【執筆者:編集部 山上由利子】
ヨーグルトの賞味期限切れから日が経ちすぎて腐ったとしても、それを食べて食中毒になるわけではありません。
しかし腐ったヨーグルトを食べて腹痛を起こしたと言う人は多く、症状の激しさから食中毒が起きたと誤解する人もいます。
そこでこの記事では安全にヨーグルトを食べるために知っておくべき以下の事柄をご紹介します。
ヨーグルトのこと
- 賞味期限切れ後いつまでなら安全に食べられるか
- 発酵食品でも腐る理由
- 発酵・腐敗・食中毒の違い
- 正しい保存方法と大量消費レシピ
後半ではアレンジレシピも紹介しています。
ヨーグルトの加熱や冷凍を諦めていた人にとっては、役に立つ内容なのでぜひ最後まで読んでくださいね ♪
目次
ヨーグルトの賞味期限切れで腐敗して食中毒が起こるわけではない
ヨーグルトは発酵食品だから腐らないはずと誤解して、賞味期限切れからかなり経ったものを食べて腹痛を訴える人がいますが、これは食中毒とは言えません。
食中毒は特定の食中毒菌やウィルスによって起こるものであり、腐ったものを食べたからと言って食中毒になるわけではありません。
ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を加え発酵して作られますが、乳酸菌が産生する酸の作用で腐敗菌や食中毒菌が増殖するのが抑えられており、牛乳にくらべ日持ちします。
商品によって乳酸菌の種類は違い、賞味期限も異なります。
未開封 | 開封後 | |
ブルガリアヨーグルト | 製造日を含む17日 | お早めに (2~3日程度) |
ダノンヨーグルト | 製造日より40日間 |
しかし長期間保存すると乳酸菌の作用が弱まり、腐敗菌が増殖した場合は腐敗が起こります。
市販のヨーグルトは、工場で食中毒菌が混入しないよう厳重に管理されていて、商品内に食中毒菌が存在することは考えられず、賞味期限が切れたからと言って食中毒のリスクがあるわけではありません。
賞味期限切れで問題になるのは品質の劣化です。
期限切れ後いつまで食べられるかは賞味期限から推測できる
ヨーグルトには比較的日持ちする食品に設定される賞味期限が表示されていて、期限が切れたらすぐに食べられなくなるということではありません。(※1)
賞味期限は、実際に製造者が保存テストを行い品質が十分に保たれる期間(可食期間)を確認し、これに安全係数(0.8の場合が多い)を掛けて短めに設定されます。(※2)
期限切れからどれくらいまでなら食べられるかは、逆算して(賞味期限÷0.8)求めることが可能です。
例えば賞味期限が17日のヨーグルトの場合、可食期間は(17÷0.8=21.25)約21日となり、賞味期限切れから(21-17=4)4日は食べられると推測できます。
これは未開封で正しく保存した場合に限ります。
あくまでも計算上の話であり、実際食べられるかどうかは状態をよく見て判断する必要があります。
腐るとどうなる|発酵と腐敗の違い
乳酸菌自体には寿命があるため賞味期限経過後は乳酸菌数は減り、乳酸菌の作用が弱まるにつれて他の菌は増え始め腐敗が始ります。
また賞味期限内でも開封すると空気と一緒に微生物が混入し、酸に強い一部の細菌やカビはタンパク質豊富なヨーグルトを栄養源にして増殖を始め腐敗していきます。
食べられる (発酵) |
食べられない (腐敗・発酵し過ぎ) |
|
---|---|---|
見た目 変色 |
水分(ホエー)が分離 | カビが生える 黄色に変色 ホエーが増加 |
臭い | 酸っぱい臭い | 酸っぱい臭いがきつい |
味 | 酸味 | 酸味が酷い 苦み |
ヨーグルトのタンパク質にはカゼインと水溶性のホエーがあります。カゼイン粒子は比重が重く時間が経つと下方に集まり、水溶性のホエーが上澄み液として分離します。ホエーにはアルブミン・ミネラル・ビタミンなどの栄養が含まれているので捨てずに食べましょう。
腐敗も発酵も微生物が食品中の栄養物を分解して増殖するという点では同じであり、分解産物が人にとって有害か有益かで呼び方がかわるだけです。
ヨーグルトはもともと酸味のある食品なので、味や臭いで腐っているかどうか判別するのは難しいようです。
賞味期限切れの古いヨーグルトを食べて下痢症状を訴える人はかなりいます。
朝、1週間賞味期限切れのヨーグルトを食べたら、夜、大変なことになった。30分トイレに篭り、上にも下にも。食中毒では死にたくないと思った。味は大丈夫だったんだけどね。
— スノーイーラッフ🦊(snowyruff) (@snowyruff) April 25, 2015
症状があまりにも きついため、食中毒かもと思う人もいるようですが、食中毒は特定の食中毒菌が存在しない限り起きません。
