【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
マグロの食べ過ぎは胎児の発達に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中の方は食べる量に注意しなければなりません。
体に悪い影響を与える可能性がある水銀が含まれているためです。
ほかにも寄生虫による吐き気や下痢、プリン体の影響で痛風になるなど、食中毒や病気のリスクも秘めています。
食べ過ぎにならない適量を知って美味しく安全に食べられるように、以下の項目についてまとめて紹介しますね!
マグロの刺身は柔らかく、幼児でも食べやすい魚なので食べ過ぎが心配です。
しかし、頭の働きをよくするドコサヘキサエン酸(DHA)などの栄養素やたんぱく質も豊富で、食べるメリットもたくさんあります。
食べ過ぎにならない1日の適量や、赤身とトロの栄養価の違いも紹介しますので、効率的に食べられるようになるはずですよ!
まずはどのような危険があるのかについて知っておきましょう。
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目次
マグロの食べ過ぎは病気に注意!水銀の危険性について
マグロには体に悪い影響を及ぼすメチル水銀が含まれているため、食べ過ぎると嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れたり、妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響も懸念されます。
またマグロの食べ過ぎで起こる影響は水銀による不調にとどまらず、痛風などの病気を引き起こす危険性もあるため、十分に注意しましょう。
マグロに含まれる水銀の影響とは?妊婦は注意が必要!
水銀は、中枢神経系や末梢神経系に対して有毒なもので、神経系の疾患を引き起こします。
- 感覚障害
- 求心性視野狭窄
- 聴力障害
- 震え
- 不眠
- 記憶喪失
- 神経障害
- 頭痛
- 認知障害
- 運動機能障害
幼児や妊娠中の方が水銀を過剰摂取すると、神経の発達に影響する可能性があるため特に注意が必要です。(※2)
水銀はマグロだけに含まれているのではなく、他の水産物にも含まれているので気をつけましょう。
水銀が多く含まれる水産物・少ないマグロの種類とは
マグロのほかにも、クジラなど次のような水産物は水銀を多く含んでいます。(※3)
- クロマグロ
- ミナミマグロ
- メバチマグロ
- カジキ類
- クジラ
- イルカ
- サメ類
- 深海魚類
イルカを食べる機会は少ないと考えられますが、マグロ類のカジキやクジラなどはスーパーでも簡単に手に入る食材なので摂取しすぎないようにしましょう。
しかし全てのマグロの水銀濃度が高いわけではなく、含有量が少なく、日常的に摂取しても問題ない種類もあります。
- キハダ
- ビンナガ
- メジマグロ
- ツナ缶
しかし、部位によって食べ過ぎると太る原因になる恐れがあります。
マグロの部位によっては脂が多く太ることも
マグロの赤身は脂が少なくヘルシーですが、トロなどを選ぶと脂が多く、食べ過ぎると太る可能性があります。
カロリー | 脂質 | |
---|---|---|
マグロ(※5) | 102kcal | 1.0g |
マグロトロ(※6) | 308kcal | 27.5g |
トロのカロリーはマグロの2倍以上、脂質は約27倍であることがわかり、トロを食べ過ぎると太るリスクが上がることは想像がつきますね。
赤身とトロは同じ量を食べてもカロリーや脂質量が異なることを覚えておき、食べる際は、部位にも注意すると良いでしょう。
ほかにもマグロの食べ過ぎで気を付けたいのは、カロリーや脂質だけでなくプリン体が多いということです。
プリン体によって痛風になる可能性
マグロを食べ過ぎると痛風になったり症状が悪化する恐れがあります。
含有成分であるプリン体が体内で分解されてできる尿酸が、痛風を引き起こす原因物質だからです。(※7)
