私が働いている花屋に来店されたお客様から、「バラの花束を誕生日のお祝いに渡したい。明日渡したいんだけど前日に買っても日持ちするかな?」との質問を受けました。
花屋で働いていると、「花束は何日くらい日持ちするのか」「花束はそのまま保管していても大丈夫なのか」など、花束の日持ちに関する質問をよく受けます。
そこで今回は、花のことを知り尽くしている花屋の私が、花束が日持ちする保存方法について以下の項目を詳しく紹介します。
- 花束を渡す前日の最適な保存方法
- 受け取った花束を長く楽しむ方法
- アレンジメントの日持ち日数
- 生花以外に日持ちする花
花束を渡す機会はいろいろあると思いますが、花束がどのくらい日持ちするものなのかを知っておけば、新鮮なお花の状態で相手に渡せるのできっと喜んでもらえるはずです。
花束以外にも、アレンジメントや生花以外の花についても詳しく紹介しています。
ぜひあなたも大切な人に花束を渡す前に、この記事で紹介している花束を日持ちさせる保存方法をお試しください!
目次
花束って意外と日持ちします!渡す前日の保存方法5つ
先程、例にあげましたが「花束をプレゼントしたいのは明日なんだけど、どうしても都合がつかなくて今日しか買えない。明日までキレイなまま保存出来ますか?」
との質問をよくされますが、結論から言えば大丈夫です!
ただし、購入する際には以下のポイントに注意して下さい。
- お店に「明日プレゼントする予定」と伝える
- 出来るだけ蕾に近い大きさの花を選ぶ
- 温度管理をきちんとする
- 花びらの部分を濡らさないようにする
- 立てて保存する
詳しく説明していきます!
お店に「明日プレゼントする予定」と伝える
花束を渡すのが翌日だとわかれば、花屋でもあまりきつく縛りすぎない(花びらが重なった部分は傷みやすい為)、エコゼリーなどで水分を多く含むなどの工夫をさせて頂きます。
いつ、どのような用途(誕生日のお祝いや母の日など)でプレゼントする予定なのか、出来るだけ詳しく教えて頂いた方が、お店側としても対応しやすいんです。
出来るだけ蕾に近い花を選ぶ
花は1日で咲く場合もありますが、暖かい場所だと数時間で咲く場合も!
そういった事を逆算して、明日、1番キレイな状態でプレゼント出来る様に、前日に購入する時は蕾のものを買っておく…というのも良い方法です!
お客様の中には「明日お墓参りに行くのでお供え用に切り花が欲しい」と、少し固め(蕾)の菊などを買って行かれるお客様が沢山います。
少し暖かい場所に置いておくと、次の日には丁度良い大きさに咲いているので、丁度よいと重宝されていますよ。
温度管理をきちんとする
夏場は勿論、冬場でも出来るだけ室温が低い場所で保存して下さい。
上記の「蕾の状態で購入」した時は、多少暖かい方が良いのですが、それでも暖かすぎると、キレイに咲くのを通り越してしおれてしまいます。
冬場でも室内は暖房のおかげで意外と暖かかったりしますので、くれぐれも気を付けて下さいね!
ちなみに、私が働いている花屋では、花を保存している冷蔵庫の設定を5度から8度にしてあります。
ご家庭の冷蔵庫で花束をキレイに保管しておくのは難しいかもしれないので、玄関やトイレなどできるだけ涼しい場所に保管することをおすすめします!
花びらの部分を濡らさないようにする
花びらはとてもデリケートで、水に濡れてしまうとすぐに傷んでしまうので濡らさないように注意して下さいね。
立てて保存する
花束は野菜と同じように、横に寝かせて置いておくのではなく、立てて保存して下さい。
できるだけ涼しい場所で温度管理をしっかり行い、立てて保存しておけば花束の持ちはグンと良くなりますよ!
