【執筆者:編集部 佐々木なるみ】
クリームシチューの日持ち期間は冷蔵保存で1~2日・冷凍保存約1ヶ月で、食中毒のリスクを高めるため常温保存はできません。
保存期間の短さは、シチューのとろみと食材に付着している菌に深く関係し、「冷蔵庫に入れたから」「食べる前に加熱するから」安心とも言い切れません。
食材選びも食中毒対策において大事なポイントなので、賞味期限目安や保存方法とあわせて解説します。
クリームシチューのこと
- 常温保存はできる?
- 保存方法ごとの日持ち期間
- 食中毒を起こす原因とは
- 冷蔵・冷凍での正しい保存方法
シチューによく使われる食材の中に、実は冷凍保存に適していないものもあるので、「たくさん作って冷凍したい!」とお考えの人はぜひこの記事を参考にしてみてください。
目次
クリームシチューの日持ち期間は?冷蔵庫・冷凍保存の場合
手作りのクリームシチューは、冷蔵庫で保存したとしても、1~2日を目安にすぐに食べきりましょう。
常温で放置すると、季節によってはたった半日でも腐ることがあるため、冷蔵庫・冷凍保存が鉄則です。
常温 | 冷蔵 | 冷凍 | |
---|---|---|---|
手作り | NG | 1~2日 | 約1ヶ月 |
市販品 | 約1年(未開封) | NG |
アルミパックで包蔵された市販品は日持ち期間が長く、夏の暑い室温でも保存できます。
しかし、賞味期限が長いからと安心せず、賞味期限が迫ってきているものはなるべく棚の手前に置くなどして対策しましょう。
保存期間が過ぎるとどうなる?常温保存NGなワケ
クリームシチューを常温で放置すると、カビが発生しやすくなります。
増殖温度 | 20~30℃ |
---|---|
増殖湿度 | 80%以上 |
温度・湿度ともに、常温のクリームシチューはカビが発生しやすい条件が揃っていると推測できますね。
特に気をつけたいのがカビの産生物であるカビ毒で、嘔吐や下痢だけでなく、がんの原因となるものもあるとわかっています。
カビは目視で確認できるのに対してカビ毒は目に見えません。
カビが生えた場合は、見える部分だけを取り除くのではなく、思い切って食品ごと捨てましょう。
さらに、常温保存はカビだけでなく、ウェルシュ菌を増殖させる危険性があります。
ウェルシュ菌とはシチューのような大鍋料理の温度管理が適切にできていない場合に増殖する菌で、食中毒の原因になります。(※1)
特徴 | 熱に強く、100℃でも死滅しない 酸素がない環境で増殖する |
---|---|
症状 | 腹痛・下痢 |
潜伏期間 | 6~18時間 |
増殖温度 | 12~50℃ |
とろみのあるクリームシチューの中では液体中の空気が追い出されるため、酸素を嫌うウェルシュ菌が繁殖しやすくなります。
夏に限らず、冬でもカビやウェルシュ菌が発生する恐れがあり、年中温度管理には気をつけた方が良さそうです。
中に入れる具材によっても、腐りやすさは変わります。
腐る原因となる食材はどれ?賞味期限にも注意
クリームシチューによく使われるじゃがいもやにんじん、玉ねぎなどは傷みやすく、日持ち期間を縮ませてしまう食材でもあります。
特にじゃがいもやかぼちゃのようなでんぷん質は、調理した後でも腐りやすい食材です。
さらにじゃがいもの芽や皮には、ソラニンやチャコニンという天然毒素が含まれ、食中毒を引き起こす危険性があります。(※2)
ソラニンとチャコニンは、加熱によって死滅するとは言い切れないため、なるべく芽や皮を取り除いて調理しましょう。
- 芽を取る
- 緑色の皮は少し厚めに剥く
- 小さくて未熟なじゃがいもはなるべく使用しない
また、調理前に食材の状態をきちんと確認しておくと安心です。
野菜が栽培時や輸送途中で病気にかかると、出来上がった料理に菌が繁殖し、私たちの体にも悪影響を及ぼすため、調理前にしっかり洗いましょう。
野菜以外の牛乳や生クリーム、肉などの食材が一つでも腐っていても、クリームシチューの腐敗スピードは一気に加速します。
