをします。ほこりや雑菌が入らないように、梅の瓶を丸ごと大きなビニール袋に入れてから、冷暗所に2~3日置きます。
*保存容器は、金属製のものは避けてください。おすすめの容器は、プラスチック・ガラス・セラミック製のものです。適当な重しがないときは、水を入れたビニール袋などでも代用できます。
7.2、3日して梅酢があがってきたら、重しを梅と同じ重さまで減らして、焼酎とお酢を少し振りかけておきます。(これはカビ防止のためです)
8.赤紫蘇の枝をとって洗い、水気をしっかり取ります。塩を赤紫蘇にまぶして、手でよく揉んでしばらくすると、黒い水が出てきます。それはアクなので、しっかり絞って取り除いてください。この揉む・絞るの作業をさぼると、きれいな赤色が出ないので、がんばりましょう。
*赤紫蘇は入れたいけど、アク取りは面倒という場合は、市販の“揉み紫蘇”や“酢漬けの紫蘇”を使ってもいいですね。また、赤紫蘇はなくても白くてきれいな梅干しはできます。ですが、保存効果がアップしてきれいな赤色になるので、お好みで入れてください。
9.アクを取った赤紫蘇に、梅酢を適量回しかけて混ぜます。(梅酢が鮮やかな赤色になります!)それから、梅酢をかけた赤紫蘇をほぐして梅の上にかぶせ、今度は梅の重さの半分ほどの重しをして、また冷暗所に置いて、土用干しまで保管します。
*保管している間にカビが発生していないか、時々様子を見てくださいね。梅を漬けて1カ月以上たったら、土用干しをします。
10.晴天が続く日を狙って、梅と絞った赤ジソをザルに広げて、できれば3日ほど日光にさらします。
*天日干しは、梅に日光が当たる時間帯に数時間だけでも大丈夫。これなら、面倒くさがりな人でもできますよね。数時間の土用干しを、3~4日続けるだけです!
これで梅干しの完成です!できあがった梅干しは、保存用の瓶などに詰めましょう。焼酎を吹きかけて、お好みでザラメ砂糖を少し入れると、まろやかな味わいになりますよ。赤紫蘇は、梅を覆うように乗せて保存しましょう。
賞味期限切れの梅干しを食べてみた!その結果は?
さて、始めにお話ししていた、賞味期限6カ月越えの梅干しですが、その後どうしたかというと…
…結局、食べました!
まず梅干しをよく見て、色と匂いのチェックをしましたが、異常なし。カビの発生もなしです。それに表示は“消費期限”ではなく“賞味期限”。なにより、「もったいない」!
そこで勇気を出して、「えいっ」と口の中へ!
…とは、さすがにできませんでした。
そのまま食べる勇気はなかったので、アレンジしてみることに。それが、意外においしかったんです。体も、もちろん異常なし!
せっかくなのでレシピを紹介します。
鶏梅つくねのレシピ
今回作ってみたのは、鶏ひき肉を使用したつくねです。鶏肉と梅肉って、相性がいいですよね!
■材料
・鶏ひき肉 200~300g
・梅干し 3個~
・大葉 3枚(盛り付け用に、あと数枚あってもOK)
(合わせ調味料)
・にんにくすりおろし 1片
・生姜すりおろし 1片
・酒 小さじ1
・しょうゆ 小さじ1
・塩コショウ 少々
・片栗粉 大さじ1
■作り方
1.梅は種を取って、包丁で細かく刻みます。大葉も同じように刻みます。
2.ボールに鶏ひき肉と1.を入れて混ぜ、合わせ調味料も加えてよく混ぜます。ミョウガがあれば、香り付けに入れてもいいですよ。
3.ひとくち大の大きさに丸めます。
4.ごま油を熱したフライパンに3.を並べて、フタをして弱火でじっくり焼きます。
5.お皿に大葉をしいて、つくねを盛り付けて、完成です。
お好みで、ポン酢をかけるとさわやかな風味が増しますよ。つくねに使うひき肉は、鶏以外でもまた違った風味が出るので、お試しください。
梅は、つぶしてマヨネーズと混ぜて、豚肉や野菜を炒める調味ソースとして使ってもおいしいです。
梅干しは健康にもよい食品なので、品質に問題がなければ、いろいろ工夫してできるだけ食べてあげてくださいね。
まとめ
賞味期限切れの梅干しについてあれこれお話しましたが、もう一度、簡単におさらいしましょう。
・市販の梅干しは、未開封で冷蔵保存していれば、賞味期限後3~6カ月は大丈夫
・自家製の梅干しに賞味期限はない
・梅干しの保存効果はすごい!
・自家製梅干しは、簡単にできるので作ってみよう!
・賞味期限切れの梅干しはひと工夫して料理に活用しよう!
そういえば、梅干し(とくに紀州産梅)には、「バニリン」という脂肪細胞に刺激を与える成分があることが、発見されたことをご存じでしたか?
「バニリン」が脂肪細胞を刺激して、脂肪細胞が燃焼して減っていくということがわかってきました。つまり、みんな大好きなダイエットに効果があるのです!
これだけでも、梅干しを摂る必要性が大いに出てきましたよね。
ほかにも梅干しには、クエン酸などの働きによって、疲労回復や肝機能を強化して血液をサラサラにする効果もあります。
「1日1個の梅干しで医者いらず」と昔から言われていますが、本当ですね!昔の人の知恵、「梅干し」をもう一度見直してみませんか?