【執筆者:管理栄養士 鳥越菜生】
冷凍ホタテの賞味期限は冷凍のままで1~2ヶ月程度の場合が多く、製造から1年の商品もありますが、解凍後の日持ちは短いです。
刺身で生食できる期間も限られるため、状態別の賞味期限の目安や、鮮度や食感を落とさない解凍方法も知っておくと便利ですよ。
冷凍ホタテの新鮮な風味を堪能できるよう、次の項目についてご紹介します。
冷凍ホタテのこと
- 冷凍と解凍後の賞味期限の違い
- 家庭で冷凍保存する場合の注意点
- 刺身用の保存期間と解凍方法
- 鮮度を落とさない保存のコツ
冷凍ホタテが初めてで日持ちの目安や対処法が知りたい方や、家庭でいつでも手軽にホタテの刺身を楽しみたい方もぜひ参考にしてくださいね。
目次
冷凍ホタテの賞味期限はいつまで?開封後・解凍後は要注意
冷凍ホタテの賞味期限は1~2ヶ月程度の場合が多いですが、解凍したらほかの生魚と同じで日持ちしません。
冷凍のまま | 解凍後 | |
---|---|---|
市販品 | 1~2ヶ月程度 | 1~3日程度 (パーシャル室で 約1週間) |
家庭で 冷凍したもの |
1~4週間程度 | 当日中 |
市販の冷凍ホタテは採れたての新鮮な状態で急速凍結されており、賞味期限が製造日から半年~1年と長い商品もあります。
その場合も家庭での冷凍保存は約1ヶ月とされている場合もあるので、記載の注意事項を確認し、推奨期限内に食べましょう。
1袋が大容量の場合、開封後に残った分が冷凍中に傷むことがあるため保存期間に要注意です。
開封後の冷凍は保存期間に注意
冷凍ホタテは未開封なら記載の賞味期限まで保存できますが、開封したものは空気に触れて劣化しやすくなり、賞味期限切れが早まります。
賞味期限は食品を未開封で正しく保存した場合に美味しく食べられる期間を設定したものです。開封後は関係なく、なるべく早く食べましょう。
ホタテは冷凍中に空気に触れると乾燥と酸化により「冷凍焼け」を起こし、品質や風味が低下します。
いったん開封したものはしっかり密封し、早めに食べましょう。
生ホタテを家庭で冷凍した場合も、凍結前の鮮度や凍らせ方・保存状況にもよりますが、市販品より保存期間が短いです。
詳しくはこの記事をチェック!
解凍すると生食用にできる期間はわずかで再冷凍もおすすめできないため、必要な分だけ計画的に解凍しましょう。
解凍後はお早めに!刺身の消費期限は翌日まで
生ホタテと同様に、冷凍ホタテも解凍後は傷みやすい状態なので、刺身用には当日中が賞味期限の目安です。
腸炎ビブリオは短期間の冷凍では生き残る場合があり、15℃以上で活動が活発になり、増殖スピードが速いのも特徴です。
解凍後に時間が経つほど菌数が増え、下痢・腹痛などの食中毒症状を起こす危険性が高まるため、生食できなくなります。
解凍翌日に刺身で食べる場合は、ほかの異変にも注意しましょう。
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食中毒菌のほとんどは加熱調理で死滅するので、心配な場合は次のようなレシピがおすすめです♪
- しょうゆバターソテー
- 五目炒め
- 蒸しホタテ
- シチューや炊き込み飯などの煮込み料理
- フライや天ぷら
ホタテにもカキと同様にノロウイルスが蓄積されることがありますが、内臓にあたるウロという黒い部分に溜まるため、貝柱のみの場合は心配ありません。殻付きでウロが除去されていない場合は取り除きましょう。
食中毒菌以外にも雑菌やカビなどの微生物が付いて繁殖すると、腐って臭いや見た目に異変が生じる場合が多いです。
安全に食べられるかを見分けられるように、腐ったときの特徴も知っておきましょう。
不快臭・粘り気・カビ・変色は腐っているサイン
保存中に不快臭や粘り気・変色・カビが生じる、ドロッと溶けるなどの異変が生じたら、腐っている可能性が高く食べられません。
- 不快臭・腐敗臭がする
- 表面に粘り気がある
- 変色している
- カビが生えている
- ドロッと溶けている
- 通常と違う味(異味)がする
