【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
値引きシールが貼ってある豚肉を買ってすぐに開封したら、少し変色していることに気づきました。
「買ったばかりだから食べられるはず」と思って料理をすると、臭いも味もなんとなく変な感じ…結果的には、ほとんど捨ててしまいました。
豚肉が期限切れになっても、変色しない場合がありますよね。変色する場合でも、緑色・茶色・脂が黄色など、状態が毎回違います。
食べても大丈夫かどうかを自分で判断するために、豚肉が変色する理由などを詳しく調査してみます!
- 豚肉が変色するのはなぜ?変色しても食べられる?
- ラベルに書いてある期限が過ぎたら食べちゃダメなの?
- 豚肉が腐るとどうなるの?
- 変色などを防止して正しく保存する方法
スーパーで売られている豚肉のパックには、消費期限が書かれています。見た目や臭いに異変がなければ期限切れでも食べることがあるのですが、危険なのでしょうか?
豚肉に書かれている期限の意味も確認して、豚肉を安全に食べるための情報を徹底調査していきます。
豚肉はよく使う食材なので、正しい知識をご一緒に確認していきましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
豚肉は変色しても食べられるの?茶色や緑色になる理由も調査!
まずは豚肉が変色したときに、「何色なら食べても大丈夫で、何色なら食べられないのか」をハッキリと知りたいですよね。
専門業者などのホームページから情報をまとめたので、表でご紹介します。
豚肉の色 | 豚肉の状態 | 食べられる? |
黒ずんでいる | 枝肉からカットしてすぐ。新鮮 | ○ |
紫色っぽい赤 | 酸化して赤色になる前。新鮮 | ○ |
ピンク・濃い赤 | 酸化して赤味が出た状態。新鮮 スーパーで販売されている頃 |
○ |
茶色 | 酸化が進んで傷み初め | △ |
青・緑色・灰色 | 腐っている | × |
豚肉が酸化するときれいなピンク〜赤になります。
新鮮なお肉でも折れ曲がっている部分や重なった部分が黒ずんでいるのは、変色ではなく空気に触れなかった部分です。
消費期限切れた豚肉
変色してるけど焼けばいけるよな? pic.twitter.com/Iiv0437DyF— 戸田 健二 (@TodaKenji_lol) July 3, 2017
↑こちらはピンクよりも茶色~灰色に近い色になっており、傷みはじめている可能性が高いと考えられます。
画像だと少しわかりにくいけど期限2日過ぎて黄色く変色した豚肉って食ってもええんか…? pic.twitter.com/SwwBOxZ9WV
— 残存乳児性 (@fila_ria) November 6, 2018
↑こちらも変色しており、茶色~うっすら緑っぽいようにも見えるので傷んでいる可能性が高いです。
このように見る人によっては「黒ずんで見える」・「茶色に見える」どちらもあると思います。食べられるかどうか迷ったときは、色以外の状態もあわせてチェックしましょう!
*後ほど「豚肉は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!」で、食べられない豚肉の見分け方を確認してみて下さい!
豚肉の脂身にも注目!
赤身の部分だけではなく、脂身の変色でも豚肉の状態をチェックしてみて下さいね。
新鮮 | ・白い ・赤身と脂身の境目がくっきり ・固い |
腐っている | ・黄色っぽく変色 ・赤身と脂身の境目があいまい ・水っぽく柔らかい |
豚肉が変色する理由が知りたい!
豚肉が変色する理由は、「酸化」でしたね。スーパーに並ぶ頃はピンクか赤になっていますが、まだまだ新鮮な状態です。
時間がたつと更に変色していくのは、酸化が進んで劣化していくからです。劣化と一緒に下記のような問題も起きるので、十分にご注意下さい。
- 豚肉についた菌(食中毒の原因になる菌)が増殖
- 豚肉の寄生虫が増殖
保存環境が悪いと劣化が早まるので、食中毒の危険性も高まります。特に「ミンチ(ひき肉)は断面が多いので腐りやすい」と覚えておきましょう!
豚肉が緑色になるのはカビが原因の可能性アリ!
豚肉の加工過程で、さまざまな雑菌が付着します。雑菌は空気中にもいるので、100%防止することはできません。
雑菌の中でも、カビの原因になる菌が豚肉に付着して増殖すると、緑色に変色する可能性があると覚えておきましょう!
