【監修者:管理栄養士 浜崎保奈美】
我が家の最寄りのスーパーは24時間営業です。毎日朝に買い物をするのですが、明らかに前日の売れ残りの、鮮度が落ちた魚が並べられています。
当日中に料理をすれば腐る心配はないと思うのですが、何となく買う気になれず、魚のメニューが少なくなりがちです。
でもやっぱり魚を食べたい!
今回は魚の鮮度に関する情報を調査して、安全に・無駄なく食べ切る方法をご紹介したいと思います。
- 生魚が腐るとどうなるの?傷んだ魚の見分け方を具体的に紹介
- 魚の日持ちはどれくらい?魚の状態別に紹介
- 鮮度の良い魚・悪い魚の見分け方
- 買ってから食べるまで生魚の鮮度を保つ方法
鮮度の悪い魚を買うと、腐るまでの時間が短いのが困ります。小さな子供がいる我が家では、朝に決めた献立が、急に変更になる場合もあるからです。
状態のいい魚を選んで買い・食べるまで鮮度を保つのが大切ですよね。
魚のメニューが少なくなりがちな我が家ですが、子どもたちが魚離れをしないように、いつも美味しい魚料理を出したいものです!
生魚の保存方法や、刺身を料理屋さんで食べるような食感にする裏ワザなど、より美味しく食べるための方法もご紹介します。
早速ご一緒にチェックしていきましょう!
管理栄養士・栄養士
目次
生の魚は腐るとどうなるの?傷んだ時の見分け方や目安がコレ!
まずは、生魚が腐るとどうなるのかをご紹介するので、食べてはいけない生魚の見分け方を確認してみて下さい。
絶対に避けたい食中毒の危険性についてもお話しします!
こんな魚は食べちゃダメ
せっかく買ってきた魚です。なるべく捨てずに食べ切りたいですよね。
でも、鮮度が落ちた魚を食べたことが原因で食中毒の症状が出て苦しむ危険性もあります。慎重に判断なさって下さい!
魚が腐ると、下記のような状態になります。
見た目・触った感じ
- 表面がヌルヌルする
- 触ると糸をひく
- 白い膜が張っている
- 黒目がなくなって目全体が白く濁っている
臭い
- 頭が痛くなるような強烈な生臭さ
- アンモニア臭
- ゴミの臭い
味
- 酸っぱい
- 苦い
- 生臭さが強い
魚が腐ると、わかりやすい目安は臭いです。冷蔵庫全体に嫌な臭いが充満しますので、すぐに捨てて下さいね。
生魚が腐るまでの時間を短くしないためには、買ってから食べるまでの温度管理・衛生管理が大切です。
鮮度を保つための正しい保存方法を、後ほど「生魚の鮮度を保つ方法!買った後、鮮度を長持ちさせる保存のコツ」でご紹介します。
魚の鮮度に関する情報を口コミなどで調べたところ、気になる情報がいくつかありました。
- とりあえず冷凍すれば何か月でも日持ちする
- 買ってきたら熟成させて腐りかけが美味しい
こちらの情報は間違いなので、信じないで下さい!なぜ間違いなのかを、わかりやすくご紹介します。
「冷凍すれば何か月でも日持ちする」は間違い!
市販品で賞味期限が1年近くの冷凍魚があるので、「家庭でも冷凍すれば大丈夫」と判断した方の情報だと思います。
市販の冷凍魚の賞味期限が長い理由は、下記のとおりです。
- 業務用の急速冷凍機で冷凍
- 真空包装
- 長期保存可能な素材の、業務用の包装材を使用 など
家庭の冷凍庫で同じ状態を再現するのはほぼ不可能で、冷凍庫の開け閉め時の温度変化なども影響して、冷凍した食品は日々劣化していきます。
生魚を買ってきて自分で冷凍する場合は、日持ちの目安は最長1ヶ月と考えておきましょう!
「熟成させて腐りかけが美味しい」は間違い!
