【執筆者:編集部 鳥越菜生】
山手線を一周してもバレることはないかもしれませんが、適正な料金を支払わないのは違法行為です。
しかし山手線はぐるぐると周回し、一周の値段は特別な計算法で決まるほか、内回りと外回りのどちらを利用しても同一料金で良い場合もあるのです。
思わず乗り過ごしてしまってもバレるかもと焦らなくて済むように、この記事では以下の項目について解説します。
山手線を一周するときのこと
- バレる可能性
- 運賃の計算方法と違法になる場合
- 定期券の要注意な使い方
- 何周もするときにおすすめの切符
時間つぶしに一周と言わず何周もする人がいますが、実は違法どころか全くとがめられない乗り方もあるので、山手線の値段や仕組みを深堀りしてみましょう。
目次
山手線を一周したらバレるかと違法性を検証
山手線を一周してから目的の駅で降りてもバレるとは限りませんが、正しい運賃を支払わずに改札を出るのは不正乗車です。
- 乗車駅から目的の降車駅までの片道切符で一周以上する
- 同じ駅を重複して通る
- 定期券で券面の表示区間外の経路を通る
- 入場券で乗車する
実際に不正乗車をしていても、新幹線と違って山手線では乗車中に車掌さんに切符をチェックされることはまれなので、バレることはないと言う人もいます。
しかしうっかり切符を落として拾ってもらった際や、改札で引っかかり出られなくなったときにはバレる可能性が高いです。
交通icカードには改札を通る際に駅名と時刻が記録されますが、間の経路までは追跡できません。
しかし初めに改札を通って入った駅から出ようとすれば、途中どこにも降車していないので自動改札機がエラーで反応し、駅員さんが飛んで来ることもあります。
通常見送りをしたい場合のように電車には乗らずに改札を出入りするときは、入場券を買わなければなりません。
もちろん切符の場合も不適当なものを買っていると、改札が閉まり通れなくなります。
しかし2方向の順路で周回できる山手線では、隣の駅に行くのもあえて遠回りしたり、一周して来て通り過ぎて降りるという乗り方をする人もいます。
どんな乗り方が違法になるのかを知っておくためにも、一周何キロで何駅あるのかをはじめ、山手線の仕組みや決まりを改めて確認しましょう。
時間つぶしになるという意見も | 山手線の周回の仕組み
山手線には全部で30の駅があり、一周約34.5キロをぐるぐると回って運行されるため、寝過ごしても遠方に行ってしまう心配なく元の駅に戻って来られます。
その特徴ゆえにふと「ぐるっと一周してみたい」「何周してもバレないのでは?」という気持ちになるかもしれません。
ただし車庫に帰るため終点が設定された電車もあるので、一周の間に途中の駅で別の電車に乗り継がないといけない場合もあります。
山手線には上り・下りの代わりに内回り・外回りがあり、どちらに乗るかで通過駅の並びが逆になるので、距離や所要時間も変わる場合が多いです。
環状の区間だけを周回し、ほかの路線に出ていく心配がないのは山手線の魅力でもあります。
しかしほかの路線のように距離で運賃を計算するとしたら、長く乗るほど支払うべき料金は高額になっていくはずですよね。
昔から鉄道では、キセルと呼ばれる違法な乗り方をする人がいることは知られています。
もともとは、実際に乗った全経路のうち途中のルートをなかったものとし、最初と最後の部分だけの運賃を支払って済ませる不正行為を指していたようです。キセルというタバコを吸うために使われていた道具が両端だけ金属でできている様子にたとえたものと言われています。
「キセル」は現在では、不正乗車全般を意味する言葉として使われれることもあるようです。
そこでまずは山手線を一周するには何円払えば良いのか、基本を知っておきましょう。
山手線で一周するときの値段 | 大都市近郊区間内特例とは
山手線を一周して同じ駅に戻って来るときは、乗車駅と最短距離になる隣り駅との往復分の値段で切符を購入しましょう。
ちなみに東京の電車特定区間では「鉄道駅バリアフリー料金」として普通運賃に一律10円加算する制度がスタートし、山手線の運賃も改定されました。(※2)
営業キロ | 切符 | icカード |
---|---|---|
1~3 | 150円 | 146円 |
4~6 | 170円 | 167円 |
7~10 | 180円 | 178円 |
11~15 | 210円 | 208円 |
16~20 | 280円 | 274円 |
どの区分もicカードを使用すると、切符よりも少し料金が安くなるようです。
しかしほぼ一周でも、乗車駅のひとつ手前の駅で降りる場合は、遠回りしていても片道切符で大丈夫です。
つまり山手線では目的の駅まで内回りと外回りのどちらを利用しても同じ運賃で良く、遠回りになる乗り方を「大回り」というそうです。
例えばA駅から隣りのB駅に行きたいとき、片道切符を購入していたとします。
A駅から外回りで行けば一駅ですぐ着けるとして、逆の内回りで長く乗ってB駅で降りても切符は同じで良いわけです。
しかし外回りで一駅目なのに降りないで、そのまま一周してA駅を通り過ぎてから再び着いたB駅で降りるときは、片道切符では料金が不足します。
とはいえ寝過ごしたり間違えたりすることは誰にでもありますよね。
バレるかも違法かもと心配なときは、出口改札で相談・申告してみることをおすすめします。
icカードはタッチのし忘れでも改札でエラーになることがあるので、次の記事もぜひ参考にしてください。
詳しくはこの記事をチェック!
