【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
毎日の食事に欠かせない「ご飯」ですが、そのまま放置すると腐る可能性があることをご存じでしょうか?
我が家では基本余ったご飯は冷凍するようにしているのですが、忙しい時などそのまま放置してしまい、気が付けば炊飯器に入れっぱなしになっていることも…。
保温はオフにしており、完全に常温のまま一晩放置したご飯を食べても大丈夫なのか、とても悩んでしまいます。
腐ったご飯を食べて食中毒になるのは嫌ですが、捨てるのももったいないと思ってしまいますよね。
そこで、ご飯が腐るとどうなるのかきちんと確認してみることにしました。
- ご飯は腐るとどうなる?腐る原因は?
- ご飯の日持ちはどれくらい?常温・冷蔵・冷凍での保存期間の違いは?
- 正しい保存方法とは?美味しさを保つコツ
腐ったご飯の見分け方が分かれば、食べられるかどうかの判断ができるようになりますよ。
また、保存方法や美味しさを保つコツもわかるので、ご飯を無駄にすることなく美味しく食べきることができます!
私たち日本人には欠かせない「ご飯」の情報なので、ぜひチェックしておいてくださいね。
管理栄養士・栄養士
目次
ご飯は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
ご飯が腐っているかどうかの見分け方は、色などの見た目や臭い、味が判断基準になります。
腐るとどうなるかの目安をご紹介するので、食べても大丈夫か判断する際の参考にしてみてください。
見た目
- 全体的に黄色くなっている
- ネバネバしている
- 糸を引く
- カビが生えている
- べちゃっとした感じになっている
臭い
- 酸っぱい臭いがする
- 納豆のような臭いがする
- 明らかな腐敗臭がする
味
- 酸っぱい味がする
- 味に違和感がある
- 苦い
たとえ見た目や臭いに変化がなくても、少し食べてみていつもと違うと感じるようであれば食べないようにしましょう!
一度腐ってしまうと、たとえ加熱しても死滅しない腐敗菌もあるので、潔く諦めた方が無難です。
腐ったご飯を食べた場合、腹痛などを引き起こしてしまう場合もあるので、気をつけましょう。
「いっぱい炊いたご飯は冷凍して保管しないと腐る」っていうこと知らなくてずっと炊飯器の中で保温して4日経ったご飯食べてえげつない腹痛に襲われてて草
— 七咲 (@aoi_7sk) 2018年6月16日
このように、特に常温で保存していたご飯は腐る速度が速く、腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こす危険が高くなります。
夏場など温度が高い時には一晩で腐る可能性もありますが、なぜそれほど早く腐ってしまうのか確かめてみました。
なぜご飯は腐るのか?常温で一晩放置しただけで腐る理由が判明!
ご飯が腐りやすい理由は、「水分」や「デンプン」「糖分」などが大きくかかわっています。
ご飯に限らず食品が腐る原因となる「腐敗菌」は、デンプンや糖分が大好物で、さらに「高い温度」と「水分」が加わればすぐに増殖してしまうのです。
ご飯は水分も多く含んでいますし、腐敗菌のエサとなるデンプンや糖分も豊富なので、腐る条件がそろっている食品と言えます。
特に、15℃以上の高温の場合は腐る速度も速くなるため、夏などは一晩常温で放置しただけでも腐る場合があるのです!
炊飯器での常温放置はついやってしまいがちですが、冬はともかく夏はすぐに腐るのでやめておきましょう。
炊飯器に入れておくなら、せめて「保温」にしておくと良いでしょう。
炊飯器で「保温」にすると日持ちする理由
市販されているほとんどの炊飯器についている「保温機能」は、メーカーなどによって多少の違いはありますが「70℃前後」に設定されています。
菌が繁殖しやすいのは「15℃以上60℃以下」と言われているので、70℃で保存しておけば雑菌の繁殖を抑えられるというわけです。
単純にすぐに温かいご飯が食べられるというのも、もちろん魅力の1つです。
しかし例え保温にしていたとしても劣化は進み、黄ばみがでたり味が落ちたりするので4~5時間以内には食べた方が良いようです。
最終的には当然腐ってしまうので、時間が経ったご飯は臭いや味に違和感がないか確認するようにしてくださいね。
すぐに食べない場合は、冷凍保存をするのがおすすめです。
※日持ち期間の違いは「ご飯を炊いた後の日持ちは何日?」の章で詳しく説明します。
予約タイマーや保温弁当箱にも注意!
