【監修者:管理栄養士 坂本圭子】
鶏肉が臭い原因には、食べても大丈夫な場合と腐っている場合があります。
食べても大丈夫な場合とは、鶏肉そのものが持つ臭いのときと、保管場所である冷蔵庫の臭いが移ったときです。
腐っているかどうかの判断は、臭いや見た目、ドリップの状態などで見分けられます。
買ったばかりの生肉が臭いと、食べられるかどうか判断に迷うこともあるでしょう。
そこで、今回は鶏肉の臭いについて次のことをお伝えします。
鶏肉はほかの肉と比べて水分が多いため、細菌が繁殖し、腐りやすいので特に注意が必要ですよね。
最後まで読んでいただければ、鶏肉が腐っているかの見分け方が分かります。
また、鶏もも肉や胸肉など、部位別の臭いの強さや、鶏肉の臭みを消す方法、焼く、煮るときの一工夫で臭いが気にならなくなるレシピなども紹介するので参考にしてくださいね。
管理栄養士・栄養士
目次
鶏肉が臭い原因と食べられるかどうかの判断方法
鶏肉が臭い原因は、鶏肉そのものが持つ臭い、冷蔵庫からついた臭い、腐っていることが考えられます。
賞味期限切れで臭いものもありますが、買ったばかりや賞味期限前でも臭くなる原因を知りたいですよね。
そこで、食べられる場合と食べられない場合の臭いの原因を探っていきましょう。
食べられるけど臭い原因は鶏肉そのものや冷蔵庫の臭い
買ったばかりの鶏肉が臭いのは腐っているわけではなく、鶏肉特有の臭いや冷蔵庫の臭いが原因なので、食べても大丈夫です。
どうしてそのような臭いがするのか説明していきますね。
鶏肉そのものの臭い
鶏肉そのものが臭いのは、脂肪臭と鶏肉臭が原因です。(※1)
脂肪臭 | 脂身から出る臭い 部位によって臭いの強さが違う |
鶏肉臭 | 鶏が食べるエサや産地によって、 臭う場合がある |
臭いの元になる脂身が多い鶏もも肉や手羽元は臭いが強く、脂身が少ない胸肉やささみの臭いは弱いです。(※2)
また鶏が食べるエサによって臭う場合があり、特にブロイラーは臭いがきついケースが多いです。
また、ブラジル産などの輸入肉は鶏肉臭が強い傾向があります。
ブラジル産の鶏肉安いけど、臭いな。もう買わぬ
— まっちゃん (@suomi_moimoi) March 20, 2018
安い鶏肉を買って食べた結果、ブラジル産で臭いがかなり気になったようですね。
このように鶏肉そのものが臭いだけでなく、冷蔵庫の臭いが移って臭くなることもあります。
冷蔵庫の臭いが移る
冷蔵庫に入れていると、冷蔵庫特有の臭いが鶏肉に移ることがあります。
また、臭いのきつい食品が一緒に入っているとその臭いがつくこともありますが、いずれも問題なく食べられます。
ご紹介したように、鶏肉そのもののの臭いや冷蔵庫の臭いがついただけなら食べられますが、腐って異臭がしている場合は当然食べられません。
どのように見分けたらいいのかをご紹介していきますね。
異臭がして食べられない鶏肉の見分け方
常温に置きっぱなしにしたり、日にちが経過した場合などで臭いときは、腐っている可能性が高く食べられないケースが多いです。
腐った鶏肉を食べると、食中毒の原因にもなり危険なので、見きわめが大切です。
異臭がして食べられない鶏肉の特徴は、臭いはもちろん、見た目、感触、食感、加熱後の変化などで判断できます。
特徴 | |
---|---|
臭い | ・酸っぱい臭い ・生ごみの臭い ・アンモニア臭 ・ガソリンの臭い ・硫黄の臭い ・プールの消毒液の臭い |
見た目 | ・灰色 ・白っぽい ・表面に白いカビ ・ドリップが多量 ・脂の色が黄色 |
感触 | ・ヌルヌル ・ベタベタ ・糸を引く |
食感 | ・粘り気 |
加熱後の変化 | ・酸味や臭いが強くなる ・アクが大量にでる |
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
臭い
臭いは次のとおり、不快な臭いがします。
酸っぱい臭いは、ヨーグルトが腐ったような臭いです。
そのほか、アンモニア臭やガソリンのような鼻をつくツーンとした臭いや生ごみ臭、硫黄臭、プールの消毒液のような臭いにも注意しましょう。
いずれも、臭いをかいだ途端、ウっと顔をそむけたくなるような臭さです。
見た目
鶏肉は、新鮮な時はピンク色をして色つやが良いですが、腐るとくすんだ灰色や白っぽい色になり、さらに状態が悪くなると、表面に白いカビがポツポツとでてきます。
また、日にちが経つにつれてドリップが出て来ます。
ドリップが出たからすぐに腐っているという訳ではないものの、ドリップの中にある細菌はアっという間に増えます。
たくさん出ていたら腐っている可能性が高いので、十分注意してくださいね。
脂身の部分は臭いの元になる部分で、黄色くなると腐ってきた目安になります。
感触
鶏肉は腐るとヌルヌルやベタベタとした粘った感触になります。
さらに腐った状態が進むと糸を引いてきます。そうなると完全に腐っていると分かりますね。
