【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
パセリには美容や健康に役立つ栄養素のビタミンやミネラルが豊富に含まれ、消臭やリラックス効果も期待できる精油成分・アピオールも含まれています。
しかし、パセリを食べ過ぎると食物繊維の摂りすぎで下痢や腹痛、精油成分の影響で内臓を刺激しすぎる危険性があるため、適切な量を守ることが大切です。
パセリのうれしいメリットを活かし、体に害を及ぼすことなく安心して食べられるように、次のことを調べてみました。
この記事を読むと、パセリの食べ過ぎで起こる下痢や腹痛、内臓への刺激などのデメリットを防ぎ、健康や美肌を保つなどの体に良い作用はしっかり活用できるようになりますよ。
無理なく適量で食べてもパセリの栄養やメリットを逃さない、健康・美容に効果的な食べ方もご紹介しています。
まず、パセリに多く含まれる栄養成分と期待できる体へのメリットをご紹介しましょう。
管理栄養士・栄養士
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目次
パセリは栄養豊富!メリットと食べ過ぎ注意の成分
パセリは健康・美容に役立つビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富な緑黄色野菜で、特にβカロテン、ビタミンC・K、鉄の含有量が多いのが特徴です。
また、パセリにはアピオール、ミリスチン、ピネンなどの精油成分が含まれますが、過剰摂取で腹痛や内臓を刺激するなどデメリットとなる成分もあるため注意が必要です。
パセリに含まれる主な栄養素の特徴を確認しておきましょう。
美容や健康に役立つ栄養素のビタミンやミネラルが豊富
パセリには以下のように美容効果や健康に役立つ栄養素のビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
βカロテン | ・ビタミンAに変わる ・目・粘膜・皮膚を健康に保つ ・抗酸化作用で病気や老化を防ぐ |
|
---|---|---|
ビタミンC | ・コラーゲンの生成を促進 ・鉄の吸収を助ける ・抗酸化作用 |
|
ビタミンK (※2) |
・骨や歯を丈夫にする ・コラーゲンの生成を促進 |
|
鉄 | ・赤血球のヘモグロビンを作る ・貧血予防 |
|
カリウム | 利尿作用によりむくみ改善 | |
食物繊維 (※3) |
・便通を促進し腸内環境を改善 ・糖や脂肪の吸収を緩やかにする |
|
精油成分 | アピオール | ・精神を落ち着かせる ・制菌作用⇒口臭予防 ・食欲増進 |
ピネン | ・消化を促進し胃の健康を保つ ・腸の雑菌の繁殖抑制 |
このように、パセリには豊富な栄養素から健康・美容に多くのメリットがありますが、βカロテンと食物繊維は、過剰摂取になるとデメリットの原因となることがあります。
食べ過ぎには注意が必要ですが、パセリは精油成分やポリフェノールなどからも健康・美容へのすごいメリットが注目されています。
体に良い精油成分やポリフェノールにも注目!
パセリはアピオールなどの香りを放つ精油成分や植物色素・クロロフィル、アピゲニンなどのポリフェノール(フラボノイド色素)も含み、体に良い効果が期待できることでも注目されています。
イライラを鎮めたいときは、パセリの香りを嗅ぐとアピオールの精神安定の効果が期待できますよ。(※4)
夕食にパセリを使った料理を食べたり、寝る前に香りを嗅いだりすると安眠効果も期待できるそうですよ。
アピオールやピネンの胃腸の調子を良くする作用から、夏バテなどで食欲がないときにもパセリはおすすめです。
また、パセリの鮮やかな緑色を表すクロロフィル(葉緑素)も抗菌・消臭効果があり、アピオールとともに口臭予防に役立つのでにんにく料理との相性も抜群です。
さらに、ポリフェノールのアピゲニンやルテオリンにも、抗酸化作用や精神を安定させる作用、がんなどの病気を防ぎストレスを和らげる効果が期待されています。(※5)
