【監修者:管理栄養士 前田志保】
里芋(さといも)の皮をむいたらピンクの筋や斑点が入っていても、問題なく食べられる場合が多いです。
ピンクの部分はポリフェノールの一種・アントシアニンが酸化したもので、食感は落ちていても体に悪い影響は全くないからです。
ただし、赤く変色すると腐りやすくなるので、早めに食べきるようにして正しい保存方法を守ることも大切です。
そこでこの記事では、里芋の鮮度を保ちながら美味しく食べるために知っておきたい以下の項目について紹介しています。
中身がピンクになってる里芋は、食べられても味が落ちている可能性があるので調理法に工夫が必要です。
この記事を読むと正常な里芋の見分け方や、誰でも簡単に作れるレシピ、鮮度を保てる保存の仕方などがよくわかります。
扱いが難しそうな里芋を上手に管理できるようになるので、ぜひ参考にしてください。
管理栄養士・栄養士
目次
ピンクや赤い色になった里芋はまだ食べられる?変色の原因
里芋を切ったらピンクの筋や赤い斑点、緑色になっている場合や、加熱調理後に黒っぽく変色した場合はいずれも問題なく食べられます。
新鮮な里芋の切り口は白っぽいので中身が変色していると驚きますが、基本的には問題なく食べられることが多いです。
ただし、茶色に変色して柔らかい場合や、皮に白カビが生えている場合は要注意です。
まずは変色していても問題なく食べられる状態を画像と合わせて確認してみましょう。
ピンクの筋や斑点がある里芋は食べられる!ピンクの部分の正体とは
里芋の切り口にピンクの筋や斑点が現れて赤くなる原因は、アントシアニンが酸化したからだと考えられます。(※1)
私、青アザ こんな部分が多い。
里芋の断面みたいな。
年齢、体質が原因なのかな。 pic.twitter.com/Fup92ac1Rj— キキ (@kiki201836) November 21, 2018
里芋に含まれるアントシアニンは保存状態などが原因で赤い筋や斑点になってが目立つようになります。
アントシアニンは抗酸化作用や目の疲れに役立つとして注目されているポリフェノールの一種で、ピンクの部分を食べても体に害はありません。(※2)
ちなみに、金沢市の加賀野菜として知られる赤ずいきは、海老芋という品種の赤い茎のことです。(※3)
画像のように皮がピンクっぽい海老芋や、赤芽大吉・セレベスなど赤い品種もありますが、全く問題なく食べられます。
ピンクの芽が特徴の赤い品種を皮むきすると赤い線や斑点が目立つ場合もありますが、こちらも問題なく食べられるので安心してください。
また、皮むきすると中身が緑色になっている場合もありますが、葉緑体なので食べても問題ありません。(※4)
こちらのように、少しだけ芽が伸びても大丈夫です。
里芋の芽は毒性がないから気にしなくて良いらしい。春色でかわいいね、つって食べた pic.twitter.com/g5iIKvwADr
— 箸野菜 (@hashiyasai) April 3, 2021
じゃがいもとは違い、ソラニンなどの有毒物質は含まれていないので安心して食べてください。
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このように里芋がピンクや緑に変色していても問題なく食べられるのに対して、注意したいのが白カビや茶色の変色です。
皮に白カビや中身が茶色になっている場合は要注意!
里芋の皮に白い点々や綿毛のようなものが付着しているのは白カビの可能性があり、中身に茶色い筋や斑点が見える場合も要注意です。
里芋が腐るとぶよぶよして柔らかくなり、汁が出て異臭がします。
このような明らかに腐ってる状態とはいえなくても、食べるのはおすすめできません。
フォロワーっ!!!!!!!