指定した時刻にご飯を炊いてくれる予約タイマーはとても便利ですが、長時間の予約の際などは注意が必要です。
密閉された炊飯窯内では雑菌も繁殖しやすく、水が常温放置になってしまうので、腐ってしまう場合があります。
私も一度やってしまったことがあるのですが、長時間予約の末に炊きあがったお米はすでに酸っぱい臭いがしていました。
「予約炊飯は12時間以内」と推奨しているメーカーが多いようですが、水温が18度以上になると約4時間で腐敗菌が繁殖しやすくなります。
氷などを使って水温を下げたり、酢(米1合に大さじ1/2程度)を入れておくと、それほど酸味は残らずに腐敗を抑えることができますよ。
水温を下げる方法
<3~4時間ほどの予約の場合>
あらかじめ氷で水温をさげた水を目盛りに合わせて加えておく
<長時間の予約の場合>
米の量に合わせた水分量(米1合に水200mlが目安)で氷を作っておき、炊飯器に入れて予約する
また、炊飯器の蓋やしゃもじは常に清潔にしておきましょう。
これらが汚れていると菌の繁殖が起こりやすいので、日ごろからきちんと手入れしておくことが大切です。
続いて、お弁当でも温かいご飯が食べられると便利な「スープジャー」や「保温弁当箱」ですが、こちらの覚えておきたいポイントもご紹介します!
スープジャーや保温弁当箱の注意点
普通のお弁当箱の場合は、熱がこもると腐りやすくなってしまうため、温度を冷ましてからおかずやご飯を入れるのが一般的です。
おにぎりも熱々なままラップでくるむと腐りやすくなるので、冷ましてから包むと思います。
しかし、スープジャーや保温弁当箱の場合はこれをやってはいけません!!
食べ物が一番腐りやすい温度は30℃~40℃と言われおり、普通のお弁当箱の場合はこの温度にならないよう保冷剤などを利用して温度を下げています。
対して、スープジャーや保温弁当箱は魔法瓶のような構造になっているため、保存したときの温度が数時間持続します。
このため、中途半端に温度をさましてしまうと、30~40℃という腐りやすい温度のまま保存されてしまうのです。
炊飯器の保温と同じく70℃前後の温度を保つことができると言われているので、ご飯は熱々なまま入れてくださいね。
腐る原因などが分かったところで、腐るまでの期間がどれくらいか具体的に確認しておきましょう!
ご飯を炊いた後の日持ちは何日?常温・冷蔵・冷凍による保存期間を解説!
何度かお伝えしているように、ご飯を常温で保存すると傷みやすくあまり日持ちしません。
ご飯を炊いた後は何日くらい持つのか、具体的な保存期間の目安を、常温・冷蔵・冷凍の場合に分けてまとめてみました。
常温保存 | 夏(梅雨) | 6時間程度 |
春・秋 | 半日~1日 | |
冬 | 1~2日 | |
【番外編】炊飯器の保温の場合 | 6時間~(最長)1日程度 | |
冷蔵保存 | 2~3日程度 | |
冷凍保存 | 3週間~1ヶ月程度 |
続いて、それぞれの状態の日持ちを詳しく説明します。
常温保存の日持ち期間
夏場や梅雨の時期は、何日どころか何時間の世界で腐ってしまいます!
冬であれば一晩くらいなら大丈夫と言われていますが、暖房によって室温が上がっていたら思いのほか早く腐ることがあるので注意です。
私も、「冬だから大丈夫だろう」と油断していたら、次の日にはなんだか臭いが怪しい…なんてことがありました。
腐るまではいってないようですが、小さな子がいるので泣く泣く捨てました…。
春夏秋冬、季節によって多少の違いはありますが、常温だと一晩おくだけでも危険だということがわかりますね。
炊飯器の保温の場合は最長でも24時間程度が多いと思いますので、1日程度なら持つと考えられます。
ただし劣化は進むので長時間の保存はおすすめしません。
また6時間以上保温すると、もう一度炊くのと同じ電気代がかかってしまいますので、経済的にもよろしくないですね。
保温機能は長時間使用せず、食べきれる量をこまめに炊くというのも良いのではないでしょうか。
炊き立ては美味しいですしね!
おにぎりにも要注意
ご飯の常温保存とはおにぎりの場合も含みます。
市販のおにぎりには「消費期限=安全に食べられる期間」が付けられていることが多いですが、その期限はたいていその日中(数時間)になっています。
特に手作りおにぎりの場合は、握った際に雑菌などが混入する危険もあり、日持ちしないと思っていた方が良いでしょう。
お昼に食べられなかったおにぎりを夜に食べようとしたら変な臭いがする…なんていうのは日常茶飯事なので気をつけましょうね。
冷凍・冷蔵の場合の日持ち期間
常温保存が向かないご飯は、冷蔵か冷凍すると日持ちが長くなります。
特に冷凍の場合は、1ヶ月程度も日持ちするので大変助かりますね。
ただし、日持ちするとはいえ時間が経つと風味が落ちてきますので、1週間程度を目安に食べきることをおすすめします。
冷蔵保存だと2~3日日持ちしますが、実はこれはあまりおすすめの保存方法ではありません。
みなさんも「ご飯は冷蔵庫に保存しない方がいい」と聞いたことがありませんか?
これには理由があり、ご飯は冷蔵庫に入れるとパサパサになってしまうのです。
その理由や、美味しく保存するための方法を続いてご紹介します。
余ったご飯の正しい保存方法!炊きたての美味しさを長持ちさせるには?