カビの原因になる菌には毒性のある菌・毒性の無い菌どちらも存在するのですが、毒性の無い菌だったとしても、食べる量によっては食中毒の症状が出る危険性があります。
うっすら緑色など少しでも異変を感じたら、食べないのが安全ですね。
「古くなって変色した豚肉を食べた」動画があったので、ご紹介します。表面の菌を洗い流して食べているのですが、最終的にはお腹を壊しています。
他の食材の色がついて変色する場合もあります
東京都健康安全研究センターのホームページには、「煮た豚肉がオレンジ色に変色した」という苦情事例が公表されていました。
調査したところ、「変色の原因は玉ねぎの皮の可能性が高い」という結果になったとのことです。
玉ねぎの中には、外側だけではなく内側の層まで皮が入り込んでいるものがありますよね。
そんな玉ねぎと豚肉を一緒に料理するとオレンジ色に変色することがあるので、臭いなど他の問題がなければ食べてOKです。
「生で変色などの問題がなかった豚肉でも、色素が強い食材と一緒に料理すると変色する可能性がある」と頭の片隅に覚えておいて頂けると幸いです。
ご紹介してきたように、豚肉を自分の目で見て状態をチェックするのが大切です。
他にも豚肉が食べられるかを確認するときに、パックに書かれている「期限」が気になる方も多いのではないでしょうか。
次に豚肉に書かれている期限の意味や、期限切れの豚肉が変色したらどうするかなど、取り扱いを確認してみましょう!
豚肉が賞味期限切れや消費期限切れで、変色しているときは危険です!
豚肉には、消費期限・賞味期限どちらかが書かれています。
- 消費期限:スライス肉やひき肉など、加工されて傷みやすい状態の豚肉に書かれているのが一般的
- 賞味期限:かたまり肉のように傷みにくい状態なら賞味期限が書かれている場合もある
全国食肉事業協同組合連合会のホームページに、お肉に書かれている消費期限・賞味期限の意味が紹介されていました。
- 消費期限:正しく保存した場合に、腐る・変質などで安全性が失われない期限
- 賞味期限:正しく保存した場合に、一定の品質が保てる期限
消費期限切れ・賞味期限切れの食品については、農林水産省のホームページに情報があります。
- 消費期限切れ:安全性が失われている可能性が高いので、食べない方がいい
- 賞味期限切れ:「美味しい」状態は過ぎているが、すぐに腐るわけではない
専門機関などからの情報をまとめると、「消費期限切れ&変色など問題が起きている場合=危険」と考えてOKですね!
賞味期限内・消費期限内なら絶対に食べられるの?
「温度が高い場所に常温放置」など正しく保存しなかった場合は、消費期限内・賞味期限内でも変色など問題が起きて腐る可能性があります。
消費期限前・賞味期限前だから変色しても大丈夫と考えずに、正しく保存した上で、自分で豚肉の状態を判断して食べるかどうかを決めるのが安全です!
では次に、変色以外の「食べられない」状態も確認しておきましょう。豚肉が腐るとどうなるのか、見分け方をチェックしてみて下さい。
豚肉は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
冒頭でお話した値引きシールが貼ってあった豚肉は、変色している上に臭いも少し変でしたが、少し使って韓国風のスープを作りました。
臭いが消えることを期待してしっかり加熱したのですが、スープ全体が気持ち悪い味になってしまい、最終的には全部捨てることに…。
同じ失敗をすることがないよう、食べられない豚肉を判断するときの目安を、しっかり確認したいと思います!
見た目、触った感じ
- ぬめりがある
- 糸をひく
臭い
- 硫黄臭
- アンモニア臭
- ヨーグルトのような酸っぱい臭い
味
- 吐きそうな気持ち悪い味
- 生臭いような気持ち悪い味
上記のような問題が一度に起こるわけではありません。
- 「変色しているが臭くない。食べたら気持ち悪い味だった」
- 「変色していないけど臭い。触ったらヌメヌメしていた」 など
どれか1つでも当てはまって嫌な感じがする場合は、食べないのがおすすめです!
特に赤ちゃん・免疫力が低い方などは、少量の菌でも食中毒の症状が出る危険性があります。厳しく判断して下さいね。
豚肉は安売りすることが多いので、まとめ買いする方もいらっしゃると思います。ご紹介したような状態にならないように、安全に食べきりたいですね!
豚肉の状態は保存方法に左右されるので、最後に正しい保存方法も確認しましょう!
豚肉の正しい保存方法とは?変色防止のコツも教えます!
豚肉が変色するのは、酸化や菌の繁殖が原因でしたね。豚肉を無駄なく・美味しく食べ切るためには、どんなポイントを守って保存すればいいのでしょうか?
豚肉は常温保存してもいいの?
