【監修者:野菜ソムリエプロ みつはしさなこ】
【執筆者:同上】
カレーを作ろうと思ったのに玉ねぎがない…そんな時には長ネギなどのほかの野菜や食材で代用できます。
さらにスパイスも使えば、玉ねぎなしでも美味しいカレーが作れますよ。
カレーの玉ねぎは甘さを引き出す役割がありますが、よく炒めた長ネギも甘みがあります。
またキャベツや白菜も加熱すると甘みを感じやすいので、刻んで玉ねぎに代用できますよ。
長ネギやキャベツのほかにも代用できる食材はありますが、それぞれに味わいが異なりますので少し工夫が必要です。
食材ごとの特徴や、隠し味であるスパイスの上手な使い方を知れば、本格的で美味しいカレーができますよ。
後半で手軽なカレーの作り方を取り上げ、玉ねぎを使わないでより美味しく作るワンポイントアドバイスを紹介しているので、参考にしてくださいね。
みつはしさなこ先生
野菜ソムリエプロ
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目次
カレーは玉ねぎなしで作ることができる?長ネギなどは代用可能か
玉ねぎなしのカレーを作るときは、他の食材で代用しましょう。
もともと玉ねぎは香味野菜として使われ、肉などに風味をつける働きがありますが、カレーの場合は主に甘みを引き出す役割があります。
それは玉ねぎの辛み成分である硫化アリルに、加熱によって食材の糖質と反応して甘みを引き出す性質があるからです。(※1)
だから他の食材で代用するときは、甘みがあるものを使うといいですよ。
まずは野菜で代用できるものがあるか見てみましょう。
同じネギ科の長ネギで代用できる
冷蔵庫に長ネギがある場合は、玉ねぎの代わりに長ネギでカレーが作れます。
長ネギなんて辛い野菜を入れたらまずい味になるのでは、と不安になるかもしれませんね。
しかし、長ネギは玉ねぎと同じネギ科植物なので、加熱によって甘みに代わる硫化アリルを含んでいます。(※2)
カレーに入れると玉ねぎと同じ働きが期待できますよ。
ただし、長ネギは玉ねぎよりも糖質量が少ないため、同量で使う場合玉ねぎよりもやや甘さは控えめになるでしょう。
玉ねぎ(※3) | 長ネギ(※4) |
---|---|
7.0g | 3.6g |
次はネギ科以外の野菜も見てみましょう。
加熱により甘みを感じるキャベツも代わりになる
キャベツは生で食べるよりも加熱した方が甘みを感じやすく、玉ねぎの代わりに甘さを加えることができます。(※5)
またキャベツのシャキシャキとした食感は煮込むことで柔らかく食べやすくなりますよ。
もしくは、同じアブラナ科野菜でこんな野菜も代用できます。
水分たっぷりの白菜でも代用できる
白菜があれば刻んで玉ねぎ代わりに使ってみましょう。
白菜にはうまみたっぷりの水分が豊富なので、普段より少ない水で煮込めますよ。
白菜を活かしたこんな人気レシピもあります。
あかん、水を使わずカレー作ったら超旨味のあるカレーできた…
「無水白菜カレー」
小鍋に白菜250g、おろしにんにく1片、豚180g、バター10g、酒大さじ5入れ蓋し弱火で20分
カレールー2片、ウスター小さじ1、砂糖小さじ1弱入れまぜ蓋をし数分煮る
酒と白菜の旨味が半端ないので一度試してほしい! pic.twitter.com/yezvOpXcjg
— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) December 9, 2018
こんなカレーもとても美味しそうですね!
