【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
牛乳を飲もうと思ったら、ドロドロになっているのに気づいてびっくり!
なぜ冷蔵庫に入れていた牛乳が固まるのかさっぱりわからないし、ヨーグルトのように変質した牛乳を飲めるのかわかりません。
そこで今回は、牛乳が固まる原因など以下の項目を徹底調査した結果を紹介します。
この記事でわかること
- 冷蔵庫に入れていた牛乳が固まる理由
- 固形化した牛乳を飲んでも良いのか
- 牛乳が固まるいろいろな現象
牛乳がどのような理由で固まるのかがわかれば、飲んでも大丈夫な状態なのか、飲むのは危険なので捨てるべきなのかも判断できますよね。
この記事を読んでいただけると、 意図していないのに牛乳が固まっても冷静に対処できるようになりますよ♪
牛乳が固まる性質を利用した楽しみ方についても紹介していますので、ぜひ参考にして牛乳を無駄なく食べきるようにしましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
冷蔵庫に入れていたのに牛乳が固まる理由!ドロドロでも飲めるの?
牛乳を安全に美味しく飲むためには温度管理が大切で、10℃以下の冷蔵庫で保管しておくのが基本で、きちんと正しい保存方法を守っていれば固まることはないはずです。
それなら、冷蔵庫に入れていても固まるなんておかしいですよね。
実は、何らかの原因で牛乳に含まれていた細菌が増えてしまったのだと考えられるのです。
牛乳に含まれていた細菌が増える原因
私たちが飲んでいる牛乳は、牛から絞った生乳(原乳)を殺菌処理して製品化されたものがほとんどです。
生乳には病原性大腸菌や黄色ブドウ球菌など有害な細菌が含まれている可能性があるため、工場で殺菌処理が行われています。
日本では120~150℃の高温で1~3秒間殺菌処理を行う「超高温瞬間殺菌法」が主流で、約9割の牛乳に採用されています。
この他にもいくつか殺菌方法があり、生乳のおいしさをできるだけ保持できるように63~65℃で30分間殺菌処理を行う「低温長時間殺菌法」が採用されている牛乳もあります。
製品化された段階では有害な菌は死滅しているはずですが、何らかの原因で細菌が増殖して牛乳が酸性になり、タンパク質が固まって分離・沈殿する「酸凝固」の状態になる場合があります。
細菌が増殖する原因
- 購入後しばらく常温で放置していた
- 開封後に常温放置していた
- 冷蔵庫の故障や開閉が原因で庫内の温度が上がっていた
- 賞味期限切れで古い
- 低温殺菌はすべての細菌を死滅させるのは難しい(海外は低温殺菌の牛乳が多い)
変質した牛乳を飲んだらどうなる?
酸凝固の状態になると開封後だけでなく、未開封の牛乳でも以下の画像のように全体的に固まる場合や、白い粒々が浮いている状態もあります。
冷蔵庫に入れてた普通の牛乳(未開封)、今開けたら中身ヨーグルトやったんやけどどういうこと…?そんなことある??
賞味期限も切れてないのに…庫内の温度が高かったのか?でもこんなん初めてだし買った段階で既にやばかったのかなぁ。
かなしい。寝る前にフルーチェ作って冷やしとこうと思ったのに。 pic.twitter.com/gCjgHk1x2l— あさみ(き) (@xxxask_dr) August 8, 2019
このような状態になっていれば、明らかにおかしいと気づきますよね。
牛乳が固まる原因となる細菌は乳酸菌や酪酸菌など体に良い菌の可能性もありますが、有害な大腸菌などが影響している可能性も考えられます。
仮に乳酸菌が影響しているならヨーグルトのように酸っぱくなっているはずですが、味だけで素人が判断するのは正直なところ難しいです。
有害な細菌が影響していると腹痛などの食中毒症状を引き起こすおそれがあるので、飲もうとした牛乳が固まっていたら飲まないようにしてください。
でも、コップに入れた段階でドロドロに固形化していなければ、変質に気づかないこともあるはずです。
以下の画像のように、牛乳を鍋やレンジなどで熱するとドロドロになったのを見て気づく場合もあると思います。
火曜日に買った牛乳
子供に飲ますのにレンチンしたら
どろどろに固まる
匂い嗅いだら臭いし。
朝の子供のホットケーキに使ってしまったよ
賞味期限10月25日やで?
