【執筆者:管理栄養士 上月典子】
グレープシードオイルは摂り過ぎると、肥満や生活習慣病・アレルギーを引き起こす可能性があり体に悪いとされることがあります。
しかし、含まれるリノール酸は必須脂肪酸という食事から摂取する必要がある大切な栄養素でもあり、適量であれば過度に心配する必要はありません。
この記事では適切な摂取目安量や、揚げ物・加熱料理での危険性など情報をお届けします。
グレープシードオイルのこと
- リノール酸のはたらきや特徴とアレルギーとの関連性
- 揚げ物・加熱料理に繰り返し使うと起きるデメリット
- 適量目安といろいろな脂肪酸とのバランスの取り方
- 保存方法や活用レシピ・料理以外での使い方
脂肪酸の分類やほかの脂肪酸とのバランス比なども、記事後半で解説しているので参考にしてくださいね。
目次
グレープシードオイルが体に悪いとされる理由|摂り過ぎに注意
グレープシードオイルはぶどうの種子から抽出されたぶどう油で、血中コレステロールを下げるといわれていますが、摂り過ぎるとHDL(善玉)コレステロールまで下げてしまう可能性があり体に悪いといわれることがあります。
肥満 生活習慣病 |
・カロリーの摂り過ぎ ・HDLコレステロールも下げる可能性 |
---|---|
アレルギー | ・過剰摂取や油の酸化による代謝異常 ・体質による |
発癌性や 認知症のリスク |
活性物質により炎症を起こす可能性 |
ほかにも過剰摂取はアレルギーとの関連性もあげられます。
リノール酸の特徴とアレルギーとの関連性
グレープシードオイルに含まれるリノール酸は必須脂肪酸といわれる大切な栄養素ですが、過剰摂取すると細胞内で炎症が起こる可能性があるため喘息や花粉症・アトピー性皮膚炎などのアレルギーの原因になるのではないかといわれています。
必須脂肪酸とは
体内で合成できないため食事からの摂取が必要な脂肪酸で、オメガ6のリノール酸やオメガ3のリノレン酸がこれにあたります。広い意味で、アラキドン酸やDHA・EPAも含まれることもあります。リノール酸は適量ならコレステロールを下げるはたらきがあります。
多くの加工品に含まれているリノール酸は、知らず知らずのうちに過剰摂取になる「見えない油」ともいわれるので、摂り過ぎているなと思ったら食生活を見直してみるのも良いかもしれません。
また、油の酸化もアレルギーのほかに癌や認知症のリスクになることがあります。
加熱・揚げ物は危険?繰り返し使うと酸化しやすい
グレープシードオイルに含まれるリノール酸は常温で液体の油であり、特に多価不飽和脂肪酸に分類される油は酸化しやすい特徴があります。
酸化した油はラジカルという活性物質を産生するといわれ、油臭さやドロドロした油の原因になります。
このような油は体の消化酵素で分解しにくいため胃もたれしたり、細胞やDNAを攻撃・損傷させる特徴から、アレルギーや癌・動脈硬化などを誘発したりするおそれもあります。
またリノール酸を繰り返し加熱すると、ヒドロキシノネナールという物質が発生し脳に影響を与え認知症にも関与するともいわれています。
このようなデメリットは大量に摂取したり繰り返し加熱した場合なので、適量を守れば過度に心配する必要はありませんよ。
オメガ6とオメガ3のバランス良い摂り方と摂取目安量
グレープシードオイルを食べて体に悪い影響がでるのを防ぐには、摂取量や摂取バランスがポイントです。
油脂は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、リノール酸はその中の多価不飽和脂肪酸でオメガ6(n-6系)といわれる脂肪酸で1日の摂取目安量は約8~11gが適切と考えられています。
脂肪酸の種類 | 脂肪酸名 | 食品例 | ||
---|---|---|---|---|
飽和脂肪酸 | ・パルミチン酸 ・ステアリン酸 ・ラウリン酸 |
・バター ・ラード ・牛脂 |
||
不飽和 脂肪酸 |
多価 不飽和 脂肪酸 |
オメガ3 (n-3系) |
αリノレン酸 | ・亜麻仁油 ・えごま油 ・シソ油 |
DHA | ・サバ ・ぶり ・まいわし |
|||
EPA | ・まいわし ・まぐろ ・サバ |
|||
オメガ6 (n-6系) |
リノール酸 | ・ヒマワリ油 ・コーン油 ・グレープ シードオイル |
||
γリノレン酸 | ・月見草油 ・母乳 |
|||
アラキドン酸 | ・卵 ・レバー |
|||
一価 不飽和 脂肪酸 |
オメガ9 (n-9系) |
オレイン酸 | ・オリーブ油 ・紅花油 |
脂肪酸の分類
油脂は、1つのグリセロールに3つの脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールからできています。脂肪酸は炭素と水素が連なっており、元素単位でみたときの二重結合が始まっている番号でオメガ3・オメガ6・オメガ9という呼び方になっています。二重結合の個数により種類も分かれ、不飽和脂肪酸は常温で液体、不飽和脂肪酸は常温で液体ものがほとんどです。
