【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
しその葉(大葉)は栄養豊富ですが、食べ過ぎると下痢の原因になったり食事のバランスが偏ったりして体に悪い影響を及ぼす可能性もあります。
青じそとも呼ばれ、独特の風味で臭み消しになるほか健康に良い効能も期待できるため、適量を守って食べると良いですね。
この記事では、しそを美味しく食べて栄養も効果的に摂れるように、次の項目についてご紹介します。
しそ(大葉)のこと
- 体に悪いと言われる理由
- デメリットや食中毒を防ぐ対処法
- 1日の適量目安の考え方
- 栄養成分から期待できる効能とおすすめの食べ方
シソの葉に含まれる栄養成分のメリットを少量でも効率良く活かせる食べ方もご紹介するので、ぜひ参考にしてください♪
目次
しそ(大葉)の食べ過ぎは体に悪い|下痢の原因にも
しそを食べ過ぎると体に悪いと言われるのは、冷えや食物繊維の摂り過ぎで消化不良を起こし下痢になる場合があるからです。
ほかにも、残留農薬や食中毒の危険性などの要因が考えられます。
消化不良 | ・急激な水分摂取で胃腸が冷える ・不溶性食物繊維の摂りすぎ |
---|---|
食中毒 | ・表面に付いていた細菌が残存 ・調理器具や手指を介して 他の食材から移行 |
残留農薬 | 病害虫に弱く 化学農薬を使用する場合が多い |
健康にメリットがあるからといって大量に食べ過ぎると、胃腸に悪影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
胃腸の冷えや食物繊維の過剰摂取で下痢 | 食べ過ぎに注意
しそは水分や不溶性食物繊維を多く含むため、一度に多量摂取すると胃腸が冷えて腸管が動きすぎ、下痢になる場合があります。
しそは86.7%が水分で、同じ重量で比べると食物繊維の多さも野菜の中で上位です。(※1)
食物繊維も摂り過ぎると、体調によってはかえって便秘がひどくなったり下痢になったりとデメリットになる場合があり要注意です。
不溶性食物繊維の摂り過ぎで腸管の動きが活発になり便の通過が速くなり過ぎると、大腸での水分吸収がうまくいかず下痢になる場合があります。
多量の水分摂取で胃腸が冷えると消化・吸収機能が落ちるので、より下痢になりやすいです。
詳しくはこの記事をチェック!
下痢になった場合、体調のせいではなく食中毒を起こしている可能性もあります。
洗浄不足は危険!食中毒の可能性あり
しそは生食することも多く、洗浄が不十分な場合や調理器具・手指を介して汚染された場合に食中毒を起こす危険性があります。
ほかの野菜と同様に、しそにも土壌や肥料からセレウス菌のような食中毒の原因になる細菌が付く場合が多いです。
生の肉・魚を処理したまな板や包丁を使い、もともと付いていないはずのサルモネラや腸炎ビブリオなどの食中毒菌に汚染されることもあります。
しそは害虫に食害されやすいため栽培時に農薬を使う場合が多く、残留が気になる人も多いです。
残留農薬の摂取が心配 | 洗浄方法に注意
しその葉は栽培時に農薬が使われ残留している可能性があるので、洗浄でできるだけ落として食べましょう。
とはいえ、化学薬品である農薬はなるべく体内に摂取したくないですよね。
残留農薬や細菌をできるだけ落とす洗浄方法をはじめ、体に悪い影響が出ないようにするコツや食べ過ぎない適量を覚えましょう。
体に悪い影響が出るのを防ぐ対処法と1日の適量
しそを食べて体に悪い影響が出ないようにするには、十分な洗浄と衛生的な調理を行い適量を守ることが大切です。
消化不良 | 適量を守る 胃腸が弱い人は少量ずつ食べる |
---|---|
食中毒 | 洗浄方法を強化する 調理器具の衛生面に注意する |
残留農薬 | 洗浄方法を工夫する |
しそを洗うときは溜め水のあとで流水でも洗浄した方が、より付着した細菌を落とせます。
さらに酢水を使うと酢の殺菌効果が期待できるので、しその洗浄にもおすすめです。
- 溜め水でまとめて振り洗い
- 流水で1枚ずつ丁寧に優しくこすり洗い
- 作っておいた酢水に5~10分浸ける
(酢水は食酢を水で5~20倍に薄めて作る)
しそは主な栄養成分から見て多量摂取しても過剰症の心配はありませんが、メリットを期待して積極的に食べたい場合でも1日の適量は20枚程度までがおすすめです。
例えばβカロテンに注目すると、女性は20~30枚・男性は50~60枚食べれば1日のビタミンA不足分を推奨量までカバーできます。
詳しくはこの記事をチェック!