これで前日に花束を用意しておいても、新鮮なお花の状態で渡せますね。
次章では、花束を受け取った場合に役立つ、日持ちする保存方法について紹介します。
受け取った花束を長く楽しめる!日持ちさせる5つのポイント
せっかくキレイな花束を頂いたのに、すぐに枯れてしまうのは残念すぎますよね。
少しでも長く、キレイな状態を保って楽しみたいという場合に大切なのは、やはり保存方法です。
以下のポイントに気をつけて、キレイな花を何日でも日持ちさせる方法を実践しましょう。
すぐにラッピングを外す
ラッピングをしていると、花がギュッと締め付けられている状態で呼吸ができません。
花にも空気が必要なので、すぐにラッピングを外して新鮮な空気に触れさせてあげて下さい。
水揚げ
水揚げとは、花にキレイな水を吸わせてあげることをいいます。
水揚げをするだけで、全然持ちが違いますよ!
水揚げの方法
- 深い入れ物に水をたっぷりと入れる
- 花の茎部分を水に浸けながら、花切りバサミ(無ければキッチンバサミ等でもOKです)で、茎を斜めに切る
- 花瓶に浸ける
水の量
水の量は多すぎてもダメ、少なすぎてもダメです。
多すぎると茎が腐ってしまいますし、少なすぎると枯れてしまいます。
花瓶の3分の1程度が良いのではないでしょうか。
ただし、枝ものや、菊、バラなどは深水といって、3分の2程度の水の量が必要です。
水は頻繁に変える
特に夏は、暑さですぐに水が腐ってしまいます。
花の水が腐った時の匂いはかなり臭いので注意ですよー!(笑)
常に、新鮮な水を与えるようにしましょう。
ここで、ちょっとした裏技をいくつか紹介します。
花瓶の水の中に10円玉を入れる
10円玉を入れることで酸化を防いで、水が腐るのを予防してくれます。
花瓶の水の中に漂白剤を入れる
私の店でも実際やっている方法で、ハイターを使用しています。
ハイターの量は、ほんの少しでOK。
菌の繁殖を防いで、水の清潔さを保ってくれます。
花瓶の水の中に砂糖を入れる
砂糖は花の栄養補給になるので、少量を水に溶いてから入れて下さい。
ただし、砂糖が多すぎると菌が繁殖しやすくなってしまうので、量に注意して下さいね!
温度・湿度管理
温度管理は、先程から何度も言ってますが、花にとっては1番大切なことです。
出来るだけ、涼しい場所で保存する様にして下さい。
ここで、注意してもらいたいのは「湿度」です。
特に夏は部屋を涼しくする為に冷房をつけている際、冷房の風が直接花に当たらないようにして下さい。
花の水分を一気に奪ってダメにしてしまいます。
相手に長く楽しんでもらうならコレ!チョイスしたい生花10選
花にも、弱い花、強い花があります。
出来れば強い花をチョイスすることが出来れば、プレゼントしてからも長く楽しんでもらえますよね!
それでは、強い花を10種ピックアップします。
- 胡蝶蘭
- カーネーション
- スターチス
- バラ
- かすみ草
- ユリ
- トルコキキョウ
- オーニソガラム
- アルストロメリア
- 菊
以上の種類は、うちの店でも比較的長生きしてくれています。
スターチスやかすみ草はドライフラワーにも使われる程なので、とても強いです。
ボリュームもあるし、どんな花とも相性が良いのでブーケにもおすすめですよ。
次章では、花束ではなくアレンジメントを渡したい場合にはどのくらい日持ちするものなのか確認してみましょう。
花束ではなく、アレンジメントにすると日持ちはどうなる?
花束ではなく、アレンジメントの場合はどのくらい日持ちするのかというと、管理方法によって異なります。
花束とアレンジメントのどちらを渡そうか迷った場合には、水の交換頻度で選ぶと良いでしょう。
- こまめに水を変えられる場合 ⇒ 花束がおすすめ
- こまめに水を変えられない場合 ⇒ アレンジメントがおすすめ
アレンジメントは、「オアシス」と呼ばれているスポンジのようなものに花を刺しているので、オアシスに水分が無くなってきた時にだけ、水を与えて湿らせるという作業が必要になります。
管理が簡単なのはアレンジメントですが、オアシス代、籠(入れ物)代が上乗せされるので、花束に比べて少し高くなってしまうかもしれませんね。
花束とアレンジメントのメリットとデメリットを比較してみると以下のような違いがあります。
花束 | アレンジメント | |
日持ち | 日持ちする | 日持ちしにくい |
持ち帰りやすさ | 持ち帰りやすい | 持ち帰りにくい |
管理のしやすさ | 頻繁に水の交換が必要なので管理が大変 | オアシスに水を含ませるだけで良いので管理しやすい |
飾りやすさ | 花瓶が必要 | そのまま飾れる |
このように、花束とアレンジメントにはそれぞれメリット、デメリットがあります。
花を飾る習慣があまり無い家庭には花瓶が無い可能性もあるので、そういった場合はアレンジメントが喜ばれます。
小さめのアレンジメントにしたい場合は、ミニひまわりやガーベラ、ダリアなどを入れるのもおすすめです!
