【執筆者:栄養士 伊藤春】
お肉は細菌やウイルスが増殖しやすいため、気温が高い時期に冷蔵庫に入れ忘れた場合、1時間の常温放置でも傷んで食べられなくなる可能性があります。
傷んだ生肉を食べると食中毒を起こすおそれもあるので注意が必要です。
お肉を安全に食べるために、何時間なら常温保存できるかの目安や腐っているかの見極めポイントを次のようにまとめて解説します。
お肉のこと
- 常温放置は何時間までOKか
- 種類ごとの腐った状態の見分け方
- 正しい保存方法
- 上手な冷凍・解凍方法
鮮度を保てる保存方法や、冷凍したお肉を美味しく食べるための解凍方法も紹介します。
お肉をうっかり常温放置した方や、冷凍庫にしばらく眠っていたお肉がある方は参考にしてくださいね。
目次
お肉の常温放置は何時間から危ない?夏場は1時間でも注意
生のお肉は常温保存できず、季節によっては短時間で腐って食べられなくなる可能性があります。
なかでも鶏肉は水分が多いうえ食中毒菌が付着している確率が高いので、特に注意が必要です。(※1)
牛肉 | 2~3時間 |
---|---|
豚肉 | |
鶏肉 | 基本NG |
常温はJIS規格で5~35℃とされていて、夏と冬ではかなり差がありますし、購入時のお肉の状態が悪い場合もあります。
元々のお肉の鮮度や気候によっては1時間程度でも食べられなくなる恐れがあるので、見た目や臭いで食べられるかどうかを判断しなければなりません。
牛肉・豚肉・鶏肉が腐っているかどうかの見分け方
お肉は鮮度が落ちると色が悪くなったり嫌な臭いがしたりするので、うっかり常温放置して不安な時には腐った特徴がないかどうかを確認しましょう。
鶏肉 | 豚肉 | 牛肉 | |
---|---|---|---|
見た目 変色 |
・毛穴が 閉じている ・皮が白い ・皮が平ら |
・光沢がない ・色が暗い ・赤みが強い ・白っぽい ・脂が黄色い |
・緑色っぽい ・色が暗い |
臭い 匂い におい |
・酸っぱい臭い ・刺激臭 |
||
触感 | ・弾力がない ・ネバネバしている ・ドリップ(水分)が出ている |
肉の種類が違っても臭いや触感の変化は似ていますが、色はそれぞれで異なります。
新鮮なお肉を選ぶためや、買ってから数日経ったものの鮮度を見極める際に役立ててください。
腐ったお肉の特徴やリスクについては、こちらの記事でも解説していますよ。
もし少しでも腐った特徴を感じたら、食中毒菌が繁殖しているおそれがあるので食べないようにしましょう。
生肉を冷蔵庫に入れ忘れると危険|汚染の可能性がある食中毒菌
生肉には食中毒の原因となるウイルスや細菌が付着している可能性があり、常温放置すると短時間で増殖するおそれがあります。
ウイルス・細菌 | 肉の種類 | 特徴・症状 |
---|---|---|
カンピロバクター | 牛・鶏 | ・潜伏期間:1~7日 ・症状:腹痛・嘔吐 下痢・倦怠感など ・重篤になるケースも |
サルモネラ | 鶏 | ・潜伏期間:6~72時間 ・症状:腹痛・嘔吐 下痢・発熱 |
腸管出血性大腸菌 O-157 |
牛 | ・潜伏期間:4~8日 ・症状:激しい腹痛 下痢・血性下痢 急性腎不全など ・死亡に至るケースも |
E型肝炎 | 豚 | ・潜伏期間:約6週間 ・症状:発熱・吐き気 黄疸・肝腫大など ・妊婦は劇症化しやすい |
買ってきた当日でも、菌やウイルスが付着していれば食中毒発症のリスクをともなうので、危険を減らせるように対策しましょう。
- 菌をつけない:手や調理器具を清潔にする
- 菌を増やさない:出しっぱなしにせずすぐに冷蔵庫へ
- 菌をやっつける:しっかり加熱する(目安:中心部を75℃で1分以上加熱)
すべての菌・ウイルスが死滅するとは限りませんが、加熱はとても有効です。
お肉の断面が赤くないかや、触ってしっかり熱くなっているかどうか確認してくださいね。
買ってきたお肉の扱い方もとても重要なので、正しい保存方法や日持ちの目安も知っておきましょう。
焼く前のお肉を長持ちさせるには冷凍保存がおすすめ
お肉は冷蔵保存が基本ですがあまり日持ちしないので、当日中に食べないのであれば冷凍保存がおすすめです。
肉の種類 | 日持ち目安 | 保存方法 | ||
---|---|---|---|---|
冷蔵 | 冷凍 | |||
牛 | ブロック | 3日 | 2~3週間 | 1.余分な水分を ふき取る 2.ラップで ぴったり包む 3.密閉袋に入れる 【冷蔵の場合】 4.チルド室へ 【冷凍の場合】 4.重ならないよう 平らにして冷凍庫へ |
スライス | ||||
ひき肉 | 2日 | 約2週間 | ||
豚 | ブロック | 3日 | 2~3週間 | |
スライス | ||||
ひき肉 | 1日 | 約2週間 | ||
鶏 | ブロック | 1日 | 2~3週間 | |
スライス | ||||
ひき肉 | 約2週間 |
ひき肉は薄くのばしてラップに包んだあと菜箸で線をつけて冷凍すると、簡単にパキッと割れて便利です。
冷凍すれば菌の繁殖を抑えられ、1ヶ月以上経っても食べられる可能性がありますが、冷凍焼けで風味が落ちるので、2〜3週間程度で食べきりましょう。
冷凍焼けとは?
食品から水分が出て乾燥することをいいます。冷凍庫の開け閉めで温度が変化し、溶けたり凍ったりを繰り返すことで起こり、パサつき美味しさが損なわれるので注意が必要です。
正しく冷凍しても解凍の方法次第で風味や肉質が損なわれるため、注意が必要です。
冷凍肉の解凍方法|自然解凍ではなく冷蔵庫や流水で
自然解凍や電子レンジのあたため機能で解凍する場合、加熱ムラができたりドリップが出やすいため、本来の美味しさが失わてしまいます。
美味しく食べるなら、電子レンジの解凍機能の利用、流水解凍がおすすめです。
流水解凍する場合は、フリーザーバックごとボウルにいれて流水にあてましょう。
また、お肉は完全に解凍するよりも半解凍がおすすめです。
半解凍にすると、包丁でサクッと切れて扱いやすくなりますよ。
下味付きの冷凍肉の場合、そのまま取り出して焼けるため、包丁いらずで便利です。
カットした野菜を入れ、塩胡椒で味を整えれば簡単におかずが作れますよ。
結論 | お肉は常温保存できないのですぐに冷蔵・冷凍保存しよう
- お肉の常温放置は基本NG
- 夏は数時間程度で食べられなくなることもある
- 腐ると臭いや見た目が変化する
- すぐ使わないなら冷凍がおすすめ
- 流水解凍で美味しさキープ
お肉の常温放置は、夏場だと1時間でも食中毒の可能性があるため注意してください。
購入後は、マイバックの代わりに保冷バックやクーラーボックスを利用し、帰宅後すぐに冷蔵庫に移し、入れ忘れを防ぎましょう。
特に鶏肉は傷むスピードが速いため、常温で何時間も放置した場合は廃棄したほうが安全です。
お肉は流水解凍すると、旨味や水分が逃げずに美味しくいただけるのでぜひ試してみてくださいね。