大葉の栄養に期待したい人も1日の適量は食べ過ぎないための目安とし、無理のない量で毎日食べる方が効果的です。
しそはプランターでも育てやすく、無農薬で作れるので家庭菜園もおすすめです。
しそは適量で食べれば、体に悪い影響どころかいろいろなうれしいメリットが期待できますよ。
しそ(大葉)の栄養とメリットを活かす効果的な食べ方
しそは特にβカロテンが豊富で、ビタミB群・C・E・Kなどのビタミン類や鉄・カリウム・カルシウムといったミネラル分も多く含んでいます。
βカロテン | ビタミンAに変わる 皮膚・粘膜の保護と免疫強化 抗酸化作用 |
---|---|
ビタミンC・E | 抗酸化作用 |
ビタミンB群 | 体の調子を整え疲労回復を助ける |
ビタミンK | 骨形成を促し血管を丈夫にする |
ミネラル | 体の成分を作る 体の調子を整える |
食物繊維 | 腸の調子を整える |
α-リノレン酸 | EPAやDHAを作る LDLコレステロールを減らす アレルギー症状の緩和 |
βカロテンはビタミンC・Eとともに体内で抗酸化作用を発揮し、動脈硬化やがん・免疫機能の低下・老化などの原因になる活性酸素の作用を抑えます。(※5)
そのほかポリフェノールも多く含み、必須脂肪酸のα-リノレン酸とともにアレルギー症状を緩和する効果が期待されていますよ。
3種類のポリフェノールにも注目!期待されるメリット
しそにはペリルアルデヒドのほかロスマリン酸・ルテオリンというポリフェノールが多く含まれ、抗菌・殺菌作用やアレルギー症状の軽減が期待できます。
ロスマリン酸 | 抗酸化作用 アレルギー症状の緩和 |
---|---|
ルテオリン | アレルギー症状の緩和 |
ペリルアルデヒド | 抗菌・殺菌作用 食欲増進や消化促進 |
しそ特有の香りはペリルアルデヒドによるもので、夏季や食欲のないときにも重宝され、薬味として古くから利用されてきました。
ロスマリン酸は特に赤しそに多く含まれ、抗酸化作用を持つことからも注目される栄養成分です。
ロスマリン酸とルテオリンには、アレルギー原因物質の作用を抑えるはたらきがあるそうです。
大葉の栄養や健康へのメリットを少しでも逃さないための調理のコツや、おすすめレシピをご紹介します。
βカロテンは加熱や油と一緒で吸収率が高まる
しその主な栄養素であるβカロテンを効率良く摂るには、天ぷらや炒め物などの加熱して油と一緒に食べる調理法がおすすめです。
- 天ぷら
- 魚や肉を巻いて焼く・揚げる
- 炒め物に加える
- サラダで生食ならマヨネーズや
オイル入りドレッシングで和える
加熱すると野菜の細胞内でβカロテンが溶け出し、食べたとき周りに油分があると混ざって小腸で吸収されやすくなるのです。
生食する場合は、油分を含むマヨネーズやドレッシングを使うと良いですね。
ベランダ菜園で大葉がわんさか出来ました(*^-^*)
しそのジェノベーゼパスタを作りました。
味はザ・シソという感じ🍀
しそ好きの私は美味しく思いました💆 pic.twitter.com/FDsbzniOPU— 💐moco🎀 (@moco33378595) September 5, 2022
しそが大量にあるときは、こちらのようにペースト状にしてオリーブオイルと合わせバジルソース風にすると美味しく量も食べられますよ。
通販サイトでも人気です♪
結論|しそ(大葉)は適量なら健康にもメリットがある
- 食べ過ぎで下痢になる場合もある
- 食中毒予防のため調理器具や手指の衛生にも注意
- 食べる前は十分な洗浄が大切
- ビタミンやミネラルのほかポリフェノールも豊富
- 体調に合わせて適量で油と一緒に食べると良い
しそは食べ過ぎると下痢を起こしたり、扱い方によっては食中毒の原因になったりするため、体に悪いと言われることがあります。
しかしビタミンやミネラルのほかポリフェノールも豊富で、適量なら健康に良いはたらきが期待できるので少量ずつでも食べたい野菜です。
食中毒の予防や残留農薬をできるだけ落とすためにおすすめの洗浄方法を実践し、食べ過ぎにも気を付けましょう。
しその栄養を効果的に摂れる食べ方のコツもぜひ活用して、美味しさを堪能してください。