【執筆者:編集部 今冨るみ子】
今の時代に親に仕送りをすることについておかしいという声や、「自分の生活もきついからやめたい」という人もいます。
親がしんどい暮らしをしていて仕方なく仕送りする人もいれば、子どもはお金の援助をするのが当然と言われて当たり前のようにしている場合もあるようです。
しかし、子世代よりも親世代のほうが経済的に恵まれてきたのにお金が足りないというのは、金銭感覚がない可能性もあるので、仕送りする前に「なぜ足りないのか」を確認する必要があります。
この記事では、親への仕送りをする前に知っておきたいことを紹介します。
親に仕送りはおかしいのこと
- 仕送りしなくてもいい理由
- 仕送り以外の援助の方法
- 無理なく仕送りするには
- 贈与税はかかるのか
仕送りをやめたいけど罪悪感があってやめられない人にも読んでほしい内容です。
親に仕送りは「おかしい」「やめたい」の声 | しなくてもいい理由
親に仕送りしている人のなかには、自分も生活がきついのにお金の援助はやめたいという声が多く見られます。
仕送りしんどいから減らしたい、というかやめたいのに
「仕送りを減らされたら生活できない。万引きでもしないと生きていけない。」
とか言ってくる親なんですけど、なんでこんなにクソみたいなこと言ってくるんだろう
— じゃっく🍉 (@invesjack) March 23, 2023
親から仕送りするべきと言われ、社会人になってからずっとお金の援助をしてる人もいます。
社会人になってから毎月親に5万円取られるのもうやめたい。
自分だって親に仕送りなんかしてなかったのに、
それぐらいは当たり前とかいってずっと搾取されるのつらい。
もう8年だし500万以上取られてると思うとつらい。— にょんにょん (@fj_hiroyuki) April 7, 2015
親の生活が困窮してやむなく仕送りし続けなければならない人がいるのも現状です。
自分も「親を尊敬して」とか「親に感謝して」とかで仕送りしていたわけではないな。仕送りしなければ生活できなくて死んでしまう(死んでしまうほうが仕送りするよりはるかにめんどくさい)からお金を送っていたと思う。
— PsycheRadio (@marxindo) October 19, 2023
一人暮らしの親から頼まれて仕送りしていたけど、結婚後は自分の生活で精いっぱいの人がほとんどです。
愚痴ツイート。
実家が細いんですが、熟年離婚した後に母の方が激細になってしまい、結婚するまでは結構仕送り(月15万くらい)してたけど、結婚後からはさすがにできず。最近になって母の貧乏アピがすごい
「お金ないから早く死にたい」とか言ってくるの、やめてほしい。
お金渡したらいいのんか🥲— 皮膚科医ちゃん@皮膚科専門医試験note (@hifukaichan) April 18, 2022
現在では親に仕送りをしている人は少数派です。
仕送りしている人は2% | 理由もさまざま
「国民生活基礎調査 / 令和元年国民生活基礎調査 / 世帯 全国編」によると、親に仕送りをしている人は2.3%で、1ヶ月あたりの仕送り額の平均は5万4千円です。(※1)
親に仕送りをしている人は少数派で、理由や何歳から行っているかはさまざまです。
- 育ててもらった恩返しのため
- お世話になった親に仕送りするのは当たり前だと思うから
- 親が年金暮らしをしていて生活に余裕がないから
- 母を少しでも楽にしてあげたいから
真面目な人や、親に「仕送りはするもの」と言われて育った場合は、自分の生活が苦しくてもお金の援助をする傾向にあるようですが、無理をしてまでする必要はありません。
自分の生活がきついのにしなくてもいい | 扶養義務の意味
親に仕送りをしなければならない義務はありません。
確かに民法第879条では、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められており、法律上では子どもは親の面倒を見なければならないようです。
仕送りしなければならないのかと不安な人は、こちらの扶養義務について詳しく説明してある動画がおすすめです。
現在では親世代のほうが経済的に豊かなことが多く、子どもが仕送りをするのは厳しい現状があります。
親世代より子世代のほうが経済的にしんどい
現在では、親世代のほうが子世代よりも「収入」「税金」「年金」などがだんぜんに優位な状況のなか、仕送りできる余裕のある人はほとんどいないのが現状でしょう。
さらに、1975年には7人で1人を支えていたのに対し、少子高齢化により現在では2人の現役世代で1人の高齢者を支えているといわれています。(※2)
このように自分の生活も厳しいのに、親から仕送りを要求されたらどうすればいいのでしょうか。
親が仕送りを要求してきたときの対処法
親が仕送りを求めてきたらすぐに援助するのではなく、共倒れしないようにやっておきたいことがあります。
まず、「自分の家計が苦しくならない」「家族の同意を得る」ことは必須ポイントです。
- 経済面では援助しない
- なぜ足りないのか確認する
- 親の家計を見直す
- 扶養に入れる
- 生活保護を受ける
- 専門家へ相談する
はじめにお金以外での援助ができないか考えてみましょう。
始めからの経済的な援助は避ける | 金銭感覚がないことも
親であっても始めから軽々しくお金の援助はしないのがいいでしょう。
さまざまな事情があるかもしれませんが、お金が足りなくなるのは金融リテラシーが低いと考えられるからです。
自分たちでどうにかしなければという危機感もなくなるので、まずはほかのことで援助できないかを考えましょう。
