【執筆者:編集部 山上由利子 】
はちみつは常温保存が可能な食品です。
開封後も基本的には腐らず長期保存ができますが、扱いや保存方法を誤るとカビが発生することがあります。
そこでこの記事では、はちみつを長く美味しく食べ切るために押さえておくべき以下の項目を紹介します。
はちみつのこと
- 賞味期限と開封後の食べられる期間の目安
- 常温保存でも腐らない理由
- はちみつで注意すべき点とは?
- 正しい保存方法と固まったときの対処法
何年も前にもらった高価なはちみつを食べ忘れて困っている人や、冷蔵庫に保存した方がいいか迷っている人にとって役立つ内容です。ぜひ参考にしてくださいね ♪
目次
はちみつは常温保存できる|開封後も腐らない
はちみつは未開封・開封後も賞味期限までは美味しく食べられます。
未開封 | 製造日より1~5年 |
---|---|
開封後 | 未開封と同じ期間 |
賞味期限は商品によりまちまちですが、開封後も常温保存が可能です。
常温保存しても腐らない理由
はちみつは微生物が増殖しにくい性質があり常温保存しても腐りません。
- 糖度が高く(80%程度)微生物が利用できる水分がない(水分活性が低い)ので微生物は増殖できない
- 酸性(㏗3.2~4.9)であり細菌の生育に適さない環境である
- グルコースオキシダーゼにより過酸化水素を生成し殺菌作用がある
菌が増殖しにくい特性を持つことから、製造工程において加熱殺菌する必要がない食品とされています。(※1)
糖度が高いのでほとんどの微生物は増殖できませんが、例外として糖度が77%以下になると酵母菌が繁殖し始め、発酵することがあります。
開封後空気中の微生物が混入しても増殖できないので、腐ることもなく賞味期限までは美味しく食べられます。
賞味期限切れ後も腐らないが劣化は起こる|はちみつの注意点
はちみつは正しく保存していれば、何年経っても腐ることはなく食べられる食品です。
しかし、賞味期限がかなり過ぎると徐々に花の香りなどの風味がなくなり、酸化が起こって褐変し独特な濃い甘みへと変化します。
食べられない訳ではありませんが、はちみつ本来の美味しさが損なわれていきます。
そのまま食べるのではなく、砂糖の代わりに料理にでも使うといいでしょう。
はちみつは菌の増殖を抑えるので腐りませんが、無菌状態ではないので注意が必要です。
はちみつは自然の中で採取され、穴のついたフィルターで濾して作られます。
蜜蜂の羽や巣のかけらなど目視できる異物は取り除かれますが、花粉など小さな粒子は紛れ込んでいます。
まれに土壌中のボツリヌス菌も混入することがあり、はちみつの性質から増殖することはないものの、芽胞というカプセル状の形で残っている可能性があります。
日本製のはちみつの場合、約5%がボツリヌス菌に汚染されていると言われています。
大人の場合、体内に少量のボツリヌス菌が入っても、他の腸内細菌に負けてしまうので問題ありません。
しかし1歳未満の乳児では腸内環境が整っていないため、ボツリヌスの芽胞が腸内で発芽・増殖し、毒素を作り乳児ボツリヌス症となる可能性があります。
また、扱いを誤ると賞味期限内でもはちみつが傷むことがあります。
舐めたスプーンを再び入れたり、パンくずが入ったりするとカビがはえる原因となります。
夫、何回注意しても食事中の箸をそのままキムチの容器に突っ込んだり、ジャムやハチミツやヨーグルトの容器に食べてる最中のスプーン突っ込んだりする😣口の中にはたくさんの菌がいて汚いし他の家族も食べるから止めろって言っても忘れて同じ事を繰り返す。ハチミツはカビ生えた事もある。
— ダイエット中のイッチーゴ*♀4y (@ichigo_akarui) August 14, 2021
カビが生えた場合、全体に胞子がひろがっている恐れがあり、カビの中にはカビ毒を産生するものもあるので、食べるのはやめましょう。(※3)
