【監修者:管理栄養士 中山沙折】
わさびを食べ過ぎると、辛味成分が原因で腹痛や下痢などを起こすことがあります。
また、わさびアレルギーの人は頭痛やめまいなどの副作用を起こすことも考えられます。
わさびの食べ過ぎはデメリットもありますが、さまざまな効能を期待できる栄養素を含んでいるため、適量であればむしろ健康に良い食べ物です。
そこでこの記事では、以下の項目について詳しく調べてみました。
「わさびを食べ過ぎると体に悪い、死亡することもある」という噂もあるため、これは事実なのか適量とはどれくらいなのかを調べてみました。
チューブわさびや本わさびに含まれる効能などもご紹介するので、摂取するメリットも知ることができますよ!
管理栄養士・栄養士
目次
わさびの食べ過ぎは体に悪い?副作用やデメリットを解説
わさびを食べ過ぎると、腹痛や胃痛、下痢、吐き気、頭痛などの副作用が起こることがあります。
これは、わさびに含まれる辛味成分が影響しています。
辛味成分が腹痛や味覚障害を起こす危険性が!
わさびの食べ過ぎで腹痛や胃痛、下痢などが起こるのは、辛味成分である『アリルからし油』が大きな要因の1つです。
アリルからし油にはさまざまな効能がありますが、刺激性も高いため、摂りすぎると胃腸や腎臓に負担がかかる可能性があります。(※1)
また、わさびや唐辛子などの刺激物を摂りすぎると、舌の表面を荒らして味覚障害を発症する危険性も考えられます。(※2)
味覚障害の症状は、「味がわからない」「何を食べても美味しくない」「何も食べていないのに塩見や苦みを感じる」などです。
このほかわさびを食べて口が痒くなったり湿疹が出たり場合は、アレルギーの可能性も考えられます。
わさびでアレルギーを起こすことも!
あまり頻度は多くありませんが、わさびなどのスパイスでアレルギーを発症することもあります。
わさびなどのスパイスが原因で、口や喉が痛くなる、胃炎を起こす、手指に湿疹が出るなどのアレルギーの症例が報告されています。(※3)
またこちらの投稿のように頭痛を起こしたり、お腹が痛くなることもあるようです。
あるみたい
ワサビは頭痛がよく起こるらしい— 朝霜prpr (@kabutogani770) March 29, 2021
わさびを食べるたびに体調を崩すようであれば、一度病院で検査を受けてみてもいいかもしれません。
アレルギーではなさそうだけれど、わさびを食べ過ぎて体調を崩した場合はどうしたらいいのか、対処法を簡単にご紹介していきます。
わさびを食べ過ぎたときの対処法は?
わさびを大量摂取したときの体調不良は、辛味成分による胃腸への刺激が大きな要因なので、胃腸を休めるようにしましょう。具体的な対処法は、以下の通りです。
- 温かいお茶や白湯を飲んで安静にする
- ミントティーや炭酸水などを飲み、消化を促す
- 胃腸改善のツボを刺激する
とにかく安静にして胃腸を休めることが、一番手軽な対処法でしょう。
ミントティーや炭酸水は消化を促す効果がありますが、炭酸水は人によっては逆効果の場合もあるため、慎重に試してみくださいね。
そのほか、胃の調子を整えるツボなどを試してみてもいいかもしれません。
みぞおちとおへそを結んだ線の中心にある『中脘(ちゅうかん)』のツボは、胃を丈夫にしたり胃痛などの症状を緩和する効果が期待できるようですよ。(※4)
わさびを食べ過ぎるとさまざまなデメリットがあり、体に悪いことがわかりましたが、適切な量とはどれくらいなのか気になるところですよね。
わさびの食べ過ぎによる死亡説は本当なのかも、あわせて確認してみました。
わさびを食べ過ぎないための1日の適量や死亡説の真偽は
わさびが持つさまざまな効能を得るために必要な量は、1日3~5g程度とされています。(※5)
3~5gとはティースプーン1杯ほどの分量で、チューブわさびだと約10cmです。(※6)
これは厳密に言うとわさびの効能を得るための分量ですが、1日あたりのわさびの目安として考えられるのではないでしょうか。
ちなみにチューブわさびを選ぶ際は、さまざまな効能を期待でき、国産わさびが主原料の本わさびがおすすめですよ!