例えば、仕送りの代わりにふるさと納税で食料品を親に贈れば、食費をいくらか浮かせることができるでしょう。
それでも仕送りを要求されたら、なぜお金がいるのか原因を究明する必要があります。
なぜ仕送りが必要なのか確認する
親から仕送りを頼まれたら、なぜお金に困っているのか確認しましょう。
お金を渡すのは継続的にではなく、生活を立て直すために必要な分や、公的制度が使えるまでのつなぎだけにするなど、いつからいつまでを決めておくことが大切です。
病気やケガでの高額な医療費が原因になっている時は「高額療養費制度」を利用しましょう。(※3)
高額療養費制度
1日から月末までにかかった医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分があとで払い戻される制度。収入が低いほど自己負担上限額が低く設定されている。
もし介護が必要になったら、親の居住地にある地域包括支援センターに相談すると、介護保険や福祉制度などのアドバイスを受けられるようです。
キャッシングやリボ払い、ローンなどで、親の収入で返済できなくなった場合は「債務整理」という方法もあります。
債務整理の手伝いや、司法書士への相談費用を負担することも親への支援です。
借金がなくても、今の収入に見合った生活ができていないことでお金が足りなくなっていることがあります。
親の家計を見直す | 無駄な支出をしていることも
子どもに仕送りを求める親は金銭感覚がない場合が多いので、援助をする前に家計を見直すことも大切です。
親世代は、保険・インターネット・携帯電話などが昔の契約のまま放置し、不要な固定費を払い続けていることがあります。
それでも仕送りをすることになったら、なるべく節税につながる方法を取りましょう。
仕送りが避けられないなら扶養に入れて節税する
家計を見直しても仕送りをすることになったら、親を扶養に入れる人も多いようです。
仕送り相手である親が条件を満たすと、扶養控除で所得控除が受けられます。
扶養控除を受ける条件はつぎのように定められています。
(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
引用元:国税庁
(2)については、生活費の仕送りをしていれば、同居をしていなくても条件に当てはまるそうです。
扶養控除でも仕送りで自分の生活が苦しくなったら、生活保護も視野に入れておきましょう。
生活保護も検討する | デメリットもある
どう対策しても立ち行かなくなったら、親に生活保護を受けてもらうことも検討するといいでしょう。
親の居住地の自治体の福祉事務所に相談し、生活保護の申請をした後に受給できるか調査が行われます。
- 預貯金
- 不動産
- 株式
兄弟姉妹や子ども、孫に扶養できるだけの経済力がある人がいる場合も、生活保護を受けるのはかんたんではないようです。
また、生活保護を受給したら以下のことが制限されるデメリットもあります。
- ぜいたくな食事、旅行
- ローン
- クレジットカードの利用
- 持ち家や車の所有
問題が大きくなる前に専門家に相談することも大切です。
早めに専門家に相談 | 毒親からの洗脳のおそれも
親は子どもの言うことはきかなくても、第三者のアドバイスはすんなり受け入れることがあるので、専門家に相談することも手段のひとつです。
・相続 ・債務整理 |
弁護士 (市区町村や弁護士会主催の 無料相談会) |
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家計の見直し | ファイナンシャルプランナー |
実家の売却 | 不動産 |
罪悪感を感じる | カウンセラー |
共倒れになる前に早めに相談することをおすすめします。
仕送りをしない・やめることに罪悪感を抱いている人は、読んでおくといいかもしれません。
仕送りをした場合は贈与税にあたるのかも気になるところです。
基本的に贈与税はかからないが注意が必要
親への仕送りは生活支援のためなので、基本的には贈与税はかかりません。
毎月の生活費や病院代、介護施設への支払いなども生活支援と認められます。
親に仕送りをする場合は、生活を支えるための贈与とわかるように、「必要なお金」が引き落とされる口座に振り込むといいようです。
ここで注意したいのが、親の収入や資産が十分にあるのに「生活費」として仕送りをしても、贈与税がかかることです。
親が受け取ったお金でつぎのようなものを買っていると贈与税がかかるおそれがあります。
- 貯金
- 株
- 不動産
- 高級ブランド品
- 車
- 海外旅行
ただし、贈与税がかかるのは110万を超えてからなので、それ以下なら生活費以外でも対象にはなりません。
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まずは自分の生活を最優先にし、できる範囲での援助をするようにできるといいですね。
結論 | 親に仕送りはおかしいとは言えないがまず他の援助を考える
- 扶養義務はできる範囲内でいい
- まずはお金以外で援助してみる
- 親の家計の見直しが大切
- お金を援助するなら扶養に入れる
- 早めに専門家に相談する
親への仕送りは必ずしもしなくてもよく、まずは自分の生活を優先しましょう。
そして、まずはお金以外の援助をしたり、親の家計を見直したりすることから始めるといいですよ。
しかし、どうしても解決しない場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。