【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
ご飯を炊いた後、つい常温で放置してしまうことはありませんか?
私はよく炊飯器の保温機能を切った後、冷凍するのを忘れてそのまま常温保存してしまいます。
うっかり一晩経っていたり、ヘタしたら何日か後に気が付くなんていうことも…。
さすがに2~3日経っていたら諦めますが、数時間や一晩くらいなら大丈夫かもしれないので、具体的に何時間~何日くらいまでなら大丈夫か調べてみました。
- ご飯の常温保存はどれくらい大丈夫なのか
- 腐るとどうなるのか?見分け方とは?
- 常温・冷蔵・冷凍の場合の日持ち期間は?
- 上手にご飯を保存する方法
- 冷ご飯に含まれる驚きのダイエットパワーとは?
常温放置といっても夏場と冬では状況が全く違いますので、季節による日持ちの差も調べてみました。
また調べてみると、冷ご飯には驚きのダイエット効果があることもわかったので詳しく紹介します。
ご飯を無駄にしないだけでなく、ダイエット効果を期待できる食べ方も解説するので、ぜひご確認ください!
管理栄養士・栄養士
目次
ご飯の常温保存は何時間〜何日後まで大丈夫?危険なのはこんなとき!
基本的にご飯の常温保存はあまり日持ちしません(常温の定義が何度なのかは諸説あり、日本薬局方では15~25℃としています)。
なぜならご飯は雑菌の大好物であるでんぷんや糖、水分が豊富に含まれているため、とても腐りやすいからです。
菌が繁殖しやすい危険温度帯は10~60℃と言われていますが、低温(5~10℃)でも増殖せずに生き続けている可能もあるので、常温放置=腐る可能性が高いと考えましょう。
特に気温が高くなる夏場やジメジメしている梅雨時期は危険です。
では具体的には何時間から何日くらいでダメになってしまうのか、以下にまとめてみました。
食品を安全に保存する目安(アメリカ食品医薬局・FDAによる)
- 基本:2時間以内に21℃以下、4時間以内に5℃以下に冷却する
- さらに厳しい基準:30分以内に20℃以下、1時間以内に10℃以下に冷却する
この基準は日本食品衛生協会の一般飲食店向けの手引き書にも記載されており、安全性を優先させたもので、実際にはもう少し長くおいても問題ない可能性もあります。
ご飯を炊いた後、余った分をラップに包んだまま常温で出しっぱなしにすることもあるかと思いますが、できるだけ早く粗熱をとって冷蔵または冷凍保存した方が良いことがわかりますね。
室温によっては12時間~24時間放置していても問題ない場合もありますが、一晩(8時間程度)放置するだけで腐る可能性もあります。
一昨日炊いたご飯(2日前)を常温保存しておなかを壊した人もいますので十分注意しましょう。
2日くらい常温放置したご飯、見た目も匂いも味も全く問題なかったのに昼に食べて今すごいお腹壊してる。
でもマルチはやります🤗— やいろ (@yairo_GE) September 4, 2019
何時間も常温放置していた場合は「ご飯は腐るとどうなるの?傷んだときの見分け方や目安がコレ!」を参考にして判断してください。
そのほか特に注意が必要な場合を、具体的に説明します。
雑菌が増える危険な環境に注意!
ご飯が腐るのは雑菌が増えて腐敗してしまうから、つまり雑菌が増えやすい環境は危険というわけです。
雑菌が増えやすい環境
- 高温多湿の夏場や梅雨
- 炊飯器に入れたまま(保温機能はオフ)
- 炊きたてご飯をすぐにラップや容器などに保存する
- 炊き込みご飯など
先ほどもご説明した通り、気温の上がる夏や梅雨は常温で保存しないようにしましょう。
また、炊飯器に入れたまま常温で保存すると、蓋についている水分が原因で腐りやすいためおすすめできません。
豆知識炊飯器にご飯を1週間放置するとカビる
— 氏 (@Kv2lab) October 17, 2017
このように1週間などの長期間、常温で保存するのも当然NGです!
