【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
子どもにせがまれて季節外れのりんごを買ったら、芯の部分が空洞になっていて、種に白いフワフワしたものがついていました。
これって…カビですよね?外側や実の部分には異変が無いのですが、「このりんごを子どもが食べても大丈夫?」と悩んだ末に捨てました。
本当は食べられたのでしょうか?りんごに生えるカビについて、詳しく調べてみたいと思います!
- 外側・中身・種などりんごに生えるカビを徹底調査!食べられるかどうかの見分け方が知りたい
- りんごにカビが生える原因とは?りんごのカビを食べてしまったときの対処法も紹介
- りんごが腐るとどうなるの?カビ以外の食べられない症状を紹介
- りんごの正しい保存方法とは?カビを防止して日持ち期間を長くする方法を紹介
芯が空洞になっていたりんごですが、少しカビ臭い感じもしました。「カビには毒がある」と聞いたことがあるので、安全性の見極め方をしっかり確認していきたいと思います。
カビ以外の症状でりんごが食べられない場合の見分け方や、美味しさをキープして長持ちさせる保存方法もご紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみて下さい!
管理栄養士・栄養士
目次
りんごの芯カビは食べても大丈夫?種・中身・外側の見分け方も調査!
私はこれまで、りんごの芯以外の部分にもカビが生えたのを見たことがあります。私と同じような体験をした方を探してみると、SNSにたくさんの投稿がありました。
まずは画像で、りんごに生えるカビの見た目をチェックしてみましょう!
↓まずは我が家と同じく、芯にカビが生えたりんごです。我が家でもりんごを切ったら芯が黒くなっていて、白いわたのようなカビが見えました。
花が実になる過程で、カビを取り込んでしまうと”芯カビ”に。芯カビになりやすいためにおいしいのに栽培されなくなった品種も数多いとか。
食べてみたかったです。#りんご #芯カビ #消えた品種 https://t.co/3bw0Un3zLV
— 八百屋すず辰@”八百森のエリー”応援中! (@suzutatsu0831) December 13, 2018
↓こちらのりんごは黒くなっている範囲が小さいですが、種がカビに埋まっていますね。
青森りんご
現在、池袋西武の地下二階に並んでいます
左は、小さなごまのような種、その空間に白いカビがびっしりと詰まっている
右が、普通のりんご pic.twitter.com/s8EADZ3DZm— t-mari (@kappel0208) October 5, 2015
↓こちらのカビは、袋詰のりんごの、中の方に生えているのを見たことがあります。皮の表面に、プツプツと生えているのが嫌ですね。
りんごから謎の物体が…調べてもカビなのか植物なのかよくわかりませんでした。よろしくお願いします。#オラ草が知りてぇ pic.twitter.com/mXLjTpDGPq
— もろみ (@A10nZc) November 25, 2019
画像はなかったのですが、他にも様々なカビの実体験を発見しました。
芯に生えるカビを含めて、それぞれのカビが食べられるかなどを調査したのでご紹介します!
芯に生えるカビ
芯の部分にカビが生える原因は、「芯(心)カビ病」という、りんごに出やすい病気です。
りんごが育つ過程でカビの菌が入るのが原因で、りんごの中心である種の部分からカビが生えて、種の周りにも広がっていきます。
食べても大丈夫?
- 真ん中の部分だけに異変がある場合は、その部分を取り除くと食べられます
- 実の内側全体にもカビが広がっている場合は、食べられません
芯カビ病は「カビがひどくなければ食べられる」と言われていますが、安全面を重視して、下記のような方は食べないのがおすすめです!
- 赤ちゃんや子どもさん
- 妊娠中の方
- 免疫力が低い方
少しの菌でも食中毒の症状が出る危険性があるので、避けて下さいね。
りんご農家や販売店のホームページによると、外側の見た目から内部にカビがあるかどうかはわからないそうです。
「芯カビ病の症状がひどい場合は交換する」とお知らせしているホームページが多数あったので、りんごを切って中身の状態がひどい場合は、ぜひ販売店に連絡してみて下さい!
りんごの傷についている青カビ
りんごに傷がつき、中の水分がしみ出したのが原因で生える青カビは、強いカビ毒を持つ「パツリン」の可能性があります。
食べても大丈夫?
食べられません。もったいないですが、丸ごと捨てましょう。
特にりんごが樹から落ちて土がつき、土の中にいる菌が原因で出る青カビはパツリンの可能性が高いので、買った時点で傷がある&青カビが生えているりんごは食べないで下さい!
りんごの外側に生える白・黒・青緑などのカビ
箱入りのりんごを開けたら、皮の外側にカビがたくさん生えていたという経験がある方もいらっしゃると思います。
- 茎(枝についていた部分でヘタと呼ぶ方もいらっしゃると思います)を覆うような青カビ
- 底のへこんだ部分から外側に向けて密集している青や黒のカビ
- 皮にプツプツと密集している白いカビ
- りんごをカットした切り口に生える、白いヌルヌルのカビ など
こちらは表面に雑菌がついて増殖したもので、カビの種類や毒性については、それぞれ違うので特定できません。
食べても大丈夫?
