【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
お味噌汁は、我家の食卓には欠かせない一品ですが、暑くなってくると出番も減ります。
ここのところ、あまり作っていなかったせいか、冷蔵庫の奥のほうですでに賞味期限が切れた味噌を発見しました。
色を見てみると、心なしかいつもより黒っぽくなっている気が…。
「えっ!味噌って腐るの!?」
実は、味噌が腐るという認識はなかったので、賞味期限があることすら知りませんでした(笑)
考えてみれば、味噌は「食べ物」なので、いつかは腐るわけですよね。
そこで、今回は味噌の賞味期限について調査することにしました!
- 味噌は本当に腐るのか
- 味噌は腐るとどうなる?特徴や見分け方は?
- 市販の味噌の賞味期限はどれくらいか
- 手作り味噌の日持ち期間は?
- 賞味期限切れからいつまでなら食べられるのか
- 味噌の正しい保存方法とは
そういえば、亡くなった祖父母が「味噌は20年モノでも食べられるから、戦争のときにも重宝していた」と言っていたことを思い出しました。
なので、我家の味噌の賞味期限が意外に短くて、変色までしてしまったことに疑問がわいたんですよね。
主人に聞いてみたところ「まろやかな味にするために、昔よりも塩分が減っているから賞味期限は短いんだろ」と…。
今回はそんな味噌は腐るのか、また賞味期限や正しい保存方法などに関して詳しく紹介していきます!
管理栄養士・栄養士
目次
味噌は腐るとどうなるの?傷んだ時の目安や見分け方を解説!
味噌はワインなどと同じように、熟成し続ける食品です。
昔ながらの材料と製法で作られた味噌の場合は、正しく保存することで、風味が変わることはあっても腐ることはありません。
ただし、現代の”減塩味噌”や出汁を追加した”だし入り味噌”などの加工味噌は、腐ることがあります。
では、腐った味噌はどのようになるのでしょうか?
腐った味噌の特徴
味噌は、大豆や米、麦などが主な原料で、これらに塩と麹を加えて発酵させて作られる日本の伝統的な保存食品でもあります。
大量の食塩を入れるので水分がなくなり、雑菌が繁殖しにくい環境を作り出すわけです。
味噌を製造して、1週間程度で雑菌のほとんどが死滅するというから驚きです。
このようなことから、「味噌は腐らない」と言われるのでしょう。
ただし、塩分控えめのタイプや添加物を追加した加工味噌は、本来の伝統的な味噌とは違うため腐ります。
腐っているかどうかの目安は見た目、臭い、味で、食べるときは自己判断と自己責任になります。
体調を崩したりしないように、腐った味噌はどのような状態になるのか、その特徴を知ることが大切です。
こんな味噌には要注意!
- 見た目:白いポツポツがある、カビが生えている、変色している
- 臭い:シンナー、セメダイン、アルコール、納豆のような異臭がする
- 味:渋みや酸味が出ている、味がいつもと違う
味噌の表面にカビが生えた場合でも、麹菌がカビをブロックするため、奥までカビることはありません。
そのため、表面のカビを取り除くことで、残りは食べられます。
味噌の渋みや酸味の場合は、体に害があるわけではないのですが、味が損なわれているので美味しくないです。
実際に、味噌汁から納豆の臭いがするのを経験した人はいるようです。
納豆の具じゃないのに、味噌汁から納豆と香りがする。
味噌腐った?— 百山月花(ももやまつきか) (@momoyamatsukika) 2018年2月11日
ほかにも、次のような状態になって心配な人もいるかもしれませんね。
こんな状態の味噌は食べても大丈夫?
味噌から液体が出ている
⇒味噌の表面に醤油のような液体が出てくることがありますが、これは製造過程で味噌から分離した「味噌たまり」と呼ばれる液体です。
食べても害がないどころか旨味成分が濃縮されたエキスで、調味料としても市販されています。
味噌の袋が膨らんでいる
⇒これは味噌が発酵してガスが発生したことによるもので、食べても大丈夫です。
味噌の袋が膨らんだら、穴を開けてガス抜きをしましょう。
【*注意:塩分濃度の低い白味噌などの場合は、異常発酵して腐っている可能性があります】
味噌は保存食なので、基本的に日持ちのよい食べ物です。
昔ながらの製法で作られた味噌なら、冷蔵で保存する必要もなく、常温保存でも日持ちしそうですよね。
果たして、実際のところはどうなのでしょうか?
