【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
鶏肉を食べ過ぎるとプリン体による痛風、たんぱく質は内臓に負担をかける、ビタミンAは頭痛など栄養成分の過剰摂取によるデメリットに注意が必要です。
また、低カロリーだと思われがちですが、部位によっては高カロリーのため食べ過ぎると太る原因にもなります。
鶏肉は淡白で食べやすく、コレステロールを抑制・排出する不飽和脂肪酸(リノール酸やオレイン酸)を多く含むなどメリットが多い食材です。
食べ過ぎに注意して効率よく栄養成分をとりいれるにはどんな食べ方が良いのかなど、以下の項目について調べてみました。
鶏胸肉・もも肉などの部位がありますが、多く含まれる栄養素の種類や糖質の含有量などが全く違うので、それぞれのはたらきやメリット・デメリットを知ることが大切です。
ダイエットだけでなく健康維持にも役立つ栄養価の高い食材なので、ぜひこの記事を参考にして毎日の食生活に活用してください♪
管理栄養士・栄養士
目次
鶏肉の食べ過ぎは病気や太る原因に?レバーの過剰摂取に注意
鶏肉を食べ過ぎると、豊富に含まれるプリン体やたんぱく質などの栄養成分が原因で痛風や内蔵機能低下などの病気を引き起こすリスクがあります。
また、部位によっては高カロリーで太る原因になるなど、身体に悪影響が出る可能性があります。
鶏肉を食べ過ぎると体に悪い影響を及ぼす可能性がある栄養成分は、部位によって含有量が異なります。
鶏肉の種類 | プリン体 (80gあたり) mg (※7) |
たんぱく質 g |
ビタミンA (レチノール活性当量) μg |
カロリー kcal |
---|---|---|---|---|
もも 皮つき (※1) |
98 | 16.6 | 40 | 190 |
もも 皮なし (※2) |
19.0 | 16 | 113 | |
むね 皮つき (※3) |
113 | 21.3 | 18 | 133 |
むね 皮なし (※4) |
23.3 | 9 | 105 | |
ささみ (※5) |
123 | 23.9 | 5 | 98 |
レバー (※6) |
250 | 18.9 | 14000 | 100 |
鶏肉の食べ過ぎで最も注意したいのは、どの部位も含有量が多いプリン体の影響です。
ささみ・鶏胸肉・もも肉よりもレバーは痛風リスクが高い!
鶏肉はどの部位もプリン体が多く含まれていますが、とくにレバーの含有量が多いので痛風の方や尿酸値が高めの方は注意が必要です。
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』では、プリン体の摂取量を1日400mgに制限するように指導しています。(※8)
仮に焼き鳥串1本50gとすると、以下の本数で1日の制限量に達してしまいます。
- もも:7本(1本あたり61mg)
- むね:6本(1本あたり71mg)
- ささみ:5本(1本あたり77mg)
- レバー:3本(1本あたり156mg)
とくにレバーはプリン体が多く含まれており、焼き鳥だとついつい食べ過ぎてしまう傾向があるので気をつけましょう!
また、レバーに多く含まれるビタミンAの影響で体調不良を引き起こすおそれもあります。
ビタミンAの過剰摂取で頭痛などの症状が出ることも
鶏肉のレバーに多く含まれるビタミンAは、過剰摂取で頭痛や食欲不振で気持ち悪いなど健康への悪影響があるため、1日の耐容上限量が設定されています。(※9)
この方もレバーの食べ過ぎが原因と思われる症状が起こったようです。
ビタミンA過剰症といえば、学生の頃に良質なタンパク質ってぶつぶつ独語しながら鶏レバー毎日2-3個食べていたら、1ヶ月くらいで頭痛と吐き気がでてきて、あれはそうだったのかなあ……
— ぶたこ (@GIMbutako) May 11, 2021
レバーはプリン体やビタミンAの摂取量から適量を考えた方が良いので、詳しくはこちらを参考にしてください。
他にも、鶏肉全般に多く含まれるたんぱく質の影響で、内蔵機能が低下する可能性もあるので注意が必要です。
たんぱく質の過剰摂取で内蔵機能の低下や低血糖の可能性も
鶏肉はたんぱく質を多く含んでいますが、過剰摂取で肝臓や腎臓などの内臓に負担がかかるおそれがあります。
たんぱく質は体内で分解されて窒素になり、人体に有害なアンモニアになって尿として体外に排出されます。
しかし、たんぱく質を過剰摂取すると尿としてアンモニアを排出するまでに大きな負担がかかり、肝機能や腎機能が低下する可能性があります。(※10)
また、炭水化物の代わりにたんぱく質を摂取する低糖質ダイエットを実践していると、低血糖になり以下のような症状を引き起こすおそれがあります。
糖質は脳や神経系に必要なエネルギー源なので、過剰な低糖質ダイエットには気をつけましょう。
ダイエット中の方は部位によっては高カロリーになることも忘れてはいけませんね!
