【監修者:管理栄養士 五輪美沙子】
【執筆者:野菜ソムリエプロ みつはしさなこ】
サーモンは必須脂肪酸やビタミン、カロテノイドを含んだ栄養価の高いたんぱく質です。
積極的に食べてダイエットや健康につなげたい魚介類ですが、食べ過ぎは体調不良を起こすので注意しましょう。
たとえば食べ過ぎると、脂っぽさで胃もたれや下痢を起こしたり、塩分によって高血圧などの病気を引き起こすリスクもあるのです。
体に悪い影響を起こさないために注意すべき点を調べましたので、しっかり押さえておきましょう。
サーモンに含まれる栄養素それぞれの働きと、私たちの体にどのようなメリットとデメリットがあるのか詳しく解説します。
さらにサーモンを食べる危険があるかも見ていきましょう。
最後には、サーモンの適量や健康に効果のある食べ方を紹介します。
焼いたり刺身や生でも美味しく食べられるサーモンについて詳しく知り、健康につなげてくださいね。
管理栄養士・栄養士
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目次
サーモンの栄養とメリット・食べ過ぎに注意したい成分
サーモンには良質なたんぱく質だけでなく、摂りたい栄養素や注目すべき成分が豊富に含まれています。
それぞれどのような効能があるのか、見ていきましょう。
中には食べ過ぎに注意したい栄養成分もあるので、最後までチェックしてくださいね。
主な栄養成分はたんぱく質
たんぱく質は筋肉や臓器、ホルモンなど体の組織を作ったり、栄養素を運搬する働きがあります。
たんぱく質は全20種類のアミノ酸から構成されますが、そのうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ食事でしか摂取できないものです。(※2)
どんな種類のアミノ酸が含まれているかは食材によって異なりますが、サーモンには必須アミノ酸が全て揃っており、良質なたんぱく源と言えます。(※3)
また、サーモンをはじめとした油の多い魚に特徴的な成分がありますよ。
魚に多く含まれる必須脂肪酸EPA・DHA
サーモンには必須脂肪酸の中のEPAとDHAが含まれており、EPAには健康やダイエットにつながる効果が、DHAには子供の成長に重要な働きが期待できます。
EPAの主な働きは次のようなものです。
- 血液をサラサラにする
- 中性脂肪を抑える
EPAには血管内の中性脂肪濃度を下げる効果があり、血液中を血栓ができにくくサラサラの状態にして動脈硬化を予防する効果があります。(※4)
さらに、皮下脂肪や内臓脂肪を減少させる働きがあり、太るのを防ぐのに役立ちます。(※5)
EPAは脂肪を燃焼しやすい体質にするはたらきも期待できるので、ダイエット中はサーモンを積極的に食べるのがおすすめですよ!
さらに、脳や神経、母乳にも含まれるDHAは、乳幼児や成長期の子供にとって積極的に摂りたい成分です。(※6)
ただし、体に良くても脂の摂り過ぎは体調不良につながりますので注意も必要です。
サーモンはたんぱく質と脂肪だけでなく、ビタミンも含まれていますのでさらに体に良い効果が期待できますよ!