この情報は、「釣った魚を熟成させる」という情報が元になっているのだと思います。
釣った魚をすぐに食べると歯ごたえが抜群なのですが、旨みが出ていません。
さばいた後に冷蔵庫で1日くらい寝かせて(熟成)食べると、身の甘味や旨みを感じることができます。
スーパーなどで売っている魚は、水揚げしてから店頭に並ぶまで十分に時間が経っているので、家庭で熟成させる必要はありません。
時間を置くと腐る可能性が高まるだけなので、買ったらなるべく早く食べましょう!
スーパーなどの店頭での、魚の鮮度の見分け方は、後ほど「鮮度の悪い魚の見分け方!スーパー等で使える目利き方法を紹介」でご紹介します。
食中毒の危険性
厚生労働省や自治体など公的な機関のホームページには、「魚が原因の食中毒に注意!」という呼びかけの文章が多数公表されています。
魚が新鮮でも食中毒の危険性はありますので、いくつかご紹介します。
寄生虫(アニサキス)など
主に鯖、鮭、イカなどに寄生する、白い糸のような寄生虫です。
魚が生きているときは内臓に寄生していて、魚が死ぬと筋肉に移動します。
冷凍すると腐る心配は先延ばしにできますが、アニサキスは家庭用冷凍庫の温度帯では生き残る可能性がある点にもご注意下さい。
人が生きたアニサキスを食べると、アニサキスは人の内臓に寄生します。移動しながら1週間くらい生きるので、体に激痛が走ります。
アニサキスは熱に弱いので、加熱で死滅させて食中毒を予防できます!
ヒスタミン中毒
鯖、マグロ、さんまなどの魚を食べるときに注意が必要な食中毒です。
ヒスタミン中毒の原因になるヒスタミンは、魚の体内で生成されてしまうと食中毒を予防する方法はありません。
魚が死んだ瞬間から食べるまで低温保存を守ることで、腐る心配だけではなく、ヒスタミンが生成されないようにも注意しましょう!
鯖などの魚を自分で釣って食べる方は、釣った瞬間から低温で保存し、なるべく早く内臓を取り除くのが大切です。
魚を買う際は、鮮度が不安・陳列場所の温度管理が不安などのお店は避けて下さいね。
「ヒスタミンが生成された魚は、どれだけ長い時間加熱しても食中毒の危険性がある」と覚えておいて頂けると幸いです。
腸炎ビブリオ食中毒
海水の温度が上がると大量に発生し、魚介類に付着する食中毒菌です。
増殖スピードがとても速いので、特に温かい季節に常温保存した魚介類には注意が必要です。
腸炎ビブリオ菌は真水では生きられず、熱にも弱いです。魚介類をしっかり洗い、確実に加熱して食べることで予防できます。
衛生状態や陳列場所の温度管理が不安なお店からは、魚介類を買わないようにしましょう!
絶対に食べてはいけない魚の状態と、食中毒をご紹介しました。
では、何日くらいならご紹介したような状態にならず食べられるのでしょうか?
次に、生魚の日持ち期間を状態別にご紹介します。
魚の日持ち期間はどれくらい?生・切り身・すり身などを解説!
生魚を常温保存すると、「腐る危険性+食中毒の危険性」があります。
自家製で天日干しをして干物にした場合でも、危険性は変わりません。どんな状態でも、常温保存はしないで下さいね。
生魚が冷蔵庫でどれくらい日持ちするかをチェックし、献立作りの参考にしましょう!
魚の状態 | 日持ち期間 |
内臓つき | 当日中~長くて翌日 |
内臓なし | 2~4日 |
昆布締め | 2日 |
すり身 | 2~3日 |
切り身 | 3~4日 |
味噌漬け | 4~5日 |
自家製で天日干しした干物 | 1週間 |
冷蔵室での日持ち期間をご紹介しました。チルド室は冷蔵室よりも温度が低い(約0℃)ので、冷蔵庫の機能によっては日持ちが伸びる可能性があります。
冷凍では、後ほどご紹介する正しい方法で冷凍すれば、2週間~最長1ヶ月ほど日持ちします。
消費期限・賞味期限について
スーパーの鮮魚コーナーにある生魚には「消費期限」が書かれていて、期間は当日中~1日が一般的です。
水揚げ日や流通にかかった時間を含めて決められた期間なので、基本的には書かれている期間を守るのがおすすめです。
他にも真空パック包装などで賞味期限が長めの冷蔵商品や、冷凍魚も販売されていますよね。
「すぐに食べなくちゃ」と焦らず食べられるのが魅力ですが、期限の確認は必ずなさって下さい。
保存状態によっては、「期限が過ぎても日持ちする」・「期限内に腐る」どちらも可能性があります。
期限切れの商品を食べられるかどうかは自分で慎重に判断する必要がありますが、確実に味が落ちるので、やはり期限内に食べるようおすすめします!