鶏肉の部位によっては脂が多く太る原因に
鶏肉は低カロリーな部位が多い中で、鶏皮はカロリーが高くて太る原因になるので食べ過ぎには注意が必要です。
また、鶏もも肉は鶏胸肉・ささみよりもカロリーが高くなっています。
このように、鶏肉を食べ過ぎるとさまざまなデメリットがあるので、1日の適量はどのくらいを目安にするべきなのか確認しておきましょう!
鶏肉が食べ過ぎにならない1日の適量は?メリットも解説
鶏肉の食べ過ぎにならない適量を考えるにあたって参考にしたいのは、たんぱく質やプリン体・ビタミンAの含有量と推奨量のバランスです。
もも肉は150~200g程度、むね肉やささみは100~150g程度、レバーは毎日食べるなら5~10g程度を目安にしましょう。
これは、他の食材からも栄養成分を補給することも考慮し、食べ過ぎにならない適量として推奨量や耐容上限量の半分を目安にしています。
1日の摂取量の考え方について掘り下げて紹介しますので参考にしてください。
鶏肉の摂取量は何グラムにするべきかの考え方
鶏肉は過剰摂取で体に悪い影響をもたらす栄養成分が含まれているので、1日の推奨量をどのくらい食べると満たせるのか確認してみましょう。
たんぱく質 | プリン体 | ビタミンA | |
---|---|---|---|
もも肉 皮つき | 150~200g | 160g | - |
むね肉 皮つき | 100~150g | 140g | |
ささみ | 130g | ||
レバー | 130~180g | 65g | 5g程度 |
1日の推奨量 (※12) |
男性 65g 女性 50g |
400mg (※) |
男性 850~900μg 女性 650~700μg |
※含有量から1キロ以上必要な数値は-にしています。
もも肉・むね肉・ささみについては、たんぱく質とプリン体の含有量から1日の適量がわかります。
たとえば、毎日鶏胸肉を1日1枚食べるのは食べすぎなので、半分くらいを目安にしてください。
また、他にもたんぱく質やプリン体を多く含む食材を食べる場合は、もっと少ない量に調節することをおすすめします。
レバーに関しては含有量が非常に多いビタミンAだけを考慮すると、5g程度が良いと考えられます。
ただし、耐容上限量は男女ともに2700μgなので、この半分までと考えると10gまでは許容範囲と考えて良いでしょう。
なお、これらの目安量は大人のものです。子供は年齢に応じて大人の30~60%程度を目安にしましょう。
このように、鶏肉の適量をしっかり守ると、体に良いメリットが期待できますよ♪
鶏肉を適量食べた場合の栄養とメリット
鶏肉はどの部位もたんぱく質が豊富に含まれていますが、他にもビタミンB群やナイアシンなどさまざまな栄養成分がバランスよく含まれています。
注意点は食べ過ぎないことだけで、以下のようなメリットがあるのでダイエットや胃腸の弱い人、子供やお年寄りにも向く食材としておすすめです。
たんぱく質 | 筋肉、臓器、皮膚など体の主成分 酵素やホルモンの材料 |
---|---|
ビタミンA | 目、皮膚、粘膜を健康に保つ |
ビタミンB1 | 糖質の代謝を助ける |
ビタミンB2 | 脂質の代謝を助ける |
ビタミンB6 | たんぱく質合成に役立つ 脂肪肝の予防 |
パントテン酸 | ストレスの緩和 免疫力アップ |
ナイアシン | エネルギー作りに役立つ アルコール分解 |
鉄 | 貧血の予防 |
この他に悪玉コレステロール低下に役立つオレイン酸や、血圧を下げるはたらきがあるリノール酸などの脂肪酸も多く含まれています。(※14)
鶏肉の適量を守れば生活習慣病の予防や美容などに役立つことがわかりますね!
