【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
ビーツは食べる血液と呼ばれるほど栄養価が高い野菜ですが、食べ過ぎると下痢や腹痛を起こすことがあります。
これはビーツに豊富に含まれている食物繊維は、過剰摂取すると胃腸の調子をくずすことがあるからです。
また、ビーツを食べると血尿や血便が出ることがありますが、これは赤い色素の要因であるポリフェノールの影響なので、体に害はありません。
とは言え、知らないと不安になることもあるかと思うので、今回は下記について詳しく調べてみました。
ビーツの栄養素は健康や美容に良い効果を期待できるものが多いですが、食べ過ぎると逆にデメリットになることもあるので、注意しなければなりません。
どれくらいなら食べても問題ないのか、適量や栄養素を上手に摂取できるレシピもご紹介していくので、ぜひチェックしてみてくださいね!
管理栄養士・栄養士
目次
ビーツは栄養豊富!メリットと食べ過ぎ注意の成分
赤紫色が特徴のビーツは、『食べる輸血』や『奇跡の野菜』と呼ばれるほど豊富な栄養素を含んでいますが、食べ過ぎると腹痛を招くなど悪影響のある成分もあります。
あまりなじみがあるとは言えないビーツがどんな野菜か、まずは簡単にご説明しますね。
- 赤かぶのような見た目で表面や中身が赤い
- カットの断面は年輪のような模様
- ビート、レッドビート、かえんさいなどの別名がある
- 砂糖の原料となるてんさい(甜菜)と同じヒユ科(アカザ科)の野菜
- ロシア料理の『ボルシチ』に使われることで有名
まずはその赤い見た目が特徴的で、てんさいと同じくショ糖が含まれているため甘みがあります。
ビーツはヨーロッパ方面では昔から栄養豊富な野菜として知られていましたが、近年日本でも注目を浴びつつある野菜です。
健康や美容に良い栄養素が豊富に含まれているので、どのようなメリットがあるのか詳しくご紹介していきますね!
ビーツに含まれている主な栄養素とは
ビーツには、ビタミン類やミネラル類が豊富に含まれています。(※1)
成分 | 主な効能(※2) | |
---|---|---|
カリウム | 血圧を調整 体内の水分量を調整 |
|
鉄 | 全身に酸素を運搬 | |
ビタミンB6 | たんぱく質の分解を促進 成長を促進 |
|
葉酸 | 細胞の成長を促進 | |
パントテン酸 | エネルギー代謝・ ホルモンバランスを調整 |
|
ビタミンC | コラーゲンの生成 |
これらのミネラルやビタミンだけでも十分栄養価が高いと言えますが、ビーツにはこのほかにも食物繊維や注目すべき栄養素が含まれています。
まずは「NO(一酸化窒素)」という、健康や美容を気にかけている人達の間で特に話題になっている成分を詳しくご紹介していきますね。
血行を改善する働きがあるNO(一酸化窒素)を生成できる
ビーツを食べると、血管を広げて血流の改善をよくする効果があるNO(一酸化窒素)の効能を得られます。
硝酸塩という野菜に含まれている成分は、体内で『NO(一酸化窒素)』に変化するのですが、ビーツにはこの硝酸塩が豊富に含まれているためです。(※3)
血管が広がり血流が良くなると血栓の発生を防ぐので、動脈硬化や狭心症などの予防に繋がります。
ビーツにはNOのほかにも、健康や美容に良い成分「ポリフェノール」が豊富に含まれています。
抗酸化作用をもつ赤い色素のポリフェノール・ベタシアニン
ビーツにはポリフェノールの一種であるベタシアニンが含まれており、この成分が赤紫色の元になっています。
ベタシアニンには強い抗酸化作用があり、体を衰えさせる原因となる活性酸素を減少させると言われています。
アンチエイジングやがんの予防にも効果的だと考えられているため、健康や美容が気になる人には嬉しい効果ですね。(※5)
ベタシアニンは赤いドラゴンフルーツにも含まれているので、気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
このほか、腸内の健康を保つのに効果的な食物繊維やオリゴ糖などもビーツから摂取できます。
食物繊維とオリゴ糖で腸内環境を改善
食物繊維はビフィズス菌など善玉菌のエサになるため、腸内環境を整え、便通を良くする効果が期待できます。(※6)
また、オリゴ糖も同じく善玉菌を増やす作用があり、同じように腸内環境の改善に役立ちます。