次章では、手作りや市販品の味噌の日持ちや賞味期限に関して調査したことをまとめます。
味噌の日持ち期間や賞味期限は?賞味期限切れになったら食べられる?
味噌は、具体的にどの程度日持ちするのか見ていきたいと思います。
ですが、ひとくちに味噌といっても手作りに市販品、さらに種類もさまざまありますよね。
そこで、味噌の種類別の賞味期限を一覧にしてみました!
味噌の種類別の賞味期限
まずは手作り味噌の賞味期限の解説をして、次に市販の味噌の賞味期限をメーカーや種類別に紹介します。
手作り味噌の場合
やはり、私の主人が指摘したように、味噌の日持ちは塩をどれくらい入れたかによって違ってくるようです!
味噌を手作りした場合、塩分濃度を約12%位にすると日持ちはよくなり、賞味期限は1年程度になります。
ですが、塩分濃度を約半分の6%位にした場合、日持ちは3〜6ヶ月とかなり短くなります。
塩分濃度 | 賞味期限 |
塩濃度:約6% | 3〜6ヶ月 |
塩濃度:約12% | 1年 |
市販の味噌の種類別賞味期限
次に、市販の味噌の賞味期限もわかりやすく表にまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね。
メーカー名 | 商品名(塩分濃度) | 賞味期限 |
マルクラ | 白みそ | 6ヶ月 |
玉木屋本舗 | もろみ味噌 | 6ヶ月 |
田舎味噌 | 6ヶ月 | |
まるや八丁 | 有機八丁味噌 | 8ヶ月 |
赤だし | 12ヶ月 | |
マルコメ | 丸の内タニタ食堂の減塩みそ | 6ヶ月 |
無添加糀美人 | 6ヶ月 | |
液味噌料亭の味 | 9ヶ月 |
昔は「味噌は腐らない」といわれたほどなのに、最近の味噌の賞味期限は案外短いようです。
私は、しょっぱ過ぎる味や家族の健康のことも考えて、”塩分ひかえめ”の商品を購入しています。
今回の調査で、塩の量が賞味期限と比例すると知り、味噌の賞味期限が気になってきました。
味噌の賞味期限が切れてしまった場合は、食べないほうがよいのでしょうか?
賞味期限切れの味噌は食べても大丈夫?
長期間保存が可能な味噌ですが、賞味期限が切れてしまった場合でも食べられるのか気になるところです。
「賞味期限がない」と思い込んでいたときには全く気にしていなかったのに、いざ賞味期限があることを知ると心配になってきました。
そもそも、味噌のパッケージに記載されている賞味期限とは、どういうものなのでしょうか?
まずは、賞味期限について学びましょう。
まずは賞味期限の定義をチェック!
生鮮以外の食品には、賞味期限か消費期限のどちらかの記載が義務づけられています。
この賞味期限と消費期限の違いは何でしょうか?
農林水産省のHPに、消費期限と賞味期限に関する明確な違いが説明されていたので、簡単に紹介します。
消費期限:品質が劣化せずに安全に食べられる期間。日もちしない食品に記載されていることが多い
賞味期限:美味しく食べられる期間。比較的保存の効く食品に記載されていることが多い
ただし、賞味期限も消費期限も、未開封で適切な保存方法を守った場合の期限です。
開封後は、記載されている期限は目安にならないので注意してくださいね。
賞味期限は設定する期限の1.2〜1.5倍の期間まで、適切な検査を定期的に実施し、安全が確認されてから設定されます。
そのため、「期限切れ=すぐに食べられない」ということにはなりません。
この情報をもとにして、賞味期限切れの味噌がいつまで食べられるのか確認してみましょう。
味噌の賞味期限が切れたらいつまで食べていいの?