痛風になるのが怖い方やすでにかかっている方は、発症や症状悪化の可能性があるので、マグロを食べる量は調整しなければなりませんね。
痛風という病気以外にも気を付けなくてはならないのは、アレルギーのような症状がでるヒスタミン中毒です。
アレルギーではないヒスタミン中毒が起こる可能性
マグロを食べて、発疹やかゆみが出たり、嘔吐や下痢などの消化器症状が起こった場合、それはアレルギーではなくヒスタミン中毒の可能性があります。
- 顔、首に発疹
- 口、喉の灼熱感
- かゆみ
- 気持ち悪い
- 腹痛、嘔吐、下痢
- 痙攣
- 頭痛
- 動悸、めまい
- 結膜の充血
ヒスタミンは魚の筋肉のヒスチジンを材料にして作られ、体内にたまった魚を食べるとヒスタミン中毒が起こることがあります。(※9)
ヤバい。多分マグロによるヒスタミン中毒
— かもす (@kamosdeepforest) March 28, 2021
マグロは、ヒスチジンが多いため、ヒスタミン中毒が起こる可能性が高い魚と言われています。
ヒスタミン中毒以外にも、クドアという寄生虫によって腹痛や下痢、嘔吐が起こる可能性もあります。
クドア食中毒で腹痛、下痢、嘔吐が起こることも
クドアが寄生したマグロを食べると、腹痛や下痢、吐き気や嘔吐などの食中毒症状が起こる場合があります。
夕飯後1時間半くらい。珍しく気持ちが悪い。マグロと中トロの食べ過ぎ???
— mor (@p2eed) April 11, 2018
クドアは、メジマグロやクロマグロに寄生していることが多いと言われています。
クドア食中毒になると、食後2、3時間ほどで、腹痛や下痢や嘔吐の症状が出ます。(※10)
寄生虫がどうしても心配という方は、冷凍マグロがおすすめです!
冷凍マグロはマイナス60℃で冷凍するので寄生虫が死滅しており、クドアなどによる食中毒の心配がありませんよ。(※11)
食べ過ぎのデメリットがわかったところで、体調不良にならないように、1日の適量がどのくらいなのかを知っておきましょう!
マグロの食べ過ぎにならない適量|子供や妊娠中の摂取量は
食べ過ぎにならないマグロの適量は、大人なら1回80g、幼児・子供は1回40gを目安に考え、妊婦は1週間に80gまでの量を守るようにしましょう。
適量を考えるために、健康トラブルの恐れがある水銀の摂取基準を参考にします。
健康な成人や子供・幼児と、妊婦とでは摂取量が異なるので、それぞれの適量を解説していきますね。
幼児や子供、大人の1日の適量は
1日の適量は大人であれば80g、幼児や子供は40g程度を目安と考えると良いでしょう。
日本人が通常食事から摂取する量で健康に害を及ぼすとは考えにくいため、健康な成人や子供に対して水銀の摂取基準や上限は定められていません。(※12)
しかし、マグロばかり食べると栄養が偏るため、幼児・子供や大人の1日の適量は、いわゆる1人前の量を参考にして考えていきますね。
大人:1日80g程度(マグロの刺身一人前)
幼児・子供:1日40g程度(大人の半分)
幼児や子供は、大人より体が小さく消化器官も未熟であるため、大人の半分の量を目安とすると良いでしょう。
しかし妊娠中の方にはマグロの1週間の摂取目安が定められています。
妊婦が食べられるマグロの1日の適量
妊婦の場合は、マグロの水銀が胎児の神経の発達に影響を与えないように、水銀のガイドラインに沿って1週間に1回80gまでを限度とします。(※14)
1回80gを2回まで(1週間に160gまで):ミナミマグロ(インドマグロ)
妊婦がマグロを食べる際は、水銀以外にも食中毒に注意し、刺身ではなく加熱したマグロを食べるようにしましょう。
見切り品の半額だった加熱調理用のマグロを唐揚げみたいに下味付けて片栗粉をまぶし、フライパンで少量の油をひいてマグロぼ竜田揚げ風にしたら思ったより美味しかった
— ルセア (@Rusea_Graham) June 6, 2021
竜田揚げにすればボリューム感がでるため、少量でも満足できますね!
