【執筆者:管理栄養士 田口菜月】
米粉が体に悪いと言われる理由は、意外と糖質が高めなので、米粉を使った商品の食べ過ぎにより太る心配がされるからです。
グルテンフリーの米粉は、ダイエットに良いと話題にもなっているので、実際はどうなのかを確認してみましょう。
米粉のこと
- 体に悪いとされる理由
- 適量の考え方
- 体にうれしいメリット
- おすすめレシピ
米粉をつかったおすすめレシピも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
目次
米粉が体に悪いとされるのは糖質の摂り過ぎ|食物繊維不足も
米粉を食べ過ぎると、糖質の摂り過ぎで体に悪い影響を与える可能性があります。
肥満・生活習慣病 | 糖質の摂り過ぎ |
---|---|
便秘 | 食物繊維不足 |
米粉は、グルテンフリーや小麦アレルギー対応の目的として、小麦粉の代用に使われる場合が多いですね。(※1)
代用品といっても、もちろん栄養成分に違いがあり、基本的に米粉は小麦粉より糖質が多く、食物繊維が少なめです。
糖質を摂り過ぎるデメリット|肥満や生活習慣病に
米粉は糖質が多めなので、食べ過ぎで肥満や生活習慣病の原因になる恐れがあります。
米粉も原料によって種類があり、また商品によっても糖質量が異なるので、気になる糖質を比較してみましょう。
- 上新粉:精白したうるち米が原料で、主に製菓材料に使用されます。
- 白玉粉:白玉だんごに使われ、もち米が原料です。
- 道明寺粉:もち米が原料で、主に桜餅やおはぎに使われます。
小麦粉の代わりに使用される場合も多いので、小麦粉の糖質量も併せてまとめますね。
米粉 | 上新粉 | 77.9g |
---|---|---|
白玉粉 | 79.5g | |
道明寺粉 | 79.7g | |
小麦粉 | 薄力粉 | 73.4g |
中力粉 | 72.0g | |
強力粉 | 68.9g |
小麦粉と比較すると、米粉の方が糖質が高めであるとわかります。
なぜ糖質を摂り過ぎると良くないかというと、糖質の過剰摂取により血糖値の急な上昇がおこり、体に脂肪を溜め込みやすくしてしまうためです。
ほかにも、食物繊維が少ないので、体に悪い影響を与える可能性が心配されています。
食物繊維不足はレジスタントスターチが補うので問題なし
米粉は食物繊維の含有量が少ないので、米粉を使った商品ばかり食べると、食物繊維不足で腸内環境が悪くなることが懸念されます。
食物繊維とは
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があり、体内ではそれぞれ別の役割を果たします。「水溶性食物繊維」の役割は食後の血糖値の急上昇を抑制したり、血中コレステロール値を下げたりします。「不溶性食物繊維」は、排便を促すので便秘改善につながり、大腸がんの予防効果が期待されます。
しかし、米粉に含まれるレジスタントスターチが、食物繊維と同等の役割を果たしてくれるため、過度な心配はいらないでしょう。
レジスタントスターチとは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の良いところどりで、腸内環境改善や排便を促す作用があるのです。
米粉は糖質が高めだったり、食物繊維の含有量が少なかったり、心配な面もありますが、食べ方や米粉に含まれる他の成分でカバーできると言えます。
適量は商品の栄養成分で決める|間食であれば200kcal程度
米粉の適量は、明確には定まっていません。
しかし、米粉をそのまま食べることはほぼ無いと考えられるため、米粉を使用した商品の栄養成分で摂取目安を考えてみましょう。
例えば米粉のクッキーであれば、間食の摂取目安の約200kcalを意識すると良いですね。(※2)
食事として米粉パンを食べるのならば、1日の炭水化物摂取目安の320gから他の食事との兼ね合いで、食べる量を決めると良いでしょう。
米粉は嬉しいメリットもあるので、食べる量を考えて上手に活用するのが大切です。
詳しくはこの記事をチェック!
