【執筆者:編集部 山上由利子】
わさびは常温放置すると辛み成分がどんどん揮発します。
保存方法に注意しないと、鼻にツンとぬける辛味や独特の香りが飛んでしまい料理の美味しさを損ねてしまいます。
そこでこの記事では、わさびをできるだけ美味しく長く楽しむために押さえておきたい事柄を紹介します。
わさびのこと
- 賞味期限と開封後の日持ち目安
- 抗菌作用について
- 気が抜けたわさびにしない保存方法
- 生のわさびの保存方法
チューブや小袋タイプのわさびがいつまで日持ちするか、長期間保存したものは腐ることがあるのかなど知りたい人はぜひ参考にしてください。
後半では意外なアレンジレシピも紹介していますので、最後までご覧くださいね。
目次
わさびは常温放置で辛み成分が揮発する|賞味期限と日持ち目安
わさびの辛味成分は常温で揮発しやすく、何も加工しないと独特な辛味や香りがすぐに飛んでしまいます。
商品によりさまざまな工夫がされており、賞味期限や保存方法もまちまちです。
未開封 | 開封後 | |
チューブタイプ | 4ヶ月~1年程度 | 冷所保存でお早めに (2週間~3ヶ月程度) |
小袋タイプ | 賞味期限記載の物もある 未表示は添付食品に従う |
使い切る |
粉わさび | 18~24ヶ月程度 | お早めに |
生のわさび | 冷蔵:1ヶ月程度 | |
冷凍:3ヶ月程度 |
チューブ・小袋では商品によって、製法や原料(本わさびか西洋わさびか)・品質へのこだわりの違いで流通での保存状態(常温・冷蔵・冷凍)が異なりますが、開封後はすべて冷蔵庫保存となります。
開封後も常温保存できるのは、西洋わさびが主成分の粉わさびだけです。
- 本わさび・・・日本原産の植物で甘みのある爽やかな香りと辛味が特徴
- 西洋わさび・・・ホースラディッシュのことで、根をすりおろしたものは白く、シャープな辛味が特徴で安価なため主に粉わさびに使用される
※本わさび、西洋わさびどちらも辛味主成分アリルイソチオシアネートを含む
西洋わさびの辛さは本わさびの1.5倍はあると言われています。
粉わさびは西洋わさびの乾燥粉末に着色料を加えて山葵(わさび)らしく加工されたものです。
開封後は冷蔵庫に保存する必要がある理由
わさびの辛味主成分であるアリルイソチオシアネート(別名:アリルからし油)は揮発性のため、常温ではどんどん成分が飛んでしまうため、冷蔵庫保存が必要です。
製造過程からとことん温度にこだわり、-196℃の超低温ですりおろした商品もあります。
わさびにはシニグリンという物質が含まれており、これ自体は辛くありません。すりおろしてわさびの細胞が壊れると、酵素の働きでアリルイソチオシアネートに変化し、辛味が発生します。揮発性物質で、強力な殺菌作用があると言われています。
昔から日本人は、刺身を食べる時にわさびを使用していましたが、単なる薬味だけでなく食中毒予防の働きもあったのは驚きですね。
昔の人の知恵は恐るべしです。
わさびの抗菌作用を上手に使っている人は結構いるようです。
自宅で搗いた餅は切り分けて保存する際にわさびの殺菌力を借ります
キッチンペーパーに絞り出して包み保存容器の蓋の内側に貼り付けるのです
半月程カビを防げます
もちろん冷暗所で保管します pic.twitter.com/jL1ZuCVRVI— Kitchen q’ キッチンキュー (@kitchen_q_) December 30, 2021
アリルイソチオシアネートの揮発性を利用した効果的な抗菌対策ですね。
わさびの抗菌作用|腐る可能性は
わさびは、食中毒菌のサルモネラ菌、腸炎ビブリオ菌、腸管出血性大腸菌に対しても高い抗菌作用を持つと言われています。(※2)
わさびを利用した抗菌グッズも販売されています。
抗菌効果のあるわさびですが、わさび自体は腐ることがあるのか気になります。
生のわさびは細胞が傷つかなければ、アリルイソチオシアネートが産生されないので、抗菌効果は期待できないようです。
- 変色(黒や茶色)やカビが生える
- 酸っぱい味や臭いがする