ビーツには天然オリゴ糖である「ラフィノース」が含まれており、難消化性糖質であることからカロリーも低く、ダイエット中でも安心です。(※7)
ビーツのスープ(ボルシチ?)食べるとお通じ良すぎるくらい出るから痩せるわコレ←
— katie🍑 (@ktazanneyas) January 24, 2021
こちらの投稿のように、「ビーツを食べると痩せる!」 という口コミを多いですよ。
ただし、食物繊維を摂りすぎると、逆に便秘や下痢を引き起こすこともあるので、注意してくださいね。
このように、ビーツには豊富な栄養素が含まれていますが、食べ過ぎると下痢などの副作用を起こすこともあるので、詳しくご紹介していきますね。
ビーツの食べ過ぎで副作用につながる栄養成分の影響
ビーツを食べ過ぎると、食物繊維の過剰摂取で下痢や腹痛などを起こすことがあります。
また、尿や便が赤くなるということもあるので、原因を詳しくご紹介していきますね。
食物繊維やオリゴ糖を摂りすぎると便秘や下痢になることも
食物繊維は腸内環境を整えてくれる成分ですが、摂りすぎると逆効果になる場合もあるので注意が必要です。
食物繊維は、以下の二つに分かれます。
種類 | 特徴(※9) | 摂りすぎた場合の副作用 |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 便を柔らかくする 糖質の吸収を緩やかにする 善玉菌のエサになる |
下痢 |
不溶性食物繊維 | 便のカサを増す 腸のぜん動運動を活発にする |
便秘 下痢 |
食物繊維を過剰に摂ると、ほかの栄養素が吸収されにくくなる副作用が考えられるほか、下痢を引き起こす可能性があります。(※10)
また、不溶性食物繊維を過剰に摂取すると、便秘になることもあるので注意しましょう。(※11)
ビーツには不溶性食物繊維が多く含まれていますが、水溶性食物繊維も含まれています。
ビーツ…良き野菜…
(たくさん食べ過ぎると下痢か便秘)— さば (@saba_ga) October 5, 2020
このように、ビーツを食べ過ぎると下痢や便秘を起こすことがあるため、気を付ける必要がありますね。
また、オリゴ糖を一気に摂取すると下痢や腹痛を起こすこともあるので、やはり摂りすぎには注意しましょう。(※12)
このほか、ビーツを食べると血尿や血便が出ることもあるため、その原因を解説していきます。
ベタシアニンの色素で尿が赤くなる!
ビーツを食べると尿や便が赤くなるのは、赤い色素の元であるベタシアニンの影響です。
朝から血尿と血便のオンパレードで肝を冷やしましたが、よく考えたら昨日食べたビーツの色素でした、おはようございます。 pic.twitter.com/cXv3HDOmlx
— Shelly@なにわのゲス🌎 (@Shelly_Mima) July 29, 2020
このように、ビーツを食べた翌日に尿や便が赤くて驚く人は多いみたいですね。
確かに知らないと驚いてしまいますが、ベタシアニンの赤い色素が影響しているだけなので、体に悪いわけではありません。
ビーツの食べ過ぎによる注意点がわかったところで、どれくらいの量であれば問題ないか気になりますよね。
そこで、ビーツの適量や栄養を効果的に摂取できる食べ方も調べてみましたよ。
ビーツの食べ過ぎにならない1日の適量や効果的な食べ方
ビーツを食べ過ぎて体調を崩さない摂取量は、だいたい1個程度だと考えられます。
ビーツ1個(約200g)を食べると、不足しがちな食物繊維をちょうど補うことができますよ。
ビーツの摂取量は1日1個程度を目安に
ビーツの摂取量は厳密に定められているわけではなく、週に5個程度などの情報もありますが、食物繊維の摂取量から考えて、1日1個程度をおすすめします。
食物繊維は摂りすぎると下痢や腹痛を起こすことがありますが、普段の生活では不足しがちで、摂取すべき量に対して、1日約6g不足していると言われています。(※14)
ビーツ100gには約2.7gの食物繊維が含まれているため、200g(1個)だと6g弱の食物繊維を摂ることができますね。
通常であればこの程度の量でお腹を壊すことは考えにくいので、安心してください。
ビーツはあまり食べなれないという方もいると思うので、栄養素を摂取しやすい効果的な食べ方を紹介していきますね!