とくに、生の鶏肉はカンピロバクターによる食中毒を生じることがあるので、水で洗う場合は、調理器具や食品が汚染されないように注意してください。(※5)
鶏肉は元々ヌルヌルとした感触があるので分かりづらいですが、軽く水洗いした後もヌルヌルしていたら腐っていると判断しましょう。
食感
鶏肉を調理して食べたときに、粘り気を感じます。
また、噛んだ瞬間に気持ち悪い臭いを感じることもあるので、食べずにすぐに出してくださいね。
加熱後の変化
腐った鶏肉を加熱すると、調理後に生肉のときよりもさらに酸味や臭いが強くなります。
また、煮込み料理をすると、アクが大量に出るので目安になります。
賞味期限後の鶏肉を食べて腹痛をおこした人もいます。
絶対に一昨日食べた賞味期限切れの鶏肉でなった腹痛のせいなんだけど、また変な夢見た😣😣
— くう🧊🧊 (@kuu_chankun) May 25, 2021
このように数日間腹痛になると、寝ていても辛いですよね。
臭くて食べられない鶏肉を食べると食中毒をおこすこともあるので、判断方法を参考にして絶対に食べないよう、十分注意しましょう。
\ こちらの記事も参考にどうぞ /
食べられない鶏肉の見分け方が分かったので、食べられるけれど臭いが気になるときの、臭みを消す方法を紹介しますね。
鶏肉が臭いときの臭みの消し方とは?下処理のコツ
鶏肉の臭いを消すには、アルコールや牛乳に浸したり、マスキングしたりなどさまざまな方法があります。
また、鶏肉の下処理をしっかりすると臭いが抑えられます。
まず、臭みの消し方から見ていきましょう。
鶏肉の臭いを消す方法
鶏肉の臭いを消す方法は、アルコール・塩・牛乳に浸す、下味つけて冷凍、茹でる、マスキングするなどの方法があります。
ひとつずつ紹介しますね。
アルコール(酒)を振る
アルコールは、蒸発するときにほかの臭いも一緒に包み込んで消す効果があります。
鶏肉にお酒を振って焼くなどの調理をすると、臭いが消えます。
塩もみをする
鶏肉に塩をもみ込んで数分おくと、臭いの元とともに水分が流れ出てきます。
その水分をキッチンペーパーでふき取ると、臭いが気にならなくなりますよ。
塩は1枚に対し小さじ1.5杯くらい振ってください。
牛乳に浸す
牛乳に浸すと牛乳が臭いを吸収するので、臭み取りになります。
牛乳はたんぱく質や脂肪の固形物が含まれているので、固形の粒子(コロイド粒子)が臭いを吸着してくれると考えられています。
1日漬けておくと良いですよ。(※6)
下味を漬けて冷凍する
冷凍した肉を解凍すると臭いが気になる場合がありますが、下味をつけてから冷凍すると臭みが気にならなくなります。
茹でる
茹でる、もしくは熱湯に2、3分漬けおくと、臭いが軽減されます。
同時に肉のパサつきも防げますよ。
マスキングする
強い香りのするにんにくやしょうが、ハーブやスパイスでマスキングすると臭いが気にならなくなります。
マスキングとは、異臭がするものに匂いを被せて悪臭を気にならなくする方法のことです。(※7)
鶏肉の下処理をするとさらに臭いを消す効果が高まりますよ。
鶏肉の下処理の仕方で臭いを軽減
鶏肉の臭いが出ないようにするには、次の下処理をキチンとすることが大切です。
- ドリップを拭き取る
- 脂肪分を取る
臭いや腐る原因になるドリップは、キッチンペーパーで良く拭き取りましょう。
ドリップは冷凍肉を解凍したときに出やすいので、解凍時は特に丁寧に拭き取るようにしてください。
また、臭いの原因となる脂肪分を取り除くことが大切です。
肉と皮の間に見える黄色いかたまりの部分を、包丁やキッチンばさみで切り取ってくださいね。
下処理方法が分かったので、鶏肉の臭みが気にならない工夫がされたレシピを見ていきましょう。
鶏肉の臭いが気にならない対策レシピを紹介
鶏肉の臭いが気になると美味しく食べられないため、一工夫して臭いが気にならなくなる対策レシピを紹介します。
鶏もも肉の照り焼き
鶏もも肉を使い、下味に香りの強い薬味を使った、焼くだけの簡単料理です。
鶏胸肉のカレーチーズピカタ
鶏胸肉を使い、カレー粉を下味にプラスしています。
ハーブたっぷりグリルチキン
鶏もも肉を使い、ハーブをたっぷり使っています。
鍋料理も一工夫すると臭い消し効果バツグンです。
水炊き
匂いの強い野菜と酒を使って作っています。
骨付き肉で作る水炊きは、骨からのダシが出て美味しいですよね。
セットになった商品が通販で買えて便利ですよ。
結論|鶏肉が臭い時はしっかり判断して対策しよう
鶏肉が臭い原因は、鶏肉そのものが臭い場合と冷蔵庫の臭いが付いた場合、腐っている場合があります。
食べられるかの判断は、臭い、見た目、感触、食感、加熱後の変化で確認し、腐っている鶏肉を食べないように気をつけることが大切です。
また、食べられるけど臭い場合は、臭み消しの牛乳やマスキングなどで臭いが気にならない工夫をして食べると良いでしょう。
臭い対策のレシピも参考にして、臭みがある鶏肉でも上手に美味しく食べましょうね!