【執筆者:管理栄養士 宍戸恵】
お餅の黒い点や、変色(赤・緑など)はカビである可能性が高く、食べずに処分することを強くおすすめします。
「青カビや白カビなら…」「取り除けば食べても大丈夫だろう」という考えも、安全とは言えません。
カビかどうかの見分け方や危険性、日持ちさせる為の保存方法等を紹介していきます。
お餅 のこと
- カビかどうかの見分け方
- カビの種類やカビ毒について
- なぜ取り除いて食べるのもNGか
- 日持ちさせる方法
「以前食べても大丈夫だったから」という人も過信せずに、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
青カビや白カビの生えたお餅は食べないで|見分け方は
市販のパック餅ではあまり見られませんが、のし餅に使用される餅取り粉がカビのように見える場合は、臭いを確認してください。
状態 | 原因 | |
---|---|---|
食べられる | 白い粉 | 餅取り粉 |
数ミリサイズの 茶色や黒の変色 |
もち米の一部 | |
個包装のもので 中に水滴が 溜まっている |
温度変化が原因 (中の水分が 結露したもの) |
|
食べられない | ふわふわとした 白い異物 |
カビ |
青・緑・赤などの変色 | ||
異臭 |
お餅はカビの好物であるでんぷんが豊富です。
自家製のついたお餅は空気中のカビが付着しやすく、保存状態によってはあっという間にカビが生えます。
緑・黒の点のほか赤く変色した例も
増殖して集落(塊)を作ると、青・緑・黒など暗色系の変色が見られたり、黄色・赤に変色したりとカビの菌種によって色や形態は異なります。
餅にピンクのカビでござるか pic.twitter.com/InRiLyD7dd
— マスもふプン (@ery_0503) March 13, 2018
こちらのお餅は複数の菌種に汚染されているようですね。
カビは温度・水分・栄養分・酸素の有無などの条件が整うと、2~3日ではっきりと確認できる程に成長します。(※1)
5℃の環境下でも増えるので、低温で日持ちさせるなら冷凍保存がベストです。
カビの生えたお餅には、健康被害をもたらす危険性が潜んでいます。
対処法として削って食べる人もいますが、これも避けた方が良いでしょう。
カビとカビ毒|削って食べても大丈夫とは言えない理由
カビは同じ色のように見えても、ミクロの視点ではさまざまな菌種に分類されます。
中には体に害を及ぼすカビ毒を産生するものもあり、カビ毒は熱に強い為「火を通せば大丈夫!」とは言えません。(※2)
また、カビを部分的に取り除いて食べてもリスクは残ります。
食品の内部にカビが根を伸ばし、目に見えない部分も既に汚染されている可能性があるからです。
カビてた餅、カビ取って食べたけどお腹痛い痛いしてる
— みかん系男子🛐 (@mikan_kei_otoko) January 7, 2016
こちらの人も体調を崩してしまったようです。
カビ毒を食べると…(※3)
カビ毒の種類もさまざまですが、実際急性症状を伴うものは多くありません。しかし長い期間の摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性があると分かっています。これまで問題なく食べていた人も、今後は慎重に扱ってくださいね。
実際に生えるカビは、暗色系の集落がよく見られるようですよ。
カビの名称 | 色 | カビ毒の名称 や毒性 |
---|---|---|
アスペルギルス属 | 青、緑 黒、白 等 |
菌種によって ・アフラトキシン ※発がん性あり ・オクラトキシン 等 |
クラドスポリウム属 | 黒、暗緑色 | 無 |
冬季の餅つきはノロウイルスにも注意(※4)
過去にノロウイルスが原因で起きた集団食中毒の事例があります。カビの被害とは異なりますが、冬季は特にノロウイルスによる食中毒が発生しやすい為、餅つき大会や自宅でつく餅では
●手指や調理器具をよく洗う
●使用する水は清潔に
など衛生面に十分注意してください。
ちなみに個包装されているパック餅は厳重な衛生管理ゆえに、常温で長く置けるものが多いです。
▼賞味期限:製造日より24ヶ月
ついた餅であれば、カビ対策を徹底して保存しましょう!
カビを日持ちさせるなら冷凍保存を|水につける方法もある
最も手軽な方法が冷凍保存です。
冷凍技術が乏しかったころは、水につけて保存する方法が活用されていたようですよ。
手入れは必要ですが、冷凍庫のスペース確保が難しい人は1つの手段として参考にしてみてください。
方法 (保存期間の目安) |
注意点 |
---|---|
水につける (約1ヶ月) |
・水からお餅がでないように 容器のサイズと水の量に注意 ・水は毎日取り換える ・冬場は常温でも良いが 冷蔵庫が安心 (暖房による温度上昇に注意) |
冷凍保存 (1ヶ月~ 半年程度) |
・2~3個ずつラップで包み 冷凍用保存袋へ |
長期の冷凍保存は乾燥したり霜がついたりするで、美味しく食べ切りたいなら1ヶ月を目安に消費するのがおすすめです。
詳しくは冷凍保存・解凍方法についてまとめた記事が役に立ちます。
お雑煮を作る人は、出汁の取り方や日持ちについて紹介されている記事もぜひ参考にしてみてください。
同時にこの記事も読まれています
お餅の食べ方がマンネリ化した人は、アレンジを加えて使い切りましょう♪
カサ増しや韓国風|おやつにも
お好み焼きやもんじゃ焼きに使うと、もちもち食感が楽しめます。
カビたお餅を削ったら、
少し小さくなってしまったので、
細かくしてお好み焼きに投入。ボリュームが更に増してしまった…(笑) pic.twitter.com/7zgxxGk2q7
— 湯たんぽ (@8mU7tnrDLotZple) January 17, 2018
油揚げに入れて含め煮にしたり、ロールキャベツに入れたりしても美味しいですよ♪
韓国風にして楽しむのも新鮮です。
ホットプレートで簡単チーズタッカルビ by ろみじゅり☆彡
好みのお野菜と一緒に♪
お餅のトッポギ風甘辛炒め by クッキングセサミ
いつもの食べ方に飽きた人はぜひ♪
一方、お餅を乾燥させておかきを作る方法もあります。
材料
余ったお餅
(丸餅・切り餅)
揚げ油
しお
(好みで青のりやしょうゆ)
- お餅は2m角サイズやスライスにして天日干しする
- 乾燥したお餅を弱火~中火できつね色になるまで揚げる
- 熱い内に塩をふる
お餅の大きさや天候にもよりますが、天日干しは3日~1週間程度です。
水分を十分に飛ばすと、保存性もアップして常温で1ヶ月程度置けますよ。
気になる人はチャレンジしてみてくださいね。
結論|お餅はカビが生えやすいので工夫して保存を
- でんぷんが多くカビが生えやすい
- 中にはカビ毒を作る菌種も
- 削る行為も安全とは言えない
- カビ対策は冷凍が簡単でおすすめ
- 水につける・天日干しする方法も
冷蔵保存でも1~2週間と持ちますが、なるべく早めに消費するか「すぐには食べないな」と判断したものは冷凍庫に移し替えるのが得策です。
お正月は特に大量に残ってしまう人もいるかもしれませんね。
カビ対策をして、最後まで美味しく安全に食べ切りましょう。
参考資料
※1 カビQ&A | 東京都福祉保健局
※2 かびとかび毒の基礎的な情報 | 農林水産省
※3 食品のかび毒に関する情報 | 農林水産省
※4 餅つきでの食中毒にご注意を!| 練馬区