貧血予防に摂りたいビタミンB12
ビタミンB12は、赤血球中で葉酸と一緒にヘモグロビン合成を助けます。(※7)
牡蠣やレバーなどに豊富に含まれますが、サーモンなどの魚介類にも多いビタミンです。
そして、もう一つ体を作るビタミンも豊富なんですよ。
骨を丈夫にするビタミンD
ビタミンDには、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進します。(※8)
さらに血液中のカルシウム濃度を保って、丈夫な骨を作る働きをします。
さらに、サーモンの赤い身の色はアスタキサンチンと呼ばれるカロテノイドが含まれています。
どんな働きがあるのか見てみましょう。
強い抗酸化力を持つアスタキサンチン
アスタキサンチンにはβカロテンやビタミンEよりも強い抗酸化作用があり、活性酸素を消去する働きがあります。
- 肌の潤い回復
- 血中脂質の酸化防止
- からだや眼、精神の疲労回復 など
このように体に良い成分が多く含まれるサーモンですが、食べ過ぎると体調不良を招く恐れがあります。
次章では、食べ過ぎでどんなデメリットがあるか、見ていきましょう。
サーモンの食べ過ぎでデメリットになる栄養成分と症状
どんな食材でも摂り過ぎは危険ですが、サーモンも同じように食べ過ぎには注意が必要です。
体に悪いのはどんな場合か、病気の恐れがあるのか一つずつ解説していきます。
油や脂肪分の摂りすぎが胃もたれや下痢を起こす
油っこいものや脂肪分が多い肉魚を食べると気持ち悪いと感じたり、胃もたれや下痢をする可能性があります。(※10)
特に胃腸の調子が良くないときは、食べる量に気をつけましょう。
サーモン食べすぎてゲロ吐きそう、めっちゃ気持ち悪い。
大好きなものでも食べ過ぎはあかんな、、、— ⚡️ピカ厨⚡️@めろママ。Mダックス大好きマン (@nyasufisu) July 23, 2020
好きなものでも、適量にして楽しみたいですね。
サーモンで病気にかかる恐れがあるかも見ていきましょう。
尿酸値が高い人は病気を引き起こす可能性
高尿酸血症のような尿酸値が高い人は、サーモンの食べ過ぎで痛風になる可能性があります。
痛風は体内の尿酸量が増え、尿酸塩が結晶化することが原因で起こります。
尿酸値が高い場合、食事や運動で尿酸をコントロールする必要があり、尿酸を増やす可能性のあるプリン体を含んだ食品は避けたほうがいい場合があります。(※11)
サーモン(鮭)100g中に119.3mgのプリン体が含まれているので、適量を考える際には十分注意しなければいけません。
そして、燻製にしたスモークサーモンも食べ過ぎに注意が必要です。
塩分量の多いスモークサーモンは食べ過ぎに注意
サーモンを食べ過ぎると、塩分の摂り過ぎで高血圧を引き起こすおそれがあるので注意が必要です。
特にスモークサーモンは、生のサーモンと比べて塩分量が多いため、リスクも高くなります。
生サーモン(※12) | スモークサーモン(※13) |
---|---|
0.1g | 3.8g |
かなり違いますね!
普段から血圧が気になる方などは、スモークサーモンの食べ過ぎには特に気を付けてください。
また、魚介類の食べ過ぎといえば水銀中毒を思い浮かべて心配な方もいるかもしれません。
サーモンに水銀中毒の危険があるのか、魚介類に含まれる水銀についても調べてみました。
サーモンを食べると水銀中毒になる危険はある?
サーモンの食べ過ぎで、中枢神経に異常をきたす水銀中毒になる危険はほとんど考えられません。
食物連鎖を通して魚介類の体内に水銀が蓄積されるのは事実ですが、日本人の魚の摂取量では健康に影響を及ぼすレベルではないとされているからです。(※14)
さらに水銀の胎児への影響を考慮して、妊婦など一部の人に対して水銀濃度が高い魚介類の摂取頻度の注意喚起がありますが、サーモンは含まれていません。
注意を促されているのは以下のような魚介類です。
- マグロ類(マグロ、カジキなど)
- 深海魚類(キンメダイなど)
- サメ類
- クジラ・イルカ類
お母さんの体内に入った水銀は少しずつ排泄され身体から出ないわけではありません。しかし、おなかの中の赤ちゃんは、お母さんの身体から取り込んだ水銀を外に出せないので妊婦さんは気を付ける必要がありますね。(※16)
一般の方がそれほど神経質になる必要はありませんが、妊娠中の方などは上記の魚介類を食べる頻度や量に注意しましょう。
食べ過ぎはデメリットがありますが、サーモンは栄養価の高い魚なので、偏らないようにしながら適量を継続的に摂るといいですよ。