同じく、炊きたてをすぐにラップや容器に入れて常温保存すると、水分が付くので注意してくださいね。
炊飯器に入れておくなら保温しましょう。保温機能を使うと70℃前後に保たれるので、雑菌が増えにくくなります。
それでもご飯の劣化は進むので、炊飯器での保存時間は4時間から5時間程度だと安心です。
土鍋などで炊いている場合は、おひつを使うとおいしさを保てるのでおすすめですよ!
ご飯の常温保存には「おひつ」が最適!
おひつはご飯の保存のために作られたものなので、いわばご飯専用の保存器のようなものです。
特に木製のおひつだと、木が水分を調節して湿度を一定に保つため1日程度なら常温で美味しく保存できますよ。
また、炊き込みご飯は水分が多くて白米よりも腐りやすいので必ず冷蔵庫や冷凍で保存しましょう。
ご飯の温度管理が悪いと、セレウス菌など食中毒を引き起こす危険な雑菌が繁殖することがあります。
セレウス菌とは?
セレウス菌とは野菜や穀物に繁殖することがある雑菌です。
調理済みの食品が冷えると増殖することがあり、一度増えると加熱しても死滅しません。
下痢や嘔吐などの食中毒症状を引き起こすことがあるので注意しましょう!
腐ってたらしいご飯を食べてしまい、セレウス菌か何か…O157やらノロやらロタほど酷くはないのでよかったカナ…(笑)
しかし、熱が下がらない(e_e)— ともみ (@SugaoTomomi) July 19, 2016
部屋の温度などによって常温での日持ちは変わるので、食べられるかは自分で判断することになります。
そのためにもご飯が腐るとどうなるのか、見分け方をご紹介します。
ご飯は腐るとどうなるの?傷んだときの見分け方や目安がコレ!
ご飯は水分が多く付いた状態や温度が高い常温だと腐るのが早いです。
食べられるか判断するためにも、腐るとどうなるのか見分け方を知っておきましょう。
腐っている目安
- ネバネバして糸を引いている
- カビが生えている
- ベチャベチャしていて水っぽい
- 酸っぱい臭いや腐敗臭がする
- 味に違和感がある
このように見た目や臭い、味に変化が出てきます。
色が黄色くなっているのは、腐るまではいっていませんが、傷んでいるサインだと判断できます。
幼い子供がいる我が家では、黄色くなった時点で食べない判断をしています。
炊飯器の中で常温で放置していると、カビまではいきませんが、ネバネバになってしまうこともたまにあります…。
ご飯の常温放置はやはり危険ですね!日持ちさせるには、冷蔵庫や冷凍で保存した方が良さそうです。
それでは、具体的にどれくらい日持ちするのか、正しく保存する方法と合わせてご説明します。
ご飯の日持ちはどれくらい?余ったご飯の正しい保存方法も解説!
常温でのご飯の日持ちは既にお伝えしていますが、冷蔵庫なら2日程度、冷凍すると1ヶ月程度は大丈夫です。
お弁当など常温でご飯を持ち歩くときの注意点
お弁当やおにぎりは常温で持ち歩くことになるので、傷みにくくする工夫が必要です。
- 冷めてから蓋(ラップ)をする → 余計は水分を付けない
- 保冷剤を利用する → なるべく温度を上げない
できれば半日以内、少なくとも当日中には食べましょう!
夏場であれば、朝作ったお弁当が夕方には腐っているかもしれないので、必ず確認してくださいね。
日持ち期間がわかったところ、続いて保存方法をご紹介します。
ご飯を美味しく保存する方法
常温の一番おすすめの保存方法は「おひつ」を使うことですが、ご家庭にない場合も多いかと思います。
通常ご飯を保存するには、1食分ずつラップや容器に入れておくと良いです。
常温だけでなく、冷蔵庫や冷凍の場合も同じ保存方法で大丈夫ですよ。
ご飯の保存方法
- ご飯を1食分に小分けする
- なるべく平らにしてふっくらとラップに包む(タッパでも可)
- 冷蔵庫、冷凍庫で保存する(数時間以内に食べるなら常温)
※冷凍する時は金属トレーに乗せると急速に冷凍できます。
ただし、常温・冷蔵庫保存の場合と冷凍の場合では、保存する温度が違うので注意してください!