しかし中には自分では全く気づかないうちに不正乗車をしている人もいるようなので、注意すべきケースや違反の罰則も知っておきましょう。
山手線を不正乗車してバレたときの罰則と要注意な乗り方
山手線も不正乗車をすれば営業規則違法となり罰金として割増運賃を支払う必要がありますが、悪質な場合は法律違反で警察に通報される場合もあります。
旅客営業規則 第264条(※4) |
乗車区間の普通運賃(A)×3 (うちA×2は増額運賃として請求) |
---|---|
鉄道営業法 第29条 |
罰金または科料 (刑法の改正により金額は変更) |
普通乗車券だと山手線を一周するごとに乗車駅の隣り駅までの往復料金がかかり、罰則が適用されると3倍の運賃を支払わなければなりません。
ましてや定期券で山手線を利用する人が間違った使い方をしていると、バレたときに請求される金額も高額になると考えられるので要注意です。
定期で経路外の内回り・外回りをしてバレると高額請求の可能性
定期券を使って券面に記載された区間外の経路を通り、正しく精算しない場合は不正乗車となり、バレると定期は没収され罰金を支払わねばなりません。
罰金は増額分と合わせると「定期券期間中に記載区間を毎日1往復した」として計算した合計運賃の3倍になるため、請求金額が高額になる場合もあります。(※5)
しかも常習犯だったり支払いを拒否したりなどの悪質な場合は、鉄道会社が警察に通報することになるため、罰金では済まない可能性もあるのです。
第29条 鉄道係員ノ許諾ヲ受ケスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 有効ノ乗車券ナクシテ乗車シタルトキ
二 乗車券ニ指示シタルモノヨリ優等ノ車ニ乗リタルトキ
三 乗車券ニ指示シタル停車場ニ於テ下車セサルトキ引用元:鉄道営業法
鉄道の不正乗車も場合によっては、軽犯罪法や電子計算機使用詐欺罪などの法律にも違反する可能性があります。
不正乗車は罰則に懲役刑が定められているものもある犯罪だ、ということも心得ておきましょう。
JRでは地域ごとにお得な切符を発売しており、定額料金で乗り放題にもできるので、何周もする予定のときはあらかじめ調べてみると良いですね。
何周もする予定ならお得な切符の活用がおすすめ
山手線を1日に何周もする予定のときは、普通乗車券より「おトクきっぷ」を利用する方が料金が安く済む場合があります。
2024年2月現在で山手線の片道切符は最低額150円・最高額280円で、一周は最安値でも300円の料金かかるので、どれくらい乗りそうかで概算してみましょう。
名称 | 値段(円) |
---|---|
都区内パス | 大人:760 小児:380 |
東京フリーきっぷ | 大人:1600 小児:800 |
山手線を単純に3周すると普通乗車券より都区内パスの方が安くなりますが、観光やショッピングなどで都心を細切れに移動したい場合もお得になりそうです。
どちらも通年販売され「1日間有効で山手線を含む指定区間内の普通車自由席に乗り放題」なので、移動エリアに合わせて選ぶと良いですね。
しかしせっかく正しい値段で買っていても切符を落としたりなくしたりすると、あらぬ疑いをかけられる可能性もあるのでご注意ください。
次のようなコード付きのケースに入れてかばんに付けておくと紛失防止になり、必要なときにすぐ取り出せるので便利ですよ。
交通icカードを落としたときは探せる場合もあるので、以下の記事をぜひ参考にしてみてくださいね。
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結論 | 山手線を一周以上しても正しい料金を支払えばOK
- バレる可能性もある
- 一周の値段は乗車駅から最短距離の駅までの往復切符代
- 乗った周回分の運賃を精算すれば違法にはならない
- 定期で券面記載の経路外を通ると不正使用になるので要注意
- 不正乗車で処罰されないように自己申告がおすすめ
山手線を寝過ごしたり間違えたりして一周し、バレるかどうか心配なら駅員さんに相談・申告しましょう。
バレるとは限りませんが、時間つぶしに周回しようと軽く考えていると、見つかった場合は犯罪として罰せられる可能性があります。
運賃を正しく精算すれば違法にはならないので、安心できますよね。
おトクきっぷを活用すれば、山手線の内回り・外回りを中心に、1日中気晴らしやショッピングも楽しめそうです。
知らず知らずのうちに不正使用をしてしまわないように、山手線の仕組みや決まりについてもぜひ参考にしてください。