【執筆者:管理栄養士 朝戸尚子】
押し麦の原料は大麦で体に悪いものではありませんが、押し麦に多く含まれる食物繊維を食べ過ぎると消化器官に不調をきたすことがあります。
また小麦アレルギーを持っている人が注意しておくべき危険性もあります。
この記事では押し麦を食べ過ぎることによるデメリットや太ることへの影響について解説します。
押し麦 のこと
- 体に悪いと言われる理由
- 食べ過ぎによるデメリット
- 米との栄養素の比較
- 期待できる嬉しい効果
日々の健康管理やダイエット中の方に役立つ内容になっているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
押し麦は食べ過ぎなければ体に悪いものではない
押し麦の原料は大麦で体に悪いものではありませんが、食物繊維を多く含むため、食べ過ぎると悪影響が出ることがあります。
栄養素の吸収阻害 | 食物繊維の摂り過ぎ |
---|---|
下痢・便秘 | |
小麦アレルギー | 小麦アレルギーの原因物質と よく似たたんぱく質を持つため |
押し麦は体に嬉しい効果がたくさんあり、健康のために食事に取り入れる人が多い食べ物ですが、摂り過ぎると体によくないデメリットもあるため注意が必要です。
過剰摂取のデメリット|下痢や便秘を起こすことも
押し麦に多く含まれる食物繊維は積極的に摂りたい栄養素ですが、摂り過ぎると消化器官の不調をきたすことが知られています。
- 小腸での栄養吸収の阻害
- 下痢や便秘
- おならが出る
食物繊維を摂り過ぎると、小腸での栄養の吸収が阻害される恐れがあります。
食物繊維の利点として血糖値や中性脂肪値の上昇を緩くする働きがありますが、栄養素の吸収が阻害されるほどに食物繊維を摂ったときは、この働きが十分に機能しなくなると言われています。
また食物繊維には便通をよくする働きがありますが、摂り過ぎるとかえって便通が乱れることがあります。
下痢症状が出たり、元々便秘気味の場合は症状を悪化させることがあるので、食べ過ぎないようにしましょう。
ご飯炊くとき押し麦いれるようになってからおならがプップッと出る~=3
— しろ (@sirokurokuroke) February 16, 2021
悪影響ではありませんが、食物繊維を摂る量が増えると体内で発生するガスの量が増え、おならが出やすくなります。
押し麦に含まれる食物繊維以外にも、体に悪影響を及ぼす例があります。
小麦アレルギーを持つ人は反応が起きる危険性あり
押し麦の原料は大麦ですが、小麦アレルギーの原因物質であるグルテンによく似たたんぱく質を持つため、アレルギー反応を起こしてしまうことがあります。
これは押し麦に限らず、大麦を加工してできる大麦製品では同様のことが言えます。
ちなみに押し麦に見た目がよく似ているもち麦やオートミールは原料の違いによって分けられています。
原料 | |
---|---|
押し麦 | うるち性の大麦 |
もち麦 | もち性の大麦 |
オートミール | 燕麦(オーツ麦) |
押し麦やもち麦は大麦が原料ですが、オートミールはオーツ麦が原料です。
オートミールには小麦アレルギーの原因物質は含まれないようですが、生育・製造過程で小麦が混ざることもあるようなので、注意をした上で少量から試しましょう。
押し麦と胚芽押麦
押し麦は大麦をローラーで押しつぶす加工をしたものですが、ビタミンEや不飽和脂肪酸を多く含む胚芽を残した押し麦として「胚芽押麦」というものがあります。栄養素を積極的に摂りたい人は胚芽押麦を試してみてください。
食べ過ぎると太る?カロリーや糖質を白米と比較
押し麦は食べ過ぎると太るのかを検証するために、栄養成分を精白米と比較してみます。
押し麦(※1) | 精白米(※2) | |
---|---|---|
エネルギー | 329kcal | 342kcal |
糖質 | 66.1g | 77.1g |
食物繊維 | 12.2g | 0.5g |
炭水化物 | 78.3g | 77.6g |
たんぱく質 | 6.7g | 6.1g |
脂質 | 1.5g | 0.9g |
カリウム | 210mg | 89mg |
鉄分 | 1.1mg | 0.8mg |
ビタミンB1 | 0.11mg | 0.08mg |
ビタミンB2 | 0.3mg | 0.02mg |
エネルギーは精白米と同程度とカロリーはしっかりあるため、食べ過ぎると肥満に繋がる可能性があります。
一方食物繊維が多く、糖質は精白米よりも少なくなっており、ビタミン・ミネラルといった栄養価が豊富なのも特徴ですね。
食べ過ぎると食物繊維の摂り過ぎによる悪影響のある押し麦ですが、適量なら体に嬉しい効果・効能がいっぱいありますよ。
押し麦は適量なら体に嬉しい効果が期待できる
押し麦に豊富に含まれる食物繊維には、整腸作用や血糖値の上昇を抑制するなど、期待できる嬉しい効果がたくさんあります。
- 腸の働きを整える
- 便秘の解消
- 食後血糖値の上昇を抑える
- 満腹感の持続
- 生活習慣病の予防
食物繊維は腸の働きを整え、便秘の改善に効果的であることが広く知られています。
また食後血糖値の上昇を抑える効果もあり、肥満の防止や糖尿病の予防にも期待できます。
大麦にはβ-グルカンという食物繊維の一種が含まれていますが、免疫力のアップやコレステロール値を下げる効果が期待されています。
現代の日本人は全ての年齢層で食物繊維が不足していると言われており、食物繊維が豊富な押し麦は積極的に食べたい食品の一つと言えます。(※3)
押し麦の1日の摂取量の目安
日本人に足りていない食物繊維量は成人した男女を平均すると4.3gで、不足分を補える押し麦の量を計算すると44.8gになります。中茶碗の32%ほどを押し麦にした麦飯を、1日に2杯食べると補えます。
押し麦の栄養素を効率的に摂るための調理法も知っておきましょう。
栄養素を無駄なく摂るためにおすすめの調理法
押し麦に含まれるビタミンB1は水に溶けやすいので、煮汁も一緒に食べられる料理にすると栄養素を効果的に摂取できます。
有賀薫さんのスープジャー弁当のレシピ本から,なめこと鶏ひき肉のほうじ茶リゾット🐓
スープの水を全量ほうじ茶に代えると優しい美味しさ。押し麦に火が通るまで煮て,スープジャーに入れない版も作りました🥄笑 pic.twitter.com/MIXzMhibeU
— 矢島 愛子 / Teaist 🍵 (@amnjrn) November 25, 2019
押し麦といえばお米に混ぜて食べるのが一般的ですが、スープに混ぜて食べるのもおすすめですよ。
少量ずつ使いたい場合は小袋タイプが便利です。
押し麦以外の穀類についてもっと詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
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結論|押し麦は食べ過ぎなければ体に悪い訳ではない
- 食べ過ぎで食物繊維の摂り過ぎに
- 下痢やアレルギーを起こすことも
- カロリーは米とあまり変わらない
- 食物繊維は嬉しい効果がいっぱい
- ゆで汁ごと食べるとビタミンB1を無駄なく摂れる
押し麦は大麦を原料とし、体に悪いものではありませんが、食べ過ぎると食物繊維の摂り過ぎになり、消化器官に不調をきたすことがあります。
食べ過ぎには注意が必要ですが、食物繊維には健康にも嬉しい効果がたくさんなので、ぜひ日々の食事の中で、お米の一部を押し麦に置き換えてお試しください。