お刺身やお寿司などを食べると、これぐらいは摂取することもあるでしょうから、わさびをつけすぎないようにしてくださいね。
続いて、食べ過ぎとはどれくらいの量なのか、死亡することがあるのかを確認してみました。
わさびの致死量とは?死亡説を検証!
わさびに含まれているアリルからし油は、大量に摂取すると胃腸を刺激するだけでなく、致死量も算出されています。
しかしその致死量とは、50㎏の人が600gのわさびを一気に摂取した場合です。
チューブわさびが1本およそ30~40gなので、15本一気に食べた量に相当しますが、ここまで食べることは現実的ではありませんよね。
ではなぜわさびの死亡説があるのかというと、『たこつぼ心筋症』が影響している可能性があります。
たこつぼ心筋症は、ストレスが主な原因であると考えられています。(※7)
しかし海外で、わさびをアボカドを間違えて大量摂取した女性が、たこつぼ心筋症と診断された事例があり、それが噂の元になったのではないかと考えられます。
わさびをアボカド(ワカモレ)と間違えパクリ→たこつぼ心筋症に!https://t.co/De5ZqRweH5
— 堀江 俊之|Toshiyuki Horie (@ToshiyukiHorie) September 28, 2019
わさびの辛さがストレスとなり発症した可能性はありますが、あまり頻繁に起こるケースとは考えにくいです。
わさびを食べ過ぎて死亡する可能性はほとんどありませんが、食べ過ぎには注意しましょうね!
適量のわさびは、むしろ健康や美容にも良いと言われているため、効能など確認してみました。
わさびは食べ過ぎに注意すると意外にメリットが多い?
わさびに含まれている栄養素は体に良い働きをする効能が期待できるため、適量であればむしろ健康に良い食品の1つです。
中でも特に注目されている、わさび特有の成分についてご紹介していきます。
本わさびに含まれる栄養素には肝臓の機能を高める効果が
本わさび(日本原産のわさび)に含まれるからし油成分の1つ「6-MSITC(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)」には、肝臓の解毒代謝酵素を活性化させる働きがあります。(※8)
具体的に期待できる効能は、以下の通りです。(※9)
- 有害物質を排出する肝臓の働きを活性化
- 活性酸素の抑制
- 血流をアップさせる作用
- 癌細胞や癌転移を抑制
- 糖尿病腎症や失明など、糖尿病の合併症を予防
- 花粉症の改善などを期待できる抗炎症作用
- 関節の痛みを抑制
- 顔の明るさ、シミ、そばかすなど肌状態の改善
これらの効果が期待できる6-MSITCは本わさび特有の成分のため、西洋わさびには含まれていません。(※10)
本わさびの葉には脂肪燃焼作用があるそうなので、ダイエットにも良いかもしれませんね。(※11)
そのほか本わさび・西洋わさびともに、辛み成分には抗菌作用が期待できますよ。(※12)
市販のチューブタイプわさびの多くは西洋わさびを使用しているため、上記に記したわさびの効能を期待したい場合は、本わさびを選ぶようにしてくださいね。
ちなみに、わさびには「山わさび」という種類もあります。
気になる方は、こちらから詳細を確認してみくださいね。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
どのようなわさびを選べばいいのか悩む場合は、通販などで見比べて購入するのもおすすめですよ。
結論|わさびは食べ過ぎに注意して適量を守ろう
わさびを食べ過ぎると、辛味成分が影響して下痢や胃痛などの症状や、味覚障害を起こすことがあります。
ただし、食べ過ぎで死亡することは考えにくいです。
むしろ1日3~5g程度の適量であれば、肝臓の機能を向上させる効能などを期待できるため、ぜひわさびを上手に摂取して、健康に役立ててくださいね。
参考資料
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※1 わさび漬の科学|静岡薬科大学生化学教室
※2 すずらん食通信|株式会社ホロン
※3 口腔アレルギー症候群2|板谷耳鼻咽喉科
※4 自分でできるツボ療法|公益社団法人東洋療法学校協会
※5 NHKテレビ番組「あさイチ」 わさびに秘められた健康パワー|金印株式会社
※6 重量目安表|エスビー食品株式会社
※7 たこつぼ心筋症|かい内科クリニック
※8 解毒作用|金印株式会社
※9 「わさびスルフィニル®」の機能性|金印株式会社
※10 わさびの成分|金印株式会社
※11 新発見:本わさびの機能性|金印株式会社
※12 わさびの昔からの機能性|金印株式会社