食材の傷みにも注意して作ったクリームシチューでも、保存方法が悪いと腐ってしまいます。
安全に保存するためのポイントを知っておきましょう。
クリームシチューを日持ちさせる正しい保存方法
とろみのあるクリームシチューは、温度を下げるのに時間がかかるため、日持ち期間を延ばすためには、急速に冷ますことが重要です。
とはいえ熱いまま冷蔵庫・冷凍庫に入れてはいけません。
冷蔵 | 1. 氷水で急冷する (バットや熱伝導率が高い素材の鍋) 2.1食分ずつ分ける (保存容器に入れて密閉する) |
---|---|
冷凍 | 1.食感が変化しやすい食材を潰す 2.氷水で急冷する (バットや熱伝導率が高い素材の鍋) 3.1食分ずつ分ける (保存容器や袋に入れて密閉する) |
目安としては、調理後3時間以内に20℃以下まで下げましょう。
保存袋の場合は、急冷しやすいよう横置きにして冷凍保存するといいですよ。
日持ち期間を延ばすのはもちろん、解凍後も出来立てと変わらない美味しさをキープするのも大切です。
そのためには、具材にちょっとした一工夫が必要なので、保存方法と合わせて覚えておきましょう。
冷凍前に具材は一工夫するのが鉄則!冷凍向きの具材も紹介
冷凍保存の場合は急冷に加え、具材を潰したりすりおろしたりして、工夫する必要があります。
なぜなら、じゃがいもやにんじんは冷凍保存すると、中がスカスカになって食感が変わってしまうからです。
最初から作り置きを考えている場合は、じゃがいもの代わりにカブやかぼちゃなどを使用すれば、冷凍保存前に潰す手間が省けます。
保存前 | 代用具材 | |
---|---|---|
じゃがいも | 潰す・すりおろす | カブ かぼちゃ |
にんじん | きのこ | |
ブロッコリー | 粗熱が取れた後に入れる |
また、茹で過ぎると変色してしまうブロッコリーは、保存容器の粗熱が取れたタイミングで入れると変色を防げます。
美味しい解凍方法のコツとは?電子レンジと湯煎
電子レンジを使用すると、水分が飛びすぎたり、中まで加熱できていなかったりすることがあります。
そんな失敗も、ポイントを押さえるだけで簡単に美味しく解凍できます。
電子レンジ (保存容器) |
1.約5分温める (蓋をはずしてラップする) 2.全体的に混ぜる 3.さらに温める |
---|---|
湯煎 (保存袋) |
1.鍋に湯を沸かし沸騰したら火を止める 2.鍋肌に直接当たらないように入れる 3.蓋をする (熱を行き渡らせるため) |
途中でしっかり全体を混ぜ、中まで火を通すことが食中毒対策のポイントです。(※3)
電子レンジや湯煎は、新しい食器を汚さずに温められるのでとても便利ですが、より安全性を高めるのであれば、鍋に移して直接温める方法を取りましょう。
電子レンジや湯煎に比べて、熱が通りやすいのも利点です。
また、食べてみて「ボソボソしている!」と感じたら、牛乳や水を少し加えて再度温めてみてください。
レトルトのクリームシチューの加熱方法は、電子レンジと湯煎があるので、記載されている温め方と加熱時間を参考にしてください。
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結論|クリームシチューの粗熱をとってから保存すると日持ちする
- 常温保存はNG
- 冷凍保存で約1ヶ月日持ちする
- ウェルシュ菌の増殖は急冷で防ぐ
- 小分け保存で食中毒対策
- 冷凍保存したい場合は味や色が変化しない食材を選ぶ
手作りしたクリームシチューは常温保存せずに、すぐに急冷して冷蔵庫・冷凍保存しましょう。
調理前の食材の状態や賞味期限をチェックすることで、食中毒対策にもなります。
ついつい作りすぎてしまう方は、冷凍保存に向いている具材を使用することで、解凍後も美味しく食べられます。
ぜひ、翌日以降のクリームシチューを楽しむために、ご紹介した保存方法を参考にしてみてください。