基本的には食べるのをおすすめしません。
りんごの外側についたカビを洗うと食べられるように見えるのですが、下記のようにカビを取り切れない可能性があります。
- りんごの内部にカビの根が伸びている
- 目に見えないカビの胞子が残っている
カビがどの程度広がっているかは、カビの菌が付着してからの期間やカビの種類によって状況が違います。
ご自身の判断でカビを洗い流して食べる場合でも、カビ臭い味がしたら食べるのをやめて下さいね。
りんごの蜜が茶色に変色
りんごを樹につけたまま十分に完熟させると蜜が入ることがあります。通常、蜜は時間が経つと果糖に変化し、実に吸収されていきます。
蜜が実に吸収されずに酸化すると、茶色に変色する「蜜褐変(みつかっぺん)障害」という症状が出て、蜜の部分にカビが生えてしまう場合もあります。
食べても大丈夫?
蜜褐変(みつかっぺん)障害について調査したのですが、どの程度カビが生えるのかがハッキリせず、専門家などから食べられるかどうかについても情報がありませんでした。
蜜の部分は水分が多くて柔らかいので、カビの根が深く入り込んでしまう危険性を考えて、食べないのがおすすめです。
虫食いりんご
りんごの外側を見て穴があいている場合は、虫食いの可能性が高いです。
食べても大丈夫?
「虫食いの部分が少し茶色に変色している程度なら、その部分を切ると食べられる」と言われていますが、下記のような影響が出ている可能性もあります。
- 虫食いで傷がついた部分から水分が出てカビが生えている
- 虫がりんごのなかにいて、フンをたくさんしている など
外側に目立つカビなどがなくても、虫食いの穴がたくさんあるりんごは捨てるようおすすめします!
りんごに生える主なカビと、食べられるかの見分け方をご紹介してきました。
毒性を持つカビもあったので、食べられるかどうか不安な場合は、ぜひ販売店にも問い合わせをしてみて下さい!
次に、カビが生えたりんごを間違って食べてしまったときの対処法も確認しておきましょう!
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カビが生えたりんごを食べたらどうする?誤って食べたときの対処法を紹介
先程ご紹介した「パツリン」のように、りんごには毒性を持つカビが生える可能性がありました。もし間違って食べた場合に、すぐに病院に行くかを迷いますよね。
そんなときは、ぜひ落ち着いて対処して下さい。
カビが生えたりんごを食べても慌てない!正しい対処法を紹介
カビが生えたりんごを食べた場合は、2つの対処法で的確に行動していきましょう!
1.慌てて病院に行かず、様子を見る
毒性を持つカビを食べてしまったとしても、通常食べる量では、健康被害が出ないのが一般的です。
健康被害が出る例
- 毎日・何年も”カビが生えたりんご”を食べ続ける
- 一度に、通常では考えられないくらい大量の”カビが生えたりんご”を食べる
- 体重が軽い子どもが一度に&大量に”カビが生えたりんご”を食べる など
まず、りんごにカビが生えているのを発見した時点で口から出し(吐く必要はありません)、残ったりんごは食べないで下さい。
りんごを食べて「カビ臭い」・「カビの味がする」と感じたときも、食べるのをやめて下さいね。
りんごを食べた後に食中毒のような症状が出たら、次の対処法にうつります。
対処法2.体調に変化があったら病院を受診する
食中毒の症状は、腹痛・吐き気・嘔吐・下痢・アレルギー症状などさまざまです。
りんごを食べていつもとは違う不調が出た場合は、病院を受診なさって下さい。その際に、カビが生えたりんごが残っていれば持参しましょう!
医師に症状の原因になった可能性があるりんごを確認してもらうと、治療がスムーズに進む場合があります。
「カビが生えたりんごを食べた」と分かった瞬間に慌てて病院に行くのではなく、落ち着いて様子を見てから体調の変化に応じて病院を受診なさって下さいね。
りんごに生える強い毒性を持つカビ・「パツリン」が気になる!
パツリンは、「樹から落ちて傷がついたりんごに生えるカビの危険性が特に高い」とご紹介しました。
通常傷がついたりんごは、りんごジュースなどの加工品になります。りんごジュースは、子どもが一度にたくさん・毎日飲む可能性がある食品ですよね。
さらに子どもは体重が軽くて大人よりも毒性の影響を受けやすいので、パツリンに注意が必要と言われています。
でも、りんごジュースの原材料にカビが生えているかまでは、親としても管理しきれない部分がありますよね。
1つの食品を過度に摂取するのは、りんごジュースに限らず体に良いことではありませんので、通常通りにさまざまな食品を取り入れて食べる・飲む生活をしていきましょう!
