【執筆者:管理栄養士 上月典子】
ジンジャーエールは、飲み過ぎると体の冷えや糖質の摂り過ぎが体に悪いといわれることがあります。
爽快な刺激が魅力の炭酸飲料は糖分も多く含まれるので、飲む量や飲み方に気をつけながら嗜好品として楽しみましょう。
この記事では、ジンジャーエールの成分や飲み方の工夫、生姜の体に良い栄養素や健康効果などの情報をお届けします。
ジンジャーエール のこと
- 体に悪いとされる理由
- カロリーや成分比較・生姜やカフェインの含有量
- 糖分を含む炭酸飲料の飲み過ぎによる健康への影響
- 生姜の体に良い栄養成分
生姜シロップや炭酸水の作り方も紹介しているので、参考にしてみてくださいね。
目次
ジンジャーエールの飲み過ぎは体に悪い|冷えと糖分の摂り過ぎ
ジンジャーエールのような糖分を含む炭酸飲料を飲み過ぎると、体に悪い影響を与えることがあります。
消化不良 | 胃腸が冷えて下痢する可能性 |
---|---|
肥満 生活習慣病 |
カロリーや糖質の摂り過ぎ |
血糖値への影響 | ・血糖の乱高下 ・ペットボトル症候群や 血糖値スパイクのリスク |
歯への影響 | ・口内環境の悪化 ・酸が強く虫歯や酸蝕症のリスク |
冷たいものを飲み過ぎると胃腸が冷えて消化不良を起こす可能性があるので、過剰摂取には注意が必要ですね。
またジンジャーエールのような炭酸飲料は糖分を含みます。
人気商品のカロリーや成分は|辛口でも砂糖を含む?
ジンジャーエールはさまざまな種類がありますが、辛口のものでも無糖ではなく糖分は含まれています。
エネルギー | 糖質 | |
---|---|---|
カナダドライ コカ・コーラ |
180kcal | 45g |
ウィルキンソン アサヒ飲料 |
185kcal | 46.5g |
アレルギー特定原材料は含まれないと公式ホームページに記載があります。
こちらでも詳しく解説しています。
詳しくはこの記事をチェック!
カナダドライはすっきりとした飲み味ですね。
ウィルキンソンジンジャーエールは本格ジンジャーの力強い味わいです。
ウィルキンドライソンジンジャーエールは爽やかでさっぱりした少し甘口の商品です。
ジンジャーエールのような炭酸飲料には、砂糖の代わりに異性化糖の一種である「果糖ぶどう糖液糖」が使われることがあります。
異性化糖とはでんぷんを酵素で分解させたブドウ糖と果糖の混合液で、酵素によってブドウ糖を果糖に変えることを異性化といい、日本農林規格(JAS)で規定があります。
- 果糖含有率50%未満
⇒ぶどう糖果糖液糖 - 果糖含有量50%以上90%未満
⇒果糖ぶとう糖液糖 - 果糖含有量90%以上
⇒高果糖液糖
※液状の糖なので液糖といいます。
異性化糖の果糖はブドウ糖より中性脂肪を貯めやすいともいわれるため、過剰摂取は肥満のリスクを高める可能性があります。
炭酸飲料の飲み過ぎは、ほかにも健康へ影響を与えることがあります。
ペットボトル症候群や血糖値スパイクのリスク
糖分の過剰摂取は、肥満や生活習慣病だけでなくペットボトル症候群や血糖値スパイクなどの症状にも注意する必要があります。
正式名称は清涼飲料水ケトーシスで糖尿病の自覚がない人が糖尿病のように「喉の渇き」で糖分を含むペットボトル飲料を大量に飲みケトーシスを起こす症状です。
糖分を多く含んだ炭酸飲料を摂取することで血糖値が急上昇しますが、それが続くと体内にケトン体が増え糖尿病と同じような倦怠感や意識障害などの症状が現れます。
血糖値が急上昇すると血糖値を抑えるためにインスリンが大量に放出され、今度は血糖値は急降下します。血糖値の乱高下は血管にダメージを与えるため動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高くなると考えられています。
血糖値スパイクは見逃されやすい「隠れ糖尿病」でもあり、健診の数値が正常な人でも起きている可能性があるため飲む量には注意が必要ですね。
炭酸飲料や清涼飲料水の500mlペットボトル1本には、角砂糖(1個4g)10個以上を含むともいわれています。
世界保健機関(WHO)では糖分の望ましい摂取目安は、1日の総カロリーの5%程度と発表しています。これは平均的な大人で約25g程度となり、炭酸飲料やジュースの摂取で超えてしまう可能性もあるため気をつけましょう(※3)
またジンジャーエールのような炭酸飲料に含まれる炭酸や糖分は、飲み方によっては口内環境や歯へ影響を与える可能性もあります。
カフェインの含有量と酸や糖分による歯への影響
ジンジャーエールにカフェインは含まれていませんが、炭酸で糖分も含まれ酸性度が高いため、過剰摂取で口内環境や歯に影響を及ぼす可能性があります。