米粉は適量であれば嬉しいメリット|ダイエット効果や健康維持
米粉は、調理中の油の吸収量を抑えられたり、良質なタンパク質が多かったり、健康に嬉しいメリットがたくさんあります。
油の吸収率が低い | ダイエットに役立つ |
---|---|
良質なたんぱく質 | 健康維持に役立つ |
グルテンフリー | ・食べ過ぎ防止 ・小麦アレルギーの人も食べられる |
ダイエットに役立つといわれますが、その詳しい理由をチェックしてみましょう。
油の吸収抑制効果やグルテンフリーがダイエットに役立つ
米粉は米が原料のため、消化が緩やかで腹持ちが良く、食べ過ぎを防止できます。
ほかにも、米粉は小麦粉に比べて油の吸収率が低い特徴があるため、揚げ物の衣に使用するとカロリーが抑えられます。
痩せる目的で小麦粉の代わりに米粉を使うメリットは、ほかにもあります。
小麦粉に含まれるグルテンには依存性があり、ついつい食べ過ぎてしまいますが、米粉はグルテンを含まないため、食べ過ぎ防止につながるのがダイエット向きとされる理由のひとつです。
米粉はダイエットに向いているだけでなく、アミノ酸スコアが高いのも注目されています。
アミノ酸スコアが高い|良質なたんぱく質が摂れる
米粉はアミノ酸スコアが高いため、栄養価が高い食品といわれています。
体のたんぱく質を作るために必要な「必須アミノ酸」と、食べ物に含まれる「たんぱく質」の量がバランス良く含まれているかを数値にしたものです。必須アミノ酸は、体内で作り出せない9種類のアミノ酸のことをいい、どれかひとつでも不足すると体の健康維持ができなくなってしまいます。アミノ酸スコアが高ければ高いほど、栄養価が高く健康維持に役立つ食品といえるでしょう。
気になる小麦粉と、アミノ酸スコアの値を比較してみましょう。
米粉 | 65 |
小麦粉(薄力粉) | 44 |
アミノ酸スコアが高いと良質なたんぱく質を体内に取り入れることができ、健康維持に役立ちます。
さまざまなメリットがある米粉を、上手に食品に取り入れる方法も紹介しますね。
米粉は手軽に摂り入れられる|クッキーのレシピも紹介
米粉はお菓子や料理など幅広いものに使用できます。
料理に使うなら、油の吸収率を抑える利点を活かすため、天ぷらに使ったり、スパイスから作るカレーに使ったりするのも良いでしょう。
お菓子に使うなら、クッキーを作ったり、白玉粉でお団子を作ったりするのも良いですね。
米粉クッキー
材料
米粉:120g
卵:50g(1個)
砂糖:35g
無塩バター:30g
- 室温に戻したバターをボールに入れて、ヘラでクリーム状にする。
- 砂糖を入れて、白っぽくなるまで混ぜる。
- 溶いた卵を少しずついれて混ぜる。
- 米粉を加え、ひとまとまりになるまで混ぜる。
- 棒状に伸ばし、ラップにくるんで冷蔵庫で30~1時間ほど休ませる。
- 5mmの厚みに切り、180℃に予熱したオーブンで15分ほど焼く。
もともと米粉は、小麦アレルギーの人の為に代用として使われていましたが、たくさんのメリットがあり注目されています。
食べすぎないように気をつけて、メリットをしっかり活かしてくださいね。
結論|米粉は体に悪いわけではなく適量を守ればメリットがある
- 糖質の摂り過ぎが体に悪い影響を及ぼす可能性がある
- 食物繊維不足はレジスタントスターチがカバーしてくれる
- 間食であれば200kcal程度
- 正しく摂取すればダイエット効果に役立つ可能性
- 良質なたんぱく質を含む
米粉は食べ過ぎると、糖質の摂り過ぎにより肥満や生活習慣病など体に悪い影響を与える可能性があります。
しかし、適量を守ればダイエット効果や健康維持に役立つメリットもあるので、上手に活用するのが大切です。
日常生活にも取り入れやすい米粉を、ぜひチェックしてみてくださいね。