ちなみにアピゲニンやルテオリンは、同じセリ科のセロリにも多く含まれています。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
ただし、注目度の高いアピオールなどの精油成分にも、内臓への毒性などの心配な情報が…。
そこで、パセリの栄養素や栄養成分のうち、食べ過ぎによる過剰摂取で体に悪い影響を及ぼすものをチェックしましょう。
パセリを食べ過ぎるとデメリットになる栄養成分の影響
パセリを食べ過ぎると、栄養成分の過剰摂取になり、腹痛や下痢などの悪影響が現れることがあります。
もしものときのためにデメリットの原因や理由を知っておくと、予防にも役立ちます。
まずはよく起こりやすいβカロテンの影響について確認しておきましょう。
βカロテンの摂りすぎで柑皮症に
パセリを食べ過ぎるとβカロテンの摂りすぎになり、肌が黄色っぽくなることがあります。(※6)
柑皮症といわれ、体内で過剰になったβカロテンの色素が沈着した状態ですが、食事からの摂りすぎは体に害はないとされています。
肌が黄色くなったら過剰になったサインなので、βカロテンの摂取を減らすことも考えましょう。
柑皮症は気にしない方もいますが、パセリの食べ過ぎは下痢や腹痛などの体に悪い影響が出ることもあります。
食物繊維と水分の摂りすぎで下痢や腹痛に
パセリは水分と不溶性食物繊維が多く、食べ過ぎると下痢や腹痛を起こすことがあります。
涼しい環境で水分を一度に多量に摂ると体が冷え、胃腸のはたらきが弱まって消化不良を起こし、腹痛や吐き気の原因になることが考えられます。(※7)
さらに、不溶性食物繊維は、コロコロ便になりがちな方や下痢をしやすい方が多く摂ると、腸に強すぎる刺激となり下痢を起こす場合があります。(※8)
逆に、腸の動きが弱いために便秘がちな方が不溶性食物繊維を摂りすぎると、便秘が悪化して腹痛を起こすこともあります。(※9)
パセリがいっぱいあったから刻んでパスタにした、日曜日の夜。
そして昨日、旦那と二人
胃痛、腹痛、嘔吐、下痢おそらく普段そんなに食べないから過剰摂取になったらしい。
パセリが毒に変わる瞬間を作ってしまった。
美味しいもの程、ほどほどに。— 怜莉 (@reiri0517) February 25, 2019
また、パセリはそのまま生で食べることも多く、少量でもアレルギーや食中毒から下痢や腹痛を起こす場合があります。(※10)
アレルギーが原因の場合は、稀にアナフィラキシーショックなどの重症になることもあるので注意しましょう。(※11)
他にも、腎機能が弱っている方はパセリに多く含まれるカリウムにも注意する必要があります。
腎機能の低下時はカリウムの摂りすぎに注意
腎臓が弱っていると体内のカリウム量を調節するはたらきが低下し、高カリウム血症を起こす可能性があります。
そのため、腎疾患を持っている方は、病状に応じて食事にカリウム量の制限をしなければならない場合もあります。不安な人は医師に相談すると良いでしょう。(※12)
高カリウム血症を起こすと最悪の場合は心停止の危険性もあるため、大量摂取は避けて病状に応じた摂取量を守ることが大切です。
腎機能が低下している場合は精油成分の影響にも注意が必要です。
精油成分アピオールの過剰は危険?
アピオールなどの精油成分は肝臓や腎臓に毒性を示す場合があるため、パセリの大量摂取は危険性が懸念されます。
国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」によると、パセリは200g程度の大量摂取になると危険性があるそうです。(※13)
パセリの200gは一度に食べるには難しい量ですが、ジュースやペーストにすれば可能になる場合もあるので注意が必要ですね。
また、パセリ種子に子宮を刺激する作用があることや、授乳中についての安全性を示すデータが無いことから、妊娠・授乳中の女性はパセリの葉や茎の多量摂取を控える方が良いようです。
このようなデメリットや危険性を避けるため、パセリの食べ過ぎにならない適量は何グラムか、おすすめの効果的な食べ方をご紹介します!
