【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
びわを食べ過ぎると食物繊維や水分の摂りすぎになり、腹痛や下痢、嘔吐などの症状に悩まされることがあります。
また、びわの種に含まれる成分(アミグダリン)が健康に良いとして食べる人もいるようですが、多量摂取で急性中毒による嘔吐や頭痛などの健康被害を引き起こすリスクが懸念されます。
しかし、びわは種を取り除いて果実だけを適量で食べれば、健康や美容に役立つβ(ベータ)カロテンや葉酸などのビタミンやカリウム、ポリフェノールなど多くの栄養素を含む優れた食材です。
そこで、びわを安心しておいしく食べられるように、次のことを調べてみました。
この記事を読むと、びわを食べるときの注意点がわかり、食べ過ぎて苦しい思いをすることなく、おいしく食べられるようになりますよ。
適量で食べても栄養をしっかり活かせるよう、びわの効果的な食べ方もご紹介していますのでぜひ最後までご覧ください。
管理栄養士・栄養士
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目次
びわの食べ過ぎによる悪影響|腹痛・下痢などの原因になる?
びわを食べ過ぎると、食物繊維や水分の摂りすぎが原因で腹痛や下痢、吐き気などの症状が起こる可能性があります。
体質によっては少量でもアレルギーにより口の違和感や、アナフィラキシーショックのおそれがあるので注意が必要です。
また、健康に良いとされるびわの種に含まれる成分の影響で、嘔吐や最悪死に至る中毒症状が起こる可能性も懸念されます。
びわを食べ過ぎるとどうなるのか知っておくと、体調不良になった時に適切な対処ができますね。
まずは、びわに多く含まれる食物繊維と腹痛や下痢の関係について、詳しく確認してみましょう。
食物繊維と水分の摂りすぎで腹痛や下痢を起こす
びわを食べ過ぎて腹痛や下痢を引き起こす原因は、豊富に含まれる食物繊維と水分です。
びわに多く含まれる不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らみ、便通を促すはたらきがありますが、食べ過ぎで過剰に摂ると便秘が悪化して腹痛や吐き気を起こす場合があります。(※1)
逆に、けいれん性便秘でコロコロ便になりがちな方や過敏性腸症候群の方の場合は、不溶性食物繊維の摂りすぎで、腸に強い刺激となり下痢を起こすこともあるのです。(※2)
また、びわは約90%が水分のため、食べ過ぎると水を一度に多量に飲んだときのように体を冷やすことに…。
その結果、胃腸が冷えてはたらきが悪くなり、消化不良により気分が悪くなったり腹痛を起こしたりすることもあります。(※3)
びわの食べ過ぎで食物繊維と水分を摂りすぎると、大腸では過剰な水分を吸収できなくなり、次々に便が排泄され下痢になると考えられるのです。
びわの食べ過ぎか、冷たい飲み物をがぶ飲みしたせいか、夕方からお腹が痛い(ノ_・。)うぅ…
— 裕可里 (@whoopie14) June 8, 2011
びわの食べ過ぎだけでも腹痛の可能性がありますが、この方のように冷たい飲み物の摂りすぎも加わると、下痢になりやすいので注意しましょう。
他にも、びわを少量食べただけでも腹痛や下痢、口の中に悪影響が出る場合もあります。
口腔アレルギーを起こして喉がかゆくなる
びわを食べると少量であっても、口の中や喉の違和感、腹痛や下痢などの症状が出る場合があります。
これは、びわのあるたんぱく質が体内に持っていた抗体に反応し、口腔アレルギーが起きていると考えられます。(※4)
びわはりんごや桃などと同じバラ科の植物で、口腔アレルギーを起こしやすい果物に挙げられています。
びわの食べ過ぎによる悪影響を見てきましたが、びわの葉は江戸時代から暑気払いややけど・皮膚炎の手当などに生薬として活用されており、アミグダリンなどの成分を含んでいます。(※5)
アミグダリンはびわの種にも多く含まれているため効果を期待して食べる人もいますが、食べ過ぎると中毒症状を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。
