【執筆者:管理栄養士 市沢淳美】
お弁当が腐るのは、作るときの衛生管理・保存温度・時間などいくつもの要因が関係しています。
そのため、腐る条件として時間や温度を一概には言えません。
条件がそろうと、夏の暑い日のお弁当だけでなく、冬でも腐る可能性は十分にあるため注意が必要です。
腐りやすい状況や正しい保存方法を知って、しっかりと対策しましょう。
この記事では、お弁当を安全においしく食べるために以下のことをお伝えします。
お弁当 のこと
- 腐る時間と温度の目安
- 腐った状態の見分け方
- 正しい保存方法
- 腐りにくいおかず
お弁当に入れてはいけないものや、傷まないおかずのポイントを知りたい人もぜひ参考にしてください。
目次
お弁当が腐る時間と温度|夏は要注意
お弁当が腐る温度を一概には言えませんが、20~50℃は危険温度帯と呼ばれ、食中毒菌が増殖しやすい温度です。(※1)
その中でも30~37℃は微生物が活発になりやすく、特に気を付けたい温度です。
これらの温度帯で放置すると、短時間でも腐る可能性があるため注意しましょう。
危険な温度帯 | 20~50℃ (特に30~37℃は注意) |
|
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お弁当店の消費期限 | 2~3時間 | |
飲食店に向けた 消費期限の指標 (※2) |
4時間以内 | |
コンビニ弁当の消費期限 | 約18時間 (約20℃で温度管理している商品) |
できたてを提供するお弁当店とは異なり、コンビニ弁当は製造後も温度管理を行って陳列・販売しているため、一般的なお弁当店よりも消費期限が長く設定されています。
夏は微生物が活発になる30~37℃になりやすいため、特に気を付けて対策をしましょう。
冬でも暖房の効いた室内や暖房器具のそばに長時間置くのは危険なため、少しでも違和感があったら食べるのは控えてくださいね。
腐るとどうなるかの見分け方|異臭や酸味はNG
お弁当が腐ると、見た目や臭いなどに特徴が現れます。
見た目 変色 |
・カビが生えている ・変色している |
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匂い 臭い におい |
・腐敗臭 ・鼻がツンとする |
味 食感 触感など |
・酸味がある ・ねばりがある ・溶けて異常に柔らかい |
しかし、見た目や臭いで腐ったとわからなくても、食中毒菌が繁殖している場合があります。
正しい保存方法や、作る際にも腐らないコツを確認しましょう。
お弁当が腐るのを防ぐ保存方法と手作り弁当のコツ
市販のお弁当は表示されている保存方法を守り、期限内に食べましょう。
手作りのお弁当はできるだけ常温保存を避けて冷蔵庫か、保冷剤と一緒に保冷バッグへ入れましょう。
市販品 | ・表示の期限や保存方法を守る ・常温OKの商品でも25℃以上は 冷蔵庫や保冷剤を活用する |
|
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手作り | ・よく冷まししてからフタをする ・冷蔵庫や保冷剤を活用する |
保冷剤とフタが一緒になったお弁当箱は、しっかり保冷しながらコンパクトに持ち運べます。
うっかり常温放置した場合や、常温でどれくらいもつのか気になる人は、こちらも参考にしてください。
詳しくはこの記事をチェック!
市販のお弁当を購入する際に気を付けたいポイントや、手作り弁当が傷まないコツも見てみましょう。
腐るのを防ぐ購入時や手作りするときの対策
夏の暑い日や冬でもすぐに保冷できない場合、「要冷蔵」や「10℃以下で保存」と表示されているお弁当の購入は避けましょう。
手作りのお弁当は、腐敗の原因となる菌や微生物をつけない・やっつける・ふやさない対策を徹底しましょう。(※3)
市販品購入時 | すぐに食べない時は 常温OKの商品を選ぶ |
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手作り | お弁当箱や 調理器具 |
・すみずみまでキレイに洗う ・清潔な付近で水滴をふき取る ・よく乾燥させる |
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おかずカップ | 夏場は使い捨てのカップを使う | ||
調理 | ・中までしっかり加熱する ・ハムやかまぼこも加熱する |
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盛りつけ | ・よく冷ます ・汁気をよく切る ・生野菜や果物はよく洗って 別容器に入れる ・抗菌シートを入れる |
お弁当の腐りやすさは、おかずの種類によっても異なります。
安心しておいしくお弁当を食べるために、傷みにくいおかずのポイントを確認しましょう。
お弁当に入れない方がいいものと傷みにくいおかず
お弁当に刺身や半熟卵など、十分に加熱していないおかずは向いていません。(※4)
傷みにくいおかずは、調理法や味付けがポイントとなります。
- 焼く・炒める・揚げるなどの調理法
- 和え物は野菜の水気をよく絞る
- 濃いめの味付け
- 防腐効果のある梅干し・大葉・酢・カレー粉などを使用する
じゃがいもやきのこなど水分が多い食材を使用する場合は、特にこのポイントを意識しましょう。
朝の時間がなく、前日までに作り置きしたおかずを入れたい人はこちらも参考にしてください。
詳しくはこの記事をチェック!
結論 |お弁当は危険温度帯で放置すると短時間でも腐る可能性あり
- 危険温度帯は20~50℃
- 危険温度帯で放置すると短時間でも腐る可能性がある
- 腐ると異臭・酸味・粘りがある
- すぐに食べない場合は保冷する
- 傷みにくいおかずの調理法は揚げる・焼く・炒める
お弁当は危険温度帯の20~50℃で放置すると腐りやすく、特に30~37℃は微生物が繁殖しやすいため、短時間でも注意が必要です。
異臭や酸味などの異変を感じたら、食べるのは控えましょう。
保冷だけでなく、調理法や味付けでも腐らないように工夫して、夏の暑い日や暖房の効いた室内でも安全にお弁当を食べましょう。