パセリの食べ過ぎにならない1日の適量と美容・健康に良い食べ方
パセリを食べ過ぎない適量は1日30~50gまでとし、少量ずつでも効果的に食べるのがおすすめです。
パセリに多い栄養素のうち含有量の割合が高いビタミンKや、食べ過ぎで体に悪い影響を与える可能性がある食物繊維やカリウムに注目して適量がどれくらいか求めました。
パセリ量 | 栄養素 |
||
---|---|---|---|
ビタミンK (μg) |
食物繊維 (g) |
カリウム (mg) |
|
1日の目安量 (※15) |
150 | 3~4※ | 2000 (成人女性の場合) |
10g | 85 | 0.7 | 100 |
30g | 260 | 2.0 | 300 |
50g | 430 | 3.4 | 500 |
食物繊維は1日3~4gを目安に増やすと良いとされているため、1日の目安量として計算した結果、パセリ50gで補える量になります。
スーパーで購入した片手のひら大の袋入りパセリを測ってみると30gで、SNS上で人気のパセリをペースト状にしたソースのレシピでも、葉を30gくらい使って2~4人分にするものを多く見かけます。
これは1人で食べればたっぷりな量なので、現実的にはパセリの1日の適量は30gくらいまでとしても良いでしょう。
ビタミンKについてはパセリ30gで1日の目安量を軽く超えますが、過剰摂取によるデメリットはないので安心してください。
パセリのカリウム含有量(100gあたり)は野菜の中でもトップクラスで、仮に50gを食べると500mgを摂取することになります。
パセリがメインではなく料理に添える場合はごく少量ですが、栄養が効果的に摂れるよう食べ方を工夫するのがおすすめですよ。
常備用には保存が効く乾燥パセリがおすすめです!葉を刻んで乾燥させたもので、生葉と同じように栄養効果が期待できますよ。(※16)
少量ずつでもパセリの栄養をしっかり摂取できる効果的な食べ方をご紹介します。
適度な摂取量でパセリの栄養を効果的にする食べ方
パセリを食べ過ぎず、適度に摂取しても健康・美容へのメリットを逃さないためには、調理法やほかの食材との食べ合わせを工夫しましょう。
相性の良い食品や食べ方のポイントをご紹介します。
パセリに多い栄養素 相性が良いもの |
期待できる効果 | おすすめの食べ方 |
---|---|---|
βカロテン 油(※17) |
美肌 抗酸化作用 |
油を含むドレッシングやマヨネーズをかける 炒め物や揚げ物にする |
ビタミンC たんぱく質 |
美肌 | 肉や魚介類と一緒に食べる |
ビタミンK カルシウム |
骨密度アップ | 小魚・乳製品・海藻と一緒に食べる |
パセリをたっぷり食べたいときは、バジルに見立て、ジェノベーゼ風ソースを作る方法がおすすめです。葉を粉砕することで栄養成分が吸収しやすくなりますよ。
次のレシピを参考に、ぜひ作ってみてくださいね。
結論|パセリは食べ過ぎを避けて美味しく摂取しよう
パセリはビタミン・ミネラルなどの栄養素が豊富で、アピオールなどの芳香(精油)成分などからも健康・美容にメリットがあり、料理の飾りにするだけではもったいないくらいです。
しかし、食べ過ぎると栄養素の摂りすぎになり、肌が黄色っぽくなったりお腹を壊したりと体に悪影響が出るほか、精油成分が内臓を刺激しすぎる可能性もあり、多量摂取は注意が必要です。
パセリの食べ過ぎを避けるため、適量やおすすめの食べ方をご紹介しましたので、健康・美容のため、パセリを少量ずつでも毎日効果的に取り入れてみてください。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 わかさの秘密・パセリ|わかさ生活
※2 栄養素カレッジ・ビタミンK|大塚製薬
※3 e-ヘルスネット・食物繊維の必要性と健康|厚生労働省
※4 健康サポート・第55回森田豊さん|全国健康保険協会東京支部
※5 食品成分がmRNAのスプライシングを調節することを解明 -フラボノイドによるがん予防の可能性-|京都大学
※6 みかんの季節と黄色い手足|きのした小児科クリニック
※7 病気について・お腹が冷たくありませんか?|市川すずき消化器・内視鏡クリニック
※8 腸の喜ぶ食品を知ろう・食物繊維|医療法人錦秀会栄養部
※9 食物繊維をとりすぎると便秘が悪化!? 便秘改善になる量と食材とは|NHK健康チャンネル
※10 実験!野菜にも菌がいます|練馬区保健所
※11 野菜・果物を摂取するときの注意|野菜等健康食生活協議会事務局
※12 食事中カリウム制限の実践と問題点|腎臓NET
※13 「健康食品」の安全性・有効性情報・パセリ(パセリ油)|国立健康・栄養研究所
※14 食品データベース・日本食品標準成分表2020年版(八訂)・野菜類/パセリ/葉/生|文部科学省
※15 栄養成分ナビゲーター・「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より|江崎グリコ株式会社
※16 食品データベース・日本食品標準成分表2020年版(八訂)・香辛料類/パセリ/乾|文部科学省
※17 油に関するQ&A|日清オイリオグループ株式会社