種を食べ過ぎるとアミグダリンで中毒を起こす
びわの種を食べると、アミグダリンによる食中毒症状が出ることがあります。
過去にインターネットなどで「びわの種を食べると体に良い効能がある」と紹介され、種を食べる健康法が注目されました。
効能があるとされたアミグダリンは天然の有毒物質で、体内で分解されて毒性の強い青酸(せいさん)になり、多量摂取で頭痛やめまい、悪心や嘔吐などの中毒症状を引き起こします。
びわの種にはアミグダリンが多く含まれるため、農林水産省からは、種を使った料理のレシピにも注意喚起が出されています。(※6)
びわの食べ過ぎで起こるデメリットがわかったので、適量で食べるには、1日にどのくらいが良いか考えましょう。
びわが食べ過ぎにならない適量は1日何個?栄養素やメリットは
びわを食べ過ぎない適量は200gで、1日3~7個がおすすめです。
まず、果物は1日200gを目標に毎日食べると健康に良いと言われているので、びわなら1日何個になるかを考えましょう。(※7)
品種例 | 果実1個の重量 | 可食部の重量※ | 200gの個数 |
---|---|---|---|
茂木 | 40~50g | 28~35g | 6~7個 |
田中 | 60~80g | 42~56g | 3~5個 |
瑞穂 大房 房総 |
100g前後 | 70g前後 | 3個 |
びわは品種によって大きさが違い、西日本で主流の「茂木」は小さめで、東日本で主流の「田中」とは重量差があります。(※8)
贈答用などに人気の100g以上の大きなサイズもありますよ。
また、一度に摂りすぎると悪影響がある食物繊維も、体にメリットが多く、普段の食事では不足している人が多いため気を付けて摂りたい栄養素です。
とはいえ、一度に多量に摂るとデメリットに繋がるため、食物繊維は1日3~4gを目標に増量すると良いとされています。
びわ200gで3.2gの食物繊維が摂れるので、不足を補うにもちょうど良い量です。
びわの食べ過ぎにならない量がわかりましたが、小さな子供の場合はどのくらいが良いのか、食べるときの注意点と併せて見てみましょう。
子供の適量と食べるときの注意点
幼児食に移行した頃から5歳以下の幼児の場合、小さめのびわで3~4個が適量です。
年齢 |
果物の目安量 (※9) |
びわの適量 (※1個50gの場合) |
---|---|---|
1~2歳 | 100g | 3個 |
3~5歳 | 150g | 4個 |
びわは子供たちにも人気ですが、食べ過ぎにならないように注意しましょう。
びわを食べ過ぎないようにするには1日何個が良いかわかったので、適量で食べたときに、栄養素から体に期待できる効果を見ていきましょう。
適した摂取量で得られるびわの栄養メリット
びわに多く含まれる食物繊維やβカロテンなどの栄養成分は、適量を守っていれば美容や健康維持に役立つメリットがあります。
びわに特に多く含まれる栄養成分が体内でどんなはたらきをするのか、見てみましょう。
※()可食部200gあたりの含有量 (※11) エネルギー:82kcal / 水分:177.2g |
||
栄養成分 | 体内でのはたらき | |
---|---|---|
食物繊維 (※12) |
水溶性食物繊維 (0.8g) |
・水分を吸着し便を柔らかくする ・腸内細菌のエサになり環境を良くする ・糖やコレステロールの吸収を緩やかにする |
不溶性食物繊維 (2.4g) |
便のかさを増して腸を刺激して便通を促す | |
βカロテン (1620μg) |
・ビタミンAになる ・皮膚・粘膜・目の健康を保つ ・抗酸化作用 |
|
クロロゲン酸 | ・強い抗酸化作用 ・脂肪の代謝を促進 |
このように、βカロテンや主なポリフェノールのクロロゲン酸のはたらきで、老化や病気を防いだり、肌の健康を保ち、内臓脂肪を減らす効果が期待できます。
最後に、適量で食べてもびわの栄養を逃さない、おすすめの食べ方をご紹介します!