また、食べ方を意識するだけでダイエットにも役立つ食材です。
鶏肉を食べても太らないダイエットに適した食べ方は
鶏肉をダイエットに活用する場合は、他の食材とのバランスや調理法を考えて効率よく栄養を補給する食べ方を意識することが大切です。
なぜなら、炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素を理想的な割合でとることで健康的な食事バランスが成り立つからです。
例えばダイエット中は炭水化物を控えてたんぱく質を多く摂取しようとする人もいますが、栄養バランスが崩れてしまうので注意しましょう。
三大栄養素 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|
エネルギー産生 栄養素バランス |
13~20% | 20~30% | 50~65% |
エネルギー換算係数 1gあたり |
4kcal | 9kcal | 4kcal |
例:1日の目標摂取カロリーが2000kcalの人の栄養バランス | |||
エネルギーと目安量 | 260~400kcal (65~100g) |
400~600kcal (44~66g) |
1000~1300kcal (250~325g) |
このような栄養バランスのとり方を考慮して鶏肉以外の食材も上手に活用しましょう。
毎日の食事におすすめしたいのは代謝アップや、たんぱく質合成に役立つビタミンB群を多く含む食材との組み合わせです。
- 豚肉
- 玄米
- のり
- カツオ
- マグロ
- 貝類
- 緑黄色野菜
- 大豆
ビタミンB群は水溶性ビタミンなので、汁ごと食べるか蒸す調理方法がおすすめです。
食べ過ぎないようにあらかじめ器を小さいものに変えておくといいですね!
鶏胸肉を使ったヘルシーメニューとして人気のサラダチキンを作る際には、電子レンジを活用すると簡単ですよ♪
また、低カロリーのサラダチキンを手軽に取り入れる方法としてネットショッピングを利用するのもおすすめです。
個包装になっているので持ち歩きにも便利ですし、サラダやスープなどに入れても美味しそうですね。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
結論|鶏肉は食べ過ぎに注意して適量を食べよう
鶏肉を食べ過ぎるとプリン体の影響で痛風のリスクや、たんぱく質の影響で内蔵機能低下を引き起こすおそれがあります。
とくにレバーはビタミンAの含有量が非常に多いため、食べ過ぎに注意しなければいけません。
しかし、適量を守ればたんぱく質やビタミンB群のおかげで、ダイエットや動脈硬化の予防ができる食材です。
もも肉やむね肉、ささみの適量は100~150g程度、レバーだけは5~10g程度を目安にしましょう。
ダイエットに活用する場合は、ビタミンB群を多く含む食材と組み合わせるなど食べ方を工夫するとより効果的です。
ぜひあなたも栄養豊富な鶏肉を上手に活用して、美容や健康維持にお役立てください♪
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 にわとり/もも/皮つき/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※2 にわとり/もも/皮なし/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※3 にわとり/むね/皮つき/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※4 にわとり/むね/皮なし/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※5 にわとり/ささみ/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※6 にわとり/肝臓/生 日本食品標準成分表2020年版 |食品成分データベース(文部科学省)
※7 尿酸値が高い方の食生活のポイント|帝人ファーマ株式会社
※8 食品・飲料中のプリン体含有量|公益財団法人痛風・尿酸財団
※9 ビタミンAの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
※10 タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とは|POWER PRODUCTION(江崎グリコ)
※11 低血糖の症状とは?原因・対処法|知りたい!糖尿病(日本イーライリリー株式会社)
※12 栄養成分ナビゲーター|グリコ
※13 わかりやすい栄養成分解説|栄養ケア食品(味の素)
※14 脂質について知りましょう|Essen(北里大学病院)
※15 エネルギー産生栄養素バランスとは|栄養成分ナビゲーター(江崎グリコ)
※16 ビタミンBとは?|整形外科たかひろクリニック