わさびをすりおろした商品は正しく保存していれば、よほどのことがない限り腐らないと思われます。
賞味期限が5年前に切れてる山葵を食べた後に気づいた。明日はトイレの住人になるのか。
— すかんこ (@scascascanko) February 17, 2022
チューブ入りわさびの色が黒っぽくなっていたというコメントもありましたが、この人の場合は実際に食べたということは、見た目にもあまり変化はなかったのでしょうか。
わさび中にアリルイソチオシアネートが残留していれば腐ることはないでしょうが、揮発性なので何年もたって気が抜けたようなわさびは抗菌効果も薄れている可能性があります。
抗菌効果のあるわさびの辛味成分が飛んでしまわないよう、正しい保存方法を確認しましょう。
わさびの辛味成分を持続させる保存方法|辛味を楽しむアレンジも
わさびは商品によって、流通段階の保存状態も開封後の保存方法も違います。
未開封でも必ず商品に記載してある保存方法を守りましょう。
常温 | 粉わさびのみOK |
---|---|
冷蔵 | 粉わさびはNG チューブタイプは使用後はできるだけ空気を抜く しっかりとキャップを閉じる |
冷凍 | 生のわさびのみOK |
粉わさびは吸湿性があり、冷蔵や冷凍すると温度差で結露してすぐに湿ります。
必ず、常温保存して、早めに使い切りましょう。
チューブ・小袋の保存方法|冷凍は推奨されない
アリルイソチオシアネートは常温では揮発するので、チューブタイプは開封したら必ず冷蔵庫で保存しましょう。
小袋タイプは冷蔵保存し、開封後は使い切りましょう。
市販のわさびは辛味成分を維持するために加工が施してあります。
わさび成分の安定化のため商品に植物油を添加しているものが多いです。
冷凍すると、解凍したときに分離し食感がおちるとしてメーカーは冷凍を推奨していません。
生のわさびをすりおろしただけなら、冷凍後解凍しても分離しないのでおすすめです。
生のわさびの冷蔵・冷凍方法
生のわさびをすりおろした場合、10分程度で辛味成分は飛んでしまいます。
蕎麦チェーン店の『そじ坊』では、蕎麦と一緒に生のわさびとおろし金が出てきます。
客自らがわさびをおろすのを売りにしており、残ったわさびは持ち帰れます。
使う分だけすって、すぐ食べるのが理想ですね。
保存するなら、生の形のまま冷蔵保存するか、すりおろして冷凍保存するのがよいでしょう。
生のわさびは湿ったキッチンペーパーにくるみチャック付き保存袋に入れると、冷蔵庫で1ヶ月程度は保存できます。
それ以上持たせたいなら、全部すりおろしてからラップに薄く広げ密封して冷凍保存しましょう。
ラップしたものをチャック付き保存袋に入れ二重包装すると、冷凍焼けを防げます。
冷凍すると約3ヶ月程度は辛味成分が維持できますが、風味は徐々に落ちていくので、アレンジレシピで早めに使い切りましょう。
辛味を楽しむアレンジレシピ
わさびは料理以外にも使えます。
- 静岡発!わさび焼酎♪ by うまいん酢よ。
二日酔いしないんだとか! - ピリっと辛い★めちゃ旨わさびアイス by 夢乃☆
大人のアイスですね ♪
たまにはちょっと冒険するのもいいかもしれませんね。
近頃はわさびの研究も進み、さまざまな効果があることがわかってきています。
機能性表示食品のわさびも販売されています。
わさびについてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事がおすすめですよ ♪
詳しくはこの記事をチェック!
結論|わさびは常温で辛味成分が揮発|抗菌作用で腐りにくい
- 辛味成分は常温で揮発する
- 賞味期限・保存方法は商品で違う
- 保存方法は商品に記載の方法を守る
- 開封後は粉わさび以外は冷蔵保存
- 生のわさびは冷蔵・冷凍可能
気が抜けたわさびという言葉があるように、わさびの辛み成分は気を付けないとすぐに飛んでしまいます。
わさびの抗菌効果はよく話題になりますが、腐らないからと油断して常温放置しているとすぐに辛み成分が抜けてしまいます。
この記事を読んで、わさびの辛味と香りをできるだけ長く楽しんでいただければ嬉しいです ♪