次章では、生花よりもっと日持ちさせたい時に便利な花の種類について紹介します。
生花よりも日持ちする!プレゼントにも最適な3種類の花
生花よりもっと日持ちする花を選びたいというあなたにおすすめの、プレゼントにもぴったりな花の種類を紹介します。
プリザーブドフラワー
プリザーブドフラワーとは、生花を特殊な液に浸して水分を抜いて日持ちするように加工しています。
メリット
プリザーブドフラワーの見た目はまるで生花ですが日持ちするのが大きなメリットです。
私もも12年前の結婚式で作ってもらったブーケのプリザーブドフラワーが、今でもキレイに残ってあります。
「高価」なイメージがあるので特別感が出ますよね!
デメリット
プリザーブドフラワーは、お花の種類が少ないんです。
着色しているので色あせや色移りがあり、保存液の関係でどうしてもヒビや欠けてしまう場合があります。
とても繊細なので取り扱いに気を使いますね。
また、花材、製作料がかなりかかります。
アーティフィシャルフラワー
アーティフィシャルフラワーは、生花にかなり近い質感や美しさを再現した造花です。
メリット
アーティフィシャルフラワーは人工素材のため耐久性に優れており、生花よりも長期間楽しめます。
また水などが必要ない為、管理が簡単ですね!
あと、花材の種類が豊富なので、生花には無い色や模様を再現することができて多種多様なアレンジを制作できます。
デメリット
生花ではないので、鮮度・香りといった花本来の特徴がありません。
生花は日持ちしなくて管理が大変だというデメリットがあっても、生花にこだわるお客様がいらっしゃるのは、やはり鮮度や香りを楽しみたいという理由があるようです。
シルクフラワー
シルクフラワーの造花の一種で、シルクのような美しさを楽しめることから名付けられたもので、シルク製ではありません。
メリット
シルクフラワーもアーティフィシャルフラワーと同じで、素材はポリエステルなどが使われているので、耐久性に優れており、長期間楽しめて管理も簡単です。
デメリット
シルクフラワーも生花特有の鮮度や香りがなく、人工素材の為ほつれる場合があります。
このように、プリザーブドフラワー、アーティフィシャルフラワー、シルクフラワーにはそれぞれに生花よりも良い点、悪い点あります。
ただし、生花に比べてかなり値が張るので、予算や相手の好みなども考えて、慎重に選んでくださいね!
まとめ
最後にもう一度、花束が日持ちする保存方法についてまとめてみます。
プレゼントする前日に花束を購入する場合のポイント
- お店に「明日渡したい」と伝える
- できるだけつぼみを選ぶ
- 温度管理に注意
- 花びらを濡らさない
- 立てて保存する
もらった花束を日持ちさせる方法
- すぐにラッピングを外す
- 水揚げを行う
- 水の量に気を付ける
- 水は頻繁に変える
- 温度・湿度管理
花束以外の花
- アレンジメントは日持ちしないが管理はしやすい
- プリザーブドフラワーは生花の水分を抜いているので日持ちする
- アーテフィシャルフラワー、シルクフラワーは造花なので日持ちする
大切なのは、花を贈る人の気持ちや貰った時の喜び、そこに生まれる幸せなのではないでしょうか。
確かに、せっかくのキレイな花の姿を、少しでも長く楽しみたい、忘れたくない……そういったお気持ちは、とてもよく分かります。
でも、決して、枯れてしまうことをネガティヴに考えないで下さい。
花は枯れてしまっても、その瞬間の幸せはいつまでも残っているはずです。
以上のことに注意して、キレイな花の姿を、出来るだけ長く楽しんで下さいね。