ご飯を保存する温度に注意
ご飯を保存する場合は、温度に注目してください。
常温や冷蔵保存する場合、炊きたてだと水分が付くのであまり良くないと先ほどご説明しました。
しかし、冷凍の場合は真逆になります。炊きたてのままラップに包み、粗熱をとってすぐに冷凍しましょう。
ラップに付いた水分を一緒に冷凍することで、解凍するときに適度に水分を与えて美味しくなります。
冷凍ご飯を解凍するときは、ゆっくり温度を戻すのが美味しくなるコツです。
常温や冷蔵庫で少し置き、水滴が出てきてから電子レンジで温めるとふっくら解凍できます。
解凍モードではなく、通常の温めモードを利用してくださいね。
ちなみに、ご飯を一番美味しく保存できる方法は、冷凍です。
常温だと日持ちしませんし、冷蔵庫だとパサパサになって固くなってしまいます。
これは、ご飯に含まれているでんぷんは0~3℃で劣化してパサパサになってしまうためです。
しかし、美味しさではなくカロリー的にみると、常温や冷蔵などの冷ご飯の方がおすすめだということがわかりました!
その理由を詳しくご紹介していきますね。
ダイエットの味方!常温などの冷ご飯に含まれるレジスタントスターチとは?
「ダイエット中はご飯を控えると良い」という話を聞いたことはありませんか?
これは、糖質や血糖値を上げるでんぷんが含まれているためですが、冷ご飯になるとこのでんぷんが変化するのです。
通常でんぷんは加熱すると吸収されやすくなり、血糖値を上げてインスリンを分泌し、糖質を脂肪として蓄積する働きをします。
しかしご飯を冷やすと、でんぷんが「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」に変化し、違う働きをするようになります。
レジスタントスターチとは
ご飯を炊いた後ゆっくりと冷ました場合に起こる、でんぷんの変化です。
レジスタントスターチは小腸などの消化管で吸収されにくいため、血糖値の上昇を抑えるだけでなく満腹感が持続するようになります。
しかも食物繊維と似た働きをするため、腸内環境を改善して便秘にも効果が期待できるそう!
カロリーも通常のでんぷんよりも半分ほどになるなど、ダイエットには嬉しい効果が盛りだくさんです。
急激に冷やすとレジスタントスターチにならないため、冷凍ご飯にはこの効果は期待できません。
常温ご飯や、冷蔵庫でゆっくり冷ました冷ご飯である必要があります。
一度冷蔵庫で冷やしたご飯を常温に戻したものでも大丈夫ですよ!
しかも冷ご飯はよく噛むので、満腹感を感じやすく食べ過ぎも抑えてくれます。
このように、常温や冷蔵庫で冷やしたご飯はダイエットの強い味方になるようです。
減量のためにご飯を諦めているという場合には、とても朗報ですね!
私も体重が気になってくると夕飯のご飯を諦めるのですが、今後は冷や飯にして食べたいと思います。
レジスタントスターチは、再度温めると効果がなくなってしまうので注意してくださいね。
まとめ
ご飯は常温でどれくらいの持つのかを中心に、日持ちや保存方法などを解説してきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- ご飯は常温放置すると腐りやすい食品
- 室温によっては数時間で腐る可能性がある
- 腐るとネバネバしたり、酸っぱい臭いや味がする
- 冷蔵は2日、冷凍は3週間から1ヶ月程度日持ちする
- 保存する場合は1食分ずつラップや容器に小分けする
- 常温や冷蔵保存は冷ましてから、冷凍保存は炊きたてを包んで保存する
- 美味しく長持ちさせるなら冷凍保存する
- 冷ご飯に含まれるレジスタントスターチはダイエット効果を期待できる
ご飯は冷凍した方が長持ちすることは知っていたのですが、レジスタントスターチは初耳でした。
これからはダイエットのためにご飯を諦める必要はなさそうです。
しかし常温だとやはりあまり日持ちはしないので、食べきれない場合はきちんと保存することが大切ですね。
ラップに包んだまま常温放置していたご飯は、その後冷凍しても微妙な臭いがしました…。
皆さんもそのようなことがないよう、ご飯を腐らせることなく美味しく食べてくださいね!