【執筆者:編集部 鳥越菜生】
生わかめは腐ると生臭いにおいや糸を引くようなぬめりが出て変色して溶けるなど、においや見た目の状態で判断できます。
生わかめは傷むのが早く腐りやすいとはいえ、気になる異変があっても食べられる場合もあるので、腐った状態の見分け方も覚えましょう。
食物繊維をはじめ健康に良いはたらきが期待できる栄養素を豊富に含む生わかめを堪能するため、知っておきたい次の項目についてご紹介します。
生わかめのこと
- 腐るとどうなるのか?
- 腐敗と食べられる状態の見分け方
- 傷みを防ぐ正しい保存の仕方
- 下処理のコツとおすすめの食べ方
せっかく買った生わかめが冷蔵庫で賞味期限を迎えている方や丸ごとのわかめをもらって対処法でお悩みの方もぜひ参考にしてください♪
目次
生わかめが腐るとどうなる?食べられるかの見分け方や食中毒の危険性
生わかめが腐ると生臭いにおいがして、糸を引くような粘りが出たり茶色や黒に変色したり、溶けるなどの異変が現れます。
食べられない | 食べられる | |
---|---|---|
見た目 変色 |
・全体的に茶色や黒に変色 ・溶けた部分がある ・濁った汁・ピンク色の汁 が出ている ・カビが生えている |
・全体が茶褐色 (未処理の場合) ・黄色い斑点がある ・ところどころに 茶色い箇所がある ・白い毛が生えている |
臭い 匂い におい |
・腐敗臭 ・生臭いにおい ・薬品臭 |
磯の香りがする |
味 食感 触感など |
・糸を引くほどの粘り ・柔らかく触ると ドロッと取れる |
厚み・弾力がある (ただし産地により 特徴が異なる) |
スーパーの鮮魚コーナーで販売される生わかめには、収穫されたままの茶褐色のものと下処理済みの緑色のものがあります。
生わかめ。茹でると緑色になります。今柔らかくて美味しいですよ。 pic.twitter.com/qRrH6vzdmA
— 酒房かんなぎ (@kannagi603) February 14, 2015
生わかめとは厳密にはこのような収穫されたままのものを指し、下処理済みで緑色のものは「ボイル生わかめ」と表示される場合があります。
生わかめは収穫後の賞味期限が約3日と傷みが早いので、美味しい時期を逃さず食べきるため、腐った状態の見分け方を覚えておくと良いですね。
生わかめに糸を引くぬめりや変色があり溶けるのは腐った可能性大
生わかめが腐ったらにおいや見た目に明らかな異変が生じ、五感で食べられない状態だと判断できますよ。
下処理済みの場合は、傷むと色素のクロロフィルが退色するため鮮やかな緑色が次第にくすみ、全体的に茶色や黒っぽい色に変色します。
さらに表面に付いた微生物によって分解されるほか、細胞内に持っている消化酵素により中からも分解が進んで溶けていくのです。(※1)
腐った食品は腐敗菌だけでなく食中毒菌も増殖している可能性があるので、食べるのは危険です。
保存状態によってはカビが生える場合もあり、カビ毒が危惧されるため、一部にでもカビが見えた場合は食べないようにしましょう。(※2)
しかしこのような腐った状態とは異なり、気になる変化があっても食べて問題ない場合もあるので知っておくと便利です。
ぬるぬるや黄色い斑点とまだらな茶色は食べられる
生わかめがぬるぬるしたり、茹でたあと黄色い斑点やまだらに茶色い部分があったりしても、劣化ではないため食べられますよ。
わかめに多く含まれる水溶性食物繊維・アルギン酸は水に溶けてぬめりを出すので、生わかめは新鮮な状態でもぬるぬるしています。
黄色の斑点に見えるのはタレストリスという体長3mm以下の小さな虫が寄生した痕ですが、食べても害はありません。
ところどころ茶色くなっているのはシーズンの終わり頃によく見られる状態で、部分的に枯れているだけなので問題なく食べられます。
生わかめの白いカビのようなものはわかめの一部かも
生わかめを茹でたあとの緑の葉に白いカビのようなものが見えても「毛そう」と呼ばれるわかめの一部で、食べて大丈夫な場合が多いです。
わかめには白く短い毛が生えていて、茹でたあと目立って気になることがありますが、葉体に必ずある器官で全く害はありません。
食べられるかの見分け方を覚えたら、生わかめを腐らせないために、正しい保存の仕方も実践しましょう。
生わかめを腐らせない!正しい保存方法と日持ちの目安
生わかめは傷みを防ぐため下処理してから水気を切り、冷蔵で2~3日は日持ちできますが、冷凍すると約1ヶ月の保存が可能です。
未処理 | 下処理済み | |
---|---|---|
常温 | 推奨しない | |
冷蔵 | 1~2日 (なるべく早く下処理する) |
2~3日 |
冷凍 | 推奨しない | 3~4週間 |
生わかめは下処理で茹でると、表面に付いた微生物を減らし消化酵素のはたらきを止め、傷みを遅らせることになります。