「常温」と一口にいっても、ご家庭によって温度や湿度がさまざまですよね。
涼しい場所なら日持ちする食品もありますが、豚肉を含む肉類の常温保存はおすすめできません。
常温保存できない理由
先程もお話したとおり、豚肉を加工する際に雑菌が必ずつきます。さらに豚肉には雑菌の栄養源になる水分がたくさん含まれています。
「雑菌の活動が弱まる冷蔵庫の温度帯」・「雑菌の活動が一旦停止する冷凍庫の温度帯」以外での保存は、やめましょう!
常温保存できない理由についてこちらの記事で詳しく解説しています
↓↓↓
豚肉の常温放置は何時間まで大丈夫?危険な豚肉の見分け方も解説!
豚肉を冷蔵庫で保存するのは数日!変色などを防ぐポイント
私達が暮らす空間にはさまざまな雑菌がいますが、一般的な雑菌は冷蔵庫の温度帯で活動が弱まります。
豚肉の部位によって冷蔵保存で3~6日間は日持ちしますが、加工日や購入日によって異なります。
ご家庭の冷蔵庫で保存する場合は、必ずラベルに記載されている期限を確認して、期限内に食べきりましょう。
冷蔵庫での保存方法
- 豚肉をトレーから出し、1回使う分ずつラップをする(手で触らず、清潔な箸などを使うのがおすすめ)
- ジップロックなど、密閉できる保存袋に入れる
- 空気を抜いて密閉する
- 冷蔵庫に入れる
- 保存中にドリップが出たら拭き取る
- ラップと保存袋を替えて、すぐに密閉して冷蔵庫に入れる
*チルド室に入れると日持ちが1~2日長くなるのが一般的です。
スーパーなどではトレー入りで売られているのが一般的ですが、トレーは密閉性が低いので、上記のように保存するのがおすすめです。
トレーから一度出すことで豚肉全体が空気に触れるので、重なっていた部分なども酸化して、全体が均一な色になりますよ♪
上記の保存方法はひと手間かかって面倒ですが、なるべく密閉すると酸化や雑菌の影響で変色したり、早く劣化したりするのを防げます!
ぜひ丁寧に保存なさって下さい。
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豚肉は腐るとどうなる?傷んだ時の見分け方や日持ち期間を調査!
食べきれない豚肉は早めに冷凍!冷凍しても変色するって本当?
まとめ買いした豚肉が数日で食べきれないとわかっている場合は、早めに冷凍するとフレッシュな状態をキープできます。
冷蔵庫での保存方法と同じ方法で冷凍して下さい。なるべく早く凍らせると美味しい状態を保てるので、下記もポイントです。
- ラップに包む際は、なるべく平らな形に整えて、平なまま冷凍庫に入れる
- 急速冷凍を目指して、(あれば)金属製のトレーにのせて冷凍する
冷凍すると1ヶ月ほど日持ちします。1ヶ月を過ぎてもすぐには腐りませんが、確実に劣化する点にご注意下さい。解凍後の豚肉が明らかに不味くなることもありますよ!
- 冷凍やけで変色したり、乾燥して食感が悪くなったりする
- 臭いうつりで味が落ちる
塩麹漬けなどにして冷蔵or冷凍する方もいらっしゃると思います。漬け込みをすると「酸素に触れない」などの影響で、新鮮な豚肉でも変色しやすくなります。
「2日ほどで食べないならすぐに冷凍する」など保存場所を使い分けながら、先程ご紹介した腐った状態を参考に、食べられるかどうかを判断してみて下さい。
まとめ
豚肉の変色について、原因から変色を防いで保存する方法までをご紹介してきました。ポイントをまとめてみます!
- 変色した豚肉は食べられる状態と食べられない状態がある
- 変色した豚肉が消費期限切れなら腐っている可能性があるので危険
- 変色以外に糸を引くなど問題が起きたら食べないのがおすすめ
- 豚肉は常温保存できない。冷蔵庫か冷凍で保存する
豚肉の変色は基本的に酸化の影響でした。もともとは黒ずんでいるので、黒や茶色の変色を見つけた場合は、腐っていない可能性もあります。
ぬめりや臭いもチェックしながら、食べられる・食べられないを厳しく判断してくださいね。
ただし緑色や灰色の変色は完全に腐っていると考えてOKです!少量でも食べると食中毒の症状が出る危険性があるので、十分にご注意下さい。
豚肉の劣化を早めないためには、正しく保存するのが大切でした。ご紹介した保存方法も参考に、これからも豚肉の安全性を確かめながら美味しく食べていきましょう!