ビーツの栄養素を摂取しやすい食べ方を紹介
ビーツは皮にも多く栄養が含まれているため、皮ごと調理すると上手に栄養を摂取できます。
茹でて食べるのが一般的ですが、生でも食べられますよ。
まずは、簡単にまるごと栄養を摂取できるジュースの作り方をご紹介します。
ビーツのスムージー
ダイエットや美容効果を期待できる、ビーツのスムージーです。
ミキサーにかけるだけで、とても手軽にできますよ!
ダイエット美容効果抜群ビーツのスムージー by ユカリロめんめん
レシピに記載されている以外にも、お好きなフルーツで作ってみてくださいね。
ただし子供に食べさせるときは、必ず加熱してくださいね。
栄養をまるごと摂取できて加熱調理といえば、やはりスープはかかせません!
ビーツのポタージュ
ビーツに多く含まれるビタミンなどは水に溶けてしまうので、栄養を丸ごと摂取するにはボルシチなどのスープがおすすめです。
中でも簡単にできるレシピをご紹介します。
たっぷり栄養素を摂取できるのはもちろん、見た目にも鮮やかなので、食卓も華やぎますね。
もっと手軽に調理したい場合は、炒め物にするのもおすすめです。
手軽に炒め物
ビーツは加熱すると甘くなるので、子供にもおすすめのメニューですよ。
なかなか馴染みがないビーツですが、意外といろいろな料理に使えるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
近くのスーパーなどでは売っていないという場合は、通販などで購入できますよ!
栄養豊富なビーツを、この機会にぜひ食べてみてくださいね。
結論|ビーツは食べ過ぎに注意しよう
ビーツにはミネラルやビタミン、食物繊維、ポリフェノールなど豊富な栄養素が含まれています。
しかし食物繊維は摂りすぎると腹痛や下痢などを起こすことがあるため、ビーツは適量を食べることが大切です。
また、ポリフェノールの赤い色素が尿に出ることもあるので注意しましょう。
ビーツは1日1個程度であれば、デメリットを考えることなく食べられますので、レシピなども工夫して美味しく食べてみてくださいね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 野菜類/ビーツ/根/生|食品成分データベース
※2 ビタミン・ミネラル研究所|健康食品のインシップ
※3 ビーツの気になる栄養と健康効果|株式会社パールエース
※4 注目を集めるビーツの成分「NO(一酸化窒素)」|株式会社小学館
※5 ビーツの栄養と効果効能・調理法・保存法|株式会社なにわサプリ
※6 食物繊維の働きと1日の摂取量|公益財団法人 長寿科学振興財団
※7 今大注目の「オリゴ糖」が持つスゴイパワーとは?|カンロ株式会社
※8 ベタイン|わかさ生活
※9 食物繊維とは?|社会医療法人美杉会佐藤病院
※10 食物繊維~しっかり摂って生活習慣病予防を~すずらん薬局
※11 食物繊維をとりすぎると便秘が悪化!?便秘改善になる量と食材とは|NHK健康チャンネル
※12 腸内細菌と健康|e-ヘルスネット
※13 尿路結石症診療ガイドライン 2013年版|EBM普及推進事業(Minds)
※14 不足しがちな食物繊維どれくらい摂取すればいい?|大塚製薬株式会社