里芋のこの白いのってカビですか?! pic.twitter.com/jYwEWG0Nw7— シルソル (@silsol1996) April 27, 2020
こちらは人体に有害なカビ毒を発生させる白カビか判断できませんが、可能性の一つとして考えられるのはフザリウムです。
里芋切ったら顔出てきた☺ pic.twitter.com/aHJWEJkJwE
— Mayuko (@maaaayuk0) December 30, 2015
このように中身が茶色になっている特徴から、乾腐症の可能性があります。
乾腐症は栽培時にフザリウムが原因で起こる里芋の病気で、茶色の変色がひどくなるとスポンジのようになって腐るのが特徴です。(※5)
カビは加熱調理で死滅しても生成したカビ毒は取り除けないため、誤って食べると体調が悪くなることも予想されます。(※7)
体調に異変を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
肉眼では確認できないカビ毒の可能性を考慮して、白カビや中身が茶色に変色した里芋は無理に食べないこと、とくに免疫力が弱い高齢者やお子さんには食べさせないようにしましょう。
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里芋は白カビや茶色の変色以外なら基本的に食べられますが、鮮度が落ちた場合は本来の美味しさを楽しめない場合があるので、調理法を工夫してみましょう。
ピンクや赤くなった里芋を美味しく食べきるおすすめレシピ
赤い里芋の品種以外でピンク色になってる場合は、低温障害などの影響でアントシアニンが酸化し、鮮度が落ちてボソボソして硬く、美味しくない可能性があります。
この食感を活かせるようにマッシュポテトにするのがおすすめです。
〆に芋餅を生姜醤油で。ジャガイモではなく里芋を使った芋餅。どらうめえなこれ。焙じ茶にめっちゃ合う。ブラーボ。 pic.twitter.com/V8VFIzNgpx
— マツヒラ (@matzhylla) February 14, 2018
ほどよいホクホク感を活かせるように揚げ物にしてみるのもいいですね。
なお、これらのレシピはアク抜きをしなくても良いです。
アク抜きが必要なのは煮物など、独特のぬめりが気になる料理を作るときです。
赤く変色した里芋は工夫次第で美味しく食べられますが、できるだけ変色する前に食べきりたいですよね。
ピンク色になるのを防ぐ保存方法のコツについても覚えておきましょう。
里芋がピンクになるのを防ぐ!赤く変色させない保存方法
里芋が赤く変色したのはアントシアニンが酸化したためです。酸化の原因として考えられるのが低温や乾燥です。
アントシアニンは何らかのダメージから身を守るはたらきがあり、温度や湿度変化などの条件によって変化します。(※9)
里芋の原産地は熱帯地方で寒さや乾燥に弱い作物のため、低温で乾燥しやすい環境下で保存しているとアントシアニンが酸化しやすくなると考えられます。
酸化すると鮮度が落ちて腐りやすくなるので、新鮮な状態を維持しながらピンク色になるのを防ぐために、以下の方法で保存しましょう。(※10)
- 乾燥・低温は絶対にNG!
- 里芋の表面が湿っている場合は天日干しをする(カビ予防)
- 泥付きは霧吹きで少し湿らせた新聞紙に包んで常温保存
常温保存の目安は1ヶ月くらいですが、夏場はもっと早めに食べきりましょう。
夏場に少しでも長く保存したい場合は冷凍保存もおすすめです。
下茹で済みの市販品をストックしておくと便利ですね♪
結論|ピンクになった里芋は早めに食べきろう!
里芋がピンクに変色したのは、温度や湿度の管理状態が悪かったなどの原因でアントシアニンが酸化したからだと考えられます。
アントシアニンが原因の場合は体に害がないので食べられますが、鮮度が落ちて腐りやすくなっており、食感も悪くなっている可能性があります。
この場合はマッシュポテトや揚げ物にして、食感の悪さをカバーすると美味しくいただけます。
ただし、皮に白カビが生えた場合や、中身が茶色に変色している場合は味だけでなく安全面でも不安があるため、食べない方が良いでしょう。
アントシアニンが酸化して鮮度が落ちないようにするためにも、適度な湿度が保てるように新聞紙に包んで常温保存をして1ヶ月以内に食べきることをおすすめします。
参考資料
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※1 里芋の中が赤く(ピンク色)なっているのはなぜですか。|よくある質問(グリーンコープ)
※2 フラボノイドの種類と効果と摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
※3 赤ずいき|加賀野菜(金沢市農産物ブランド協会)
※4 サトイモの緑色と赤の点々の正体|JAいわて平泉
※5 新品種育成のためのサトイモ萎凋病抵抗性検定法の開発|千葉農総研研報(千葉県)
※6 フザリウム系カビ毒|食品衛生の窓(東京都福祉保健局)
※7 かびとかび毒についての基礎的な情報|農林水産省
※8 [里芋]皮むきや下ごしらえのコツ|VEGEDAY(KAGOME)
※9 アントシアニン|わかさの秘密(わかさ生活)
※10 今月の園芸特産作物: 11月 さといも|北陸農政局(農林水産省)