ずっと冷蔵庫入れてあったのに#食中毒#牛乳腐ってる #酪農牛乳#浅井乳業 pic.twitter.com/YZuU3SJZge— ooO Seek Ooo (@OooSeek) October 17, 2019
とくに見た目では分離していなくても、臭いがおかしいとか、酸味を感じるなどの異変があれば牛乳の品質が変質しかけている可能性が高いです。
劣化した牛乳を加熱してみると画像のようなドロドロになるので、「賞味期限ギリギリだし、開封後何日か経っているけど飲んでも大丈夫かな?」と思う場合は加熱してみることをおすすめします。
なお、牛乳は冷蔵庫の冷凍室でも保存できますが、解凍すると分離して脂肪が固まりそのまま飲んでも美味しくないので料理に使いましょう。
ただし日本初の冷凍牛乳「シュガーレディプレミアムジャージー牛乳」に関しては、解凍後そのまま飲めるそうです。
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ここまで冷蔵庫に保存していたケースについて紹介しましたが、牛乳が固まる現象は他にもあります!
自由研究や料理も活用できる事例をいくつか紹介しますのでぜひ参考にしてください。
牛乳が固まる現象は他にもまだある!固形化を生かした楽しみ方
牛乳が固まる現象が起こるのは品質が劣化した場合だけではなく、他にもさまざまな原因で起こります。
以下で紹介するものは牛乳の品質が劣化したものではなく、牛乳が固まる特性を利用した楽しみ方として参考にしてください。
牛乳が固まる現象の実験を自由研究にする
牛乳が固まる現象はさまざまな理由で再現できますので、自由研究のテーマとして取り入れてみると面白いですよ。
牛乳を熱して固まるまでの温度や時間を計測
たとえば卵と混ぜて作るプリンは熱凝固のはたらきを利用するものですが、上手にプリンを作るコツは温度調整がカギとなります。
高温で加熱しすぎると水分が飛んで「す」が入ってしまうので、水分を飛ばしすぎないように温度と加熱時間を調整しなければいけません。
また、ホットミルクを作るために牛乳を温めているとできる薄い膜の正体はタンパク質と脂肪で、「ラムスデン現象」と呼ばれています。
膜ができる温度は65℃前後なので、牛乳の種類や温め方などを研究するのもおすすめです。
温度と時間のバランスを計測しながらベストな組み合わせを見つける自由研究のテーマは、実生活にも生かせそうですよね!
牛乳を振ると脂肪分が固まる
牛乳を容器に入れて思い切り振ると、タンパク質から脂肪が分離してバターができるという実験です。
脂肪が多く含まれる生クリームを使う方法もありますが、牛乳のなかでも脂肪分が多い「ノンホモジナイズド牛乳(ノンホモ牛乳)」ならバターが作れます。
一般的に市販されている牛乳は「ホモジナイズド牛乳」が多く、超音波により脂肪分が細かく処理されているためうまくいかないので、この実験をする場合はノンホモ牛乳でお試しください。
「酸性」の食品を混ぜると固まる
牛乳の酸凝固を生かした実験で、レモン汁やクエン酸、お酢など酸性の食品を混ぜると固まるもので、「冷蔵庫に入れていたのに牛乳が固まる理由!ドロドロでも飲めるの?」で紹介した細菌により酸性になってタンパク質が固まる現象を再現できます。
カッテージチーズはこの原理で作られるもので、酸がカルシウムを吸収しやすくするキレート作用が期待できるといわれています。
他にもリンゴ酢や黒酢、みかん果汁、オレンジジュース、梅酒、炭酸などでどんな結果になるか試してみるのも面白そうですね!