食べ過ぎ防止のため、先週からワンプレートディナーにしていますσ(^_^;)
ブリ照り
菜の花の和え物
マグロ納豆オクラ爆弾 pic.twitter.com/rL2DKojArK— せたがやんちゅ@ワン生活 (@momocheska) March 11, 2019
食べ過ぎないための注意点としては、大皿に盛り付けるのではなく、1人前を小皿に盛り付けて食べるのがおすすめです。
また食べ過ぎを防ぐ方法の1つとして、ネット販売を利用するのも良いですよ。
まぐろのたたきが80gの個包装になっているので食べ過ぎを防げます!
毎日の工夫で食べ過ぎを防ぎ、適量を食べて栄養を取り入れ、体に良いメリットを得られるようにしましょう。
マグロを食べ過ぎなかった場合の栄養とメリット
マグロには、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)という良質な脂質が含まれており、脳の発育や生活習慣病予防に期待ができるとされています。
マグロには豊富な栄養成分が含まれており、体にとって良い働きをしてくれます。
赤身に多く含まれる成分と効能 | |
---|---|
タウリン | ・動脈硬化を予防する ・コレステロール代謝促進する ・肝臓を強化する |
鉄 | 貧血を予防する |
ビタミン・ミネラル | 栄養の代謝を助ける働き |
トロ(脂身)に多く含まれる成分と効能 | |
エイコサペンタエン酸 (EPA) |
・頭の働きを良くする ・脳の発達を助ける |
ドコサヘキサエン酸 (DHA) |
・脳の機能を向上させる ・学習、記憶能力の向上 ・認知症予防 |
マグロの血合いには、鉄分やミネラル、タウリンなどが含まれており代謝を助けて促進する働きが期待できます。
脂の多いトロには、脳の働きを良くするEPAやDHAが含まれているため、成長過程の子供や認知症予防として大人にも欠かせない食材です。
毎日でも食べたいと思ってしまいそうですが、食べ過ぎずに適量を守って、効率的に食事に取り入れていきたいですね。
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結論|マグロは食べ過ぎに注意!適量で楽しもう
マグロは食べ過ぎると、嘔吐や下痢をしたり、痛風などの病気になる可能性があるため注意が必要です。
マグロは大人であれば1回80g程度、幼児や子供の場合は1回40g程度を目安とすれば良いでしょう。
しかし、妊婦の場合は1日の摂取量の目安が決められているため、1週間に80gまでとします。
マグロには良質なたんぱく質やEPA、DHAという脂質が含まれているため、子供から大人まで健やかな成長と健康のために適量を摂取していきましょう!
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 水銀に関する水俣条約対応検討小委員会|環境省
※2 メチル水銀の毒性|農林水産省
※3 魚介類・鯨類の水銀についてのQ&A|日本生協連安全政策推進室
※4 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項|厚生労働省
※5 魚介類/<魚類>/(まぐろ類)/きはだ/生|食品成分データベース|文部科学省
※6 魚介類/<魚類>/(まぐろ類)/くろまぐろ/天然/脂身/生|食品成分データベース|文部科学省
※7 痛風とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル
※8 痛風/食事① 院長ブログ|おおくま医院
※9 アレルギーのようでアレルギーじゃない「ヒスタミン中毒|ココカラファイン
※10 マグロで食中毒・・・クドア(寄生虫)にご注意ください|そねクリニック新宿
※11 マグロを食べない方が良い人もいる?|仲卸の丸長
※12 魚介類に含まれる水銀について|厚生労働省
※13 お刺身はいつから、何歳から食べられる?|一般社団法人 母子栄養協会
※14 妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項|薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 乳肉水産食品部会
※15 まぐろの栄養価 ~知られざる効能・健康効果いろいろ~|山松水産
※16 DHA・EPAの効率の良い摂取方法|サントリーウエルネスOnline