では早速、味噌の賞味期限がどれくらいなら過ぎていても食べられるのか、計算してみましょう。
例えば、賞味期限が6ヶ月の味噌なら、
つまり、賞味期限が切れてから1ヶ月ちょっと過ぎても、食べられるということになります。
ただし、塩分濃度の高い赤味噌などは保存食なので、賞味期限が半年以上過ぎても食べられるといわれています。
一方、塩分濃度の低い西京味噌などは高温にとても弱い味噌で、暑い夏の日などは1日で変色してしまうこともあるほど。
事実、西京味噌などの白味噌は、味噌という名目ではあるものの保存食ではありません。
いずれにせよ、賞味期限を過ぎた味噌を食べるかどうかの判断は、自己判断による自己責任です。
もちろん、メーカーでは賞味期限が切れた味噌を食べることは推奨していません。
そのため、賞味期限切れの味噌を食べで健康を害したとしても、その保障はメーカーカーにはないので注意しましょう。
味噌は長期保存が可能ですが、それはきちんと保存した場合です。
味噌を日持ちさせるためにも、次章で正しい保存方法を確認しましょう。
味噌の正しい保存方法とは?日持ちさせるコツも紹介!
味噌は、時間の経過や温度の影響によって変化する食べ物です。
たとえ、未開封で保存状態のよい味噌でもこの変化は起こります。
そのため、劣化させないためには正しく保存する必要があります!
冷蔵か冷凍保存がおすすめ!
味噌の色が濃くなる”着色”あるいは”褐変(かっぺん)”と呼ばれる現象は、味噌由来の成分同士が化学反応を起こしているものです。
味噌に含まれる糖分や、アミノ酸、タンパク質などの成分が、温度に反応して変色します。
そのため、味噌の変色を防いで長持ちさせるためには、冷蔵か冷凍で保存することです。
なんと冷凍庫に入れても、味噌は少し固くなるものの凍りません!
室温保存でも大抵は大丈夫ですが、気温が高くなる夏場などは褐変しやすくなってしまいます。
また、香りや味が損なわれる可能性も高くなるので、常温・冷暗所よりは冷蔵庫保存が望ましいでしょう。
開封したら酸化を防ぐ工夫をしよう
開封後は、空気に触れることで酸化して劣化につながるので、空気に触れないようにラップでしっかり密封して保管しましょう。
そうすることで、酸化だけでなく表面が乾いてしまうことも防げます。
手作り味噌に挑戦したけれど、どこで寝かせるのがベスト?
最近、手作り味噌のセットを、スーパーやネット販売でよく見かけますよね。
実際に手作り味噌に挑戦する人は多いようです。
手作りしたあと、味噌は約10カ月~1年間寝かせなければなりません。
手作り味噌を床下収納、物置、玄関、パントリーなどに置かれる方が多いかと思います。
ただし、マンション住まいの方などは、味噌の保存に適した冷暗スペースが確保できない人もいますよね。
そのような場合は、キッチンのシンク下収納がベストです。
たまに風通しをよくしてあげるだけで大丈夫です。
また最近では、手作り味噌を土蔵などで預かってくれるシステムなどもあるんです。
利用料金は月額300円ほどで別途送料が必要ですが、手作り味噌のアドバイスもしてもらえます。
こちらでは、プロの味噌屋が夏にも熱がこもらず、かつ熟成しやすい環境を作り出す木造建築の土蔵で、あなたの手作り味噌の熟成をお手伝いしてくれますよ。
まとめ
今回調べた味噌に関して、おさらいしましょう。
- 昔ながらの製法の味噌は腐らないが、減塩などの加工味噌は腐る
- 腐った味噌は異臭や変な味がする
- 白いカビが上に現れたら、その部分を取り除けば食べられる
- 味噌の賞味期限は塩分に左右される
- ほとんどの味噌は賞味期限が過ぎても食べられる
- 白味噌は保存食ではないため、賞味期限が過ぎたら食べないほうがよい
- 味噌は冷蔵か冷凍で保存したほうが長持ちする
味噌は腐らないと思っていましたが、市販の加工されている味噌は腐ることを知って驚きました。
確かに製造方法も違いますし、最初から”出し入り”となっている味噌などは、昔のものとは全く別物ですよね。
前々から気になっていた、味噌でよく見る上澄みのようなものも食べても問題ないことや、食べてよい味噌の基準がわかったので調べて本当によかったです。
味噌の正しい保存方法もわかりましたし、手作り味噌などにも興味が湧いてきました!
いつか手作り味噌にも挑戦して、市販の味噌とともに、無駄なく美味しく食べ切りたいと思います。