パツリンは【短期的な健康への影響として消化管の異常や潰瘍】、【長期的な健康への影響として体重が増加しない】症状が出るとわかっているので、気になる点があれば医師に相談なさって下さい。
りんごに生えるカビの原因から、食べてしまったときの対処法までをご紹介しました。カビを口に入れないためには、食べる前にりんごの状態を確認して、過度に食べないのも大切ですね!
次に、りんごが体調を左右する原因として、カビ以外の腐敗についても確認しておきましょう。
りんごは腐るとどうなるの?カビ以外の判断基準や目安がコレ!
りんごは食べ頃を多少過ぎても、料理やお菓子に活用できます。私はすぐに捨てないので、本当に食べられるかの判断に迷うことも…。
りんごが腐るとどうなるのかを調査したので、どの程度劣化したら食べられないかを、ご一緒に確認していきましょう!
こんなりんごは食べちゃダメ!
カビ以外の症状をご紹介します。
- 溶けている
- 触るとつぶれそうなくらい柔らかい
- 皮がぶよぶよ
- 汁が出ている
- カットすると実が茶色に変色している
- 異臭がする(発酵臭)
上記のような状態になったら、腐敗が進むだけです。お菓子などにも使えませんので、捨ててくださいね。
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アップルパイは冷凍保存できる!簡単でおいしい解凍方法も教えます!
りんごを正しく保存すれば、家庭でもカビや腐敗を防いで長い期間日持ちさせることができます。
最後に、りんごの正しい保存方法も確認しましょう!
りんごの正しい保存方法!カビ防止のコツや日持ち期間は?
りんごは収穫後も生きていて、呼吸をしています。
保存環境にストレスを感じると「エチレン」という植物が老化するホルモンを多く発散して劣化するので、最適な環境で保存してあげるといいですね。
りんごのカビを防止して劣化を抑える!正しい保存方法
農研機構のホームページに、りんごの貯蔵環境について情報がありました。
りんごにとって最適な保存環境
- 温度:0℃
- 湿度:99%
農研機構のホームページによると、上記の環境では劣化が緩やかなのに対して、【温度:20℃、湿度:85%】の環境では収穫後20日以内に劣化してしまうとのことです。
夏でも涼しい場所に常温保存している方もいらっしゃると思いますが、カビ防止と劣化を抑えるためには、冷蔵庫での保存が向いていますね!
家庭で最適な保存環境になるべく近づけるために、下記の手順で保存なさって下さい。
りんごの保存方法
- りんごを1個ずつキッチンペーパーか新聞紙で包む
- ヘタを下にして、重ならないようにビニール袋に入れる
- ビニール袋の口を結ぶ
- 冷蔵庫のチルド室に入れる(チルド室に空きがなければ、冷蔵室が最適です)
りんごが呼吸して、保存中にビニール袋の内側に水滴がつくことがあります。冷蔵庫で保存中しても水滴が原因でカビが生えてしまうので、カビ対策が必要です!
水滴が出たらりんごを包んでいるキッチンペーパーor新聞紙を取り替えて、新しいビニール袋に入れるとカビ防止になります。
りんごが他の野菜・果物をカビさせる!?エチレンガスの影響をチェック
りんごとみかんを一緒に保存して、みかんがすぐにカビてしまった経験はないでしょうか?
りんごが出すエチレン(植物の老化ホルモン)は、他の野菜や果物の劣化も早めてしまうんです!
りんごをビニール袋に入れるとエチレンの影響を最小限にできますが、エチレンの影響を特に受けやすい野菜や果物があるので、一緒に保存しないで下さいね。
- キャベツ
- きゅうり
- 緑の部分が残っているトマト
- ほうれん草
- レタス
- メロン
- スイカ など
裏技として、「熟していない果物とりんごを一緒にビニール袋に入れて完熟を早める」という手もあります。状況に応じて、エチレンを活用するのもいいですね!
まとめ
りんごに生えるカビについて詳しくご紹介し、カビを防止して長持ちさせる保存方法まで確認してきました。
ポイントをまとめてみます!
- りんごにカビが生えたら、カビの状況に応じて食べられるかを判断する
- りんごにカビが生えるのは、病気や雑菌の付着などさまざまな原因がある
- カビ以外にも、りんごが食べられない状態になる場合がある
- りんごはエチレンの影響を最小限にして保存すると長持ちする
りんごにカビが生えたら、「カビの範囲が小さければ切り取って食べられる」・「カビの状態によっては丸ごと捨てる」など、その都度判断が必要でした。
複雑に感じますが、基本的には自分の五感を信じて、「嫌だ」と感じるりんごは食べないのがおすすめです。
買った時点でカビが生えていたら販売店に連絡をし、交換などの対応をしてもらいましょう!
りんごのカビや劣化を防止するためには、正しく保存するのが重要なポイントでしたね。
今回ご紹介した保存方法を参考に、美味しいりんごを長く楽しんで頂けると幸いです♪