ではどのくらいが適量なのか、そして健康的な食べ方について次章で詳しく解説します。
サーモンの食べ過ぎにならない適量と健康的な食べ方
サーモンにはプリン体が多く含まれていることから、食べ過ぎにならない1日の適量は1切れ(100g)までを目安にすることをおすすめします。(※17)
高尿酸血症や痛風の人が目安にするべき1日のプリン体摂取量は400mgです。(※18)
サーモンに含まれるプリン体の正確な数値は不明ですが、鮭の数値を参考にすると100gあたり119.3mg含まれています。
鮭に含まれるプリン体の含有量や、他の食材からも摂取することを考えると、サーモンは1日1切れ(100g)までを目安にした方が良いでしょう。
ちなみに、アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)には、EPAとDHAのn-3系脂肪酸(オメガ3)が100g中1.94g含まれています。(※19)
続いては、EPA・DHAを効率的に摂る食べ方を紹介します。
EPA・DHAを健康的に摂れる食べ方はコレ
EPA・DHAは加熱によって20〜50%減少します。(※21)
栄養成分を効率的に摂るなら、火を通すよりも刺身や寿司、カルパッチョなどの生食がおすすめです。
簡単に作れそうな、サーモンの栄養がたっぷり摂れるレシピを紹介します。
🍴痩せたい方のダイエット飯🍴
ダイエット サーモンのなめろう丼
魚を食べよう😋
サーモンは嬉しい効果が沢山な優秀魚です🐟
お肌もきれいになっちゃうダイエットレシピです!#ダイエット記録 #痩せたい pic.twitter.com/06bOjersO8— 食べて痩せる😋痩せたい女子のモチベに✨おすすめダイエットご飯レシピ🥙グルメ/献立/料理垢/ごはん (@GohanDiet) May 24, 2021
わさびやネギの薬味が効いていて美味しそうですね!
ダイエット以外の方もぜひ試してみてくださいね。
なお、EPA・DHAが摂れる魚は毎日食べるのが理想ですが、日本人の平均的食事量では摂取量が足りないのが現状です。(※22)
サーモンや魚介類をあまり食べないときは、サプリメントで補うのもいいでしょう。
食事だけで1日の摂取目標量を補うのは大変なことです。サプリメントも取り入れつつ生活習慣や食生活、食事バランスも一緒に見直すと良いですね。
\こちらの記事も参考にどうぞ/
結論|サーモンは食べ過ぎないで適量を楽しもう
サーモンは必須脂肪酸EPA・DHAが豊富な魚であり、ダイエットや病気予防が期待できる魚です。
ビタミンやカロテノイドも多く含まれるので、ぜひ継続的に食べるといいでしょう。
EPA・DHAを効率的に摂るなら、できれば刺身などの生食料理で取り入れるのがおすすめですよ。
ただし、サーモンは脂身が多いので食べ過ぎると胃もたれや下痢の原因になります。
適量にとどめながら、おいしく健康的にサーモンを楽しんでくださいね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 サーモンミュージアム「サケの栄養」|マルハニチロ株式会社
※2 タンパク質とは【タンパク質の種類、機能、働きなどを解説】|森永製菓株式会社
※3 サーモンの秘密|株式会社中村屋
※4 動脈硬化にEPA|日本水産株式会社
※5 中性脂肪にEPA|日本水産株式会社
※6 EPAとDHAの違いは?|日本水産株式会社
※7 栄養成分ナビゲーター「ビタミンB12」|江崎グリコ株式会社
※8 栄養成分ナビゲーター「ビタミンD」|江崎グリコ株式会社
※9 アスタキサンチンとは|富士フイルム株式会社
※10 胃腸の調子が悪い時の食事|東京都病院経営本部
※11 痛風ってどんな病気?〜予防と治療〜|滋賀医科大学医学部附属病院
※12 食品成分データベース「べにざけ(生)」|文部科学省
※13 食品成分データベース「べにざけ(くん製)」|文部科学省
※14 魚介類に含まれる水銀について|厚生労働省
※15 魚介類・鯨類の水銀についてのQ&A|日本生活協同連合会
※16 これからママになるあなたへ|厚生労働省
※17 栄食材の目安量|味の素株式会社
※18 食品・飲料中のプリン体含有量|公益財団法人痛風・尿酸財団
※19 たいせいようさけ/養殖/皮つき/生|食品成分データベース(文部科学省)
※20 栄養成分ナビゲーター「日本人の食事摂取基準」|江崎グリコ株式会社
※21 青魚以外の食品からでもDHA・EPAは摂れる?|サントリーウエルネス株式会社
※22 食欲の秋も怖くない!青魚のサラサラパワーで健康スタイルを維持しよう!Part2|日清ファルマ株式会社