内臓つきの生魚は冷蔵庫でも日持ちしないので、お店にお願いして内臓を取り除いてもらってから買うのも、日持ちをのばす一つの手です。
状態の良い魚を選び、調理法に合わせてお店のサービスも活用なさってみて下さい!
では次に、魚の状態を見分ける方法も確認しましょう!鮮度の良い・悪いはどうやって目利きすればいいのでしょうか?
鮮度の悪い魚の見分け方!スーパー等で使える目利き方法を紹介
我が家の最寄りのスーパーでは、同じ陳列コーナー内に、明らかに鮮度が違う魚が並んでいることがあります。
鮮度の悪い魚を選んで失敗しないよう、魚の状態別に鮮度が良い・悪いの見分け方ご紹介します。
一匹丸ごと 見分け方
一匹丸ごとの状態では、鮮度を見分けるポイントがたくさんあります。
鮮度が悪い
- 目が充血、変色
- 目がくぼんでいる
- エラが黒や灰色っぽく変色
- 表面にシワが寄っている
- 表面にあるぬめりが白い(元からぬめりがある魚のみ)
- 全体的にハリがなく色が悪い
- ウロコがはがれているなど、傷がある
- 臭いが強い
鮮度が良い
- 目が透き通っている
- エラがきれいな赤色
- しっかりハリがあって硬い感じがする
- 全体的にふっくらとしていてキレイな見た目
パッと見たときに、きれいで・元気な魚を選ぶのがポイントです!
切り身 見分け方
鮮度が悪い切り身を買うと、上手に味付けをしても嫌な生臭さが消えません。
鮮度が悪い
- パック内にドリップが出ている
- 身がゆるんだ感じで、切り口の角がダラっとしている
- ぶりなどの場合は血合いが黒ずんでいる
- 全体が変色(鯖なら黒っぽく、ぶりなら白っぽくなど魚によって色が違います)
- 皮の色もくすんでいる
口コミを調べると「冷凍の鯖を解凍したら身がボロボロになった」という声がありました。
こちらは、魚の筋肉を溶かしてしまう物質を持つ「ジェリーミート」という寄生虫が原因です。
食べても体に害はないのですが、本来は製造段階で取り除くべきものなので、お店に連絡して対応してもらいましょう!
鮮度が良い
- 身に締まりと弾力がある
- 切り口にキレイな角がある
- 血合いがきれいな赤色
- 全体的に魚本来のキレイな色
- 皮にツヤがある
鮮度が一番わかりやすいポイントは、切り口の状態です。
切り口が下に向けてパックされている場合は、皮のツヤを見るのがわかりやすいです!
刺身 見分け方
鮮度が悪い刺身を食べると、生臭くて食感が悪く、残念な気持ちになりますよね。
鮮度が悪い
- ドリップが出ている
- 端にいくほど形がダラけている
- 切り口の角もダラけている
- 血合いの色が濁っている
鮮度が良い
- 端から端まで形がしっかりしている
- 切り口の角がしっかりしている
- 血合いの色がキレイ
- 魚本来のキレイな色
お刺身は、切り口の形と色で鮮度を見分けるのがポイントです。
釣った魚や一匹丸ごと買った魚を自分でさばいてお刺身にする際は、先ほどご紹介した食中毒にも注意しながら調理して下さいね。
豆知識:魚の鮮度判定ができる機械を発見!
日本では販売されていないのですが、「FOODsniffer」(フードスニファー)という、食材の鮮度を教えてくれる機械が販売されているのを発見しました。
FOODsnifferを食材に近づけると、事前に連動させておいたアプリで鮮度をお知らせしてくれます。
値段は約130ドルで、日本からは通販で購入できます。全て英語表示ですが、興味のある方や業務用で使いたい方には役立ちそうです。
最後に、魚を買ってから食べるまで鮮度を落とさずに保存する方法を確認しましょう!