「塩分」と牛乳を混ぜると固まる
豆腐はにがり(塩化マグネシウム)などの凝固剤と豆乳(タンパク質)を混ぜると固まる仕組みを利用して作られます。
同じ要領で塩凝固を生かしたもので、凝固剤として塩と牛乳を混ぜると固まる実験です。
ちなみに、牛乳豆腐を作るなら塩ではなく、酢を入れて作ったほうがうまく固まりますよ♪
牛乳が固まる現象を生かした料理の楽しみ方
牛乳が固まる現象を応用して料理に活用した、ちょっと変わった楽しみ方もあります。
ただ牛乳を飲むだけではつまらない・・・というときにはぜひ参考にしてください。
キウイと牛乳だけで作るカッテージチーズ風
牛乳を少し温めて、すりおろしたキウイや柿、みかんなどの柑橘類などのフルーツを混ぜるだけの簡単デザートです。
果物に含まれる酸と反応して牛乳のタンパク質が固まり、カッテージチーズのように仕上がります。
ミチョ(美酢)と混ぜる
ミチョ(美酢)は韓国産のお酢で、果実を発酵させて作られているのが特徴です。
ミチョの酸と牛乳のタンパク質が反応して、ヨーグルトのようなとろみになって違ったおいしさを楽しめますよ♪
カルピス牛乳
カルピス原液50mlに冷たい牛乳250mlをよく混ぜるだけで、とろみのあるラッシー(インドの飲むヨーグルト風)のような濃厚ラテを楽しめます。
カルピスに含まれる乳酸菌の酸がとろみを生み出してくれます。
牛乳が多すぎたり温めると分離して固まるので注意しましょう。
マシュマロの牛乳プリン
マシュマロに含まれているゼラチンを応用したものなので、牛乳が固まる現象とは少し違いますが参考にしてください。
マシュマロと牛乳をレンジでチンしてよくかき混ぜてから冷蔵庫で冷やすと、簡単にプリンが作れます。
牛乳を使ったレシピが固まる失敗例と対応策
牛乳を使うレシピを試してみたら、固まってうまくできなかった・・・という失敗例もあります。
よくある失敗例と対処法を簡単に紹介しますので参考にしてください。
はちみつがうまく溶けない
冷たい牛乳にはちみつを入れると固まってなかなか溶けないので、レンジでチンしてみたら今度は牛乳が固まってうまくできない・・・という失敗例も多いです。
この場合は、最初にはちみつを少量のお湯で溶かしてから牛乳を入れると良いですよ♪
チョコレートがうまく溶けない
チョコレートフォンデュを作る際に、チョコを湯煎してから牛乳を入れると固まってしまう・・・失敗例もよくありますよね。
上手に溶かすには、牛乳とチョコのバランス、温度などをしっかり調整する必要があります。
レシピ通りの分量をきちんと計り、チョコと牛乳を一緒に湯煎すると上手に溶けやすいです。
生チョコを作る際には牛乳を後から入れた方が固まって成功しやすいので、作り方の流れをよく確認することをおすすめします。
チーズフォンデュが固まる
チーズフォンデュに牛乳を混ぜたら分離して固まるのは脂肪と水分が混ざっていないからです。
あらかじめ牛乳を温めておき、分量のバランスにも注意して少しずつ牛乳を混ぜるのがコツです。
ロイヤルミルクティーが分離した
牛乳で紅茶の葉を煮出すロイヤルミルクティーを作ろうとしたら、分離して固まる場合もあります。
牛乳を沸騰させすぎると分離しやすいので、先に紅茶に熱湯を注いで茶葉を開かせておき、牛乳を温めて沸騰直前に火を止めて茶葉をいれましょう。
まとめ
牛乳が固まる理由について調べた結果をまとめます。
- 冷蔵庫に入れていた牛乳が固まるのは変質による酸凝固が原因
- 細菌により酸性になる⇒タンパク質が凝固⇒分離沈殿
- 常温放置や冷蔵庫の温度、賞味期限切れ、低温殺菌などは変質しやすい
- 乳酸菌など無害な菌か、大腸菌など有害な菌の影響なのか素人にはわからない
- 冷蔵庫に入れていたのにドロドロになった牛乳は飲まない方が良い
- 酸凝固以外にも牛乳が固まる現象はいろいろある
冷蔵庫に保管していたのにドロドロになった牛乳は、細菌の影響で酸性になってタンパク質が変質したのが原因です。
影響を与えた細菌が乳酸菌のように無害な菌なら問題ありませんが、ひょっとしたら大腸菌などの危険な菌が増殖している場合もあるので、意図していないのにドロドロになっていたら飲むのはやめておきましょう。
牛乳を買ってきたらすぐに冷蔵庫に入れて賞味期限を守り、開封後は2日程度をめどに飲みきるようにしてください。
飲みきれない場合は牛乳が固まる現象を応用していろんなレシピに応用できますので、工夫して最後まで無駄なく食べきるようにしましょう♪