冷蔵保存の際はキッチンペーパーなどで余分な水分を取ると、目安より長く持つ場合があります。
しかし生わかめを1週間以上持たせたいときや食べきれない場合は、冷凍がおすすめです。
生わかめは冷凍で手軽に消費期限を延ばせる
生わかめは冷凍しても風味や食感があまり変わらないので、食べられない分は消費期限切れになる前に冷凍すれば日持ち期間を延ばせます。
ラップごと水に漬ければ数分で解凍できます。
使いやすい大きさにカットしてから包んでおくと、解凍なしでそのまま料理に使え時短にもなりますよ♪
生わかめは茹でずに冷凍すると、解凍してから下ごしらえする際、緑色に変わらない場合があるのでおすすめできません。
大量にある場合は、長く保存できる方法も活用しましょう。
塩漬けや乾燥なら長期保存できる
生わかめを長期保存したい場合は、下処理後に乾燥や塩漬けをして水分量を減らすと細菌が増殖しにくくなるため食品の傷みを防げます。(※3)
市販の乾燥わかめは賞味期限が半年くらいの場合が多いですが、家庭で干して作る場合は水分が残るとカビが生えやすいので十分に乾燥させましょう。
塩漬けのやり方は、次の動画を参考にしてくださいね。
手作りの塩蔵わかめは雑菌の繁殖を防ぐため冷凍保存がおすすめですが、3ヶ月~半年くらい保存できますよ。
保存も可能とはいえ、新鮮なうちにたっぷり食べられるよう、おすすめレシピも活用しましょう。
生わかめが腐る前に美味しく食べる!下処理のコツとおすすめレシピ
生わかめを腐らせず風味や食感を活かして堪能するには、正しく下ごしらえをして、長く加熱しすぎないよう調理法を工夫しましょう。
・酢の物(タコ・ちりめんじゃこなどを加えるのがおすすめ)
・かきたまわかめスープ(トマトを加えると彩りも栄養素もプラス)
・わかめ汁
・若竹煮
・天ぷら
・しゃぶしゃぶ(よく洗い茹でずに適度なサイズに切って下準備)
生わかめを美味しくするためには、まず下処理のポイントをおさえておきましょう。
生わかめの下ごしらえのコツ
生わかめの下ごしらえは、まず茎やめかぶと葉体を切り分け、全体の色が変わるまで短時間で茹でたら氷水で冷やし加熱を止めるのがポイントです。
葉体に比べると茎やめかぶは火が通りにくいので、あらかじめ切り分けておき、時間差をつけて茹でましょう。
生わかめ茹でるだけ pic.twitter.com/FpNq5lpY5Y
— はるき (@hrk_24l7) February 13, 2021
茹でる際は菜箸やトングを使って、全体に早く熱が通るようにすると良いですよ。
市販の下処理済み生わかめは水洗いすればそのまま食べられます。
肉や魚介に使ったまな板や包丁を介して食中毒菌に汚染される可能性があるため、調理時の扱い方には要注意です。
生わかめを下処理のみで生食する場合は、調理器具を肉・魚・卵と別にするかよく洗ってから使うなど食中毒予防にも注意しましょう。
下ごしらえのコツをつかんだら、より美味しく味わえる調理法も覚えておきたいですね。
生わかめの風味や食感を活かす調理法
下処理済みの生わかめは調理の加熱時間を短くすると、コリコリとした食感や色の鮮やかさ・磯の香りなどの特徴を活かせます。
汁物や煮物にするならほかの材料に火が通ってから、できるだけ食べる直前に入れるのがポイントです。
栄養成分からは、卵・魚介・肉などのタンパク質を多く含む食品と組み合わせるとバランスが良くなり、おかずとしてもボリューム感が出せますよ。
とはいえぬめりが苦手な方もいるので、軽減したい場合は、ザルに取り表面を軽く水で流す方法がおすすめです。
茎やめかぶは、細く裂いたり細かく切ったりしてぬめりを楽しむ料理や佃煮にする方法もおすすめです。
茎のきんぴら。塩蔵わかめ。茎の酢漬け。ネバネバめかぶ。生わかめ最高🎶 pic.twitter.com/lDcOBu69O3
— 田中 義博 (@iruka_daisuki31) February 13, 2022
丸ごとの生わかめが手に入ったら一度に下処理を済ませ、調理する分と冷蔵して2~3日で食べる分以外は冷凍や塩蔵で保存してしまいましょう。
結論 | 生わかめは水気を切って保存!食べない分は迷わず冷凍しよう
- 腐ると生臭くなり粘りが出て溶けるなどの異変が生じる
- 白い毛と黄色い斑点や茶色いシミは食べられる場合が多い
- 水気を切って冷蔵や冷凍すると日持ちも可能になる
- 茹でると鮮やかな緑色になり保存性も高められる
- 腐っていなくても生食するなら食中毒予防に努めよう
生わかめは賞味期限が短く中から分解して腐ってしまうこともあるので、正しく下処理をして水気を切り、冷蔵・冷凍保存して鮮度を保ちましょう。
下処理後はそのままでも食べられますが、ほかの食材や調理器具の扱い方によっては食中毒の危険性もあるため注意が必要です。
美味しさを堪能できる調理のコツをぜひ参考にして、旬の生わかめをムダなく味わい尽くしましょう。