生魚の鮮度を保つ方法!買った後、鮮度を長持ちさせる保存のコツ
生魚を長持ちさせるために、買ってすぐから食べるまで、丁寧に保存するのがおすすめです!
しつこいようですが、常温に放置すると腐るのが早くなります。特に夏は気温が高いので、持ち運び時にも注意しましょう。
買ってから食べるまで 鮮度を保つ保存方法
魚を買ったら、お店に氷かドライアイスをもらって、保冷機能のあるバッグなどに入れて冷やして持ち歩くのがおすすめです。
ご自宅に帰ったら、すぐに下記の下処理をなさって下さい。
- 魚をパックから出す
- 水洗い可能であれば水洗いをする
- キッチンペーパーで水気を拭き取る
- 内臓つきの場合は、内臓を取る
- きれいに洗う
冷蔵庫に入れる場合は、魚の下にキッチンペーパーを敷いてからラップをして保存なさって下さい。
数日で食べ切れないと分かっている場合は、買ってすぐに冷凍するのがおすすめです。
冷凍方法
- 魚をパックから出し、水洗いが可能であれば水洗いする
- キッチンペーパーで水気を拭き取る
- ラップで包む(なるべく密閉して)
- ジップロックなどの密閉できる保存袋に入れる
- 空気を抜いて密閉し、冷凍する
なるべく早く凍らせると美味しさが保てます。金属製のトレーなどがある場合は、ぜひ活用なさって下さい!
刺身をプリプリにする方法
スーパーで買ってきた安いお刺身も、裏技を使えば料理屋さんで食べるようなお刺身になりますよ!
刺身の食感をよくする裏技
- 刺身の量に合わせて、【日本酒10:塩1】の割合で漬け汁を作る(お好みで顆粒の昆布だしなどを入れて味付けしてもOK)
- 塩が溶けるまで混ぜる
- 漬け汁に刺身をつける
- ラップをして冷蔵庫に入れ、5分くらい待つ
- 大きめの皿を用意し、キッチンペーパーを乗せる
- 冷蔵庫から刺身を出し、キッチンペーパーの上に重ならないように置いていく
- 刺身の上にキッチンペーパーを乗せて、軽くおさえる
- そのままラップをかぶせて冷蔵庫に入れ、30分ほど待つ
- キッチンペーパーを取り外して、別の皿に盛りつけて完成!
買ってきて少し鮮度が落ちたお刺身にも、表面にツヤが出てプリプリの食感が復活します!
*日本酒を使うので、子どもさんが食べる場合はおすすめできません。
まとめ
魚が腐るとどうなるのかを確認し、安全に美味しく食べ切る情報をご紹介してきました。
ポイントをまとめてみます!
- 魚が腐ったときのわかりやすいサインは臭い。見た目も合わせて、慎重に状態を判断する
- 生魚の日持ちは【冷蔵庫:数日、冷凍:最長1ヶ月】。常温保存はNG!
- 新鮮な魚を買うのが大切。魚の状態によって鮮度を見分ける
- 生魚を買ってすぐから食べるまでずっと、温度管理に気をつけて保存する
- 鮮度が少し落ちた刺身は、塩を使った漬け汁で食感を復活させられる
魚を買ってきて、「臭いが強くなってきたな」と感じたら傷み始めの目安です。
料理をしようとして見た目や触った感じにも異変を感じたら、もったいなくても捨てて下さいね。
ご紹介したような、食中毒の危険性もあります。
特に子どもさん、免疫力が低い方などは、健康な大人よりもひどい症状になる危険性が高いので、十分にご注意下さい。
生魚の日持ちは、形が大きいほど長くなる印象でした。味噌漬け・干物のように魚の中の水分を抜く加工をすると、さらに日持ちが伸びますね。
今回分かった保存方法も参考にしながら、基本的には早く食べ切るのが美味しくて安全という点も忘れずに、魚を取り扱っていきたいと思います!