玉ねぎがない場合は、あえていつもと違うカレーに挑戦するのもいいですね。
またほかの香味野菜を使って代用する方法もあります。
香味野菜のセロリも使える
セロリは玉ねぎのように香味野菜の一つとされ、煮込み料理などで使われます。(※6)
加熱すると独特の香りや臭みが消えて、食べやすくなりますよ。
リアルにセロリは、熱を通すと独特の臭みが消えて、旨味だけが残るんだ。
玉ねぎの代わりにセロリを使ってカレーを作ると、カレーの風味でセロリの嫌な臭いは消えて、食感も柔らかくなってオススメだ— 鷹梁ミナト (@iebckk) March 13, 2016
煮込んで柔らかくなったセロリは、刻んだ玉ねぎと似た食感がありそうです。
食べたことがない方は試してみてくださいね。
野菜で代用できる食材が分かったら、続いては隠し味になるスパイスや食材を見ていきましょう。
カレーは玉ねぎなしでも大丈夫!スパイス、人気の隠し味はコレ
隠し味になるスパイスや食材を知っておくと、玉ねぎがなくてもカレーを美味しく仕上げられます。
記事を参考にしながら、カレーをいつもより少し本格的にしてみたり、上手に甘みを取り入れてください。
ただし、スパイスの中には加熱した玉ねぎと違って辛さを持つものも含まれています。
それぞれのスパイスの特徴や違いを押さえながら選んでみてくださいね。
本格的なカレーの味わいを作るスパイス6種
スパイスカレーに取り入れたい主なスパイス6種類を、料理の手順別にまとめました。
具材を炒める前に使う | クミンシード(ホール) 唐辛子 にんにく |
---|---|
具材を煮込むときに使う | ターメリックパウダー |
盛りつけるときに使う | ガラムマサラ カレー粉 |
一つずつ解説していくので、チェックしてみてください。
クミンシード(ホール)
クミンシードはエスニックな香りを持つスパイスです。
具材を炒める前にクミンシードを炒めることで、カレーの本格的な香りを取り入れることができます。(※8)
- カレー4〜5人前で小さじ1/2が目安
- 特にチキンカレーにおすすめ
唐辛子
唐辛子はチリペッパーなどとも呼ばれる、辛味の代表となるスパイスです。
また、炒める具材の臭い消し効果もあります。(※9)
- カレー4〜5人前で1本程度
- 油が冷たいうちからじっくりと炒める
にんにく(ガーリック)
にんにくも唐辛子と同様に冷たいうちからじっくりと炒めて、ガーリックの香りを加えます。
玉ねぎと同じネギ科に属しているにんにくも硫化アリルを含み、炒めることで具材に旨味が出ますよ。(※10)
- カレー4〜5人前に対して小さじ1/2が目安
- チューブ入りおろしにんにくでもOK
続いては、具材を炒める途中に加えたいスパイスを紹介します。
ターメリックパウダー(うこん)
ターメリックに含まれる黄色い色素成分「クルクミン」は食材を黄色く色づける働きがあります。(※11)
クルクミンは油溶性なので、具材と一緒に油で炒めるとムラなく色付けできますよ。
最後は、完成したカレーを盛りつけるときにおすすめのスパイスも見ていきましょう。
玉ねぎの甘さではありませんが、インドカレーのような本格的な香りや辛さを加えたい人におすすめです。
ガラムマサラ
ガラムマサラとは、シナモン、クローブ、カルダモン、クミン、こしょうなどを使ったミックススパイスです。
商品や作り手によって材料や配合は異なりますが、辛味と香りと加え、より本格的な味わいにしてくれます。(※12)
また似た働きを持つスパイスにカレー粉もあります。
カレー粉
カレー粉はターメリック、コリアンダー、クミン、唐辛子を含む20〜30種類のスパイスから作られることが多く、こちらも辛味や香りを引き立ててくれます。(※13)
ガラムマサラと似たようなスパイスがブレンドされていますが、大きな違いは色づけスパイスであるターメリックが使われている点です。(※14)
- 1皿あたり1〜3振りが目安(お好みで調整)
- カレールウの代わりに使ってもOK
隠し味になるスパイスが分かったら、次は甘みとなる食材も見ていきましょう。
隠し味に使える甘み食材ならこれ
甘さをプラスするなら、カレーを煮込むときに次の食品を一緒に加えてみてください。