脂質の摂取は多過ぎでも少なすぎても良くないので、どれかに偏ることなくさまざまな脂肪酸との摂取バランスが大切です。
多価不飽和脂肪酸内での摂取比率はこのようになります。(※3)
- 成人男性:10~11g
- 成人女性:8g(妊婦9g・授乳婦10g)
- オメガ6(n-6系):オメガ3(n-3系)=4~5:1
リノール酸の摂取は足りている場合は多いので、魚料理や亜麻仁油やえごま油などでオメガ3を取り入れると良いですね。
脂肪酸全体で安全性を考慮された比率は、このようになります。
飽和脂肪酸:一価多価脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3
では脂質摂取目安量から、1日の脂肪酸摂取目安を算出してみましょう。
1日の総エネルギーに対し脂質摂取の割合は、成人男女ともに20%以上30%未満です。
- 総エネルギーが約1800kcalの場合、脂質摂取目安量は約40~60g
- 飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸(オメガ6・オメガ3)がそれぞれ約12~18g
- 一価不飽和脂肪酸(オメガ9)が約16~24g
バランスよく摂取することで効率的に吸収できるので、参考にしてみてください。
適量なら体に悪い影響はなくメリットも期待できますよ。
グレープシードオイルの体に良い栄養成分と期待できるメリット
グレープシードオイルには、ほかにもさまざまな栄養素は含まれています。
リノール酸 | 血中コレステロールを下げる |
---|---|
オレイン酸 | ・LDLコレステロールを下げる ・腸のはたらきを活発にする |
ビタミンE | ・体内の脂質を酸化から守る ・細胞の健康維持を助ける |
ビタミンK | 骨形成や血液凝固に関与 |
医薬品のように病気に対する効果・効能が期待できるものではありませんが、栄養機能食品もありますよ。
栄養機能食品とは(※5)
特定の栄養成分補給のために利用され、栄養成分の機能を表示する食品のことです。
脂肪酸を含む脂質は三大栄養素のひとつで、脳の約65%は脂質ともいわれ神経の伝達機能にも関与するため大切な栄養素なので適量の摂取は大切ですね。
保存法とダイエットにも役立つ豆乳マヨネーズレシピ
グレープシードオイルは光や空気にさらされると酸化しやすく風味が変わる可能性があるので、開封後は冷暗所で保存し早めに使い切りましょう。
生食で摂取する場合はドレッシングやマヨネーズにすると良いですね。
豆乳を使うとヘルシーでダイエット中にもおすすめです♪
豆乳マヨネーズ
材料
グレープシードオイル:50cc
豆乳:50cc
りんご酢:大さじ1
砂糖:小さじ1
塩:小さじ1/2弱
グレープシードオイルは料理以外でも活用法があります。
保湿の代用で顔や体に塗る|料理以外の使い方
グレープシードオイルはシーズニングにも活用できますよ。
保湿の代用として顔や体に塗るのも良いですね。
全身に塗るクリームが無くなったので、作りました(о´∀`о)
材料:
みつろう
椿オイル
グレープシードオイル
ラベンダーとローズのティンクチャー
ラベンダー、ユーカリ精油
ハトムギエキス
オレンジバター#handmadecream#手作りクリーム#アロマオイル#手作り化粧品#敏感肌スキンケア pic.twitter.com/KLW3d8xEgc— miki thevegetablets (@happytimeZakka) May 17, 2020
コストコのオイルを使っている人もいますね。
コストコで買ったグレープシードオイルを昨日から洗顔に使い始めたらとても良い!ホボバよりさらっとしてるけど肌のもっちり感は変わらない!目元に塗るとアイクリーム代わりになるらしい。アイクリームをグレープシードオイルに代替できるか実験中。できたらめちゃコスパいい!笑
— 元空飛び✈️OLちゃん🎏👩💻💜🐰 (@LadyNa2Dyson) September 7, 2020
マッサージオイルもありますよ。
いろいろな方法で活用してみてくださいね。
そのほかの油やレシピなどには、こちらの記事も役立ちます。
結論|グレープシードオイルは適量であれば体に悪いわけではない
- 過剰摂取は肥満やアレルギーの原因になることがある
- 揚げ物・加熱料理に繰り返し使うと酸化しやすい
- オメガ6やオメガ3とのバランスを考えて摂取すると効果的
- ビタミンEやKも豊富でリノール酸の摂取は足りていることが多い
- 料理以外にシーズニングや顔・体に塗ることも可能
グレープシードオイルは必須脂肪酸であるリノール酸が豊富に含まれ、適量であれば体に悪い油ではありません。
ほかの脂肪酸とのバランスも大切なので、上手に取り入れてくださいね♪
参考資料
※1 脂質と脂肪酸のはなし | 農林水産省
※2 脂肪酸 | 農林水産省
※3 脂質による健康影響 | 農林水産省
※4 栄養に関する基礎知識 | 国立循環器病研究センター
※5 栄養機能食品について | 消費者庁