腐った食品を食べた場合は、有害物質による食あたりと言えます。
食中毒は期限切れが原因で起きるわけではない|過去の食中毒事例
ヨーグルトは製造工場においては、原材料の加熱殺菌工程に加えて発酵工程で乳酸菌が作る酸により病原菌の増殖を抑えることで食中毒が起きないようにしています。
- 1.牛乳などの原料乳の加熱殺菌
(ほとんどの食中毒菌は死滅) - 2.乳酸菌添加
- 3.容器に充填
- 4.発酵
(耐熱性の菌も乳酸菌の酸で生育阻止される) - 5.冷却して発酵終了→出荷※フルーツヨーグルトの場合は発酵後容器に充填
本来ならばヨーグルトでは食中毒は起きないはずですが、2000年に大規模な食中毒が発生したことがあります。
現在は製造工程での衛生管理もより厳しくなり、食中毒が起きないよう対策が取られています。
未開封の状態では食中毒菌が混入していることは考えられません。
開封後保存方法が適切でない場合は、食中毒菌が混入してくる可能性はゼロとは言えません。
正しい保存方法を守ることが重要です。
正しい保存方法と大量消費レシピ
ヨーグルトは温度が高いと発酵が進み酸味が増して風味が損なわれるので、必ず10℃以下で保存しましょう。
常温 | NG |
---|---|
冷蔵 | ・容器のフタをきっちり閉める ・ドア側には置かない ・冷気の噴き出し口付近に置かない |
冷凍 | ・メーカーは推奨していない (解凍後ホエーが分離して風味が落ちる) ・凍ったまま食べれば可 |
家庭での保存中に食中毒菌が混入しないよう注意し、開封後は2~3日で食べ切りましょう。
美味しさを損なわないための保存のコツ
ヨーグルトのなめらかな食感を維持するには、なるべくホエーが増えないようにすることが大切です。
- 発酵し過ぎ
- 振動
- 凍結
ドア側に置くと開閉の度に振動が加わり分離しやすくなるので、本体側に置きましょう。
また冷気の噴き出し口付近では凍結する場合があり、解凍時にホエーが多量に出る原因になります。
開封後はカビ・雑菌の混入や匂い移りに要注意です。清潔なスプーンで取り分け容器のフタはきっちり閉めて、すぐに冷蔵庫に戻しましょう。
冷凍保存したい場合は、10%程度の砂糖を加えると砂糖の保水作用により解凍後の分離が防げます。
砂糖を加えてよく混ぜたあとチャック付き保存袋に入れ冷凍すると、1ヶ月程度は保存できます。
開封後の日持ちは2~3日と結構短いので、アイスや加熱調理して無駄なく食べ切りましょう。
加熱・冷凍後も健康効果はなくならない|大量消費レシピ
同量程度の牛乳とお好みではちみつなどを加え、ドリンクとして飲めば結構消費できます。
乳酸菌は凍らせても死滅しません。
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ダイエット中でも食べられる、
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— g . g .@オイシースタヂオ (@gg34757601) May 9, 2020
賞味期限切れ後は4~5日程度は食べても大丈夫ですが、念のため加熱調理をおすすめします。
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漬けダレはしっかり加熱すればディップソースに変身!
加熱により乳酸菌は死滅しますが、発酵生産物にはさまざまな健康効果があることが報告されています。
機能性表示食品として販売されているものもありますよ ♪
期限切れで食べられるかどうかの判断に自信がない人はこちらの記事も参考にしてください。
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結論 | ヨーグルトの賞味期限切れで食中毒が起きるわけではない
- 腐ったものを食べて食中毒になるわけではない
- 賞味期限切れ後4~5日程度なら食べても問題ない
- 開封後は2~3日を目安に食べ切る
- 発酵と腐敗は微生物が食品成分を分解する点では同じ事
- 加熱しても健康効果あり
ヨーグルトは発酵食品なので腐りにくいイメージがありますが、賞味期限切れ後は時間の経過とともに腐敗していきます。
しかし、腐ったヨーグルトを食べたからと言って食中毒が起きるわけではありません。
食中毒は食中毒菌が存在しない限りは起こらないからです。
ヨーグルトは食中毒菌が混入しないよう製造されているので、家庭での保存中も食中毒菌が混入しないよう衛生管理に努めましょう。
加熱して乳酸菌が死滅しても健康効果は失われないので、加熱調理にもぜひチャレンジしてくださいね♪