入れすぎると甘さが際立ってしまうので、少量から試してみるといいでしょう。
- りんご(甘くまろやか)
- バナナ(甘さとコク)
- はちみつ(濃厚な甘さとコク)
- チャツネ(フルーツの奥深い濃厚な甘さ)
このように、玉ねぎがなくても代用できる食材が多くあることが分かりましたね。
隠し味になる食材がわかったら、実際にカレーレシピを紹介します。
玉ねぎなしカレーの美味しい作り方!人気レシピを紹介
最後に、カレーのおすすめレシピを見ていきましょう。
本場インドカレーのようなバターチキンカレーやキーマカレーなどが、家にある材料で手軽に作れる人気レシピを紹介しています。
レシピにはどれも玉ねぎを使っていますが、玉ねぎなしの場合は先ほど紹介したキャベツ、ネギ、セロリ、白菜などで代用してみてください。
各野菜の重量目安を以下にまとめています。
それぞれの野菜特有の風味もあるので、好みで調整したり隠し味を上手に取り入れてくださいね。
長ネギ | 2本 |
---|---|
キャベツ | 4〜5枚 |
白菜 | 大2枚 |
セロリ | 2本 |
レシピと一緒に美味しく仕上げるワンポイントアドバイスを紹介しているので、参考にしてくださいね。
人気のバターチキンカレーレシピはこれ
おすすめのバターチキンカレーには、生クリームやヨーグルトを使わない手軽なレシピを紹介します。
さらにクミンやにんにくに一工夫加えると、より本格的な仕上がりになりますよ。
またほうれん草を使ったカレーも、実は玉ねぎを使うものが多いです。
ほうれん草カレーのおすすめ作り方はこれ
こちらのほうれん草カレーのレシピは、カレールウのほかにブイヨンや醤油、ソースなどを使ってコクを出しています。
ほうれん草の苦味が気になる方は、隠し味で味を調えるとといいでしょう。
ほかには、ひき肉を使ったキーマカレーのレシピも見てみましょう。
キーマカレーの美味しいレシピはこれ
紹介するキーマカレーの人気レシピは、エリンギを刻んで使っています。
代用で紹介した野菜ではありませんが、きのこにはうまみ成分がたっぷり含まれているので、美味しさがアップしますよ。
シーフードカレーのおすすめレシピはこれ
最後に、シーフードミックスで作れるシーフードカレーを紹介します。
煮込む前にシーフードミックスをバターと白ワインで蒸し焼きにするのが特徴です。
魚介のうまみがしっかり引き出されそうですね。
お好みで辛味をプラスしても美味しいでしょう。
カレーの具が固い!お肉や野菜を簡単に柔らかくする方法を教えます!
結論|カレーは玉ねぎなしでも美味しくなる
カレーの玉ねぎは炒めることで甘みを引き出してくれますが、玉ねぎ抜きでも十分美味しいカレーを作れます。
似たような食感や風味を取り入れるなら、長ネギやキャベツ、白菜、セロリなどの香味野菜で代用できますよ。
また隠し味としてスパイスや甘みのある食材を加えてもいいですね。
ぜひ記事を参考に、さまざまな食材やスパイスを使っていつもと違うカレーを楽しんでくださいね。
参考資料
※をクリックすると元の位置へ戻ります。
※1 野菜と果物のお話「玉ネギ」|北海道医療大学附属薬用植物園・北方系生態系観察園
※2 野菜と果物のお話「ネギ」|北海道医療大学附属薬用植物園・北方系生態系観察園
※3 食品成分データベース「たまねぎ(生)」|文部科学省
※4 食品成分データベース「根深ねぎ(生)」|文部科学省
※5 キャベツの蒸し加熱による甘味の変動|(一社)日本調理科学会
※6 香味野菜とは|クックパッド株式会社
※7 スパイス&ハーブでカレーをもっとおいしく|エスビー食品株式会社
※8 クミン/Cumin|エスビー食品株式会社
※9 スパイスとハーブ|公益社団法人熊本県畜産協会
※10 vol.61 にんにく|一般社団法人福山市医師会
※11 ターメリック/うこん/Turmeric|エスビー食品株式会社
※12 ガラムマサラ/Garam masala|エスビー食品株式会社
※13 カレー粉/Curry powder|エスビー食品株式会社
※14 カレー粉とガラムマサラの違い|エスビー食品株式会社
※15 カレーの隠し味|ハウス食品株式会社
※16 食材の目安量|味の素株式会社