空気中の微生物や容器・調理器具・手指などからの雑菌が付いて温度条件が合うと増殖し、ホタテの成分が分解され、腐敗します。(※4)
ホタテが腐ると品質が変わり味が美味しくないだけでなく、有害物質が作られている可能性があり、食べるのは危険です。
ムダなく美味しく食べられるように、傷みや腐敗を防いで長く日持ちする保存のコツを覚えましょう。
冷凍ホタテの賞味期限を延ばす保存方法 | 正しい解凍方法も
冷凍ホタテの賞味期限を長く保つには、家庭でもしっかりと密封して冷凍保存し、解凍後は冷蔵庫のパーシャル室で密封保存しましょう。
常温 | 不可 |
---|---|
冷蔵 (解凍後) |
・4℃以下を保つ ・密閉容器・袋に入れ空気を抜く ・より低温なパーシャル室を活用 |
冷凍 | ・-18℃以下を保つ ・冷凍庫の奥の方へ入れる ・パッケージの破損に注意し 密封状態を保つ ・開封後は小分けしてラップや 保存袋で密封 |
家庭で 冷凍する場合 |
・1個ずつラップで包み密封 ・金属トレイに並べて冷凍庫で 急速凍結 ・ジップ付き保存袋に入れ 空気を抜く |
業務用と比べて低温を保ちにくいので、家庭用の冷蔵庫で保存期間を長くするコツを実践しましょう。
日持ちを長くする冷凍保存のコツ
家庭で冷凍保存する際は温度変化なく低温が保てるよう奥の方に入れ、包装の破損にも気を付けて密封状態を保ちましょう。
急速に凍らせるほど身の中にできる氷が大きくならないので、解凍時に溶けだすドリップが抑えられ、傷みや風味の低下が防げます。
賞味期限を長くするには解凍の仕方も重要なので、風味や食感を良くするコツを覚えましょう。
傷みにくく食感を良くするおすすめの解凍方法
冷凍ホタテは冷蔵庫に移して数時間で解凍できますが、生食用には氷と塩を使い、食感も風味も落ちにくくする方法がおすすめです。
調理法 (レシピ例) |
解凍度 | 解凍方法 |
---|---|---|
生食 (刺身) (カルパッチョ) |
全解凍 ~半解凍 |
<氷と塩で解凍> 1.ホタテと同量の氷を ボウルに用意 2.氷250gに対し 塩約小さじ1をかける 3.ホタテを氷の間に 潜り込ませる 4.ボウルにラップを かけて常温で3~5時間 放置 5.ボウルから取り出し 水分を拭き取る <塩水解凍> 1.ボウルに約3%の 食塩水を作る (例:水300mlに塩 小さじ1.5杯を溶かす) 2.冷凍ホタテを入れる 3.約15~30分放置して 取り出す |
炒め物 焼き物 (バター炒め) (鉄板焼き) |
半解凍 | |
煮込み (シチュー) (炊き込み飯) |
解凍なし | - |
塩を使って解凍すると浸透圧の作用で水っぽくならず、氷を使う方法も塩の効果で0℃付近を長く保てるため傷みも防げます。
また煮込み料理はドリップが出ても丸ごと食べられるので、冷凍庫から取り出したままで使えます。
解凍したらすぐ食べる方が美味しいですが、適した冷蔵法を覚えれば、余っても安心ですね。
解凍後にムダにしない!冷蔵庫保存のポイント
冷凍ホタテを解凍したらすぐに密封して冷蔵庫の低温室で保存し、なるべく早めに消費しましょう。
冷蔵室は10℃以下に設定されていますが、扉の開閉や食材の詰め過ぎにより温度が上がり、低温を保ちにくい場合があります。
半解凍状態を保てるパーシャル室や0℃前後を保てるチルド室は、魚介の保存にもおすすめです。
結論|冷凍ホタテの賞味期限が長いのは解凍前まで
- 未開封で冷凍保存中は賞味期限まで長く保存できる
- 開封したら劣化防止のため少量ずつ包んで密封
- 冷蔵にはパーシャル室がおすすめ
- ゆっくり低温で解凍し傷みも防止
- 解凍後3日目以降は要加熱
冷凍ホタテは新鮮なうちに急速凍結され、冷凍のままで長く保存できる食品ですが、開封後は傷みやすいので密封状態を保つことが大切です。
解凍後は日持ち期間が短いので、食べたいときに必要な分だけ解凍しましょう。
保存期間の目安や調理法に合わせた解凍の仕方も活用して、ホタテのうま味をムダなく存分に堪能してください。