【監修者:管理栄養士 有田聡子】
セロリは食物繊維などの栄養素が含まれていますが、食べ過ぎると体調を崩す恐れがあります。
食物繊維の摂り過ぎや水分の影響で下痢や便秘、腎機能が低下している人はカリウムの影響を受けやすく、高カリウム血症に注意が必要です。
セロリはカロリーも低く、適量や食べ方を工夫すれば健康に嬉しい効果が期待できますが、食べ過ぎて体調を崩しては元も子もありませんよね。
そこで、こちらの記事では以下の内容をまとめました。
セロリを食べ過ぎて体調が悪くなってしまったという人は、気を付けるべきポイントが分かりますよ。
セロリの葉と茎の栄養成分を美味しく摂れる調理法もご紹介しているので、毎日の食生活に取り入れる参考にしてください。
管理栄養士・栄養士
目次
セロリの栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
セロリは低カロリーで食物繊維やカリウム、ビタミンなどが含まれており、デトックス効果も期待できる野菜です。
セロリ100gあたりに含まれる栄養素を以下にまとめてみました。
成分名 | 成分量 |
---|---|
エネルギー | 12kcal |
水分 | 94.7g |
食物繊維 | 1.5g (不溶性 1.2g 水溶性 0.3g) |
カリウム | 410㎎ |
β-カロテン | 44µg |
ビタミンB6 | 0.08mg |
ビタミンC | 7㎎ |
成分の約95%は水分なので、カロリーがとても低いことが分かりますね。
残りの約5%に含まれる栄養成分は他の野菜と比べると決して含有量が多いわけではありませんが、ビタミンやカリウムなどのバランスが良いのが特徴です。
ただし、食べ過ぎると体調を崩す原因になる栄養成分も存在しています。
まずは、セロリの栄養成分でとくに多い食物繊維のメリットとデメリットについて確認しておきましょう。
食物繊維は便秘改善が期待できる
セロリに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維が多く、胃や腸で水分を吸収して大きくなるはたらきがあります。
その結果、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発化、排便を促します。(※2)
ただし、食物繊維はお通じを良くするはたらきがある一方で、過剰摂取で逆効果になる可能性もあるので注意しましょう。
また、セロリにはむくみの改善にも役立つカリウムが含まれています。
カリウムはむくみ予防・高血圧改善に役立つ
カリウムは体内の余分な水分や塩分(ナトリウム)を排出する働きがあり、むくみ予防、血圧安定につながります。(※3)
健康な方はカリウムの摂取量を気にするほどではないかもしれませんが、腎機能が低下している方は摂取量に気をつけなければいけません。
含有量は特別多いわけではありませんが、バランス良く含まれているビタミンにも注目しましょう。
ビタミンのバランスが良くて美容効果も
セロリに多く含まれているのは、β(ベータ)カロテン、ビタミンB6、ビタミンCです。
またビタミンB6はアミノ酸の代謝を助け、免疫機能や抵抗力を維持する働きがあります。(※5)
ビタミンB6は一部体内で生成できますが、不足すると口内炎や肌荒れ、手足のしびれなどの原因になりやすいので、積極的に摂りたい成分ですね。
ビタミンCはコラーゲン生成に必須の成分であり、活性酸素を抑える抗酸化作用が認められています。(※6)
美肌や老化防止には欠かせない成分と言えますね!実際に肌の調子が良くなったと感じている人もいるようです。
🥑と豆苗ほぼ毎日摂取してて、最近はセロリのスープにハマってて。
豆苗が育ってなくて摂取できない時にこのスープをお菓子感覚で飲んでいるのですがいつもより肌に艶が増してきた。
スキンケアも大事だけれど、内部からのケアも大事だなぁと実感。
セロリ好き嫌い分かれるけれど、私は大好きです🌱— -shiroko-@白子 (@shiro_blue6) September 9, 2020
栄養成分以外に、セロリ特有の香り成分にもリラックス効果などが期待できると言われています。
セロリの香りには精神安定効果もあり?
セロリの独特な香りが好きという人もおられるのではないでしょうか?