炭酸水は水に二酸化炭素を入れて高圧力をかけて溶かしたものですが、無糖でもpHは約5.5でこれに糖分や酸味が加わると酸性度が強くなります。
pH5.5以下で酸蝕症のリスクは高くなるので、飲む量には注意が必要ですね。
糖分を摂取する
⇒虫歯菌がその糖分を食べて酸を出す
⇒酸がエナメル質を溶かし虫歯になる
甘い炭酸飲料を常に口に含んだ状態にしたり、就寝前に飲むとリスクが高まるので注意しましょう。
リスクを回避し炭酸飲料を楽しむためにも、飲み方を工夫することも大切ですね。
体に悪い影響がでないようにする方法|飲み方の工夫
血糖値・歯や口内環境への影響などを考え、飲み方を上手に工夫する良いですね。
冷え・消化不良 | ・過剰摂取に気をつける ・一気飲みをしない ・ゆっくり飲む ・空腹時を避ける |
---|---|
肥満・生活習慣病 血糖値への影響 |
|
虫歯や酸蝕症 | ・常に口に含む状態にしない ・ストローで飲む ・飲んだら口をすすぐ ・寝る前に飲まない |
ジンジャーエールの生姜にはうれしいメリットも期待できますよ。
ジンジャーエールの生姜に含まれる体に良い栄養成分と健康効果
生姜の辛味成分はジンゲロン・ジンゲロール・ショウガオールで、ざまざまなはたらきがあります。
ジンゲロン | ・殺菌作用 ・胃の調子を整える |
---|---|
ジンゲロール | ・生の生姜に含まれる ・酸化しやすく加熱に弱い ・血流を良くして発汗を促す ・免疫力をあげる ・手足などの末端を温める |
ショウガオール | ・加熱によりジンゲロールから変化 ・100℃近くの加熱が効果的 ・胃腸を刺激し体の芯から温める ・ジンゲロールより体を温める力あり |
ジンゲロールはファイトケミカルの一種でもあります。
ファイトケミカルとは(※5)
ファイトは植物、ケミカルは化学物質という意味で。植物が紫外線や有害なものから身を守るために作り出した成分です。色素・香り・苦味・渋味などのもとでもあり強い抗酸化作用があります。
- ジンゲロールを摂取:すり下ろしやスライスなど生で
- ショウガオールを摂取:生姜シロップのように加熱する
生姜がしっかり入ったジンジャーエールもありますね。
体温と免疫力は密接に関係し、平均体温が1℃下がると免疫力が約30%低下するといわれるので生姜の成分を上手に取り入れたいですね。
ショウガオールを効率的に摂取|便利な生姜シロップ
ジンジャーエールの生姜や炭酸・糖分を自身で調整したい人や作ってみたい人に、筆者が日ごろ作っている便利な生姜シロップレシピを紹介しますね。
生姜シロップ
材料
しょうが:250g
甜菜糖:200g
レモン果汁:大さじ1
鷹の爪・シナモン
クローブなどを加えてもOK
※砂糖の量はお好みで調整してください
- 生姜をよく洗い、みじん切りかブレンダーにかけ細かくする
- 鍋に①と砂糖を入れよく混ぜ合わせ水分がしっかり出るまで3時間以上置く
- ②を火にかけ沸騰したら弱火から中火で10~15分程度煮る
- 火を止めレモン果汁を加え出来上がり
めちゃうまだった〜♡
ホットのジンジャーエール
初めて飲んだの
飲み物の中でジンジャーエールが1番好きです pic.twitter.com/yc0Wh2Pxac— SeKiA!Ꙭ꙳ (@LiSA_SEKiA) March 20, 2023
生姜シロップの残り(絞りかす)でジンジャークッキー
辛さが抜けてるからほんのり生姜でちびくんにも好評(´ω`*)ヨカヨカ pic.twitter.com/PFA1Pd6Mtr— 春菜 (@k_haruru) May 1, 2017
市販品の生姜シロップをストックしておくのも良いですね。
炭酸水は重曹とクエン酸を混ぜ二酸化炭素を発生させたあと水を加えるだけで簡単にできますよ。
生姜の成分が医薬品のように病気に対する効果・効能が期待できるものではありませんが生姜のメリットを上手に活用できると良いですね。
ほかの炭酸飲料についてはこちらの記事が役立ちます。
同時にこの記事も読まれています
結論|ジンジャーエールは体に悪いわけではなく飲み方を工夫する
- 飲み過ぎは体が冷えて消化不良を起こすことも
- カロリーや糖分の摂り過ぎは生活習慣病以外にもリスクあり
- カフェインは含まないが酸+糖分で虫歯や酸蝕症の可能性も
- 生姜の成分ジンゲロールは加熱するとショウガオールに変化
- 量や頻度・飲み方の工夫でリスク回避し炭酸飲料を楽しもう
辛口のジンジャーエールは想像と違って「まずい」と思う人もいるかもしれませんが、いろいろな種類やタイプがあるので特徴や好みで選んでくださいね。
炭酸や生姜・砂糖を自身で調整したい人やストックしておきたい人は、生姜シロップを手作りするのもおすすめです。
飲む量や飲み方を工夫すればリスク回避でき、炭酸飲料も楽しめるので参考にしてみてくださいね。