びわの栄養素を逃さない効果的な食べ方を紹介
びわを食べ過ぎない量で栄養成分をしっかり摂るには、新鮮さを見分ける選び方も大切です!
表面に傷があると茶色になりやすく、空気に触れてポリフェノールが減りやすいので、できるだけ傷が無いものを選ぶのがポイントです。(※14)
基本的に、びわは皮を剥いてそのまま実を食べますが、中央の種は捨てます。(種の周りの薄皮は食べても構いません。)皮は、ヘタの逆側からが剥きやすいですよ。
食べながらびわの種を取り出すのが嫌な方には、皮を剥いた後ナイフなどで縦半分に割り、中央の種部分をあらかじめスプーンなどで取り出しておく食べ方がおすすめです。
また、びわに多く含まれるβカロテンは油と相性が良く、水溶性食物繊維とポリフェノールは水に溶け出る性質を利用・カバーするのがポイントですよ。
〇油と併せてβカロテンの吸収率を上げる
(例1)サラダ(ドレッシングに油を使う)
(例2)マリネ(油・酢・砂糖などで和える)
〇溶け出た水溶性食物繊維・ポリフェノールを逃さない
(例)コンポート・ジャム・ゼリー
〇細かく粉砕することで消化・吸収率を上げる
(例)ジュース
ゼリーはかさが増えて満足感も得られるので、ダイエット中の食べ過ぎ防止にも役立ちますよ。
びわ入りゼリーを手作りする場合は、ゼラチンよりも寒天を使用すると水溶性食物繊維を多く摂ることができますよ!
また、寒天は凝固点・沸点がゼラチンよりも高いので、夏場のデザートなどにも溶けずに使用しやすいメリットもありますよ。(※15)
コンポートやジャムにするとある程度保存が効き、自家栽培などで大量に収穫できたときや甘みが少ないと思うときにもおすすめの方法です。
コンポートの作り方や保存方法を知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|びわは食べ過ぎに注意して食べよう
びわは旬のときしか出回らないのでたくさん食べたくなりますが、食べ過ぎると吐き気や腹痛・下痢などの原因になるため適量にしましょう。
びわの種には毒性のあるアミグダリンが含まれていますが、通常通り種を取り出し、熟した実を食べるなら危険性は心配ありません。
びわは品種によって大きさがかなり違うので、1日3~7個を目安にし、大きいサイズなら3個までが適量です。
びわには健康や美容に栄養のメリットが多いので、食べ過ぎに注意して、甘くてジューシーなおいしさをぜひ味わってください。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 食物繊維をとりすぎると便秘が悪化!?便秘改善になる量と食材とは|NHK健康チャンネル
※2 腸の喜ぶ食品を知ろう|医療法人錦秀会栄養部
※3 病気について・お腹が冷たくありませんか?|市川すずき消化器・内視鏡クリニック
※4 新着情報・小学校で児童11人が救急搬送/ビワアレルギーか|深見耳鼻咽喉科
※5 季節の生薬について|日本家庭薬協会
※6 ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう|農林水産省
※7 果実の1日の摂取目標「200g」とは|農林水産省
※8 6月~びわがポイント~|鹿児島医療センター栄養管理室
※9 離乳食卒業からの 幼児食の基本|おでかけひろばSHIP
※10 わかさの秘密・ビワ|わかさ生活
※11 食品成分データベース・果実類/びわ/生|文部科学省
※12 e-ヘルスネット・食物繊維の必要性と健康|厚生労働省
※13 教えて、先生!/ポリフェノールって何?|伊藤園
※14 eo健康・栄養素辞典・ポリフェノール|株式会社オプテージ
※15 寒天|わかさの秘密(わかさ生活)