はちみつ自体は腐ることはなく常温保存ができますが、扱いを誤ると傷むこともあるので、正しく保存しましょう。
はちみつの正しい保存方法
はちみつの品質を劣化させることなく楽しむためには、衛生面や温度・水分に気を付けて保存することが大切です。
常温 | 直射日光を避ける |
---|---|
冷蔵 | NG |
冷凍 | 可(ガラス瓶の場合は保存袋に詰め替える) |
はちみつは冷蔵庫で保存する必要がないばかりか、おすすめできません。
冷蔵庫で保存しない方がいい理由
はちみつを冷蔵庫から出し入れすると温度変化が引き金となって、はちみつの結晶化が早まり固まります。
結晶化して固まると取り出しにくいだけでなく、なめらかさが失われ、ジャリジャリした食感になります。
冷蔵庫に出し入れすることで温度差により結露が生じ、水滴がつくことによりカビや発酵が起きる可能性があります。
夏は特に温度差が激しくなるので冷蔵庫に入れるのはやめましょう。
常温保存で気を付けること|異物の混入に注意
はちみつ自体は腐ることはなく長期保存が可能ですが、異物が混入するとカビがはえることがあります。
水分や汚れのついたスプーンは使用せず、パンくずなどが入らないよう注意しましょう。
はちみつは糖度が高いため、ダニなど虫の多くは水分を取られ死んでしまいます。
しかしアリは硬い殻で守られているため、はちみつをエサとして利用します。
ダンナの実家に来たらハチミツの蓋に蟻が集っててすごく嫌なんだけど。 pic.twitter.com/wsJgxPvfC4
— エミリー (@Emily5677812) August 11, 2018
はちみつの保管場所は直射日光の当たらないところと言われますが、アリにも注意した方がよさそうですね。
保管場所として冷凍庫も選択肢のひとつとなります。
冷凍すると結晶化しない|結晶化した時の対処法
保存期間を延ばすためというより、結晶化の予防として冷凍している人は多いです。
ガラス瓶の場合は容器が破損するおそれがあるので、チャック付き保存袋に詰め替えましょう。
はちみつの保存方法 by ちっくんママ
冷凍すると固まらない!
温度の影響のほかに、天然の純粋はちみつでブドウ糖を多く含むものは結晶化して固まりやすいと言われています。
花の蜜によっても違いがあり、アカシアの花から採ったはちみつは結晶化しにくいと言われています。
加工はちみつの場合、水飴や砂糖を加えたものは固まりにくく、ブドウ糖を加えた場合は固まりやすくなります。
結晶化したものは60℃くらいの湯煎にかけると30分ほどで元に戻ります。
レンジにかけると高温になって品質が変化するのでおすすめできません。
保存方法を守りはちみつを長く美味しく楽しんでくださいね 。
はちみつについてもっと深く知りたい人はこちらの記事も参考になりますよ ♪
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結論 | はちみつは常温保存がベスト|腐らず長期保存が可能
- 常温保存が可能
- 賞味期限は1~5年と商品によっていろいろ
- 腐らず何年経っても食べられる
- 清潔に扱わないとカビが生えることがある
- 白い粒々は結晶で品質に問題はない
はちみつは微生物が増殖できない性質があるので、常温保存で何年経っても腐りません。
しかし、花の香りや風味が損なわれ全く違った味になるので、美味しく食べるためには賞味期限を目安に食べたほうがいいでしょう。
賞味期限切れで何年たったものでも腐っているわけではないので、砂糖の代わりに料理にでも使って最後まで大事に食べ切りましょう。
※2 ハチミツによる乳児のボツリヌス症 | 消費者庁
※3食品のカビ毒に関する情報|農林水産省
※4はちみつが白く固形状になるものとならないもの|農林水産省