セロリにはアピイン、セネリンという香り成分が含まれていて、精神を安定させる効果が期待できると言われています。(※7)
また同じく香り成分であるピラジンは、血流を改善する効果が期待できます。
このようなさまざまメリットが期待できる成分を無駄なく補うには、セロリの葉もしっかり食べるのがポイントです。
セロリの葉にこそ栄養素がたっぷり含まれている
セロリの栄養や香り成分を摂るには、茎だけでなく栄養価が高い葉の部分も食べると良いでしょう。
まずβ-カロテンは茎の2倍量、その他のビタミン類、食物繊維も茎より葉の方が多いのです!(※8)
セロリの葉を美味しく食べられる調理法は後半で紹介しています。
セロリにはさまざまな効能が期待できる栄養成分が含まれていますが、食べ過ぎるとどんなデメリットが生じるのかも確認しておきましょう。
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セロリの食べ過ぎでデメリットになる栄養成分と症状
セロリの食べ過ぎによる食物繊維・水分の摂り過ぎは下痢や便秘の原因となります。
また、腎機能が低下している人はカリウムの過剰摂取で高カリウム血症になってしまう危険性があるのです。
まず、便秘改善を期待できるはずの食物繊維が、どうして下痢や便秘の原因となってしまうのかをチェックしていきましょう。
食物繊維を摂り過ぎると下痢や便秘になりやすい
便秘改善効果が期待できる不溶性食物繊維の過剰摂取は、体質によって下痢や便秘の原因となります。
不溶性食物繊維を胃腸が弱い人が摂り過ぎると、腸を刺激しすぎて消化不良を起こして下痢になることがあるのです。(※9)
また、便秘気味の人が摂り過ぎた場合は、便のカサが大きくなって腸内の進みが悪くなり、便秘がさらに悪化する可能性があります。(※10)
コンソメスープにセロリ丸々1本投入して、ほぼ一人で食べた日の夜から脱水症状の下痢が始まったのだ……
— 流宇 (@everlasting_ak) January 18, 2019
便秘や下痢は腹痛を伴い、日常生活にも支障が出てしまうので食べ過ぎには注意しましょう。
そして、セロリに多く含まれている水分も下痢や便秘に関係しています。
水分の摂り過ぎによる冷えにも気を付けて
セロリは水分が多いので、食べ過ぎると身体を冷やしてしまいます。(※11)
冷えが原因で胃腸のはたらきが悪くなり、消化不良や下痢、便秘につながることもあるのです。
腎機能が低い人は高カリウム血症に注意
腎機能が低い人がカリウムが多く含まれるセロリを食べ過ぎると、血液中のカリウム濃度が高くなって、高カリウム血症になる恐れがあります。
腎臓の機能が低下していると、尿への排泄が上手くいかず不要なカリウムが血液中に溜まり、カリウムの濃度が高くなってしまうのです。
このような状態を高カリウム血症と呼び、吐き気下痢などの消化器症状や、しびれ・脱力感、不整脈などが生じ、症状が重い場合は心停止の恐れもあります。(※12)
セロリを食べ過ぎるとせっかくの栄養素が逆にデメリットになるので、食べ過ぎにならない適量を確認しておきましょう。
セロリの食べ過ぎにならない適量と栄養摂取に効果的な食べ方
セロリの食べ過ぎにならない適量は、栄養成分のカリウムに注目して1日200gまでにしましょう。
日本人の食事摂取基準では、体内のバランスを維持するためにカリウムの摂取基準量が目安として決められています。
カリウムを基準にしたセロリの適量はどのくらい?
カリウムの摂取基準量を目安にしたセロリの適量は1日200gまで。それ以上は食べ過ぎないようにしましょう。
カリウムの摂取基準量は、18歳以上の成人男性が2500mg、成人女性が2000mgです。(※14)
セロリ以外に食べる食材にカリウムが含まれていることを考慮して、摂取基準量の半分と考えて、セロリの適量は200gまでにとどめておきましょう。
このように適量を守りつつ、栄養価を無駄なくとりいれるにはどんな食べ方が良いのか確認しておきましょう。
栄養を無駄にしない調理のポイントとおすすめメニュー
セロリの食べ方については、生より加熱して食べる方が効果的に栄養を摂れます。
セロリに含まれる栄養素のうち、β-カロテンは炒めるなどして油と一緒に食べると吸収率も上がりますよ。(※15)
セロリの葉も一緒に炒めてソテーにすれば、爽やかな香りも活かせますね。
セロリの芯の部分はスライス、葉の部分はざく切りにして豚こまと一緒に焼肉のタレで適当に炒めるとおかずにもおつまみにもなるめっちゃうまいものが爆誕するのでセロリ好きな人はどうぞ pic.twitter.com/dDMOLqzJLs
— すな (@sablepresser) April 7, 2019
また、セロリに含まれるカリウムやビタミンB6は水に溶けやすいので、煮汁ごと食べられるスープがおすすめです。(※16)
・トマト、ブロッコリー
・豆腐、ブロッコリー、ウインナー、卵のグラタン
・人参、大根、レタス、鳥つくね、セロリのスープ
2021.5/28 pic.twitter.com/2xHYNQSZth— かわらべべ (@q9neTI3Bq5Ev5og) May 30, 2021
セロリを使ったレシピはスープの他にもたくさん種類がありますよ。
市販されているポトフスープの素を使うと、手間もかからずプロ級の味が楽しめますよ!
結論|セロリは食べ過ぎに注意して美味しく食べよう
セロリは食物繊維やカリウム、ビタミンなどの栄養が多く含まれており、カロリーも低いので美容と健康に期待できる野菜です。
けれどセロリを食べ過ぎると下痢や便秘、身体の冷えなど、逆にデメリットになってしまうので気をつけましょう。
セロリの適量は一日に200gまで。サラダなど生で食べても美味しいですが、スープなどで加熱して食べた方が栄養素を効果的に摂れますよ。
食べ過ぎに注意して毎日の食事に取り入れてくださいね!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 食品栄養成分データベース 野菜類/セロリ/葉柄/生|文部科学省
※2 食物繊維の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※3 ナトリウム・カリウム|富山市医師会健康管理センター
※4 ビタミンAの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※5 ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※6 ビタミンCの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※7 セロリ成分情報|わかさの秘密
※8 旬のセロリ 葉っぱどうしてる? βカロテンは茎の2倍|ウエザーニュース
※9 食物繊維|すずらん薬局
※10 食物繊維を摂り過ぎすると便秘が悪化!?便秘改善になる量と食材とは|NHK健康ch
※11 記冷えは万病のもと~からだを温めると元気になる~|一般財団法人 脳神経疾患研究所
※12 高カリウム血症とは?症状・原因・治療・病院の診療科目|病気スコープ
※13 食材の目安量|簡単!レシピ大百科 味の素パーク
※14 カリウムの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
※15 にんじんなど緑黄色野菜のβ-カロテンを効率よく吸収するには|カゴメ株式会社
※16 ビタミンCの真実|東京都健康長寿医療センター研究所