余った残りのご飯を保存するには、ズバリ「冷凍」がおすすめの方法です。
何度もご説明しているように、常温保存はあまり日持ちせず、冷凍だと美味しさが損なわれてしまうからです。
とはいえ、朝炊いたご飯をその日の夕食に食べたい時などは常温や冷蔵保存をすることもあるかと思いますので、それぞれの保存方法をご紹介していきます。
常温の保存方法
常温の場合は、ご飯の粗熱をとってタッパーやラップにくるんで密閉して保存します。
粗熱を取っておかないと、蒸発した水分がタッパやラップについて、劣化やカビの原因になってしまいます。
日の当たらない、なるべく涼しい場所に保存しておきましょう。
常温保存でご飯を美味しく食べたいなら「おひつ」を利用するのもいいですよ。
おひつとは?
炊きあがったご飯を移し入れておく、昔ながらの容器のことです。
木製のものが主流ですが、最近では陶器やセラミック製のものもあります。
木製のお櫃の場合は、木が程よく水分を調整して一定の湿度を保ってくれるため、美味しくご飯を保存できます。
冷めてしまっても、ハリがありもっちりとした美味しい冷やご飯になるのでおすすめです。
ご飯を美味しく炊くために「土鍋」を使っている場合は特におすすめです。
保温機能がない土鍋には、おひつを併用することで美味しいご飯を保存できますよ!
食べる際には臭いなどを確認して、傷んでいないか確認してくださいね。
冷蔵の保存方法
冷蔵庫での保存方法は、常温の場合と同じく、粗熱を取ってからタッパかラップでくるんで密閉してください。
ただし先ほどお伝えしたように、ご飯はあまり冷蔵保存はむいていません。
冷蔵庫での保存がおすすめできない理由
ご飯に含まれている「デンプン」は、0℃~3℃前後で劣化しやすいと言われています。
冷蔵庫の温度はこの温度に近いため、冷蔵保存すると食感が悪くなってパサパサになってしまうのです。
保存できないわけではないですが、こうなると美味しさは半減してしまいますよね。
冷蔵庫で保存してパサパサになってしまったご飯は、チャーハンや雑炊にしてしまうというのも一つの方法です。
こうするとパサパサ感が気にならないので、ぜひ試してみてくださいね。
冷凍の保存方法
ご飯を保存するのに一番むいているのが「冷凍保存」になります。
その都度炊くのは面倒だったり一人暮らしの場合などは、一度に炊いて冷凍してしまいましょう!
美味しいご飯の保存方法は以下の通りです。
- 炊きたてのご飯を1食分ずつ小分けにする
- 平らにしてなるべくふっくらとラップ(タッパー)で包む
その後ジップロックに入れるとより安全 - 粗熱がとれたら冷凍庫へ入れる
アルミホイルで包んだり、金属トレーに載せたりすると素早く冷凍できる
常温や冷蔵の場合と一番違うのは、「熱々なままラップでくるむ」ということですね。
熱々なままラップやタッパーにいれると水分が付くわけですが、その後冷凍する場合はその水分が解凍する際の乾燥を防いでくれるため、美味しさが損なわれずに済みます。
ただしそのまますぐに冷凍庫に入れるのではなく、粗熱を取ってからにしてくださいね。
また、ご飯の粒がくっつくほど強く握ると、解凍後にべちゃっとしてしまうので、なるべくふっくら包むのもポイントです。
なるべく平らにしておくと、解凍するときに熱がまんべんなく伝わりますよ。
解凍のポイント
美味しさを保つポイントは「ゆっくり解凍」です。
常温で水滴がつくくらいまで放置してから、電子レンジで温めると良いです。
レンジは解凍モードでなく、普通の温めモードにしてくださいね。
温め終わった後はすぐにラップやタッパの蓋を取らずに、余熱で少し蒸らしてから取りましょう。
冷凍するときには熱々なまま手早く、そして解凍するときはゆっくり解凍すると、ご飯の美味しさを損なわずに食べられますよ!
まとめ
ご飯が腐るとどうなるのかについて色々とお伝えしてきました。
ポイントをまとめます。
- ご飯が腐るとネバネバしたり、酸っぱい臭いや味などがしてくる
- 腐りやすい原因はデンプンや水分が豊富なため
- 常温保存は6時間~1日程度と、季節によって変化する
- 冷蔵すると2~3日程度日持ちする
- 冷凍すると3週間~1ヶ月程度日持ちする
- すぐに食べないご飯は冷凍保存がおすすめ
- 冷凍保存は熱々な状態で密閉後粗熱をとってから冷凍する
やっぱりご飯はあまり常温保存しない方がいいようですね。
また、ご飯を冷凍保存すると良いということは知っていましたが、炊きたてのまま保存するのが良いとは知りませんでした!
さっそく今晩から余ったご飯はすぐに冷凍保存したいと思います。
皆さんも、毎日の食事に欠かせない「ご飯」を無駄なく美味しく食べてみてくださいね!